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宇宙

小惑星の地球衝突回避策を研究する非営利組織、B612 Foundation設立 54

ストーリー by hayakawa
洒落たネーミングですね 部門より

capra 曰く、

現在、人類は地球に衝突する可能性のある小惑星をすべて把握しているわけではなく、観測技術の発達とともにそのような天体の観測数は増加することが予想されています。地球に衝突する恐れのある小惑星が発見された場合、NASAは回避策として核兵器による小惑星の軌道修正などを挙げています。

しかしアポロ9号に搭乗した元宇宙飛行士のRusty Schweickart氏によると、核兵器による回避策が提案されたのは宇宙に核兵器を持ち込みたいという政府の意向を反映しているからであり、安全面やリスクを考慮すると最善策ではないとして、小惑星制御を研究する非営利組織B612 Foundationを設立しました。

設立の背景を読むと、原子炉を動力源とするプラズマエンジンロケットを小惑星に着陸させ、エンジンで「押す」ことにより軌道を変える方法などが研究されるとのことです。ちなみに、組織名のB612はサン=テグジュベリの「星の王子さま」に登場する王子の故郷である星の名前にちなんで命名されています。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • # コメントが少ないので油を注いでみる。

    この計画は野心的で素晴らしいとは思うのですが、(技術的、産業的、経済的な理由から)個人的には懐疑的に見ています。
    現時点はもちろんとして、今後十数年~数十年の技術進歩を考慮したとしても非常にハードルが高い。

    技術的な面でいくつか疑問点を挙げると:

    1. 小惑星に推進機構をランデブーさせる必要がある。
    2. 小惑星に推進機構を据え付ける必要がある。
    3. 小惑星に(地球衝突を回避するだけの)速度変化を与える必要がある。

    # 2.については、以前のストーリーでちょっとまとめたコメントあり。#1113074 [slashdot.jp]

    このあたりについては当然、すでに議論されていて、B612財団はそれを踏まえた上で実現性がありそうと見ています。
    それでも私は、「異環境で実際にモノを動かす」ことの難しさがどうしても引っ掛かります。
    (これよりもずっと簡単そうな火星探査機フェニックスでさえ、想定通りにうまく動いてくれない)

    一方、核爆弾の場合、(アプローチにもよりけりですが)これらの要件なしで使えます。

    1. フライバイ(?)軌道でよい。
    2. 至近距離または接触の瞬間に起爆するなら据え付け不要。
    3. 粉々に砕く目的であれば、速度変化を与える必要すらない。(この場合、破片全体の重心は地球を通過することになる)
     ※いくつかの破片が地球に当たっても被害は小さいし、1つも地球に当たらない可能性もある。小惑星が自転していたなら特に。

    核爆弾だと結果が不安定で、確実な対処方法ではないですが、現時点の技術でとりあえず可能です。
    つまり、「絶対に成功するとは言えないが、それしか打つ手がない」という意味において、核爆弾はベストな方法と言えます。

    … … … …

    余談ですが、地球を動かす案に野暮な突っ込みをしますと、南極ロケットエンジン(?)の噴射速度が第二宇宙速度を超えていない限り、ワールドジャンプデーの再現になります。
    • by Anonymous Coward on 2008年07月30日 15時54分 (#1393675)
      >粉々に砕く目的であれば

      この点にだけコメントさせていただくと、砕くのは非現実的かと思います。
      かなりの被害を及ぼす小惑星ということで1-10km程度のサイズを考慮すると、
      人類の持っている核爆弾程度のわずかなエネルギーでは破砕できませんので。
      小惑星の種類にもよりますが、彗星等のシャーベット状のものなら可能性あり、
      硬い岩石状のものでは不可能(各種核実験からわかる通り、数キロの岩の塊を
      割るのは無理ですので)、鉱物質のものでも不可能、がれきの緩やかな塊の
      ようなものでも威力が局所的に集中して他の部分は保持される [nature.com]ので無理です。

      まあ論文中にもあるように、小惑星の内部構造に関する詳細なデータがあれば
      シミュレーションを重ねることで(がれき状のものに関しては)不可能では
      なくなりますが、そんな詳細なデータが得られることはまずありませんので。

