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MRSAに有効な新薬 18

ストーリー by Acanthopanax
軍拡競争 部門より

schiavona 曰く

Destiny Pharmaという英国の製薬会社が、XF-73という、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に有効な新薬を開発していることをBBCのニュースが報じている。同社のWebページでの情報は前述リンクぐらいだったが、BBCの記事によると、ジェル状の薬を患者の鼻に塗布したところ、55回繰り返してもMRSAは抵抗性を発達させなかったという。同社は2011年までには病院で一般的に使われるようにしたいとして、検証を続けている。

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  • by chocopa (14067) on 2008年05月20日 10時22分 (#1346892)
    xMRSAに有効な新薬
    Acanthopanaxによる 2028年05月20日 5:30の掲載
    軍拡競争部門より.
      schiavona 曰く、

    Arege Pharmaという英国の製薬会社が、xMRSA(XF-73+メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に有効な新薬を開発していることをBBCのニュースが報じている。・・・
  • by Anonymous Coward on 2008年05月20日 7時34分 (#1346836)
    耐性菌の出現とほとんどセットで報じられるのが、抗生物質の過剰使用。
    医療現場のことは無知だが、過剰使用させない方策はどの程度とられているのだろう。これだけ過剰使用が絶えないということは、何か別の原因(耐性菌出現のリスクよりも大きいメリット)があるのか?門外漢にはよくわからんことだ。
    • by Anonymous Coward on 2008年05月20日 11時10分 (#1346916)
      うちの病院ではバンコマイシンやカルバペネム系などの「切り札」的な抗生物質に関しては、院内の感染症対策チームに問い合わせ検討してもらって、許可がない限り使ってはいけない内部ルールになっています。
      まあ何が過剰で何が過剰でないかなんて、新聞記者が理解できるような話とは思わないですが。

      耐性菌出現のリスクより大きいメリットとは、当然目の前の患者が死なないで無事退院できる、ということに尽きます。
      論理的にはリスクとメリットが逆転し、「耐性菌が出るくらいならこの患者は見捨ててもいい」というような状況がいずれ出現するかもしれませんが、現時点ではイタチごっこが当分続けられると予想されているので、そこまで思い詰める必要はないです。
      親コメント
      • 医学部の授業で、日本では長きにわたって抗生物質の使いすぎがはびこっており、これは断じて許されないということを話す教官がいました。おそらくルーズなことをする一般医への批判的な気持ちがあったのでしょうが、あまりに強い口調で言うので、私もイラっとしてしまって「薬だって多くの人を助けてきただろうに、どうして使いすぎと断定できるのか」と怒気含みで質問したところ、先生は理屈を言えませんでした。これは10年以上前の話で、確かに風邪などでの使いすぎを気にすることは意義があったと思いますが、コストや時間の制約から病態を特定できずに使うことも多い以上、線引きは難しい。諸外国でも同じ問題はあります。全体の利益のために極少数が被害を被るものといえばワクチンがありますが、それに似たところもある話ですね。

        関係ないけどついでに思い出した授業ネタ、大学の結核病棟にセントラルヒーティングを入れたら、死ぬ人が急に減ったという昔話がありました。ちゃんと暖房していたら、寺田寅彦の最初の奥さんなんかも赤子を残して19で死なずにすんだかもしれません。
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        • by Anonymous Coward
          むしろ「セカイが滅びるかもしれないのにそんなの関係ねぇ、ボクたちは目の前のアイに生きるよ」系の漫画を思い出しました。
    • by pongchang (31613) on 2008年05月20日 8時06分 (#1346844) 日記
      >耐性菌出現のリスクよりも大きいメリット

      薬を呉れないけちな医者と言われてその相手を説得しようとすると病院の投書箱に投げ文が入り医事課もオタオタする。
      治療していなかったというのはまだしも、隣にMRSA保菌者を入れたという苦情を老健施設や老人ホームなどでは対処しなければいけないので、保菌者を入所させない。
      科学より接遇。
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      • 医者性善説、患者性悪説というのを最近妙に見かけますが、その考え方は何かを解決するのですか?
        おかしな患者は昔からいる訳ですが、彼らが受診を控えることを期待しています?
        単なる愚痴のパターン?
    • Re:抗生物質の過剰使用 (スコア:2, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2008年05月20日 11時17分 (#1346923)
      患者が求めている、それが大きいんじゃないかな。
      病気をとにかく早く治してくれる(=強い薬を出す)医者がよい先生。
      薬を出してくれない奴はヤブ(=そんな奴のところには行かない)。
      こう思っている人が周りにとにかく多い。
      でもこれは仕方ないと思う。
      薬を飲んでさっさと復帰するのが子供の頃から当たり前になっているから。
      ゆっくり治療すると白い目で見られがち。

