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本格的な人工細胞ができた 16

ストーリー by Oliver
材料+知識を細胞に等価交換 部門より

nekopon 曰く、 "中日新聞の記事によると、京都大学・ルイ-パスツール大学(フランス)らのチームが、本格的な人工細胞を作成することに成功したとのこと。研究チームは、「将来的には人間の体内で病気治療に必要な物質を合成するといった応用も考えられる」としている。
「細胞」は、脂質膜とアミノ酸、RNA合成酵素、大腸菌のタンパク質合成リボソームなどからなり、これらの材料を37℃に温めておくと、自己組織化により球形の細胞になるという。「細胞」内では、タンパク質合成反応が能率的に進み、クラゲの蛍光タンパクを使った実験では、細胞内の合成タンパクの濃度は細胞外の10倍にもなったという。
まだ細胞分裂をおこしたりはしないようですが、必要なところに必要なクスリを必要なだけ送り込む、という目的にはうってつけのようです。そのうち、細胞の秘密がすこしずつ明らかになるかもしれませんね。"

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  • by shiraga (14233) on 2004年01月10日 2時35分 (#469277)
    タレコミには書かれてませんが、DNAも入れてるらしいですよ。

    <以下職業病的いちゃもんモード>

    この系って、大腸菌の酵素を使った in vitro転写&翻訳カップリングシステムをリボソームでくるんだだけのような…。

    「自己組織化」と大げさな表現を使っているが、水にCMC(臨界ミセル濃度)以上の脂質を入れれば脂質二重層ができ、ある確率で閉じた球を作る。

    合成された蛋白の拡散が抑制されるから、開放系と比べれば、リポソーム内では当然蛋白濃度は高くなる。
    『タンパク質濃度は十倍も高くなった』というのが、記事に書かれているように「人工細胞内では、蛍光タンパク質合成が効率的に進」んだことが原因なのか、それとも合成効率は同じで(あるいは低くても)productが拡散しなかったせいなのかわからない。
    たぶんGFPの蛍光量を測定しただけだろうから、その辺の区別はついてないだろう。
    • そーかなぁ (スコア:2, 参考になる)

      by momochi (17543) on 2004年01月10日 7時35分 (#469324)
      >合成された蛋白の拡散が抑制されるから、開放系と比べれば、リポソーム内で>は当然蛋白濃度は高くなる。

      実験系をみてみないとわかりませんが、、なぜ当然なんです?

      リポソームに何か取り込ませるのって、単に水溶液の一部を脂質膜で仕切って包むだけです。そのプロセスはもちろん自発的におこりますが、イメージとしては大きな鍋にビニール袋を突っ込んで中身を、、、中身はなんでもいいや、カレーとか豚汁とか、、、を袋につめる。そんな感じ。そのときに大鍋とビニール袋の中でカレーに違いはないでしょ?肉の濃度とか(笑) リポソームの作り方というのはそんな感じです。つまり、コンポーネントを人工細胞に詰め込むメカニズムがアクティブトランスポート等によるのではなく、自発的な脂質二重層形成よるものであれば、人工細胞の内の基質や酵素などの濃度はもとの水溶液と同じになるはずです。

      その上で、せーの、で反応をさせたとき、最終的に大鍋のなかとビニール袋の中、、、じゃなかった、人工細胞と取り込まれなかった水溶液について、それぞれ生産されたタンパク質の「濃度」を比べて十倍の差があった、ということであれば、合成効率が上がったと考えるのが普通じゃないですかね。もとのコンポーネントの濃度が同じだから。(だから拡散云々は関係ないです。それと、閉鎖系じゃないと効率が上がったことはわからんでしょう。)

      無細胞系を脂質二重層で包むだけで合成効率が上がる理由には見当もつきませんが、それだけに実際の細胞内の効率の高さに関して何か示唆を与えてくれるんじゃないかなと思いますよ。

      #論文を見ずに議論するのは野暮なんですけど、あえてID
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      • by uxi (5376) on 2004年01月10日 10時23分 (#469375)
        とは言いますが、合成タンパクの濃度くらいの話なら
        要は系(ビーカー対球状リポソーム)の中での(合成機構の)密度の問題じゃないかなーと。
        # つまり生成と拡散の比率の問題。
        個人的には、イオンチャネルが存在するかどうかとかその辺りのが興味ありますね。
        --
        uxi
        親コメント
        • by momochi (17543) on 2004年01月10日 12時57分 (#469414)
          ># つまり生成と拡散の比率の問題。

          一般論としてはそれで正しいと思います。

          >とは言いますが、合成タンパクの濃度くらいの話なら
          >要は系(ビーカー対球状リポソーム)の中での(合成機構の)密度の問題じゃないかなーと。

          人工細胞内の転写、翻訳装置の濃度が高くなっているという意味なら、アクティブトランスポート(インポート)されない限りそれはないでしょうね。カレーの肉ならともかく、10(6)~10(9)個のオーダーでは偶然濃度が高くなってしまうことはないでしょう。