      核を有効に使うなら早い段階から表面を炙って、表面の揮発による軌道変化を
      積み重ねる、というのが良いのではないかと。
      親コメント
      • # まあ、核爆弾をもってしても、(小惑星表面上で起爆する限り)なかなか破砕は難しいかな、とは思います。

        1-10km程度のサイズ
        このサイズになってしまうと、おそらくB612財団でも不可能でしょう。

        ちょいと騒ぎになった小惑星アポフィス [nasa.gov]が直径200~300mサイズで、この前後のサイズがB612が考える現実的なターゲットではないかと思います。
        親コメント
      • つまり一旦潜り込ませてから爆発すればよろしいわけで
        っ[ドリルミサイル]

        #小惑星人に真田さんが居ないことを祈りつつ
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        >この点にだけコメントさせていただくと、砕くのは非現実的かと思います。

        同感。
        衝突前に爆発させたら表面を炙るのがせいぜいだし、衝突後はグチャグチャに壊れておしまい。
        相対速度を適切に制御するならランデブーするのとたいして変わらないし。
      • by Anonymous Coward
        だから砕くんじゃなくて、ちょっとだけ加速するんですよ。
        近傍の核爆発でちょっとでも加速されれば、確実に軌道が変わります。
        地球にぶつかるはるか以前に対処できれば、少しの軌道変更で衝突を回避できる、というのがNASAの主張。
        • by Anonymous Coward on 2008年07月30日 19時17分 (#1393810)
          一個上のコメントのACです。

          >だから砕くんじゃなくて、ちょっとだけ加速するんですよ。

          あ、いえ、それは存じております。
          ただ私のさらに元コメントにおいて「砕く」という表現があったために突っ込みを入れただけです。

          >近傍の核爆発

          これに関して、ご存じない方がいらっしゃるかもしれんのでついでに補足をば。
          様々な研究者の方々の研究により、核爆発を直接小惑星表面で行っても加速はほとんど
          起こらないと指摘されています。
          #まあ、大気中と違って爆風のようなものはほとんどありませんので。

          そこでこの解決策として、現時点で有効と考えられているのは小惑星から少し離れた
          位置で爆発させ、その輻射で小惑星をじっくり炙り、そこから少しずつ揮発してくる
          成分を推進剤として用いることで軌道をずらす、というものが提唱されております。
          これですと核爆発で生じるエネルギーをより有効に使え、また何度も繰り返すことで
          軌道を少しずつ変えていける、とされています。

          他にも、太陽光やレーザーを小惑星の片側に当て続けることで同様の加熱を行い
          軌道を変える、ということも提案されています。
          親コメント
          • >だから砕くんじゃなくて、ちょっとだけ加速するんですよ。

            あ、いえ、それは存じております。
            ただ私のさらに元コメントにおいて「砕く」という表現があったために突っ込みを入れただけです。

            あ、NASAプランが破砕ではない、ということは私も知っています。
            ただ、真空中での核爆発ではあまり推力が得られないということも知っていたので、砕いた方がよいだろうというのがオレオレプラン。

            そのあたりをひっくるめたのが、親コメントの「アプローチにもよりけり」。

            NASAプランではあくまで推力を与えて小惑星に速度変化を与えること。
            オレオレプランは、速度変化を与えずに衝突を回避すること。(まあ、やっぱり結果は不安定なんですけどね)
            親コメント
    • by Anonymous Coward on 2008年07月30日 15時54分 (#1393673)
      > ワールドジャンプデーの再現
      いや、ワールドジャンプデーの再現じゃないと困るでしょ。
      衝突時だけ避けて最後には元の位置に戻ってくれないと、 「推力機関は南極より北極の方が設置はやっかいなんだぜ。足元は海なんだからな」ってことに。
      親コメント
    • 個人的には、別に着陸してから噴射する必要も、横付けする必要もない気がします。
      衝突までに十分な時間があるという条件付ですが、ある程度の質量を持った自律航行の無人宇宙船をぶつけるだけで十分なのでは?

