効率10倍で10年もつ新原子力電池 72
ストーリー by Acanthopanax
10×10 部門より
10×10 部門より
人食いクリオネ曰く、"米ロチェスター大の研究者が、寿命は数十年単位・発電効率は従来の10倍以上という新型原子力電池技術を開発した(プレスリリース)。この原子力電池は放射性同位体の自然崩壊を利用したタイプで(過去の/.J記事)、太陽電池が光を受けて発電するように、トリチウムなどから放出されるβ線をシリコン上のpn接合層で受けて電力に変換する(十年光るキーチェーンの蛍光層を発電層に変えた……ようなもんじゃろか?)。
今回の新技術では、放出された電子を受けるシリコン上に多数の微細な穴を穿ち表面積を増やすことによって発電効率の向上を実現した。加工には従来の半導体製造技術が使用できるという。実証段階の今は従来の10倍程度の発電効率だが、いずれは160倍程度まで向上させられるとしている。さて、何に使いますか。"
プレスリリースには (スコア:2, すばらしい洞察)
従来の10倍って言っても、従来の出力が判らないと、どんなものかなのかも判らないし。
/* Kachou Utumi
I'm Not Rich... */
Re:プレスリリースには (スコア:1)
電池という単語から、とりあえずは携帯電話やパソコンなどを十年単位で使えるようになるといいかなぁ、と思いますが、いずれは家庭の電源を置き換えることができればすごいことになりますね。
それはそうと、「原子力」と言うからには放射線はどうなんでしょうか?
詳しい方教えて下さい。
Re:プレスリリースには (スコア:1, 参考になる)
トリチウムガスを封入する方式なら、その場合のベータ線は紙とかラップとか人間の皮膚も貫通できないので放射線漏れという意味では心配ない。
内部被曝の問題になるとしたらシールを破ってガスが空気中に拡散する前になるべく多くを吸い込むことだが、それでもトリチウムは普通11日くらい、有機結合型トリチウムで一カ月くらいで排出されちゃう。
トリチウムの生物影響 [jst.go.jp]とか参照。問題になるとしたら高濃度を長期間にわたって人体に入れ続けるくらいかな。
いや、この電池がもっと強烈な放射性物質を使って大出力を狙ってたらこの限りではないけど。
Re:プレスリリースには (スコア:2, 興味深い)
ある程度の被曝は新陳代謝を促す効果などのよい面も指摘される ようになっていいますので、自然で受ける放射線量以上の 被曝でも一意に非難はしませんが、未知の危険度を持つものが 規制なしに民間に普及する [jst.go.jp]ことがないようにしていただきたいものです。
できるならば、放射線のいっぱいある宇宙空間での利用からはじめていただきたいものです。
人工衛星に夜光剤を塗って、人工流れ星とか・・・アッチョンブリケ! [blackjack.jp]。
Re:プレスリリースには (スコア:0)
現行製品比では大した事の無い新開発製品の効率を水増ししますよね。
まぁ、その辺は通販番組程度に受け止めれば良いのでは?
