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2006年のノーベル物理学賞は宇宙マイクロ波背景放射の研究に 23

ストーリー by yosuke
WMAPも受賞するのかな 部門より

2006年のノーベル物理学賞は、NASA Goddard宇宙センターのJohn MatherとGeorge Smootが受賞した。受賞理由は「宇宙マイクロ波背景放射の黒体放射との一致と非等方性の発見」(ノーベル財団のニュース・フラッシュ)。
宇宙マイクロ波背景放射(cosmic microwave background:CMB)が、ベル研のArno PenziasとRobert Wilsonによって偶然に発見されたこと、この発見によって2人は1978年のノーベル物理学賞を受賞したことは有名である。
COBE(COsmic Background Explorer)は、CMBを詳細に観測するために、1989/11/18に打ち上げられたNASAの衛星。ミッションは1994年まで続けられた。
COBEに搭載された観測機器であるFIRASによって、CMBのスペクトルが黒体放射と一致することが確認された。これは、かつての宇宙が高温の熱平衡の状態にあったことを示しており、ビッグバンの証拠となる。このFIRASのPIがJohn Matherである。なお、John MatherとCOBEチームは、2006年のGruber Cosmology Prizeも受賞している。
また、別の観測機器であるDMRによって、CMBに含まれる非等方性の全天地図が初めて作成された。CMBに含まれていた非等方性は、背景放射の1/10万という小さなゆらぎであり、初期宇宙の密度分布を表している。このゆらぎが現在の宇宙の大構造を産んだとされている。このDMRのPIがGeorge Smootである。
CMBについては、後継のWMAPによってさらに詳細に観測されている。また、さらに精度の高い観測を行うESAのPlanckも、2007年に打ち上げの予定である。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • COBE (スコア:2, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2006年10月04日 10時55分 (#1031351)
    詳細はWikipediaのCOBE [wikipedia.org]に詳しい。

    一時は「CMB が真の黒体放射でない」とかの議論があったがCOBE ミッションで明らかになったわけですね。
    • by nq (16642) on 2006年10月04日 18時35分 (#1031647) 日記
      「議論」というよりも観測報告です。重要な結果として
      1988年第34回仁科賞の授賞対象になりました。
      「宇宙背景輻射のサブミリ波スペクトルの観測」(名古屋大学理学部教授松本敏雄)

      宇宙研のロケットを使って宇宙背景放射を観測し、サブミリ波領域では3Kの黒体輻射スペクトルを上まわる強度であるという観測結果を得たことが受賞理由です。
       詳しくは、http://www.nishina-mf.or.jp/prize/gyousekiyouyaku.pdf をご覧ください。
      親コメント
      • Wikipediaには「観測結果は誤りだった」と書かれているね。

        まあそれを言ったら、ヨハネス・フィビゲルの発ガン寄生虫
        説(ノーベル生理学・医学賞)も誤りでしたがね。
      • >「宇宙背景輻射のサブミリ波スペクトルの観測」(名古屋大学理学部教授松本敏雄)

        これが間違い、というか失敗であり、その業績に仁科賞を出してしまい、後からどうしようと困った。というのは結構有名な話だと思います。
        現在の観測結果からはこの結果は否定されているはずですが。

      • COBEがインフレーション宇宙論を証明したと言う意味では、同
        時受賞の「ひもの場の理論」も否定された?

        結果論的には誤りであったとしても、それぞれの発見や理論は
        すばらしいものです。
        それだけCOBEが凄い発見をしたということだ。
    • by patagon (1453) on 2006年10月05日 8時31分 (#1031961) 日記
      『ビッグバン宇宙論』の下巻の最後でもふれられています。
      http://www.amazon.co.jp/gp/product/4105393049/ref=pd_bxgy_b_text_b/503... [amazon.co.jp]
      親コメント
  • (´・ω・`) (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2006年10月04日 11時57分 (#1031390)
  • by Anonymous Coward on 2006年10月04日 11時39分 (#1031378)
    やっぱりいくら大勢でやってもPIだけが褒められるんですね。
    他にもいっぱい研究者が関わってるんだろうに。
    • by Anonymous Coward on 2006年10月04日 12時12分 (#1031395)
      ノーベル賞は1回につき3人までですから、こういうときは仕方ないでしょうね。
      研究もどんどん大規模になってきてますから、賞が創設された100年前とは
      かなり状況も違ってきています。この際、団体での受賞も可、と財団が方針転換を
      してみるというのも面白いかも。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      ノーベル賞は、個人を対象にしてますから。
      スポーツなんかのMVPと同じですよ。

      研究そのものに対する賞も、どこかにあるかも知れないですよ。
  • 宇宙の質量の9割以上を占めるという 暗黒物質(ダークマター) [wikipedia.org]を発見できたら、受賞できるんでしょうね。
    --
    モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
    • WMAPにより
      >宇宙の物質・エネルギーの組成はダークエネルギー 73%、ダークマター 23%、バリオン 4% などと求められている。
      そうです。
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      • by shuu02 (31177) on 2006年10月04日 20時57分 (#1031759)
        昔,宇宙論を趣味でかじっていたのですが,
        最近,宇宙の約3/4はダークエネルギーだとか,宇宙は加速膨張していると知ったときには,
        天地がひっくり返ったような(多少誇張)衝撃を受けました.