      地球だってじっとしてるわけじゃないんだし、真正面からでもある程度の質量をぶつけて地球軌道と再接近する日を数日ずらすことが出来れば回避できる気がするんですが……。

      #あと数ヶ月で衝突します、ってところまで来てしまえば火力で破壊するしかないでしょうけどね。
      --
      しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
      親コメント
      • 同程度(エフェクティブという意味で)の小さな小惑星にあらかじめ、推力システムを組み込んでおく。 危険な奴が見つかったら、システムを動かして軌道変更し、ぶつける。 問題は、どの程度用意すれば、全天空をカバー出来るのか、という点と、巨大なものの軌道修正を衝突コースに乗せられる位に調整できるかという点、後は費用ですかね。
        --
        --- by Demian.
        親コメント
      • ある程度の質量を持った自律航行の無人宇宙船をぶつけるだけで十分なのでは?
        一番手っ取り早そうなのに誰も提案しないのは、その効果がいまいちだからです。

        せっかく地球から打ち上げた質量の使い方としては、非常に効率が悪いです。このアプローチでどのくらいの効果があるかは、関連ストーリー [slashdot.jp]後半のNASAのコメントをどうぞ。
        親コメント
        • 核弾頭搭載バンカーバスターの10発も当ててやれば、いけそうな気がする。
          親コメント
          • バンカーバスターとはちょっと衝突速度が違いすぎるので難しそうですね。

            核爆弾にある程度貫通力を持たせられればいいんですが…。核反応は点火後マイクロ秒未満で終わってしまうし、この間に相対速度10km/sでも1cmも移動しないから、小惑星表面で起爆する以上、エネルギーは小惑星内部ではほとんど解放されなさそう。
            親コメント
            • by Anonymous Coward
              元々核爆発の破壊力の根幹を成す『大気』が無いってのがイタイんですよねぇ。

              となると、確実に内部に貫通後に起爆させる必要があるんだけど、現実的なところとしてそれが可能かどうか。

              逆に、確実に接触できるんであれば、小推力でも継続して使えれば十分に軌道を変える事は可能です。
              それは衛星のイオンロケットでも見れば解るんじゃないかと。
              推力なんて有るかどうか解らない規模のもので大きな衛星を動かしますよ。

              • 元々核爆発の破壊力の根幹を成す『大気』が無いってのがイタイんですよねぇ。
                そうなんです。

                核爆発の熱で爆発的に膨張してくれる大気がないので、実質、効果は爆弾自体のジェットと輻射だけになってしまうところが痛い。
                輻射で小惑星表面がちょっと蒸発してくれるくらいでは大した推力にならないし。(彗星ならちょっと効果あるかもしれませんが)

                となると、確実に内部に貫通後に起爆させる必要があるんだけど、現実的なところとしてそれが可能かどうか。
                穴でも掘って小惑星内部で核爆発させることができるなら、小規模な核爆弾でもかなりの効果が期待できます。
                実際、旧ソ連では核爆弾で土木工事の実験は何百回も行われていますし、実績があるものです。

                ただ、このアプローチだと「ランデブー」と「推進機構据え付け」相当の作業は必要になってしまうので、B612プランと同じような困難が付きまとうことに。

                それでも、B612プランではまだ存在しない核ロケットを前提としていますから、核爆弾のほうが有利じゃないかな、とは思ってます。
                親コメント
              • >穴でも掘って小惑星内部で核爆発させることができるなら、小規模な核爆弾でもかなりの効果が期待できます。
                つまりボーリングの達人がシャトルで小惑星に上陸、穴掘って核爆弾仕込んで起爆ですね?
                親コメント
              • なんというアルマゲドン

                #一瞬、インデペンデンスデイと言いかけて飲み込んだID
                親コメント
              • by Anonymous Coward
                爆発的に膨張する媒体をジャケットのように核爆弾に被せておけないものなんでしょうか?
                そりゃ弾頭としてはかなり大きくなってしまいますが、
                数トンの探査機を惑星軌道に乗せる技術は既にありますよね?
        • ロケットエンジンを取り付けるよりは現実味があると思うけど、というレベルの話しですからね。

