kazekiriの日記: STAPとESの比較写真が実は同じ細胞由来 8
STAP 不正認定以外にも複数の疑義 (NHK)
さりげなくSTAP事件の特大の進展があったようだ。理研CDBの検証チームがどうやら既に不正認定された2件以外の不正の痕跡をつかんでおり、文書としてまとめていたらしい。それによれば、Nature LetterのFig.1のES細胞とSTAP細胞由来のキメラの比較写真が、同じ細胞由来だったとのことである。STAPの万能性の説明で胎盤にもなるといった話があったが、実際には同じ細胞由来ということで比較になっていないようだ。また、自動的に実験データから作成されるはずのグラフデータが手作業で作られたように見える箇所が複数見つかっているらしい。
遠隔操作事件でリークが問題になっていたわけで、この件もリークであることには微妙な思いがあるわけだが、さっさと終わりにしたい理研本部に対して、全部の膿みを出してしまいたい理研CDBの現場サイドからの本部への圧力なのかもしれない。調査結果自体は、理研CDBが顕微鏡等の実験機材に残されているデータを解析した結果だと思われるので、それなりに信憑性は高そうである。
「同じ細胞」でなく、ES細胞と断定されていれば、そこではい終了となるインパクトがありそうだが、随分と生殺しな報道である。普通に考えれば、比較のためにわざわざSTAPの写真をESの写真と詐称する必要は全くないわけで、その反対のケースということになるわけだが...。
なんというか、CDB内ではもう全てが分かってしまっているような気がしてきた。これタレコミにしようか、どうか迷うな。
(追記: 23:50) 同じネタ元と思われる報道が毎日からも出ている。これによれば、例のFig.1の比較画像について、「胚性幹細胞(ES細胞)を使った実験結果として掲載された画像は、実際はSTAP細胞を使ったとされる実験の画像だった」ということらしい。つまり、ESとSTAPの画像は、実際にはどっちもSTAP細胞とされる細胞由来らしい。「とされる」という表現が微妙な意味合いを含むことを示唆しているようであるし、そのまま受け取っても、STAPは胎盤にも寄与するのではなく、胎盤に寄与することもあるし、しないこともある、という何ともよく分からないことになってしまう。
(追記: 5/22 8:30) さらに毎日から続報が出ている。これによれば、今回のCDBの調査は、不正の調査委員会ではなく、それと並行して動いている改革委員会へ提出される報告のためのもののようだ。よって、理研が以前から発表している正統な調査の一部のようである。調査委員会ではあくまで論文レベルでの不正調査しかできなかったが、今回の調査は各実験にも踏み込めるのだろう。
だいぶめんどくさいモノのような (スコア:1)
とりあえず、CDB内で全て分かっているような気がする点について全面的に同意いたします。なんでリークなんだろ? とかツッコミを入れたい気持ちは正直ありますが、しょうがないよーな気もします。
で、同じ細胞由来という表現は正しいけどそんなに単純ではない気がします。何となくですが、この件は画像のコントラスト等の加工うんぬんの話では無いと思います。報道でも画像レベルで云々では無いみたいですし。
問題の画像左側の胎盤(あってるよね…?)は画像から判断して、双方で異なるものになっているように見受けられます。さすがにこれは違うモノだと思います。それはまぁそれとして、問題は割と同じ個体のように見える画像右の胎児(だよね…?)で、ESとアレの場合の両方で同じモノなんだ、そうである確証が得られた、ということなのだと想像しています。詳細が不明なので完全に憶測ではありますが。おそらくですが、現状では正式で詳細な報告を待ったほうが良いと思います。どっちかと言うと直接取材できたらおもしろそうではあります。まぁ現状でも話のネタにはなりそうですし、正式にケリがつくまではきっとまたちょっと時間かかるので、ネタの風化とか考えたら今タレこんでもいいのかも、とか無責任に書いてもみたり。
# 山梨のヒトを擁護してたけど、ちょっと自信が無くなってきた…
# その内色々しゃべってくれると思うけど、自分の勘が間違ってなかったらいいなぁ
# ちな、この件については某巨大掲示板に書き込まれたポエミィな文章に多大な悪影響を受けているです…
Re:だいぶめんどくさいモノのような (スコア:2)
