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物質の質量が生まれてきた機構を明らかにする大きな一歩 21

ストーリー by yosuke
ファイ中間子の0.03%だけが電子・陽電子に崩壊し、そのうちの5%がペアで検出される 部門より

LARTH 曰く、

理化学研究所プレスリリース・ハイライトによると、理化学研究所、高エネルギー加速器研究機構、京都大学、東京大学CNSで構成される研究チームが「ファイ中間子」の質量が高密度下で減少することを世界で初めて確認したと発表した。

宇宙がはじまった時の超高温・高密度状態においては素粒子の質量はゼロであったと考えられています。このことを実験的に示すため、高温または高密度状態下での素粒子の質量減少を測定する実験が世界各地で試みられています。研究チームは、通常の原子核の内部が質量減少を検証するのに十分な高密度になっていることに着目し、原子核内部で「ファイ中間子」という素粒子の質量を測定することにより、高密度下での質量減少を確認することに成功しました。
今回の観測された質量の減少は約3%ではありますが、地上で行った実験で3%も減少するというのは結構凄いのではないかと思います。

プレスリリース本文にもう少し詳細な内容が書かれている。1000MeV/c2のファイ中間子が、合計1MeV/c2程度の電子と陽電子のペアに崩壊する際に、その質量差に相当するエネルギーは電子・陽電子の運動量になる。ファイ中間子の質量が減少すればその分だけ電子・陽電子の運動量が減少する。実験ではこの運動量をドリフトチェンバーを用いて測定した。得られた結果は理論による予想と一致したとのこと。
この結果は、Physical Review Lettersに近く掲載される。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2006年12月08日 0時34分 (#1071622)
    この「ファイ中間子ドリンク」を飲むと、体内のファイ中間子の密度が増加し、
    体重をあっという間に3%減少させます!!

    いまなら、肩こりの治るゲルマニウムリングがついてこのお値だ・・・
  • >電子・陽電子は原子核物質との相互作用が小さい

    陽子とかと電磁的相互作用は小さい(少なくともこの実験的には)って理解でいいんだろうか?

    原子核の内側で崩壊した場合と外側で崩壊した場合では生成される電子・陽電子対の運動量・運動エネルギーが小さくなったという話だが、
    質量=エネルギー保存則はこの場合どうなったんだろうかと。
    質量(=エネルギー)というのはクォーク凝縮に依存する量で保存量では無かったということになるのか?

    # 明日までに回答希望
    --
    /.configure;oddmake;oddmake install
    • by Anonymous Coward on 2006年12月08日 14時10分 (#1071950)
      ちゃんとエネルギー、運動量は保存されてますよ。
      ファイ中間子の質量を M 、崩壊後の電子、陽電子のエネルギー、運動量をそれぞれ E1,E2, P1,P2 (運動量はベクトル)とすると
      M^2=(E1+E2)^2-(P1+P2)^2
      という関係が成り立ってます(E1=sqrt(M1^2+P1^2))。
      この式から実験で測定した P1,P2 を使ってファイ中間子の質量が計算できます。 この ページの一番下の図 [riken.go.jp]

      高エネルギーの陽子(別に陽子でなくても良い)を標的にぶつけると 不思議なことにひょこっとファイ中間子やその他いろいろな粒子が生まれてくるわけです。 入射した陽子のエネルギーの一部はこれらの粒子を作るのに使われます。 今回の話は真空中と原子核中で生まれてきたファイ中間子の質量が異なるということ。
      電子、陽電子は標的から外に出てくる間に散乱するだろうからこの図で 3% を議論 するのはその辺の評価が大変そうですね。
      親コメント
    • 電子・陽電子が生成された時は、ほぼ光速で動いてますから、周りの核子と衝突せずに外に出ます。
      これは、光速電子にとって原子核が小さすぎるためで、このような超短時間で衝突反応を起こすためには核力 (強い相互作用) 程度の強力な相互作用が必要なのに、電子は電磁相互作用と弱い相互作用しか持たないためです。
      衝突しなくても、電磁相互作用により原子核の静電ポテンシャルの分だけエネルギーが変化しますが、これは容易に補正できます。

      エネルギー保存則については、原子核内で生成したファイ中間子は外で生成したファイ中間子より質量が小さく、その分だけ必要としたエネルギーも小さいので、この段階での収支は合ってます。
      また、原子核から出るときに質量が増大しますが、その分だけ運動エネルギーが減りますから、この段階でも収支は合います。
      崩壊するときも、外だろうと中だろうとファイ中間子質量分のエネルギーが崩壊生成物に渡されるので、やっぱり収支は合います。
      --
      the.ACount
      親コメント
    • あてずっぽですが、
      ・中間子のスープ全体の質量は保存
      ・スープの中での中間子の運動は、あたかも質量が減少したかのように振る舞う
      ということではないかと。
      満員電車の中での人間が、体重が増えたかのように振る舞うのと逆の現象?
      親コメント
    • 前半部分だけ。
      ファイ中間子の崩壊先の粒子には、「強い相互作用」をする粒子としない粒子が
      あって、電子・陽電子は強い相互作用をしないタイプの粒子ということでしょう。
      親コメント
    • 例えば「原子核内部のファイ中間子を核の外に出すにはエネルギーが必要」と考えてみたら?
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2006年12月08日 15時54分 (#1072013)
      強い相互作用と比較すると電磁相互作用の大きさは
      典型的には100分の1程度なので、荒い精度なら無視できる。
      電子はレプトンなので強い相互作用をしない。

      だから、ファイ中間子が原子核中で崩壊してくれれば
      そのファイ中間子の状態を電子陽電子対が
      ほぼそのまま運んでくることを期待できる。

      質量の変化に関しては物質中の電子の振る舞いを
      有効質量で記述するモデルを参考に考えてみは?

      低エネルギー状態(普通の真空中)における素粒子の質量⇔物質中の電子の有効質量
      高エネルギー状態における素粒子の質量⇔真空中の電子の質量
      のように
      親コメント
    • 後半部分について
      ファイ中間子崩壊で生成される電子・陽電子対に注目すると運動量・運動エネルギーが減少したように見えますが
      もちろんそれ以外の粒子もはじき出されてますので、投入/放出エネルギーの総量は変わらないんでは?
  • by Anonymous Coward on 2006年12月07日 23時52分 (#1071583)
    例えばウランの原子核があって、2つに割る。
    すると、分かれた各々の原子核の中心密度は減少(?)するので、双方の質量(+結合エネルギー)の合計は、ウランの時より重くなる。

    という理解でいいのかな…。
    なんか間違ってる気がするな(^^;

    核分裂後の質量欠損量と発生エネルギーの関係は詳細に調べられてるだろうから、ソコでは見つからなかったんでしょうね。

    とすると、原子核の大小にかかわらず、原子核の密度はほとんど同じ、ってコトなのかな。

    でも、単体の陽子や中性子と、ウラン原子核では密度違いますよね。
    …わかんなくなってきた(^^;
  • by Anonymous Coward on 2006年12月09日 20時48分 (#1072853)
    アレゲな人たちの中における物理屋さんの割合が気になった。
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普通のやつらの下を行け -- バッドノウハウ専門家

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