kondouの日記: WP34s その2
HPの電卓というのはそもそも、HPからはビジネスとしては見放されているが熱狂的なマニアが支えている、ある意味、アマチュア無線やオーディオのような結晶化した趣味である。最近の話題が、1989年に発売中止となったHP-15Cの復刻版だが、オリジナルに遠く及ばず購入者を失望させていることは、ある意味、真空管よりも恐ろしい。
その中で、HP-20b/30b という機種は当初から re-purposing と謳われて仕様や改造方法が公開されていた。そこに、独自のファームウエアを突っ込むというのが WP34s というプロジェクト。メーカが見放しても、そのハードと公開された仕様をもとにユーザが頑張るという図はザウルスに似ている。
sourceforge.net 上でオープンソース(GPL3)として開発されている。ディスカッションは主に hpmuseum.org のフォーラムで行われている。ケーブルを入手してダウンロードしたファームウエアを書きこめば出来上がり。完成度は高く、オーバレイと呼ばれるシールを貼れば、ほぼ普通の(RPN)電卓として使用できる。
Linux 上で arm のクロス開発環境を構築して、svn で trunk をダウンロードして、好みの修正を加えて(スタッフロールに自分の名前を入れるとか)して、ハードに焼き込んで、日常使いを楽しんでいる。通貨換算と任意変数ソルバを使いやすいインターフェイスとともに追加することが個人的な目標。天文関係の機能も面白そう。多項式(一変数)ソルバは、フォーラムで今まさにホットだ。
たかが電卓といわず、ソフトウエアとしては本格的な構造をしている。商用レベルの低消費電力化、電卓のキーボードマクロをもとにした「アセンブラ」、「アセンブラ」のCソースへの組み込みとCへ組み込まないバイナリ化、ソース生成ツール(マルチプラットフォーム化されている)、CソースをARMファーム向けではなくネイティブコンパイルしてQtGUIを付けたエミュレータでのデバッグなど。Windows, Mac, Linux の、どの環境でも開発できる。試していないが、openOCDを使って Eclipse から JTAG デバッグも出来るみたい。心臓部は decNumber という IBM 由来のライブラリを使っているが、開発メンバーは数値演算にも詳しく、そのへんに配慮されたコードである。
フォーラムを見ても、検索してみても、あまり日本からの開発者はいないみたい。拙い英語でフォーラムに参加してやさしくフォローされてみたり、クロス開発環境の構築でハマってみたり、なかなか楽しい。開発者もヲタクぞろい(なにせRPNユーザだ)だし、多国籍(主開発者は英米人ではなさそう)だし、とてもフレンドリーだ。
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ここ数年、新しくて、変わってて、ニッチなモノを、アタマと手を使って作って、「どや」ということをほとんどしていなかった。仕事でも、パワポとか会議とか調整ばかりで退屈だった。たまに設計タスクがあっても10%仕事だったり。久しぶりに、アタマを頑張って使ってみたら、とても良い刺激である。
まだまだリハビリ段階だが、いろいろと変なもの(レーザポインタとかLED懐中電灯とかダイコンとか、FPGAとか)を作っていた時代を思い出す。変な仕事のストレスで悩んでいたのが、すっかり昇華されてしまった。作るだけでなく、思いっきり、アタマと、それの駆動装置としての手を使うのが面白い。手を使った肌感覚がアタマ(論理や数値)と連動するというのはエンジニアならではだと思う。偏見だが、手と感覚が連動しているのが芸術家、数値だけで楽しいのが経営者?
次のターゲットは、inPulse も面白そう。「スマホ」は使っていないが自由にいじれるのは良い。どっかで買えないかな?
MTM07が、とても面白そうだが、こういうのは、企画サイドも出展サイドも東京主体で、なかなか行けないのが残念だ。Make: (と、O'reilly?)が目指す未来は、とても共感できる。マスにとらわれず、欲しい人が欲しい物を作る未来。
あと、最近の新しいものとしてはDesignSpark。職場のCR-5000にはいまだに馴染めないので、Eagle のかわりにトライしてみようかと。Eagle はかなり早い時期から使っていたのだが、今見るとメンドウなことが多いのは否めない。LT-Spice と Bsch は息長く現役。
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