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日記

ken_non_sumの日記: 三菱長崎造船所建造のコンテナ船、就航 5 年で沈没 インド洋にて 119

日記 by ken_non_sum

三菱重工が建造し、商船三井が運航していたコンテナ船 "MOL COMFORT" が、先月 6 月 17 日(三菱発表では 18 日)、荒天のインド洋にて船体中央部から破断し、後部はまもなく沈没、前部のみが 3 週間以上も漂流を続けていたが、日本時間 7 月 11 日午前 4 時頃、北緯 19 度 56 分、東経 65 度 25 分付近の公海(水深約 3,000 メートル)にて沈没したという (商船三井のプレスリリース: 第 1 報第 26 報; 三菱重工のプレスリリース: 第 1 報; gCaptian の記事)。

同船は長崎造船所製 8000 TEU 型、2008 年 7 月就航のバハマ船籍で、遭難当時乗船していた 26 名の乗組員は全員退避ののち他船に救助されたいっぽう、積荷のコンテナ 4382ユニット (7041 TEU) はその大半が海没し、回収や確認は困難とのこと。

三菱重工は、同型船 6 隻および準同型船 4 隻について、船舶検査機関の構造規則を満足しているものの、納入先海運会社、及び船舶検査機関との共同により、安全点検と、予防措置として船体構造の強化対策を実施する予定だという(三菱: 第 5 報)。

なお、このコンテナ船には日本からの外国宛て郵便物を積んでいたようで、日本郵便では、積載されていた書留郵便物および小包郵便物の差出人にできるだけ速やかに連絡し、損害賠償の手続きを行うとのことだ(日本郵便の 7/11 のプレスリリース(PDF 形式); SankeiBiz の記事)。

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  • 写真 (スコア:5, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2013年07月17日 3時37分 (#2422606)

    こちら [gcaptain.com]に写真がまとめられていますが、前半部の最期は壮絶...

  • by Anonymous Coward on 2013年07月17日 18時14分 (#2423034)

    たしかこの船は、耐久性に難がある鋼材を設計でカバーしたはず。
    カバーしきれなかったのか、他の部分に影響がでたのか。
    関連業界の人ならもっと詳しい情報をもっているのでしょうか。

    • Re:設計ミスかも (スコア:5, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2013年07月17日 19時23分 (#2423076)

      世界初の船体用降伏応力47 kgf/mm2級高張力鋼の開発と実船適用 [mhi.co.jp]
      「耐久性に難がある」とは何を指しているのかわかりませんが、降伏応力は現在主流の40 kgf/mm2鋼材よりも2割程度高いとされていますね。
      図6に適用部位がありますが、写真で見る破損の基点はこの部位ではない(もっと下の船腹部である)ように見えます。

      コンテナ船の大型化に対応した,47 キロハイテン を世界に先駆けて開発し,実船に適用した.その特徴は以下のとおりである.
      (1)高強度効果による薄手化と,鋼材の高靭性化を組み合わせ,万一の脆性き裂特性を高め,船体の信頼性を向上した.
      (2)高強度効果による重量低減により,貨物積載量を増加し,推進性能・燃費向上にも寄与した.
      (3)以上により,お客様のニーズである,安全性向上,環境負荷低減にマッチした製品の提供を実現した.
       47 キロハイテンは,単なる高強度鋼板ではなく,適切な設計と組み合わせることで,軽量化と船体の信頼性向上を同時に達成しており,この考え方は,今後の超大型コンテナ船を開発・建造する上で,世界的な標準となっていくと考えている.

      鋼材が試験時のスペック通りの強度を持っていなかったか、新規鋼材には問題なかったけど既存鋼材との溶接とかに未知の問題があったか、軽量化のために変更した構造の設計が間違っていたか、とか原因はいろいろ考えられるでしょうが、沈んでしまうと調べようがなくて困りますね。

      # アジアの安い造船メーカーに、技術で対抗したい三菱重工にとっては痛い事故ですなぁ

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      • by Anonymous Coward on 2013年07月17日 20時01分 (#2423107)

        一般にハイテンは疲労に弱いです。
        また通常の鋼材に較べて低温脆性の限界温度が高い(より高い温度で脆化する)と言う性質があります。
        またこの二つが重なり合うと当然疲労も大きくなるわけです。

        従来はここが問題になっていましたが、MHIは
        「高強度効果による薄手化と,鋼材の高靭性化を組み合わせ,万一の脆性き裂特性を高め,船体の信頼性を向上」
        と言っている様に、それを特殊な技術でカバーしたものであると思われます。

        船体にはハイテンを全部使えばそれだけ強いと言うわけでは当然ながらありません。場所によって軟鋼からハイテンまで使い分けます。その他に摩耗の特性が高い金属、溶接でよい金属、などを組み合わせて船体は作られています。
        正直MHIがこの辺りでしくじるとはちょっと考えられないので、何かイレギュラーなことが起きたのではないかと思われます。

        また問題が発生した場合、これはMHIだけの問題ではありません。日本だけの問題でもないです。
        と言うのは、以前は国ごとで安全基準が異なったのですが、今は改正SOLAS条約と言うものでかなり統一されてきています。
        まだ発展途上ですが、2008年就航の船ならば、ほぼ最新の基準が適用されているはずです。これはシミュレーションプログラムまで規定されているような厳格なものなのですが、これをクリアしていて、構造的欠陥があると言う事になるといろいろとやばいですね。

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    • Re:設計ミスかも (スコア:5, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2013年07月17日 19時37分 (#2423094)