ワット数ってアンタ… (スコア:0)
建材として使える新素材を開発、
Re:ワット数ってアンタ… (スコア:1)
使い道なら (スコア:2, おもしろおかしい)
ハート型で作って欲しいな。
Re:使い道なら (スコア:1)
だめです。
原子力と名のつくものは
愚民団体が総力を結集して潰します。
あと遺伝子とかも。
閾値は 0 で
SFで (スコア:1)
#あとは宇宙探査機にも使えませんかねぇ。
Re:SFで (スコア:1)
今でも惑星探査などで太陽電池の効率が悪い場合は原子力電池です。地球周回軌道の人工衛星なんかでも大規模なものには使われていたような。カッシーニ(土星探査機)が地球の重力でスイングバイするとき、落ちたらどうするんだみたいなことが話題になった気がしますが、要するに核物質が落ちてくるからです。
原子力電池の効率が上がることは、人工衛星の能力向上に直結しそうですね。カッシーニは3つくらい積んでいたと思いますが、それが1個で良ければ質量的に浮く部分もあるし、データの送信出力も上げられそう。
Re:SFで (スコア:1)
宇宙用原子炉発電機 (スコア:1)
オフトピっぽいけど、実に興味深い。炉自体も素材とがすんごいし、発電部もおもしろい。
「熱電対発電」そうか起電力あるなら発電できるんだ。「熱電変換」ってのはゼーベック効果による発電のことだろうな。ゼーベック効果はペルチェ効果の裏返しだから、市販のペルチェ素子で「夏休みの自由研究」やる小学生いたりして。これらはスタティックなのはいいけど熱効率5%とかか。
で、もっと大がかりになるとヒートパイプ+ガスタービンだけど、媒体密封の蒸気タービンの一種だよね。これが熱効率25%で、もっと小さいのはヒートパイプ+スターリングエンジン(!)。これでも20%出るのか。ソ連の炉内熱電子発電型ってのは分からないな。
なになに、黒鉛炉心に推進剤の水素を注入して加熱する原子力エンジン?むむう、シンプルプルプル、なぜか航空宇宙軍を思い出したぞ。第一次外惑星動乱当時、推進剤は重水素だったな。構造もこんなモンだったんだろうか。
Jubilee
Re:SFで (スコア:1)
Re:SFで (スコア:1)
「あたりまえじゃないか。そんなことは気にするな。」
ネタですがあえてIDで...
--- de FTNS.
Re:SFで (スコア:1)
Re:SFで (スコア:0)
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/08040208_1.html
従来の原子力電池が (スコア:1)
太陽熱発電と太陽光発電の違いみたいなもんか... #半可通
お約束どおりiPod (スコア:1, おもしろおかしい)
仮に普及できたとしてこの電池パックにはプロパンガスのボンベみたいに法定点検が義務付けられるでしょうね。
ところで、トリチウムってガンマ崩壊しないの?
詳しい人教えて
Re:お約束どおりiPod (スコア:2, 興味深い)
参考文献:Table of Isotopes, 8th Ed.,
Re:お約束どおりiPod (スコア:1, 興味深い)
大嘘 (スコア:1)
Re:なぜ気体トリチウム? (スコア:2, 興味深い)
たとえば水にすることを考えると、トリチウムのβ線は透過能力が低いので、水中で発生したβ線が水上まで出られない(自分自身で遮蔽してしまう)といった事が生じます、その遮蔽されたβ線は無駄になってしまうため、結果としてトリチウムの利用効率がかなり下がってしまうと予想されます。
それを嫌ったのではないでしょうか?
Re:なぜ気体トリチウム? (スコア:1)
そりゃ (スコア:1, おもしろおかしい)
もちエロい用途の
Re:そりゃ (スコア:1)
劣化 (スコア:1, すばらしい洞察)
これは大丈夫なんでしょうか。長期安定性などはこれから測定?
具体的には、結晶欠陥ができて再結合中心とかキャリアトラップとかに
なったりしないかなあと。そうすると変換効率も落ちるはず。
Re:劣化 (スコア:1, 参考になる)
やっぱり劣化するようですね。
ここ [nasda.go.jp]にわりと詳しく載ってました。
トータルドーズ効果ってしらんかった。(^.^;)
「さて、何に使いますか」もなにも… (スコア:0)
Re:「さて、何に使いますか」もなにも… (スコア:2, 参考になる)
個人用途としては、ペースメーカに使われている。
危険度は何倍?? (スコア:0)
普通の電池の液漏れぐらいのアチャーが
アチャーで済むのだろうか…
Re:危険度は何倍?? (スコア:1)
線元の危険性は同じでしょう。
見出しと記事と (スコア:0)
Re:見出しと記事と (スコア:1)
取り出さなかった電力は熱として消えちゃう?
