mhattaによる
2007年02月19日 8時10分の掲載
今日は重力がスゴイのよ部門より。
今日は重力がスゴイのよ部門より。
papa-pahoo 曰く、
時事通信の記事によると、小惑星の地球衝突を阻止するために無人の「重力牽引宇宙船」が使われることになるかもしれないという。
NASAの専門家らは、小惑星を破壊するため核爆弾を爆発させるといったハリウッド映画で描かれたような手法では、破片が地球に衝突する可能性を増大させる恐れがあると指摘。最も実行可能な方法は、宇宙船の重力を使って小惑星を軌道からそらすことだろうと語った。
宇宙船そのものの重力を使うということで、トラクタービーム、というわけではないようだ。小惑星「アポフィス」が地球からわずか3万キロに接近するのは2029年だから、あまり時間がないわけだが……。
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タグボートで曳航する感じ? (スコア:3, 参考になる)
ちょっとググってみました。するとポピュラーサイエンスでほぼ同じ記事 [popsci.com]を見つけました。
「振り子状にデザインされた原子力駆動の宇宙船を、その最重部が小惑星に近接した状態に配置することで
大きな重力を生み出す」という事らしい。要するに重量物を二個用意(一方は勝手に用意されるわけですが)
してその間に発生する引力をもってトラクタービームに替えようって事なんでしょうか?
提案者の宇宙飛行士エドワード・ルー氏は「700フィート(約215m)位の小惑星なら20トンの
原子力宇宙船があればOK」と言っておられるようです。
(英語はからきしダメなんで、間違いがありましたら/.j翻訳部の皆様のツッコミをよろしく)
ところで原子力駆動っていうと、真っ先に思い浮かぶのがオリオン方式 [wikipedia.org]と
ダイダロス方式 [wikipedia.org](どっちも古!)なんですが他にどんな方式があるのか?
と思ったら、Wikipediaに出てました、原子力推進。 [wikipedia.org]
現状でこの中で実用になっているものはあるんでしょうか?部分的 [wikipedia.org]あるいは
包括的 [wikipedia.org]核実験禁止条約との絡みもあるでしょうし。
(航空宇宙軍史ファンとしてはダイダロス式の方が魅力的、ボソボソ)
Re:タグボートで曳航する感じ? (スコア:2, 参考になる)
挙げられている2種類はどちらも核爆発型推進ですが, 最初に試作された原子力ロケットエンジンは黒鉛減速型原子炉に水素ガスを冷却・推進剤として用いたKIWI(出力70MW, 最大炉心温度2683K)で, 1959年のことです.
その後1960年代を通して, こうした固体炉心・高温ガス冷却/推進タイプのエンジンの研究 [fas.org]が進められていました. しかし原理的に炉心の耐熱温度を超える推進剤温度は得られないため, 従来の化学反応による推進と大きな差はなく, 現時点での研究価値は無いと判断されて中止となりました. 「2001年宇宙の旅」のディスカバリ号なんかはこのタイプですね.
その後, 固体炉心を持たない形式として爆発型推進が唱えられたのが1970年代, 開放端を持つことから本質的にロケット推進に向くとされていたミラー型核融合炉エンジンがトカマク並に現実味を帯びてきたのが1990年代以降ってところでしょうか.
ただ現時点で原子力推進と言った場合, 原子力はあくまでも発電用で, 推進機構には電気式(いわゆるイオンエンジン)が使われると考えて良いと思います.
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中国の衛星破壊って・・・ (スコア:2, おもしろおかしい)
(んなわけないって^^;)
Minder
小惑星の地球衝突阻止と聞いて (スコア:2, おもしろおかしい)
「やってみなければ分からん!」.
「正気か!?」.
「ふざけるな! たかが石ころ一つ、ガンダムで押し出してやる!」.
「ラーカイラムでアクシズを押すんだよッ!」
といったシーンが浮かんじゃった人挙手!