      三角波(ピラミッド状の波)を受けて前後が海面に浮けば潜水艦以外の船種は全て「折れる」か「転覆」します。
      潜水艦でも緊急浮上(船首を空高く上げる浮上方法)は船体寿命を縮める(最悪折れる)として嫌われています。
      船底の一点を持ち上げられ、前後は宙に浮くんですから、原子力空母だろうが波が相応に大きければ折れるか転覆します。
      それが商船規格のコンテナ船なんですから前後が浮けば折れます。
      折れない船なら、それは強度過剰で積載量が少なすぎ、実用的な輸送船にならないでしょう。
      転覆していない。即時に折れていない。
      ということから、構造規則は満たしているのではないでしょうか。
      荒天時に三角波が発生しやすい海域を航行していたという、航路選択のミスはあるかもしれませんが、
      それも、そういう海域を選ばないと燃費と期日が守れないのなら、止む得ない事故でしょう。

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    • Re:設計ミスかも (スコア:4, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2013年07月17日 19時11分 (#2423064)

      http://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/443/443028.pdf [mhi.co.jp]
      逆。↑のとおり新しいハイテン鋼を一部に適用してた。

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      • by KAMUI (3084) on 2013年07月17日 19時25分 (#2423079) 日記
        今回折れた場所はその新しい47キロハイテン鋼を使った辺りみたいですね。
        使ってるのは上甲板中央部付近の両側だけみたいなので、上が丈夫過ぎて下が持たずに折れて、上も耐えられなくなったとか想像した。あくまでも想像。
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    • by Anonymous Coward on 2013年07月17日 20時08分 (#2423116)

      船級協会などの検査をパスしているはずだし、荒天といってもデタラメに凄い波には見えない。
      使用実績の浅い鋼材使ったために、造船、操船のノウハウが溜まっていないとか、見えにくい設計ミスの可能性もある。

      でも、施工不良の可能性もあるんじゃね?
      船用としての使用実績が浅いということは、加工、造船した人たちのノウハウの溜まっていない気がする。
      造船所といっても船だけ造っている訳じゃないし、ハイテン綱の加工経験は少なくないとは思うけど。

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      • by tenokida (42811) on 2013年07月18日 0時11分 (#2423287) 日記

        >荒天といってもデタラメに凄い波には見えない。

        だからこそ三角波って話になるので。
        合成波で時間的にも空間的にも限定された範囲で、
        周りの波に比べて巨大な孤立波がいきなり発生する。

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  • by manmos (29892) on 2013年07月17日 13時02分 (#2422808) 日記

    私の知り合いは、被害は本一冊だけだったらしいが、時期と場合によると、日本から結構な量の荷物を送ることもあるので、人事ではないと注目しています。

    • Re:先日聞いた (スコア:4, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2013年07月17日 21時32分 (#2423189)

      荷物送ったりするのは総務の仕事だもんね。

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    • by Anonymous Coward on 2013年07月17日 23時48分 (#2423278)

      工作機械業界ですが、製造に半年掛かる機械が数台沈みました。
      納期要求がきつい業界なので、営業がパニクってます。

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  • by hahahash (41409) on 2013年07月17日 17時23分 (#2422998) 日記

    前半分だけで3週間も漂ってたのか、今時の船ってすごいな。

    たぶん、そんなの常識だろってレベルの話なんだろうけど、あらためて感心した。
    えーと、水密区画とかそういう話でいいんだっけ?

    • by Anonymous Coward on 2013年07月18日 2時05分 (#2423320)

      複数の船倉を持つバラ積み貨物船などと同様に、コンテナ積載部分も区画分けされていたようですね(折れた区画以外はすぐに浸水しなかった)
      事故原因はまだ不明ではあるものの、6月27日の時点ではやばやと商船三井から同型船の強化工事実施のプレスリリースが出ています
      http://www.mol.co.jp/pr/2013/13049.html [mol.co.jp]

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    • by Anonymous Coward

      そんなに浮いてられるなら、近くの陸へ運べないもんなの

      • by Anonymous Coward on 2013年07月17日 18時32分 (#2423045)

        曳航していたのだが火災が発生して沈没したのです。
        http://www.mol.co.jp/pr/2013/13061.html [mol.co.jp]

        これで原因調査が難しくなりました。

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      • by Anonymous Coward

        港だとか、もって行く途中の変なところで沈まれても困るしな。
        下手すると港が使えなくなるし、埠頭で沈まれてもその部分が当分使えなくなっちゃうし。

        • by Anonymous Coward

          沈むまでに海中に網を張って積荷を回収するとか

  • by Namany (19002) on 2013年07月17日 17時09分 (#2422991) 日記

    こういう場合、荷物のサルベージってやるんですかね?

    • by Anonymous Coward on 2013年07月17日 22時19分 (#2423209)

      費用対効果を考えると金塊でも積んでない限りそれは無いでしょう
      それよりもコンテナが無事にすべて沈んでくれることを祈った方が良いです
      荷崩れしたコンテナが水面下を漂流して、他の事故を引き起こすこともあるのです
      (事故船から大量の材木が流出した場合などは、事故防止のための回収作業がおおごとになる場合も)

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      え、やるわけないと思うんですが・・・・何か発掘されると自刎したくなるような黒歴史レベルなお手紙でも発送されましたか?

    • by Anonymous Coward

      人類銀河同盟とヒディアーズが戦争を始めるような時代になれば、サルベージされるかもしれませんね。

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コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell

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