      「今日中に健康体に戻せ、入院?ならとにかく最短日数で。」
      言葉は人それぞれだけど、医者に求めてるのはこれじゃない?
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  • 全然 (スコア:1, フレームのもと)

    by pongchang (31613) on 2008年05月20日 6時29分 (#1346826) 日記
    抗生物質についてはイタチゴッコ。画期的とは思われない。鼻より手指 [hica.jp]、患者より医療従事者。正常細菌叢の破壊によってのさばる [oka-pu.ac.jp]のがMRSAやVRE
    • Re:全然 (スコア:3, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2008年05月20日 9時54分 (#1346874)
      いやいや、イタチゴッコだからこそ新薬開発に意味があるんですよ…もちろん、濫用を避けた計画的投与も大事なので、新薬開発に「も」と言った方がいいかもしれません。

      現状、MRSAの治療にはバンコマイシンなどが用いられていますが、VREやVRSA/VISAなど、既にバンコマイシン耐性を獲得した細菌も出現してます。こういった細菌による感染症が起きた場合、「治療薬の選択肢がない(限られる)」というのが問題です。抗菌薬の計画的投与はこういった新規の耐性獲得菌の出現を十分に遅らせるのには有効ですが、結局のところは時間の問題でしかない、という考え方もできるわけです。その間に、新しいメカニズムの薬剤を開発して「選択肢」を増やしておくということも、医学上重要なんです。そうすることで、細菌が耐性を獲得する際に「的を絞らせない」効果も狙えますから。

      で、この新薬ですが、こういう論文 [nih.gov]が出ており、これまで知られている抗菌薬とは全く作用機作が異なるもののようです。"photosensitizer"と呼ばれるものの一種ですが、この分子はポルフィリン骨格を持っていて、光を当てることによってラジカル(活性酸素)を産生し、その働きによって殺菌する、というのが、その作用メカニズムだろうと述べられています。言ってみれば、光を当てることで働くオキシドール(過酸化水素水)のようなものです。ただし、このような機構のものなので、必ずしも細菌特異的な毒性を発揮するとは言えません。また、体表面の殺菌消毒には有効でしょうが、体内で働くかどうか、また内服しても有効かどうか(内服した薬が体表面に回り、光が当たって殺菌作用を発揮するか/それが感染巣で作用するか)は疑問です。基本的には塗抹した後で光を当てて…ということになるかと。これらを併せて考えると、いわゆる「抗生物質」の代替としてどこまで使えるかは疑問だったりします。
      親コメント
      • Re:全然 (スコア:2, 興味深い)

        by Deasuke (34806) on 2008年05月20日 11時33分 (#1346936) 日記
        MRSAっていたちごっこで言う「第四世代」でしたっけ。「世代」が回りすぎると、実はずいぶん古い抗菌薬が効いたりすることもあるんだろうか?
        --
        Best regards, でぃーすけ
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        • Re:全然 (スコア:5, 参考になる)

          by y_tambe (8218) on 2008年05月20日 11時55分 (#1346947) ホームページ 日記
          いわゆる「○世代」ってのは便宜上の区分だし、抗菌薬の種類によっても異なるので、基礎系ではあんまり使わない用語ですね。臨床の人の方が詳しいかもしれません。

          で、まぁMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)についてですが、これは基本的にはペニシリン系とセフェム系(併せてβラクタム系)は全部効かない耐性菌だ、と考えていただければいいです。それ以外の系統の薬剤にも同時に耐性を持ってる場合も多々あります。

          (本来の黄色ブドウ球菌)←ペニシリン/セフェム←(ペニシリナーゼ/セファロスポリナーゼ/βラクタマーゼ産生黄色ブドウ球菌)←メチシリン(=βラクタマーゼ抵抗性ペニシリン)←MRSA

