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ダイオキシンを「丸のみ」して分解する細菌 89

ストーリー by yoosee
パックマンみたいなやつ 部門より

sillywalk曰く、"朝日新聞の記事によれば、京大大学院農学研究科村田幸作教授(生物機能変換学)らは、自身より分子量の大きいダイオキシンを「丸のみ」して分解する細菌の合成に成功し、Nature Biotechnology(電子版)に発表(PDF)しました。ほとんどの細菌は体外に分解酵素を放出して高分子を低分子へ分解してから取り込みますが、今回合成した細菌はいきなり高分子全部を丸のみして内部で分解するといいます。

この菌を合成するベースとなったのは、村田教授らが1995年に発見した「スフィンゴモナス属細菌A1株」(以下、スフィンゴモナス菌)と呼ばれる特殊な細菌で、体長の10分の1にも及ぶ「大きな口」をあけて高分子を取り込み、体内の4種類の酵素で分解する特徴があります。研究グループではこのスフィンゴモナス菌の遺伝子を取り出しダイオキシン分解能を有する別の細菌に組込んだところ、大口からダイオキシンを取り込んで従来型の半分の時間で分解・除去する細菌の合成に成功したといいます。村田教授らは今後さらに研究を進めて重金属など有害物質の分解や、有用物質の効率的生成に寄与する細菌の開発に結び付けたいとしています。"

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  • by Anonymous Coward on 2006年01月16日 13時53分 (#865197)
    ダイオキシン100の知識
    http://www2d.biglobe.ne.jp/~chem_env/env/diox_book.html [biglobe.ne.jp]
    ダイオキシンと聞くと特別なものに感じますが、
    構造式を見ると炭素の周りに塩素が付いた種類全般をいうみたいですね。

    なんとなくですが
    石油を分解する微生物に近いものなら分解できる気がします。

    #今回の記事は分解速度が高いのはわかってますけど

    • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2006年01月16日 14時09分 (#865211) 日記
      環境省の出している分かりやすい解説 [env.go.jp]
      2005年版のパンフレットにまとめてあります.

      本来は酸素も含んだもの(PCDD類とPCDF類)だったんでoxyというのが
      入っていて当然だったんですが,WHOやらが類似の毒性を示す,という
      事でPCB類も含めてしまったために名前と実物とが解離してますね.
      #coplanarじゃないPCBもcoplanar-PCBに含まれちゃってますし.

      おまけで無駄知識
      よくダイオキシンは塩化ビニルなどを燃やすと出ると思っている人も居る
      ようですが,あれは間違いです.
      基本的に反応過程でCl-があればいいので,極端な話塩振ったキャベツ
      を燃やしただけでも出ます.結局発生の大きな原因は特定の燃焼温度と
      排煙の温度ですので,最近の改良された焼却炉での発生量は激減しています.
      #とはいえゴミの減量が進めばその分さらに発生量が減るのも確か.

      少なくとも最近の焼却炉では,含塩素系のプラスチック類を燃やした
      場合のダイオキシン発生量と生ゴミを燃やしたときのダイオキシン
      発生量はさほど差がありません.
      親コメント
      • by prankster (12979) on 2006年01月16日 17時20分 (#865301)
        焼却炉での発生は、実は炉自体じゃなくて炉から発生したガスが流れる流路で起きているらしいです。ですから、元がプラスチックでも生ゴミでも発生量はあまり変わらないというのは本当だと思います。

        知人に聞いた話ではダイオキシン類の発生は摂氏200度くらいが一番さかんで、炉をいくら高温にしてもガスが流れる先で冷えて生成温度になっちゃうということです。

        対策はダイオキシンが生成しにくい高温のうちに塩素を除去することなんですが、古い炉ではそれができません。東京都が川崎市に比べてゴミの分別にうるさいのは、炉が旧式でしっかり分別しないとダイオキシンの発生を押さえられないからだというのがその人の説明でした。
        親コメント
  • 究極のdetox (スコア:4, おもしろおかしい)

    by tuneo (2938) on 2006年01月16日 13時55分 (#865198) ホームページ 日記
    人体の中でも働いてくれないかな。
    # ジャンクフードで有害物質摂取しまくりなのでID。
  • by shimotsuki (2505) on 2006年01月16日 14時03分 (#865206) ホームページ
    遺伝子の導入を「合成」と呼ぶのにはすごく違和感があるのですが私だけですかそうですか。細胞を合成できたらノーベル賞確実ですねーすごいなーとか思ってしまいましたよ。
  • by xiano (23470) on 2006年01月16日 14時52分 (#865232)
    このあたりの技術はすごいとは思うのですが、
    『環境に対してはどうなの?』っていう意見が出てきて
    実際に導入するには実験に実験を重ねる必要があるんでしょうね。
    余計なものも分解しちゃうかもしれないですし。