        今回の受賞のタイトルを見たとき,この話とWMAPのほうかと思いました.
        そうではなかったのでが,これの前段階の研究という意味でもうれしいです.
        親コメント
        • WMAPは、宇宙背景放射のゆらぎをCOBEよりも空間的に細かい分解能で高い精度で測定したのですが、観測結果はCOBEの結果を説明するために作られた理論の予測とほとんど完全に一致してしまい、「新発見」といえるものが少ないのですね。宇宙の年齢とか、ダークエネルギーなどの宇宙論パラメータも、WMAPに先行して行なわれた気球からの観測などで決定されていて、WMAPはそれを確認して精度を高めたに過ぎません。もちろん立派な結果ではありますが、WMAPは新しい地平を開いたとはいえず、開拓者のCOBEチームがノーベル賞を受けるのは妥当でしょう。
           ただ一つWMAPの新しい成果は宇宙の再電離(宇宙最初の明るい星が輝き始めた時代)が赤方偏移11付近で起こったことを示したことですが、独立な方法による確認が必要でしょう。
          • by johan (27535) on 2006年10月05日 19時28分 (#1032388)
            逆説的に「WMAP の結果で驚くべきは、驚くべき結果がほとんどないことだ」とも言えますね。もちろん、それまでに信じられていたモデルを極めて高い精度で検証したということに大きな価値があるのは間違いありません。
            宇宙再電離の時期についても最初の一年のデータだけだと赤方偏移 17付近という非常に早い時期を示唆していて、これは大騒ぎされたものですが、三年分データをためて解析しなおしたら 11 付近と割ともっともらしい値に修正されてしまいました。
            親コメント
          • by Anonymous Coward
            WMAPの観測結果は誕生後「5億年程度で再電離があったこと
            を示唆」したものですが、「ガンマ線バーストにより誕生後9
            億年で再電離していたことが観測」されています。

            ガンマ線バーストで探る初期宇宙 [kyoto-u.ac.jp]
      • >宇宙の物質・エネルギーの組成はダークエネルギー 73%、ダークマター 23%、バリオン 4% などと求められている

        求められているというか実際のところ仮定ですよね。ダークエネルギー [wikipedia.org]の項目にも

        宇宙が平坦になるのに必要な臨界質量密度と呼ばれる。光を放出する通常の物質の観測からは、必要な質量密度の2-5%しか説明できない。

        とありますし。それで観測の結果暗黒物質だけでは説明できないのでダークエネルギーというものを編み出して、宇宙の物質の組成率を100%にしただけ(かなりうがった見方ですが。笑)

        えーとどこで読んだか思い出しました。ダークマター [spaceinfo.jaxa.jp]
        「ビッグバン宇宙論では、宇宙の質量の90~95%をダークマターが占めると考えられています」

        まあ割合は違ったかもしれませんが、仮想的なダークエネルギーよりも暗黒物質の方が探しやすいかなと思ったりします。ただダークマターにしろダークエネルギーにしろ、ビッグバン宇宙論は肝心なものがまだ未知のものですから、これからの観測結果によって二度のノーベル物理学賞が受賞ミスだったなんてならないか心配になりました。

        --
        モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
        親コメント
        • ダークマターについては、「現在の宇宙での天体運動から推定される見えない質量」と「背景放射から推定される過去の宇宙進化に必要な質量」が一致したことで、確実なものになったわけです。

          ダークエネルギーについては、「宇宙が加速膨張している」とほぼ同義で、「加速の原因となってるエネルギー」を意味してるにすぎません。
          もちろん、宇宙の加速膨張も複数の観測で確かめられたわけですが。
          --
          the.ACount
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        • >それで観測の結果暗黒物質だけでは説明できないのでダーク
          >エネルギーというものを編み出して、宇宙の物質の組成率を>100%にしただけ(かなりうがった見方ですが。笑)

          ダークマター(暗黒物質)だって元々そうじゃん。
          • ダーク何とかってネーミングがそれを示してますね。 無いとつじつまが合わないから導入したけど、見えてはいないので「ダーク」。
            肯定的な言い方をすれば、WMAP 等の観測は「まだまだ宇宙には我々の知らないものがあるぞ」ということを教えてくれているわけで、それが何かを調べていくのはきわめて面白い科学的課題だと思いますが。
            ダークマターについては超対称性粒子だとかアクシオンだとかの未知の素粒子という説が有力で、何とかそいつを直接検出しよう、って研究もありますが、ダークエネルギーについては五里霧中ですね。どちらも本当に発見できれば間違いなくノーベル賞だと思います。
            あと、ダークエネルギーは質量を持った物質とは別物とみなせば、「宇宙の質量の9割がダークマター」といってもそう間違いではないです。
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    • 「宇宙の質量の9割」?
      ダークエネルギー [wikipedia.org]は勘定に入れないの?
    • by Anonymous Coward
      >宇宙の質量の9割以上を占めるという 暗黒物質(ダークマター)を発見できたら、受賞できるんでしょうね。

      間違いを堂々とIDで書き込む勇気が凄い。
      自ら世間に馬鹿を曝すなんて恐れ入ります。
      もう少しお勉強しましょうね。

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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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