          という流れです。ペニシリン系に対して耐性を獲得した菌は、最初はペニシリンを分解する酵素(ペニシリナーゼ)を分泌するタイプのものでした。これに対してメチシリンは、この酵素の基質にならない(=分解されない)ように化学修飾されたものです。また、これ以外にもこのペニシリナーゼに対する阻害剤をペニシリン系の薬剤と同時に投与する合剤も開発されてます。これらの薬剤の開発によって、旧来のペニシリン耐性菌に対する治療が可能になったわけです。

          ところがMRSAは、この旧来型とは全く別の耐性機構を獲得しています。ペニシリン系の薬剤は、細菌の細胞壁の合成酵素の一つであるPBP2(penicillin-binding protein 2:当初はペニシリン結合蛋白質として同定された。その本体は、細菌細胞壁のペンタペプチド鎖を結合するためのトランスペプチダーゼという酵素)と結合し、その機能を阻害することで細胞壁の合成を止め、細菌の増殖を阻害するとともに、細胞壁を脆くして殺菌するという働きを持っています。これに対して、MRSAはPBP2以外に、PBP2'という酵素を獲得したもので、このPBP2'にはペニシリン系の薬剤は結合しません(弱くは結合するけど、十分に阻害できない)。このため、MRSAはメチシリンのみならず、従来のβラクタム系のすべてに対して耐性を発揮する多剤耐性菌です。
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    • by Anonymous Coward
      耐性を持たない菌はすべて死滅してしまうのだから耐性を持った菌のみが生き残るのは当たり前の話で、人為淘汰の最たるものですね。
      • Re:全然 (スコア:1, 興味深い)

        by Anonymous Coward on 2008年05月20日 9時08分 (#1346857)
        耐性を持ってるけど人体にはあまり悪い影響が無くて生命力の強い菌をばら撒いて、危ない菌を淘汰する、とかいうのはまずいんですかね。
        蚊の伝染病を防ぐのに繁殖能力の無い蚊をばら撒くみたいな感じで。
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        • Re:全然 (スコア:5, 参考になる)

          by y_tambe (8218) on 2008年05月20日 9時33分 (#1346866) ホームページ 日記
          それは非常にまずいです。というのは、薬剤耐性遺伝子は別種の細菌に伝達しうるので、まさに薬剤耐性の病原菌を増やすことに直結します。

          この機構は菌の種類ごとによっても違うのですが、(1)トランスフォーメーション(DNA断片を細菌が直接取り込む)、(2)接合(細菌表面にある性線毛を介して細胞同士がつながり、遺伝子をやり取りする)、(3)ファージによる伝達(細菌に感染するウイルスであるバクテリオファージが遺伝子を運ぶ)など、複数のメカニズムが存在してます。また実際に、臨床の現場で新しい抗生物質が使用された場合、真っ先に耐性を獲得するのは非病原性や弱毒性の常在細菌であるケースが多く、それに続いて、それらと同じ薬剤耐性遺伝子を獲得した強毒性の病原菌が出現する、というのが一般的です。例えば、話題に挙がっている黄色ブドウ球菌は、ヒトに常在するブドウ球菌の仲間ではもっとも強毒性ですが、これらよりも弱毒性の表皮ブドウ球菌の方が薬剤耐性を獲得している率が高いです。
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        • Re:全然 (スコア:1, すばらしい洞察)

          by Anonymous Coward on 2008年05月20日 9時29分 (#1346864)
          「耐性のない無害な菌をばらまいて云々」みたいな話なら見たことはある。
          その後の噂を聞かない所を見ると、まだ実用化されてないのでは。

          結局は耐性菌に対しては「抗生物質を使わない」が一番の対策なんだろね。
          風邪くらいで抗生物質を欲しがる馬鹿な患者に付ける薬はないと。
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        • by Anonymous Coward
          悪魔信仰方式ですね
          悪魔が取り付いたらより強い悪魔を呼び出して追い出してもらうってやつ。
          人間の免疫能力を一時的に向上させれば何とかなる気もしますが、副作用が怖いですし…
          • by Anonymous Coward

            悪魔が取り付いたらより強い悪魔を呼び出して追い出してもらうってやつ。
            一番強いのはねずみだったって話ですね、知ってます。
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「科学者は100%安全だと保証できないものは動かしてはならない」、科学者「えっ」、プログラマ「えっ」

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