教えて偉い人
はっきりっていわれてもなあ (スコア:0)
トリチウムなら12年だったかな。
Re:はっきりっていわれてもなあ (スコア:1)
Re:はっきりっていわれてもなあ (スコア:0)
という事は、24年後には1/4の発電力しかなくなるってことですか?> 半減期
(オフトビ)10年光るチェーンほしい (スコア:0)
それとも輸入に許可でも必要かしらん
Re:(オフトビ)10年光るチェーンほしい (スコア:1, 興味深い)
詳しくはここ [luminox.net]
文部科学省「放射線障害防止法の改正について [nucmext.jp]」
# LUMINOX常用者なのでAC
発電技術のほうの効率を上げたということは・・・ (スコア:0)
将来的には160倍の効率の太陽電池もできるということなんだろうか?
太陽電池の出力が現行の160倍になったら、これと充電池の組み合わせで、
携帯機器のほとんどを動かせるようになると思うのだが。
原子力電池より(こっちはどうせuWオーダーだろうし)
こっちのほうがいい。
まぁ、そううまい話はないだろうが。
Re:発電技術のほうの効率を上げたということは・・・ (スコア:2, 参考になる)
無理です.
何せ現状20-10%程度ですから,10倍になったらエネルギー増えちゃいます.
Re:発電技術のほうの効率を上げたということは・・・ (スコア:1)
表面積を増やして受光面積を増やしたところで,単位表面あたりの
受光量が減るからトータルでの変換効率はどうやっても100%を
超えられない.
だから現実問題,ある照射面積に設置できる太陽電池の発電効率は
(理論的にも)現在の数倍までしか上がらない.
#まあ,エネルギー保存則から明らかなんですが.
#変換効率は,その面積に照射されたエネルギーの何割を有効利用
#できるかなので,100%を超えることはありえない.
Re:発電技術のほうの効率を上げたということは・・・ (スコア:3, 参考になる)
なんで低いのかは原子力電池の専門家じゃないんでわかりませんが,
光が比較的電子を選択的に叩けるのに対し,電子線だと格子系も
叩いてしまうため,熱として逃げる分が多いのではないかと.
で,読んでみました元論文.Advanced Materials 17 (2005) 1230-1233.
#こういった科学関連のニュースの場合,出来る限り元論文をあたることを
#お勧めします.報道では必要な情報等大幅に切られていることが多いので.
まず,p-Siの上に薄くn-Siを作ります.これを,単なる板(2D)とポーラスな
もの(3D)の2種作って比較しています.
単純に光を当てた場合,2Dではほとんど起電力無し,3Dでは変換効率2.5%.
ただ穴の開いている部分が表面で31%なので,これを考えれば穴の中での
変換効率は8%(著者記述).
#ちなみに現在のSi系太陽電池の変換効率は高いもので20%前後.
#今回の例が低いのは,n層が薄く,吸収できる深さが浅いためではないかと.
で,Tを導入して変換効率チェック.
2D系では変換効率0.023%,3D系では0.22%で10倍,と.
・・・でも0.22%なんですよねえ.
著者は,効率の上がった理由を,
1.ポアが縦長だから,大抵のベータ線は斜めに入って浅い位置(pnジャンクション部分)
で吸収されるから効率が良い.
2.ポアが小さいから,pnまで到達する前にTのガスに吸収される確率が低い.
3.およそ1/3の入射電子がBackScatterされるが,すぐ反対側にも壁があるんで
こいつらもまた吸収できる.
と言ってはいますが・・・何というかちょっと微妙な技術かも.
本当にこれで実際にあるアイソトープ電池の効率が上がるかどうかは
今後実際に実用化研究してみないとなんともいえなそうですねえ.
確かに今回の実験条件下では10倍になりましたが,現在最も効率の高い
構造のものに組み合わせた場合効率がそんなに上がるかどうかは謎ですから.