          小惑星に軟着陸するためにはロケットを小惑星に接近させて、着陸するために減速する必要があるわけですが、そんなことするくらいなら最初からロケットに全運動エネルギー乗っけてぶつけた方がましじゃないのか、という理屈。

          重要なのは小惑星に与える運動エネルギーの総量であって、それは船の重さではなくロケットの総推力で決まる数字。

          #十分な距離があれば外惑星とのスイングバイも利用できるし、どう考えても小惑星にロケット設置するよりはましだと思うんだけどなあ……。
          --
          しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
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      • by Anonymous Coward
        相手が直径100mの氷塊だったとしても重量は52万tに及ぶわけで、
        タンカークラスの物体でもぶつけないとビクともしないと思うんですが。
        ボウリングの球にゴルフボール当てて軌道を変えるが如し。
        • by Anonymous Coward
          相手が氷塊なら、ソーラーシステムというか、
          太陽光を集中的に当てて爆発的な気化を発生させ軌道を変えられないもんかねぇ。

        • by Anonymous Coward
          月もしくは月の一部をぶつけよう!

          #地球の軌道を変えるよりは現実的だと思う。
  • こんな事もあろうかと (スコア:2, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2008年07月30日 13時31分 (#1393577)
    国際ガンダム学会 を発足させておきました!
  • 逆に考えるんだ (スコア:2, おもしろおかしい)

    by ILH (11814) on 2008年07月30日 14時33分 (#1393619) 日記
    地球の軌道を変えて衝突を回避しよう。
    • Re:逆に考えるんだ (スコア:2, おもしろおかしい)

      by multiplex (33585) on 2008年07月30日 15時54分 (#1393674)
      っ[もしかして:妖星ゴラス]
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      1日が48時間になったり1年が730日になるかもしれませんがよろしいですか?(Y/y)

      #え?そんなのあたりまえじゃん、というかたがたが少なくないと思いますが。
      #逆に短くなるような操作をする可能性も。
      • Re:逆に考えるんだ (スコア:2, おもしろおかしい)

        by yasuchiyo (11756) on 2008年07月30日 18時21分 (#1393776) 日記
        いや、元々一日が48時間な方々にとっては、
        一日の間に見る日出日没の回数が変わるだけです。大した問題じゃありません。(え?)
        # 「見る」ことができるだけでもしあわせ、というかたがたもいらっしゃるかと思いますが。
        親コメント
      • by Anonymous Coward on 2008年07月30日 20時10分 (#1393839)
        妖星ゴラス方式なら単に地球の軌道傾斜角が変わるだけなので、占星術師以外の人は特に困らないと思います。
        しかも劇中では元に戻すときの心配をしてましたが、南極のエンジンをもう一度吹かすだけで簡単に元の軌道に戻せそうです。
        親コメント
  • We did it! (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2008年07月30日 13時37分 (#1393582)
    >エンジンロケットを小惑星に着陸させ、エンジンで「押す」ことにより軌道を変える方法

    奇抜な発想ですね。目からうろこが。
    普通は、南極大陸に(ry

    #おいら~宇宙~の♪
    • by Pravda (33859) on 2008年07月30日 13時49分 (#1393590) 日記

      木星を爆発させることで、小惑星の軌道を変えるってのは、どうでしょう?

      # 三浦友和さん、よろしくお願いします。(違

      親コメント
    • by Anonymous Coward
      ITOKAWAまで行った「はやぶさ」の事を考えればそこまで非現実的ではないのかも。

      問題は、発見から短期間で軌道をあわせて着陸できるかですけど。
    • じょうほうろうえいにきをつけないと
      ぎゃくにちきゅうがほろんじゃうかもしれないよ

      # 人類滅亡論者系のテロリストに技術が漏れて、月の裏側に巨大ブースター設置されたらたまりませんよね。
  • by Anonymous Coward on 2008年07月30日 13時58分 (#1393594)
    核弾頭ミサイルがダメで核エンジンがOKという根拠がよくわからんですなあ。
  • by s02222 (20350) on 2008年07月30日 21時08分 (#1393877)
    一番問題になりそうなのは、誰が金を出して、誰が主導するのか? かと。
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普通のやつらの下を行け -- バッドノウハウ専門家

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