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太陽光を高効率でレーザー変換する技術の開発 105

ストーリー by yoosee
子供の頃の未来の技術が現実に 部門より

sillywalk 曰く

NHKニュースによれば、大阪大学レーザーエネルギー学研究センターJAXAレーザー技術総合研究所(ILT)などの研究グループは、太陽光を高効率でレーザーエネルギーに変換する技術を開発しました。 レーザー発生装置にクロム、ネオジムを一定割合で混合したセラミックを用いることで、光エネルギーの42%をレーザーに変換できるといい、これは従来技術と比較して4倍以上の変換効率だそうです。
実用化されれば静止軌道上の人工衛星で太陽光をレーザー変換して地上へ送ることが可能となるため、エネルギーの安定供給に役立つ技術になるのではと期待されています。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 簡単なまとめ (スコア:5, 参考になる)

    by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2007年09月04日 9時14分 (#1213875) 日記
    今回の発表そのものを見ていないので,一般的な太陽光直接励起レーザーの話ということで.

    ・仕組み
    基本的にはフラッシュランプ励起の普通のレーザーと一緒です.白色光で共振器内の媒体を励起,
    そこに種となる光を入れてやると誘導放出によって励起されているものから光が出ます.
    誘導放出なんで当たった光と位相をそろえて放出されるためレーザーとなります.で,こいつの
    何割かを共振器内に戻して次の種として,残りが外部に出てきてレーザー出力.
    通常のYAGなんかですと励起の白色光がフラッシュランプなものを,太陽光に置き換えただけです.
    大気による吸収が少ないということで,通常赤外発振させてそれを送る事が考えられています.

    ・利点
    宇宙での太陽光発電というとマイクロ波送信方式がありますが,あちらに対する利点として

    1.波長が短いのでより集光でき,受光側の面積を減らせる
    2.太陽光を発振器に当てるだけでレーザー出力が出るので,構造が簡単.基本的には,発振部と
     巨大なミラー(単なる金属箔/板)だけで済み,巨大な太陽電池を打ち上げるのよりはよほど楽.
    3.マイクロ波に比べ生体などへの影響はよくわかっており,未知の悪影響はないと思われる.

    が挙げられます.

    ・難点
    昔は効率が難点でした(変換効率一桁パーセント台).
    しかし最近はYAGにNd・Crをドープしたもので効率的に光を吸収することで,模擬太陽光(っぽいもの)
    で変換効率30-40%近くに達しています.
    他の問題としては冷却があります.発振でのロスはほとんどが熱になるため,効率的な放熱手段を
    考えないと発振器そのものが高温になってしまいます.これは熱的破損の他にも,温度上昇による効率
    低下/レーザーの質の低下を招きますが,よい(コストの安い)解決策は今のところありません.
  • 直接ILTの資料見たほうが詳細載っているかもです。NHK報道の件はこれですかね。LASER CROSS No.232 (pdf) [ilt.or.jp]

    模擬太陽光を使った実験では、以前から変換効率40%を達成しているようです。例えばこれ。

    LASER CROSS No.222 (pdf) [ilt.or.jp]2ページの「■屋外での太陽励起発振の実験」
    発振効率やそのメカニズムの解析には模擬太陽光(アークメタルハライドランプ)を用いた。この時の結果を示す。模擬太陽光からレーザーへ40%の変換効率を得ている。

    ここの資料 [ilt.or.jp]は他にも興味深いものが多数あるので、レーザーマニアな方は一読をオススメします。
  • 昔から指摘されてるけど (スコア:4, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2007年09月04日 9時15分 (#1213876)
    赤道の上空3万6000キロの静止軌道に打ち上げた1つの人工衛星から出力100万キロワットの原子力発電所1基と同じエネルギーを送ることが可能
    どうみても大量破壊兵器です。本当にありがとうございました。
  • 東工大クロニクル No.402「太陽光レーザー,水,マグネシウムによる革新的エネルギーサイクル」 [titech.ac.jp]
    でも,高効率の太陽光励起レーザーが実現の鍵の一つだとか。

    このマグネシウム・サイクルの場合,
    • エネルギーの貯蔵や,燃料電池自動車への応用,だけでなく,
    • たとえば,砂漠と海はあっても石油は無い国へ技術を提供して,砂漠緑化のエネルギー源にあてたりとか,日本の二酸化炭素削減にあてたりとか,新たな収入源を提供して対日感情を好転化させたりとか,外交・政治的な用途への応用
    も提言されているのが,タレコミにもある「人工衛星からのエネルギー伝送」よりも,私には大変興味深いです。

    • この実験のからみで住宅地のど真ん中(まあ一応大学の敷地内ですが)に3mくらいの試作品を作って実験してました.最大出力は20Wとかだったかな.加工用とかじゃなかったらこれより強いレーザーは珍しいんじゃないかと思う.