とりあえず、CDB内で全て分かっているような気がする点について全面的に同意いたします。なんでリークなんだろ? とかツッコミを入れたい気持ちは正直ありますが、しょうがないよーな気もします。
毎日に続報 [mainichi.jp]が出ていますが、このCDBの調査は、調査委員会とは並行して動いている改革委員会へ提出する予定の調査のリークのようです。6月までに改革委員会が調査結果を出すことは前々から言われていたことですので、普通に正統な調査のようですね。けど... NHK、毎日、共同と同じネタ元で報道が出ているということは、結構な規模で神戸CDBからリークしているので、ぽろっともらしたというレベルでもない。改革委員会として出すべきものをここでリークというのは感心しかねますね。
まあ、ただこれで内容自体の信憑性は高いと判断してよいでしょう。
で、同じ細胞由来という表現は正しいけどそんなに単純ではない気がします。何となくですが、この件は画像のコントラスト等の加工うんぬんの話では無いと思います。報道でも画像レベルで云々では無いみたいですし。
問題の画像左側の胎盤(あってるよね…?)は画像から判断して、双方で異なるものになっているように見受けられます。さすがにこれは違うモノだと思います。それはまぁそれとして、問題は割と同じ個体のように見える画像右の胎児(だよね…?)で、ESとアレの場合の両方で同じモノなんだ、そうである確証が得られた、ということなのだと想像しています。
えーっと... 報道で言っている同じ細胞というのは、個体として同じということでなく種類的なものです。追記で書いたように、STAPとされていた細胞群から作成したキメラのライブフォトイメージングの結果からそれぞれES、STAPの画像を作っているということです。この時点で実験として破綻していますし、論文レベルではない実験段階からの不正につながっていくことになります。「STAPとされていた細胞」の正体が何だったのかはここでは定かではありません。まあ、STAPの存在論については、胎盤への寄与の根拠が薄れたことで、また一歩後退と言えます。
詳細が不明なので完全に憶測ではありますが。おそらくですが、現状では正式で詳細な報告を待ったほうが良いと思います。どっちかと言うと直接取材できたらおもしろそうではあります。まぁ現状でも話のネタにはなりそうですし、正式にケリがつくまではきっとまたちょっと時間かかるので、ネタの風化とか考えたら今タレこんでもいいのかも、とか無責任に書いてもみたり。
ということで、まあ6月に発表されることは間違いないとは思いますが、今回で重要なのは論文作成上ではなく、実験段階でデータのねつ造があった可能性を示唆していることでしょう。その意味で重要だと思いますが、リークなんだよなぁと。
# 山梨のヒトを擁護してたけど、ちょっと自信が無くなってきた…
今回の報道からはむしろ若山先生の関与は薄れたように見えます。
Re:だいぶめんどくさいモノのような (スコア:1)
>えーっと... 報道で言っている同じ細胞というのは、個体として同じということでなく種類的なものです。
あっ。盛大に読み間違えていました、すいません…。ちょっとポエムに毒されすぎてたのかも。
リークそのものもそうですけど、研究者的にはそれ以上に実験データを(勝手に?)のぞいて、それをある意味公表していることのほうが気になります。こんなことをするにはさすがに調査段階と公表する段階の両方について当人の了承を得るか、調査にそれを許すような権限が必要だとおもうんですけど、そこはクリアしてるのかな? クリアできてないからリークするしかなかったように感じなくもなかったり。
まぁ、外野としては判断材料増えるんでアレですが。でも、研究者の倫理とかで言うなら、データのぞき見して利用なんて本来は一発アウトのレベルじゃないかな…。さすがにそんなにアウトなことをするとは思えないですがどうなっているのやら。あくまで非公式なモノ、という扱いで、公式には何も発表されなかったらヤダなぁ。それこそ証拠にはなりえない単なる印象操作になっちゃう。
>今回の報道からはむしろ若山先生の関与は薄れたように見えます。
これだとそうですね。でもあの結果が出たら色々としゃべって欲しいです。こっちでもコレスポの一人なんですし。
Re:だいぶめんどくさいモノのような (スコア:2)