          脂質膜自体にその性質があるというなら、それはそれで面白い。
          #てゆーか、そんな便利なリポソームがあったら欲しい

          >個人的には、イオンチャネルが存在するかどうかとかその辺りのが興味ありますね。

          合成脂質なので明示的に加えているかどうか、ですね。無細胞系に大腸菌の膜画分が混じっていれば話は別ですが。

          拡散についていえば、こんな [hisco.co.jp]システムがあります。半透膜で閉じ込めた無細胞系転写/翻訳装置に半透膜を通して基質を連続供給/老廃物を除去することで、大量にタンパク質を作るというもの。生成されたタンパク質は逃げずに濃縮されます。基質だけ選択的に通すチャネルを装備すれば、人工細胞にもこういうことは可能かもしれません。将来的に医療用にと本気で考えるのであれば、こういう機能も持たせないとだめかも。

          #医療用マイクロマシンのプロトタイプって見方もできるね
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      • by shiraga (14233) on 2004年01月10日 18時28分 (#469526)
        人工細胞の内の基質や酵素などの濃度はもとの水溶液と同じになるはずです。
        基質や酵素に関してはその通りです。
        ですが、反応産物に関してはどうでしょうか?

        カレーの例えを使わせてもらいます。
        もし、肉がそれほどたくさん入ってないとしましょう。
        肉をリボソーム、肉から出るエキスをGFPと考えてください。
        大鍋で考えると、肉のエキスは鍋全体に拡散しますね。

        では、鍋の一部をランダムにいくつかの袋につめて、鍋に戻すとします。
        (袋の体積は鍋に比べて小さいとします。)

        袋によって、肉が入ったり、入らなかったりするでしょう。
        肉を含む袋の中では肉エキスが小さい体積にしか拡散しないので、肉エキスの濃度は局所的に高くなりませんか?

        まぁ、常にこうなるとは限りません。
        鍋の体積と袋の体積の比率とか、肉の数がどのぐらいか、とか条件によりますね。
        なので『当然』というのは、ちょっと言いすぎでした。
        親コメント
    • 大腸菌の内臓を一揃い持ってきて、人為的に皮をかぶせて細胞 にした感じなのでしょうか?
  • 薬をこれで合成させて必要なところに送り込むとなると、
    この細胞(もどき)をどうやって必要なところに送り込むかとか、
    送り込んで、それでどうやって放出するかってのが問題になりそうな気がします。
    膜から何か生えてて、それを頼りに目的地まで送り込まれて、
    目的地では受容体に作用すると作られた薬が分泌される
    とかだとすげぇかっこいいけど、多分(まだ)無理。
    あとは、がん細胞(じゃなくてもいいけどターゲット)に
    フューズしてしまうとか。
    これだとRNAとかも送り込めそうな気がするので魅力的。
  • by Anonymous Coward on 2004年01月10日 15時56分 (#469476)
    じゃあ、ないんでしょ>偉い人

    なんか、人工イクラの作り方に似ているなあ。
    • Re:人工?? (スコア:1, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2004年01月10日 16時41分 (#469487)
      人工イラクの作り方には似ていませんよね。

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      • by Anonymous Coward
        本格的な人工細胞より本格的な人工イクラの方が
        今の漏れには朗報。
    • by Anonymous Coward
      自己の複製ができない、ということなので「生命」とはいえないかと思いました。

      ##ただ、「生命」の定義って自分でもよく分かっていないな、と反省しましたけど。
      #####門外漢の上、見当違いな発言にちがいないのでAC。
      • Re:人工生命 (スコア:1, 興味深い)

        by Anonymous Coward on 2004年01月10日 23時03分 (#469640)
        同意。
        が、
        これでポリメラーゼとかもっといろんな酵素の合成が内部で可能で、
        膜分子も生産してくれれば、複製まではできそうです。
        #リポソームの分裂は結構簡単に起こるので。

        そうなってくるともうほとんど「生命」との違いはわからないような
        #「代謝」と「複製」ができれば生命である、に一票。

        #同業者なのでAC
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        • by gatekeeper (18246) on 2004年01月11日 3時47分 (#469770) 日記
          DNA(じゃなくてもいいけど遺伝情報)をきちんと2倍にして、
          さらに分裂の際に1:1に振り分けるのが大変だと思います。
          # それができないと「複製」とはいえないと思う。
          親コメント
          • by Anonymous Coward
            この場合、細胞内に「遺伝子」が一つである必要はないので、
            複数のコピーがあると想像してみて下さい。
            例えば、2,30個のコピーがあれば、ランダムに分配されるだけで
            複製になりませんか?
            増やす数も誤差が許せますし。

            #これはこれでいろいろ別の問題も起こるのですが。
        • by Anonymous Coward
          たしかに
          代謝つっこんだシミュレーションでは
          細胞様構造体がもうパンパン分裂してます.

          実験屋も負けちゃらんないってわけで.

          >代謝と複製ができれば生命

          「生き残ろうとする意思」みたいなのがあれば生命,に一票.
          高ロバストネスってことなんだろうけども
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Stableって古いって意味だっけ? -- Debian初級

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