『マック売りの少女』 13
暖を取るにも中途半端 部門より
Mad Kucky曰く、"某WebPageの「マクドナルド売りの少女」というネタからインスピレーションをもらい、1時間くらいでパッと書き上げてみました。『マック売りの少女』。"
わはは、こんなのタレコんでどうする。でも面白いので載せちゃう。
"昔々あるところに、寒い冬、雪の中でマックを売り歩く少女が居ました。
「お願いします、マック買ってくれませんか? どなたか、マックはいりませんか?」
か細い声を、それでも賢明に高鳴らせ、少女は道行く人に声をかけます。しかし誰も振り向いてくれません。
「お兄さん、お姉さん、マックを買ってくれませんか?」
何十人かが通り過ぎた後、やっとあるカップルが振り向いてくれました。
「お嬢ちゃん、マクドナルドでバイトでもしてるの? ちょうどおなかが空いてたんだ」
優しそうなお姉さんが、笑いながら少女と目線を合わせるようにしゃがみ込んでくれました。少女は精一杯の微笑みで答えます。
「いえ、マッキントッシュなんです! お姉さんも一台いかがですか? 新しいiMacは、また一段と可愛くなってますよ!!」
『マッキントッシュ』という名前を聞いたとたんに、お姉さんの笑顔が凍りつきました。唇の半分だけをヒクヒクとひきつらせます。
「そ、そうなんだ。ゴメンね、私もう、パソコン持ってるから……」
さっきまでの優しさがウソのように、お姉さんはそさくさと歩き出そうとしています。そばに立っていたお兄さんも、お姉さんの腕を引っ張って、その場を離れようと必死です。
「あっ、待ってください! こんどのiMacは800MHzのPowerPC G4でとっても早いんですよ! Geforce4 MXだってDVDだってついてるし、メモリ増設だってとっても簡単……!」
「ま、またね、お嬢ちゃん。頑張ってね!!」
カップルは、まるで走るかのように女の子の傍から歩き去ってしまいました。
「ああ、また売れなかった……。この在庫の山をどうにかしないと、とても家には帰れないのに……」
それでも女の子は涙をこらえて、道行く人に声をかけつづけます。
「PowerBook G4はいかがですか? 軽量コンパクトでDVDも付いていますよ」
──「今時、2.5Kgが軽量だって? 持ち運ぶにはとても重くて……」
「iBookはいかがですか? こんなにオシャレなノートPCが124,800円で買えるんですよ!」
──「ワタシ、仕事でOffice XP使わないといけないのよ。ごめんね」
「PowerMac G4はいかがですか? デュアルプロセッサのモデルが214,800円からですよ!」
──「いや、ウチはDTPもDTMもデザインもやらないから」
「X Serverはいかがですか? Mac OS X Serverの高機能をフルに生かした、リモート管理可能な……」
──「ん~っ、ウチ、もうLinuxサーバ入れてるんだよねぇ」
「eMacはいかがですか? PowerPc G4搭載のマシンが184,800円で買えるんですよ!」
──「えーっ、SOTECの1GHzマシンって、もっと安くなかった?」
女の子がいくら頑張っても、マックは一台も売れませんでした。
「そ、そんな……いくらなんでも、マックとSOTECを比べるなんて……」
でも、泣いても、マックは一台も売れません。暗くなった道端で、女の子はそれでも涙をこらえてマックを売りつづけます。
「マックはいりませんか。初心者に優しいマッキントッシュはいりませんか。とっても安定しているマックはいりませんか。コンピュータウィルスにも強いマッキントッシュは……」
もう真っ暗になった街には、マッキントッシュを買う人など一人もいません。Windowsを使っているみんなは、職場や家で、ハングアップで壊れたデータの復旧に忙しいのです。
「どうして……なんでみんな、マッキントッシュを使わないの……マックを使えば、みんな幸せになれるのに……」
深々と雪が降りつづける空に向かってそう嘆いてみても、傍らの在庫は減ってくれません。とうとう道には、女の子一人を残して誰も居なくなってしまいました。
「寒い……寒いよう……お母さん……」
手を擦り合わせても足を擦り合わせても、寒さは少しも和らいでくれません。女の子の手足は寒さで真っ赤です。
「そうだ! iBookのスイッチを入れれば、少しは暖かくなるかもしれない!」
