snowyの日記: 歌舞伎「秀山祭九月大歌舞伎」鑑賞 2
一昨日(九月十七日(土))は、muji氏主催の歌舞伎鑑賞会。新橋演舞場で、「秀山祭九月大歌舞伎」の夜の部を見た。
四時開場(かつ集合時間)で、三時半に東銀座着。
演目は、
「沓手鳥孤城落月」より「二の丸乱戦の場」及び「城内山里糒庫の場」
三代目中村又五郎並びに四代目中村歌昇の襲名披露口上
「菅原伝授手習鑑」より「車引」
「増補双級巴」より「石川五右衛門」
いずれも初見。
「沓手鳥孤城落月」
夜の部を戦いのシーン、逃亡のシーンで始めるのは、最後に石川五右衛門に終わらせるための選劇か。
次は、淀君乱心がメインと思われるが、僕が男故か、いまいちぴんとこなかった。見慣れないので台詞回しが分かりにくく、もしかしたら、今度見る時は解説のトランシーバーがいるかもしれない。
作品全体の中では細かなシーンを取り上げて見せるのは、幕開けらしく、見やすかった。
襲名披露口上
披露口上は、初めて見た。襲名する本人が場を仕切るのではなく、上の立場の俳優が仕切って、口火を切って、襲名者の紹介をする事や、列座の俳優が全員挨拶をするのが意外だった。女形の役者も(男性だから当然ではあるが)、上下(かもしも)を付け、違いを示すために、かつらに紫の布を挟んでいるのが分かった。他にも色々参考になった。
「車引」
藤原時平が中央でそびえる前で、三人が並ぶ様式美。一度では足らず、何度でも見たくなる場面。
梅王丸桜丸の衣装が他の二人と方向性が違っていたのは、演者が上方由来であるためと、後でmuji氏の解説があった。
「増補双級巴」
宙乗りも初めて見た。ただつって、移動するだけかと思っていたら、つった後、花道ぎりぎりまで降りて、また上がる、というのを繰り返して、客席後方へ上がっていった。その間、舞を披露して、宙を舞っている様を表現する。
宙乗りという演出自体は、見る前に予想していたのとは違って(もっと単純な、あっさりした移動を予想していた)、良い意味で裏切られて、良かった。
「麻呂裸」のだじゃれは笑った。伝統の中の目新しさというと大げさだけど、見慣れぬ人には堅苦しさを除く、見慣れた人にもにやりとさせるくすぐり。
ひしゃくの仕掛けが決まった瞬間は気付かなかった。なので、「いつの間に」ということに。
ところで、個々の作品についてではないが、感じたのは、歌舞伎は演劇ではなく舞踊なのだと言うこと。だから、前後の物語を省いて、特定の段だけ上演するのが成立する。動きを強調するため、わざわざ(劇の)時間の流れを止める見栄は、舞踊の一部分と考えられるし、宙乗りの間も舞う。物語を知らなくても、所作を楽しめるというのも、歌舞伎ならあり得る。
今回は、何冊か本を読んだ。本と言っても入門書ばかりだが。
参考にしたのは、「歌舞伎ハンドブック(改訂版)」(三省堂、2000年)、「伝統シリーズ2 歌舞伎」(ぎょうせい、1991年)、「歌舞伎鑑賞入門(第三版)」(創元社、1989年)、「歌舞伎お作法」(ぴあ)、等。
「歌舞伎ハンドブック」に、「沓手鳥孤城落月」と「菅原伝授手習鑑」の解説が出ているが、共に、今回の段には触れていない。「歌舞伎鑑賞入門」には、「菅原伝授手習鑑」のみ解説され、「車引」が出ている。「伝統シリーズ歌舞伎」も「菅原伝授手習鑑」のみ解説し、「車引」を作品通しての見所の一つとしている。
今回、全部で五、六冊見た中では「増補双級巴」の解説は無かった。「石川五右衛門」の「山門」のシーンが有名だとは知らなかったので、また見られると良い。muji氏の話によると「歌舞伎手帖」(渡辺保)に解説されているそう。
夕食は、muji氏の情報により、東銀座到着後すぐに、歌舞伎座斜め向かいの「いわて銀河プラザ」で弁当とお茶。毎朝、岩手で製造して東京まで送ってくるそう。なので、十一時を過ぎてから店頭に並ぶ。それでも、買った時には、四、五個しか残ってなかった。
八時半の終演後は、近くの店で、酒を交えて二時間ほど歓談。もやしを中心にした野菜を敷いた上に肉を乗せたせいろ蒸し。
主催のmuji様、参加した皆様、ありがとうございました。
遅ればせながら (スコア:1)
当日はお疲れさまでした&ありがとうございました~。
毎度あんなノリで皆さんにはテケトーに楽しんでもらっています。次回開催時にも都合が合えばまた是非(^^)
ええと、車引の上方演出は桜丸の鴇色襦袢です(^^ゞ江戸式だと桜丸も梅王と同じく赤い襦袢。
あと、桜丸が隈を取らないのも上方式。今回はいろいろな意味で珍しい車引でしたw
口上で、女方の役者が紫の布(帽子といいます)を載せてたのは、江戸の当時は女方が月代剃ってちゃ色気もへったくれもないんでw月代を隠すために使ったのが今も形として残っているそうです。
若衆歌舞伎が禁止されてから役者は前髪のない年代=元服した年代以上、でないとならなかった訳なので、必然的に全員月代はあったんですね。
あの帽子を載せた姿って妙な色っぽさがあって好きです(笑)。
むじるしそしな。
Re:遅ればせながら (スコア:1)
桜丸でしたか。修正しました。普段見ないと、すぐに混同して、分からなくなってしまいます。終演後の歓談の際も、別のところで、小生は混同していましたし。ともかく、いずれまた見たい作品ではあります。
帽子ですか。なんと素っ気ない(むしろこちらの方が正しい使い方なのかもしれませんが)。由来は、当然といえば当然ですね、なるほど。
何事も開けっぴろげより、隠している方が魅力的ですね。赤などでなく、紫というのも色っぽいと思います(個人的には、歌舞伎だと、割と、赤は男が(派手さを出すために)使う色で、紫は女が使う色、という勝手なイメージがあります)。赤の場合もあるかもしれませんが。
また機会があれば、よろしくお願いします。