      学会で予備知識なく見て,そのあまりの出力にのけ反ったのが懐かしい.

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    • by gigo (21150) on 2007年09月04日 12時44分 (#1213981)

      酸化マグネシウムをレーザーで分解するそうで、確かに1万度(1eV)まで加熱すればプラズマになるだろうけど、それができるのなら、多少温度は高くなるかもしれないが、炭酸ガスを分解しても良さそうだ。

      炭素が分離できれば、往年の石炭化学を使って、ガスも作れれば、石炭液化(GTL)技術で液体燃料も作れて、その方が水素燃料よりも可搬性が良いだろう。化成品の原料にもなるだろうし。

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      • by Anonymous Coward on 2007年09月04日 15時01分 (#1214054)
        アモルファス炭素からいろいろ作るのは難しいですよ。
        石炭が簡単に液化出来たり改質できるのは、内部にいろいろな置換基やらアルキル鎖やらが
        残っているからです。
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  • by Anonymous Coward on 2007年09月04日 10時02分 (#1213894)
    シムシティに出てくるアレっていう認識であってますか?
    • by Anonymous Coward on 2007年09月04日 10時10分 (#1213900)
      シムシティに出てくるあれは、実際にはエネルギー密度を非常に低くして伝送する予定ですので
      人が直撃を受けてもほんのり暖かくなる程度です。マイクロ波ですし。
      今回のこれは、よりエネルギー密度を高めて、さらに人体に吸収されやすい赤外線を用いることで
      照射された人間が瞬時に破裂/燃焼するような圧倒的な破壊力を発揮します。
      #いやまあ、別に破壊力が目的ではありませんけどね。
      親コメント
      • 赤外線だと目に見えないし、もしもたまたまレーザの直下に入り込んでしまった飛行機や鳥、パラグライダーとかは…。

        エネルギー危機を救うためにはそんなレーザーが何本も地球めがけて照射される必要がありそうだし、それはそれで原発並に怖いかも。
        親コメント
    • あれはレーザーじゃなくてマイクロ波だったはず。
      # よく火事になるんだ、これが。
      親コメント
  • 地上の受光施設は (スコア:3, おもしろおかしい)

    by miyasita (33305) on 2007年09月04日 12時05分 (#1213953)
    ぜひ「三角塔」と名付けても恥ずかしくないデザインで,ひとつ.
  • by inoken (29484) on 2007年09月04日 9時03分 (#1213873) 日記
    本文の「太陽光を高効率でレーザーエネルギーに変換する技術を開発」のリンク先が見れませんが、
    アドレスがhttp://www3.nhk.or.jp/news/2007/09/04/d20070903000135.html [nhk.or.jp]なら見られます。何ででしょう。。

  • by Anonymous Coward on 2007年09月04日 10時30分 (#1213911)
    探検隊を送るための推進/減速用レーザー発生器
  • 効率 (スコア:2, おもしろおかしい)

    by little( (31297) on 2007年09月04日 12時43分 (#1213979) ホームページ 日記
    太陽光をレーザーに変えて地上に送る、その後レーザーを電気に変えなきゃだめだよね。
    そこら辺の効率ってのはどのくらいなものなのだろう?

    ご家庭までレーザーのままお届けして、レーザーコンロとかレーザー湯沸しとかはしないだろうな。
    オールレーザーとかいう家作ったり。
  • 太陽電池より効率いいのかな?
    特に曇りの日とか。
    #レーザーの通り道だけ妙に晴れてたりして
  • を真っ先に想像したのは私だけだろーか。

    ま、それはともかく、高出力のレーザーによる大気への影響とか、逆に大気による減衰<同じだ
    とか考えるべきことも多いでしょうが、太陽光を有効利用できるというのは喜ばしいニュースだと思います。

    # 光→光変換だから効率がいいのですかね。
    # 問題はレーザーから他の形(電気等)への再変換等で最終的にどの程度利用可能になるかですね。

  • 「しまった!ルシファーか!!」

    と思ってしまう・・・・
  • 部門名 (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2007年09月04日 11時22分 (#1213933)
    まさしく三角塔と人工衛星ですね。
  • >静止軌道上の人工衛星で太陽光をレーザー変換して地上へ送ることが可能となるため、
    >エネルギーの安定供給に役立つ技術になるのではと期待されています。

    静止衛星軌道には後いくつこの衛星が打ち上げられるのでしょうか???
    日本には今55基の原発があります。
    これらを全部置き換えられるとしたらいくつぐらい減らせるんでしょう。
  • by ubilog (26513) on 2007年09月04日 14時57分 (#1214051)
    地上に送るとリスクが高そうですが、外に向けることはできないのでしょうか。
    月や小惑星基地への電力供給、探査船に照射して加速エネルギーにするとか。
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