リークそのものもそうですけど、研究者的にはそれ以上に実験データを(勝手に?)のぞいて、それをある意味公表していることのほうが気になります。こんなことをするにはさすがに調査段階と公表する段階の両方について当人の了承を得るか、調査にそれを許すような権限が必要だとおもうんですけど、そこはクリアしてるのかな? クリアできてないからリークするしかなかったように感じなくもなかったり。
また読まれていないようなので非常に悲しいわけですが。
今回のCDBの調査は、本部に設置された研究不正再発防止のための改革委員会 [riken.jp]に対して6月に報告される予定のもので、他の研究者が勝手に機材のデータを覗き見したという性質のものではありません。ライブイメージングの機材のHDD?に残っていたデータ等を見たのだと思いますが、理研の機材のデータを理研が見れないということはありえませんし、NHK、毎日、共同を揃った報道の規模的にはCDBとして情報を出したのだと推測できます。
調査委員会は基本的に関係者の聞き取りとノートの検証ぐらいしかできないわけですが、改革委員会では実際に何が行われたのかというレベルで検証するとは宣言されていた記憶があります。当事者の処罰に関しては調査委員会で十分で後は懲戒委員会待ちなだけですが、今後の不正防止という観点からの調査を行う改革委員会としては、実験レベルでの検証が不可欠と言えるでしょう。
まあ、しかし、CDBが改革委員会に提出前に情報を出すというのは、スジが良くないことは確かです。ただ、改革委員会のカバー範囲的に、実際に実験過程で何が起きたのかという点は全体から見れば小さくなると思われるので、情報が薄まらないように一部を出したのかもしれません。
Re:だいぶめんどくさいモノのような (スコア:1)
データは本質的に所属機関に嘱するはずなので、知財の管理という意味での異論は全くありませんが、研究者の感覚として大分モヤモヤするのであんな風に書きました。特に今回は不正の調査という名目で、通常の状況ですらないことも理解できてはいるつもりですが、どうもデータを他人に見られて、さらに公開されることには他人事ながらすごく抵抗感があります…。
# あと、コメントに貼られた毎日の記事はユーザ登録が必要だったので読んでいません。すいません。
改革委員会の本来の役目とメンバーからすると、少なくとも今回のような専門的なサイエンスに近いところの検証はちょっと範囲外かも。採用の経緯や研究環境の調査等とかが本題のような(そしてなぜかPI採用経緯とかについてもリークっぽいのが毎日から出てますね)。
ちなみにデータはライブイメージングの機材と直接接続されているPCのHDDにあったんだと思います。面倒くさい実験装置は大体制御のための専用ソフトとかドライバが入ったPCとセットになりがちなので、そのほぼ専用なPCから回収したのかと。そこに残っていたデータとletterの絵が照合できたってことかな。余談ですが、年代物の実験機材用のその類のマシンだと、5インチフロッピーとかMS-DOSとかなんだかわからないUnix使ってる例もままあるとか。
Re:だいぶめんどくさいモノのような (スコア:2)
データは本質的に所属機関に嘱するはずなので、知財の管理という意味での異論は全くありませんが、研究者の感覚として大分モヤモヤするのであんな風に書きました。特に今回は不正の調査という名目で、通常の状況ですらないことも理解できてはいるつもりですが、どうもデータを他人に見られて、さらに公開されることには他人事ながらすごく抵抗感があります…。
理研として既に「不正があったと認定した研究」なのですから、何の問題もないでしょう。逆に言えば、不正認定されるまで待ったとも言えます。
情報戦 (スコア:0)
調査なるものを続ける限り相手がいつまでも抗弁するので、結論を出して打ち切ったのは正解。
その後は諸研究者からの情報提供を受けているだけ。
今後きまる処分を受け入れずに司法の場に持ち込まれるなら、反論するねたはまだまだあるということかと。
普通の弁護士なら、この条件で法廷に行きたいとは思わないんじゃないかな。
Re:情報戦 (スコア:2)
まあ、リークが情報戦というのは間違いないとは思いますが、おそらく弁護団側へではなくて世間様に向けてのことだと思います。弁護団側へはこれまでの調査委員会での結果で十分に懲戒委員会送りのネタを揃えていると思いますし、改革委員会の発表までは時間があるので、そのまでに情報を少し出しておこうという程度かと。