    //この文章も『余計なもの』で分解されちゃうかしら?
    //最近の合成はすごいねぇ。(-5点)
    • by Anonymous Coward on 2006年01月16日 16時01分 (#865266)
      土壌にばら撒くだと、さすがにまだちょっと不安ですね。
      確実にダイオキシンだけ食べるならいいけど、植物が使うはずの栄養素も普通の二倍食べてしまいました、とかだった日には目も当てられないことに・・・。
      汚染土を処理用ボックスに格納→ダイオキシン除去→高温殺菌とかの使い方なら、現状でも問題ないかもしれませんが。

      #または、その大きな口で人間を(以下略)
      親コメント
      • by ciina (26410) on 2006年01月16日 17時02分 (#865293) 日記
        > 汚染土を処理用ボックスに格納→ダイオキシン除去→高温殺菌とかの使い方なら、現状でも問題ないかもしれませんが。
        高温殺菌と高温焼却の手間どちらが大変だろうか
        親コメント
        • by funnyfan (27822) on 2006年01月17日 1時01分 (#865443)
          単純に高温殺菌だけを考えるのなら…
          高温消却は1000度C以上 [google.co.jp]である一方、
          高温殺菌だと72~85度で15秒間以上 (引用元:低温殺菌牛乳 [takanashi-milk.co.jp])程度、
          超高温でも130度C程度ですみますので、高温殺菌のほうが明らかに楽であるかと。
          蒸気タービン系発電(火力/原子力)などの廃熱をうまく使えば熱量は廃熱の有効活用となり、
          環境負荷も考えると有効な手段と言えるのではないでしょうか。

          問題は他の方のコメントにもありますが、その細菌の突然変異や、
          不慮の事故などで環境中に細菌が放出された際の危険性ですね。
          これは素人ではとうてい計れないので、有識者の方の意見や研究の発展を待ちたいと思います。

          # 牛乳の殺菌と全く違っていたらどうしよう
          親コメント
          • by soy_milk (26202) on 2006年01月18日 0時23分 (#865939) 日記

            専門用語としては、「殺菌」は細菌等の微生物を殺すことを指し、微生物が完全に死滅するかどうかは問われません。微生物を完全に殺滅する操作のことは「滅菌」といいます。

            ご紹介の「高温殺菌だと72〜85度で15秒間以上」というのは、牛乳に含まれる細菌を完全に死滅させることを目的にしていません。牛乳の細菌数の基準は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」の別表第一に

            (二) 牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳の成分規格並びに製造及び保存の方法の基準
            (1) 牛乳
            (中略)
            細菌数(標準平板培養法で一ml当たり) 五〇、〇〇〇以下
            大腸菌群 陰性
            (後略)
            (引用は法令データ提供システム [e-gov.go.jp]による。また、強調は引用者による)

            とあるように、0 ではないのです。
            # ただし、市販の牛乳中に 50,000/ml もの細菌は含まれていないと思いますが。
            したがって、この場合に用いるべき方法ではないでしょう。「超高温でも130度C程度」というのは滅菌に近い方法のようですが、食品の滅菌法についてはよく知りませんので、これ以上は分かりかねます。

            で、通常の滅菌法としては、オートクレーブを用いた高圧蒸気滅菌法がよく用いられます。これは121℃の水蒸気で20分間処理するというもので、
            # 空気は蒸気で追い出す。また、20分間というのは
            # 滅菌対象物全体が設定した温度になってからの経過時間。
            オートクレーブというのは、まあ圧力釜のようなものと考えてください。

            世の中には超巨大なオートクレーブ [n-sharyo.co.jp](本来は滅菌用ではない)もありますので、土壌を入れたコンテナごと滅菌することもできるでしょうが、土壌を微生物処理した後にこんなもので処理するのと、直接焼却処分するのと、果たしてどちらが簡単でしょうか。既存の施設が使えるかどうかや、使用するエネルギー量、金銭的なコスト等を含めて検討しないと、はっきりとは答が出ないように思います。