ちょいと整理すれば良い (スコア:1, 興味深い)
太陽電池ってのは太陽光を受ける太陽電池の単位面積で効率を語っている。
電球を太陽として考えると、それを受ける受光部の面積を単位にしての効率。
だから受光部の面積を2倍にして発電量が2倍になっても、面積で割られるから効率は一緒。
それに対して原子力電池ってのは単位量の線源に対しての効率を語っている
同じように電球を線源とすれば、その電球を単位にしての効率。
ぶっちゃけた話、電球が同じだったら受光部の面積を2倍にして増やしたら効率は2倍。
Re:ちょいと整理すれば良い (スコア:1, 興味深い)
例えば、車なんかだと
「アクセルを全開にしてい時間が長い方が効率が良い」(燃料の単位重量あたりの総出力での効率の話。)
「アクセルは全閉にしとく時間が長い方が効率がよい」(単位距離あたりの燃料消費量での効率の話)
なんてのが議論がかみ合わない典型的な事例ですね。
Re:発電技術のほうの効率を上げたということは・・・ (スコア:1)
#735025にて
>従来の10倍の効率の太陽電池を作ることも可能?
とあったので,#735048にて効率は100%を超えないから無理と指摘.
それに対し#735063にて
>いや、なるだろ。
>でこぼこ作って、単位面積あたりの受光面積を広げてるんだから。
とあったので,100%を超えることはありえないと当たり前のことを
再度指摘.
#ここまで,話は太陽電池の話なので,単位面積あたりの入射光量は厳密に一定です.
#一応言うなら,今回のアイソトープ電池の話をしているわけではありません.
また,
>pn接合層の面積が増えた分取り込みやすくなる。
というのは少なくとも著者は言っていないと思うのですが.
面積が増えようと崩壊するTの量は変わりませんから,単に面積が
増えれば効率が上がる,ってわけではないでしょう.
実際,著者は別の理由を挙げています.
#p1233の冒頭あたり参照.
実際,表面積が増えたほどは効率上がってませんし.
Re:太陽電池の場合 (スコア:2, 参考になる)
例えば最近流行の色素増感系の太陽電池の場合,表面をナノ結晶化して
そこに色素をつけることで効率を上げようやく10%ぐらいまで来ていますが,
表面の作り方次第でこの効率は簡単に数分の一にまで落ちます.
#よく論文に出ているのはチャンピオンデータ.
#いくつも作って,その中で一番良かったものが載っている.
シリコン系の場合,もともと吸光部分の厚みがかなりある(1μm程度)
ためわざわざ表面積を増やさなくても十分吸収でき(吸収されずに透過された
光も,もうちょっと下側で吸収されたりするのでトータルでの吸収量が増える),
そのため色素系よりかなり良い変換効率を早期に達成しました.
Re:燃料 (スコア:2, 参考になる)
Li-6(n,α)H-3という核反応を起こしてやるのが今のところ一般的と思います。
リチウムを原子炉につっこんで中性子を浴びせて作るのが手っ取り早いですね。
海外ではトリチウム生産用原子炉もあったと思います。
それはそんなに特殊な炉ではなかったと思いますので、日本の普通の軽水炉でもやろうと思えばリチウム棒みたいな物ををつっこんでトリチウムを生成できると思います。
よって、トリチウムのニーズが高まれば、比較的容易に生産量も増やせますので、妥当な価格で取引されるのではないでしょうか。
そうすると今度はリチウムの値段が上がるかもしれませんが。
Re:燃料 (スコア:1)
トリチウムの主要な用途と言えば, やっぱり水爆用でしょうね. それなりに大量生産する技術は確立しているでしょう.
Re:充電は・・・ (スコア:1)
確かに原子炉に突っ込んで中性子を当ててやることで再び放射能を持たせることは出来るんでしょうが、
原子力電池の主な用途が、外惑星探査など、電池の替えの効かない場面なので、
充電しようと思っても出来ないし、その必要性も無いのではないかと思われます。