-- 星を目指さない理由は何もない -- 「MISSING GATE」by 米村孝一郎
ノ (Re:小惑星の地球衝突阻止と聞いて) (スコア:3, すばらしい洞察)
減速させちゃダメな訳で……
#後ろから押したら、絵的に様にならないけどね
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Re:小惑星の地球衝突阻止と聞いて (スコア:2)
妖星ゴラスに触れている御仁もいるようだ。
親コメント
Apophisの危険な再接近は2036年 (スコア:2, 参考になる)
http://neo.jpl.nasa.gov/risk/ [nasa.gov]
この際、軌道が地球の引力によりずれる可能性があるので再接近する2036年のほうが危ぶまれています。
これを考えた人は頭がいい (スコア:2, 興味深い)
これを過去に誰も思いつかなかったというのが不思議なくらい、言われて
みればまったくその通りの方法。しかも、現在の技術のスケールアップで
実現可能。
これを考えた人は頭いいです。
… … … …
今回の方法の何が優れているかをみるために、従来の「推進機構を小惑星表面に
直接据え付ける」ようなケースでの問題をまとめなおしてみます。
まず、今回行おうとしているのは、地球規模の大災害の回避です。
「やってみたけどうまくいかなかった」は許されません。うまくいかない
場合は失敗原因を分析し、対策を施した宇宙船を設計・製造・試験して
再度送り出すことになります。しかしこれではたちまち5年10年が過ぎてしまう。
つまり、ここで求められている技術はこういうことです。
- 自転するいびつな岩塊の
- どういう状態だかよくわからない表面に
- 微小重力下で
- 数十トン以上の質量の推進機構を設置・固定する
- 確実に
「あるケースではうまくいく」という方法なら多数あるでしょう。しかし、
あらゆるタイプの小惑星に万能で、確実性が高い方法となると、これはもう
未知の技術です。
重力曳航方式であれば、これらの問題はありません。そこに働くものは
単純な万有引力の法則だけであり、極めてシンプルで確実です。
(一義的には。実際には工学上のハードルはいくつもあるでしょう。後述)
… … … …
以下の条件であれば、おそらく重力曳航が最善ではないでしょうか。
- 地球近傍の小惑星
- 小惑星の質量が、数千万トン程度
- 事業を開始できるのは、地球への衝突の数十年前
# 小惑星がハレー彗星のような軌道だったり(ランデブー困難)、質量が巨大
# だったり、衝突の数年前からしかアクションを起こせないのなら、現在手が
# 届く技術では、手段はなさそうです。(核爆弾で一か八かを狙う以外では)
最初、かけられる推力の低さを疑問に思ったのですが、数十年前から作業開始
できるなら、ジワジワとでも長時間力をかける(比推力が大きい)方が有利
ですから、イオンエンジンが最有力候補でしょう。
電力源を太陽電池にするか原子炉にするかは不明ですが(タレコミの例だと
原子炉を想定している?)、得られる電力からすると、出せる推力の限界は
ちょうど牽引する重力に近いオーダーになりそうです。
つまり、使える推進機構がもともとそれだけの推力しか出せないわけですから、
問題にはならないということになります。
… … … …
思いついた範囲での疑問。(きっと他にもあるでしょうけど)
- 疑問その1
単純計算すると、はやぶさの100倍の推力を出すには、曳航船には300kWクラス
の発電能力が必要です。これは、地球近傍なら太陽電池で十分達成できます。
(現在組み立て中のISSは、最終的には100kW以上を予定)
しかし、タレコミのケースでは原子炉を想定しているようです。これだけの
能力の発電用原子炉となると、冷却系ってどうするんですかね。
宇宙では、地上の原子力発電所のように大量に使える冷却水はないので、放射
による冷却しかできません。巨大な放熱板を持っていくと、それはそれで質量が
増えそう。(どうせ錘で質量が必要だからいいのか?)
- 疑問その2
小惑星がいびつな形で自転している場合(ほとんどがそうでしょう)、小惑星と
錘との間に共振のような現象が起きないか?
推進機~錘の長さを仮定して、振り子の周期を計算しようとしているのですが
この条件だと非常に難しい…。(平坦な重力場で近似していいのかな?)