            コンテナ数台分くらいならどちらでもいいのかなあ、とも思いますが、汚染された工場跡地、なんて場合にはどうなるんでしょうね。

            # うう、長くなってしまった……

            親コメント
    • by garinpeiro (29528) on 2006年01月16日 20時36分 (#865361) 日記
      この手のものって対象物の濃度が高いうちは効率よく取り込むかもしれないけど、
      濃度が薄くなると取り込み速度がガッツリ落ちていくような気が・・・・。
      廃棄物中のダイオキシン濃度を基準以下にしようとすると、
      菌体で廃棄物の量がとんでもないことになったりして。
      親コメント
  • by zarmo (26477) on 2006年01月16日 16時29分 (#865279)
    有機化学美術館 [accsnet.ne.jp]では、巷でいわれてる程の毒性はなさそうだと言っています。
    • by nekomimi (13206) on 2006年01月18日 0時23分 (#865938)
      急性毒性はそれほどでもないようですね。

      どうも人間は洞窟で暮らしてながら進化してきたので
      焚き火から生じるダイオキシンに暴露されてきており
      ダイオキシンに対してかなりの耐性があるとかいう噂です。

      ダイオキシンだけじゃなく、
      魚の焼け焦げなんかに含まれるベンゾピレンなんかも
      げっ歯類だとすぐ癌になるような量でも
      人間だと異常に耐性があるようで。

      焼いたものとかこげたものとか、人間は異常に強いのかもしれません。
      げっ歯類は火を使わないもんな。
      親コメント
  • by kcg (26566) on 2006年01月16日 15時39分 (#865257) ホームページ 日記
    汚染物質の浄化に菌を使うというのは、まるで風の谷のナウシカみたいですね。

  • by Chaborin (5609) on 2006年01月16日 16時34分 (#865281)
    「ダイオキシンが分解できる」という意味で見れば画期的かもしれないけれど、今までは安定して分解しなかった「有益な」物質も丸飲みして高速度で分解されてしまうようなものに変異してしまうと、非常に害のある菌なんじゃないでしょうか。

    もちろんそんなことはないし、そんなこと言ってたらどんな研究もできなくなってしまうだろうけれど、可能性としてありうるんで、一方的な歓迎の姿勢は恐いなぁ、と思います。
  • by tarosuke (2403) <webmaster@tarosuke.net> on 2006年01月16日 14時07分 (#865209) 日記
    核反応でも起こす気かよ...
    # しょーもない突っ込みなのは承知
  • 分子量 (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2006年01月16日 15時33分 (#865253)
    「自身より分子量の大きいダイオキシンを「丸のみ」して分解する細菌」って、ダイオキシンよりも分子量が少ない細菌なんてあるのかな?ウイルスでも考えにくいと思うのだけど。
    • Re:分子量 (スコア:4, 参考になる)

      by shikou_t (18212) on 2006年01月16日 17時48分 (#865307)
      prankster氏の解釈はさすがに好意的にすぎるかなと。
      タレコミ人は多少勉強して頂きたく思います。

      ダイオキシン類の分子量 : 200〜450程度
      http://uta.jemca.or.jp/dioxin_1.htm [jemca.or.jp]

      細菌が持っている(本体ではない)酵素の分子量 : 大まかに数万以上 (kDa = 分子量1000)
      「酵素の化学的本体はタンパク質で、最小のものは1万程度の分子量を持ち大きいものの分子量は100万にまで及ぶ」
      [引用元 : 化学事典 (東京化学同人)]
      親コメント
    • Re:分子量 (スコア:2, 興味深い)

      by prankster (12979) on 2006年01月16日 17時07分 (#865297)
      多分、この細菌は狭義のダイオキシン(ポリクロロジベンゾダイオキシン)だけじゃなくて塩素化有機物全般の分解ができるんじゃないかと思うのです。それを「ダイオキシンを分解」と表現しているんじゃないでしょうか。

      というわけで、好意的に解釈すると大分子量のPCBを丸呑みしちゃうこともできるという話ではないかと。
      #卵を呑む蛇みたいなもんか?
      親コメント
  • スフィンゴモナス (スコア:2, おもしろおかしい)

    by tagyou (5398) on 2006年01月16日 17時54分 (#865309) 日記
    >「スフィンゴモナス属細菌A1株」(以下、スフィンゴモナス菌)
    "スフィンゴモナス"...ウルトラマンにでてきそうだな。
  • by Anonymous Coward on 2006年01月16日 17時40分 (#865304)
    生物濃縮みたいに、より強力な毒物生み出しさないの?
    • by Anonymous Coward on 2006年01月16日 18時22分 (#865328)
      生物濃縮とは、有害な物質を蓄積する生物により引き起こされる物ですから
      分解を行うこの細菌によって引き起こされる事は無いでしょう。

      # また、より強力な毒物と言いますが、高濃度になる(状態変化)だけで、別の物質になる(変質)わけじゃありませんよ。

      一見関係ありそうで、関係の無い話です。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2006年01月16日 18時16分 (#865325)
    星の王子様を思い出した。
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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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