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日記

aitoの日記: 9月2日(月)SIGMUS@東大 午前まとめ

日記 by aito

■音楽構造・応用 (09:00-10:30)
(30)Hough変換を用いた楽曲構造の境界抽出
   三浦 亮,寺島 裕貴,喜田 拓也
楽曲のセグメンテーション.クロマベクトルの自己相似性行列から「縦線」をハフ変換で探すことで構造境界を探す.行列を濃淡画像にして,縦線のエッジ強調フィルタをかけたうえで,ハフ変換を使って線を抽出する.評価には「調整ランド指数」というのを使っている.エッジ抽出にはScharrフィルタを使うのがよいという結果.中身が完全にはわからなかったが,「なぜそういう方法を使うか」についての主張が弱い気がした.

(31)明治維新以降における日本での流行歌の構造分析
   高際 辰弥,河瀬 彰宏,村井 源,徃住 彰文
計量音楽学的な発表.こういうのも面白い.日本の流行歌(唱歌,中山晋平,古賀政男とその同時代曲約750曲)の時代による変遷の分析.分析する特徴はメロディで,相対音高のbigramの分布を比較する.1880年代後半からの推移として,「同音反復が減る」「短音階が増える」あるいは「西洋音階に沿った曲が増える」などの変化が観察された.また,因子分析による分析を行っているが,どういう結果なのかよくわからなかった.なお,参考文献に挙げられていなかったが,音楽の時代による変遷の計量分析についてはこういう有名な論文があるのだが.
http://www.nature.com/srep/2012/120726/srep00521/pdf/srep00521.pdf

(32)音楽理論GTTMに基づく議論タイムスパン木の生成方式とその評価
   三浦 寛也,森 理美,長尾 確,平田 圭二
おとといのデモの内容の発表.対象は名古屋大のディスカッションマイニングシステム.「議論タイムスパン木」は,文書要約で使われている木構造と基本的には同じものだと思う.どうやって木を作るかはルールベースだが,それはGTTMとはだいぶ違うんじゃないのかな.

(33)The high-resolution MIDI format(eXtended Precision MIDI format)の仕様紹介と,研究分野での利用について
   野池 賢二,池淵 隆,片寄 晴弘
スライドはこちら. http://www.slideshare.net/knoike/midi-25801187
とある仕様の紹介発表(イントロダクション)だそうだ.MIDIは日本発祥の優れた企画だが,さすがに古くていまいち萌えない.特にパラメータが7ビットで,精度が足りない.そのために高精度化MIDI企画が提案されてきた.
MMAはベロシティを14ビットに拡張する企画(固定小数表現の小数部7ビットが別な命令で付加される).完全下位互換.XP MIDIはYAMAHAの拡張企画で,ベロシティ10ビット,ペダル8ビット,ポリフォニックキープレッシャーを10ビットに拡張する.サポートするソフト・ハードが少ない.

■音楽システム・シーケンサ (10:40-12:10)
(34)ステップシーケンサを用いたコミュニケーションセッションシステムの提案
   石野 力,米澤 朋子,中 祐介,吉田 侑矢
遠隔合奏システムだが,それぞれの人が使うのがステップシーケンサというところがポイント.ステップシーケンサは発音前に音程を指定するので,通信遅延による発音の遅れの問題が起きない.ただ完全な合奏は難しいらしく,4ステップごとに交互に演奏するという方式.シーケンサは可変抵抗かデータグローブを使ったアナログな操作方式.さまざまな項目に関して,対面と非対面での演奏での評価値が示されているが,何を主張するためにそうしているのかよくわからない.

(35)個人の嗜好を考慮したメドレー曲自動生成手法
   大野 将樹,岡村 亮一,獅々堀 正幹,沼尾 雅之
メドレー曲自動生成.ここでいう「個人の嗜好」とは,「局所的接続」(接続部分の違和感のなさ)と「大局的接続」(接続された曲の音楽的妥当性)それぞれの嗜好を指す.局所接続コストは(BPM,音量,周波数重心,音程パワー分散)のユークリッド距離.ある曲のパートAと,別な曲のパートBを接続する場合は,Aの直後10秒とBの最初10秒の特徴量の比較を行う.大局的接続は,「イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ・エンディング」などの部分間の有限オートマトン.接続コストの嗜好では,ある2パートの接続が好まれるか好まれないかを2値分類モデルで識別する.大局的な嗜好は,サビの部分に好きな曲を入れたいということのようだ.

(36)音素材の自動挿入機能を備えたループシーケンサ
   岡田 美咲,山下 雄史,北原 鉄朗
北原先生が発表.既存のループシーケンサは手軽に音作品が作れるのだが,音素材が多すぎて選ぶのが難しい.そこで音素材を自動的に挿入してくれるループシーケンサを作った.対象はテクノ.ユーザは曲の「盛り上がり度」の時間軌跡を描き,システムはそれに沿った形で音素材を選んで挿入する.5つのパートの音素材の挿入/非挿入の組み合わせ(32通り)に応じて,それぞれの組み合わせ間の遷移確率を人手で設定.また,挿入素材の数を盛り上がり度として,ある盛り上がり度の時に挿入すべき素材を人手で設定.結局,「盛り上がり度」に応じて挿入すべき素材数は決定的に決まり,具体的にどの素材を挿入すべきかが遷移確率から決まる.

(37)和声学に基づく合唱譜自動作成システム”CMY”―転回系の実装と評価―
   エバンズ ベンジャミン ルカ,棟方 渚,小野 哲雄
和声学に基づくルールベースの自動作曲(編曲?)システム (Creating Music for You).バス譜を四部合唱譜に書き換える.ルールとして,芸大和声の禁則,推奨則,標準原則を実装.入出力にはMusicXMLを利用する.和声の教科書の課題に対して模範解答を出すことができる.和声は私に知識がないので突っ込みどころがよくわからない.最後の方で作曲者意図をどうやって入力するかが難しいという話があり,現状では利用するルールを自分でカスタマイズするということだったが,実際に使うのは難しそうだ.

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