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車の排気ガスは花粉アレルギーを増加させる? 9

ストーリー by Acanthopanax

MIYU曰く、"日本では非常に辛い「花粉症」の季節が始まろうとしていますが、ドイツのミュンヘン工科大学の研究者達が、車の排気ガスに含まれている二酸化窒素とオゾンの混合物が、花粉のタンパク質の中のアミノ酸・チロシンと反応してチロシンをニトロ化する事が、花粉のアレルギー性を高めているかもしれない、という事を示唆する研究を発表しています。(Environ. Sci. Technolの記事Nature Web Newsの記事訳文)
ドイツで行われたこの研究では、交通量の多いミュンヘンの街路でスモッグにさらされたチロシン・コンポーネントを7つ持つカバノキの花粉が、高い率でニトロ化されていた事が報告されています。チロシン(C9H11NO3)は、タンパク質に普通に含まれているアミノ酸の一つですが、私達の体内では、ニトロ化したチロシンが免疫系によって炎症を起こした組織に抗体を引きつけるために利用されているそうです。" (つづく…)

"現時点では、何がタンパク質をアレルギー性にしているのかはまだ解明されていませんし、アレルギーの要因が一つであるとは考えにくいそうですが、研究者は、都市地域で喘息や他のアレルギーが増加している背景には、大気汚染によってニトロ化されたタンパク質によって免疫系が混乱を起こす、という事が関与しているのかもしれないと示唆しています。
これまでの研究でも、アレルギー反応を引き起こす抗体にニトロ化されたタンパク質ががより強く結びつく事が示されていますが、現在進行中の、普通のタンパク質とニトロ化されたタンパク質を与えたマウス達による比較実験でも、ニトロ化されたタンパク質ではアレルギーを引き起こす力が顕著に高まっている、という予備的な結果が得られているそうです。これらの結果は、車からの二酸化窒素の排出を規制すべきだ、という主張を後押しするものだと研究者は語っています。
日本では、現在省庁横断で花粉症対策を進めるという取り組みが始まり、花粉の無い杉の普及を進める事や、スギ花粉症緩和米が2007年にも実用化される事などが報じられています。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by KENN (3839) on 2005年02月06日 14時52分 (#689770) 日記

    窒素酸化物(NOx)は自動車の排気ガスによる大気汚染が問題視されてからず~っと規制対象になっているんですが、「車からの二酸化窒素の排出を規制すべきだ」と語った研究者はその事実を知らなかったんでしょうか?

    Euro I~IVと呼ばれてる、欧州の排ガス規制の参考資料はこちら [haguidetofreight.co.uk]。

    • >「車からの二酸化窒素の排出を規制すべきだ」と語った研究者

      これはもと記事のどの辺をさしてるんでしょうか?
      もと記事(英文は読んでないですすみません)だと

      > これは車からの二酸化窒素の排出をより厳しく規制すべきだ、という主張を後押しする物だと研究者は語っています。

      と書いてあるので、規制されていることは知っているようです。
      親コメント
    • > 研究者はその事実を知らなかったんでしょうか?
      現在の基準値よりも「排出量を削減すべきだ」、なのでしょう。
      基準値が甘すぎるという指摘は度々出てきていますので。
  • 東京に来てから、花粉症がひどくなったので、空気中の汚染との関連は気になります。
    まぁ、前が京都なんで、そんなにきれいではなかったはずとか、一緒に東京に来た家内は、花粉症が完全に無くなったりとか、反証も身近にありますが。

    要は個人差があるので、どんな説明も間違いではないということでしょうか?

    こんな私はバイオロジスト・・・・失格だなこれは。

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    とゅー びー おあ のっと とぅー びー ゲノム読めても理解できない
    • by MIYU (17727) on 2005年02月06日 18時05分 (#689853)
      鼻アレルギー情報センター [nasal-allergy.net]に、花粉症とは [nasal-allergy.net]という説明が有るのですが、現在では59種の花粉が抗原(アレルギーのもと)になると報告されているのだそうです。 人によって原因が違うというのは有りそうですね。 でも、サイトに用意されている花粉図鑑 [nasal-allergy.net]などを見ると … 

      例えば今私は「田舎」に住んでいて、周囲は戦後に植林された杉山だったりしますが、杉花粉症で苦しんでいるという話はあまり聞きません。だから都会では実際に車の排気ガス・微粒子が悪化要因として影響しているのだろうか? と思いながらタレコミました。

      そうだとしたら、怖いのは中国での乗用車の普及でしょうか。既に中国からの「越境大気汚染物質」の影響は指摘されていて、国立環境研究所 [nies.go.jp]などでは中国と共同で汚染の観測を行ったりもしています。 リンク先は酸性雨についての記事ですが、既に日本の硫黄酸化物沈着の半分が中国由来だ、という部分はなかなか怖かったです。

      うちの辺りでも黄砂の影響は有りますから、中国で車の数が増えればもちろん交通スモッグの影響も出てくるはずです … なにせ人数が人数ですから … 将来は私も花粉症に … 治療・予防の成果がうまく出てくれますように。
      親コメント
    • by SassyOS2 (8523) on 2005年02月06日 19時23分 (#689877) ホームページ 日記
      >どんな説明も間違いではないということでしょうか?

      ではこんな説明,藤田紘一郎氏の『笑うカイチュウ』 [amazon.co.jp]は・・・。少なくとも大気汚染ばかりが原因ではないらしい。

      交通量の少ない田舎にだって花粉症患者はいるのだし,また同じ家族でも花粉症になったりならなかったりするのはなぜ?

      # 僕が花粉症でないのは,変なものを拾い食いしてるからか(を)

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      • by Anonymous Coward
        原因は1つでないと言っても主要原因はあるわけで、「ディーゼル排ガス(一般の車ではない)」が主犯というのが一番もっともらしいんじゃないかな。(東京都も規制することだし)

        寄生虫説はカイチュウの激減と時期が合わないから、ぜんぜん信じてない。
    • by Sinraptor (22797) on 2005年02月06日 23時23分 (#689972)
      おそらく花粉症の原因は1つではなく、またそれぞれの原因から受ける影響の度合いに個人差があるのではないでしょうか。
      ひとくちに大気汚染と言っても、工場からの汚染と車の排ガスでは汚染の空間的時間的な分布が全然違う、というのもあるかもしれません。
      --
      //Sinraptor
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  • by Anonymous Coward on 2005年02月09日 23時11分 (#691859)
    もう何も言えない、って感じですか。
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身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人

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