展示表示品なら、初期不良も無いから安心です。女の子は自分の体で雪を防ぎながら、iBookのスイッチを入れました。液晶が点り、ハードディスクが回りだす音がします。
「ああ……暖かい……」
その暖かさの中で、少女は夢を見ました。世界中のみんながマッキントッシュを使っています。世の中にはマックの互換機が溢れ、安い値段でみんながマックを買えるようになっているのです。世の中には笑いが満ち溢れています。
……と、その時、フッっとその夢が消えました。見ると、オレンジのLEDが頼りなげに点滅しています。
「ああ、もうバッテリーが……!」
iBookのバッテリーは、文字通りあっという間に無くなってしまいました。再び寒さが容赦なく女の子を襲います。女の子の手はフラフラと、傍らのPowerBookに伸びていきました。もう一度、PowerBookを開いてスイッチを入れます。
ほのかな暖かさの中で、再び女の子は夢を見ました。「CHRP」というマークの入ったマシンをみんなが使っています。使っているOSもさまざまです。AIX、BeOS、OS/2、WindowsNT……でもやっぱり、みんなが使っているのはMacOSです。笑いながら、楽しそうに、みんながマッキントッシュを使っています。
…………。
あくる日の朝。
街の人たちは、路地裏で冷たくなって死んでいる女の子を見つけました。傍らには何台かのiBookやPowerBookが、バッテリー切れの状態でおいてありました。街の人々は幸薄く死んでいった女の子をかわいそうに思……うことなどまったく無く、残された家族をあっさりとMicrosoft集合体に同化(assimilation)してしまいました。
だから、女の子は幸せだったのかもしれません。女の子の愛するマッキントッシュと一緒に天国に行けたのですから。
おしまい。"
挿絵に某ショップの広告をどうぞ。
初代iBookは静かなんですよ!(力説) (スコア:1)
やかましいファンが無いから、マック売りの少女が静かに眠れたのです。
_.. ._._._ _... ._._._ ._. ._._._
物は試しだ。コメントのしきい値を2にしてごらん
ところが (スコア:1)
少女は豪邸の暖かい暖炉の部屋で大好きなマッキントッシュに囲まれてお腹いっぱいで楽しい年末を過ごしました。幸せすぎてたまには不幸になった気分を味わってみたかったのです。
高い豪の窓から世間を見下ろすと街にはIntelの乗ったパソコンを抱えた乞食やら貧民、デモの一群が多数見かけました。
他力本願。
Re:ところが (スコア:0)
# ちなみにフランスで McDonald's は McDO (まくどぅ)と略され、
# Macintosh は Mac (まっく)とされます。よってたれ込みのような
# 勘違いはありませぬ。なんちて。
バナーの作者? (スコア:1)
無断で勝手に取り上げちゃっていいのかしらということで、垂れ込んだ方には少々疑問ではありますが。
なんと (スコア:1)
ゆーへん
Re:なんと (スコア:1)
是非とも、今年最後のMacニュースとしてとっておきたい。
# 本当は来年の最初のMacニュースのほうがよかった。
// Give me chocolates!
新年明けましておめでとう(Nonstop to Tokyo...) (スコア:1)
>>after all, it is most fortunate...
>>to read a book in a bed one person...hirofmix
おもしろいなぁ。 (スコア:0)
#「SOTEC」は伏せ字の方がよかったと思うな。
本邦においては (スコア:0)
ホント、女の方から金額を提示してくるそうです。
訂正(オフトピック-1) (スコア:1)
ま、そういうのは大抵品質管理が甘く、ほとんどが病原菌で汚染されてたりするのでやめときましょう。知人の産婦人科の医者に聞いたが、売りに出すくせに売り物に対してほとんど知識が無いってのが多いみたい。
おおう (スコア:0)
情報キボン!
某WebPage (スコア:0)
Google [google.co.jp]でみつけられなかったのでA.C.
Re:某WebPage (スコア:1)
_ to boldly go where no man has gone before!