もしかしたら逆効果? (スコア:1, すばらしい洞察)
Re:もしかしたら逆効果? (スコア:2, 興味深い)
ブースターをつけて別の方向へ放り出す、なんて妄想をしてみたりしたんですが
取り付け方・取り扱いを誤ると宇宙規模でパンジャンドラム [google.co.jp]になってしまいそうです。
まぁ小惑星を引っ張る方が、地球を動かす [wikipedia.org]よりは現実的かもしれませんね。
でもこっちのほうがアレゲだなぁ。
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Re:もしかしたら逆効果? (スコア:2, 興味深い)
これだったら、大きな小天体でも幾つか破砕機を取り付かせれば良い訳だから、核ミサイルを片っ端から打ち込んで回るより楽そうな気がするんですが…
# 爆言のち漏電中… :D
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『アルマゲドン』ですか (スコア:1)
やっぱり『妖星ゴラス』が一番好き。
ミイラ取り (スコア:1, 興味深い)
ようするに (スコア:1)
イメージでしょうか。
振子の支持軸部分に角度を持たせた駆動装置がつくのでしょうね。
IN EARTH AND SKIE AND SEA STRANGE THYNGES THER BE.
その場しのぎなら無意味 (スコア:1)
ゼロにはならないし、中途半端に動かした為に将来の地球への衝突が確定的になってしまう
可能性もあるわけでそれを考慮するとあまりやって欲しくないです。
どうせやるなら、第二宇宙速度未満かつ、遠日点が地球の公転軌道に達しない速度まで減速させて
最終的に太陽に沈めるか第三宇宙速度まで加速させて太陽系外に放り出す的な計画にしてもらいたいところ。
なぜ古い情報にリンクするのか (スコア:1, 参考になる)
これが後の・・・ (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:そのまま使えば? (スコア:2, 興味深い)
難しいんじゃないですかね。設置が。
ターゲットの小惑星が、非常に緩く結合したスカスカの砂状なのか、硬い岩石なのか、
下手したらガッチガチの鉄・ニッケル合金かもしれませんが、それは事前にはなかなか
わかりづらいわけです。(光学的な観測である程度は事前に判るかもしれないが、さすがに
先行調査のための探査機を飛ばすのは時間がかかりすぎるでしょう)
実際に曳航船が小惑星にたどり着いてから「曳航船の設備では設置できない!」と判明
しても手遅れなわけで。
重力で曳航していく場合は、考慮すべきは小惑星の質量のみで、組成などは気にしなくて
いいと。
親コメント
Re:そのまま使えば? (スコア:3, 参考になる)
遠距離からレーザーで加熱、といったような方法を除くと、その場所までロケットで出向いて
小惑星の軌道をずらすのは、以下のパターンが考えられます。
ただし、いったん運んで小惑星にランデブーまでしてしまえば、以後の作業(小惑星の軌道ずらし)の効率はそれほど変わらない。
(小惑星の質量 >> 錘の質量だから)
(これが痛い。どれだけ強力なエンジンを持っていっても、万有引力分以上の力は加えられない)
# 認識ミスがあれば突っ込みお願いします。
地球を掠めることで話題の小惑星アポフィスの例で考えてみます。
アポフィスの最新のデータは、99942 Apophis (2004 MN4) Earth Impact Risk Summary [nasa.gov]を見ると、直径250m、質量2.1*10^10kgです。
日本語版Wikipedia [wikipedia.org]の値と違いますが、こちらを採用しましょう。小惑星の形状は球形で、
比重は小惑星内で均質とします。
タレコミの想定では錘は20トンですが、もうちょっと大型のものを想定してみましょう。
100トンの錘を小惑星中心から250mの距離(アポフィス表面から125m)で使った重力曳航を考えると、
両者の間に働く力は、
G*(100*1000kg*2.1*10^10kg)/(250m)^2 [google.co.jp] = 2.24ニュートン
はやぶさのフル加速(イオンエンジン3基同時)が20mNちょいですからざっと100倍ですが、
そうは言っても2000万トンの質量相手には非常に弱い力ですね。衝突直前に事業を開始したのでは
とても間に合わないので、何十年も前から開始しないといけません。
親コメント