
ダウン症候群の出生前治療への第一歩 ? 16
さまざまな意味での多様性 部門より
capra 曰く、
ダウン症候群は 21 番目の染色体が 3 本になり、トリソミーと呼ばれる染色体異常を起こすことで発症する先天性疾患群である。マウスでも 16 番目の染色体が 3 本になることがあり、どちらの場合もグリア細胞が生成するニューロンの発達に必要なタンパク質の生成量が少ないという異常がみられる。トリソミーを持つ人間やマウスのニューロンを培養し、このタンパク質を構成する NAP と SAL とういペプチドを加えると、そのままでは変質してしまうニューロンを保護する働きをすることが分かっている。
この研究を踏まえ、米国立衛生研究所の研究チームがダウン症の出生前治療に関する実験を行い、論文を発表した(論文要旨)。トリソミーを持つ個体を身ごもったマウスの妊娠中期に同ペプチド 2 種を注入したところ、生まれたマウスは触覚刺激への反応や、掴む能力などにおいて通常のマウスと同等の発達がみられた。また、トリソミー個体のグリア細胞では過少生成されるタンパク質 ADNP も正常値を示した。研究チームは、この結果はどちらもダウン症の影響をいくらか排除できたことを示唆しているとしている (本家記事, New Scientist の記事) 。
この出生前治療が人間でも有効かどうかは未だ分かっていないが、研究チームは出生前治療によってグリア細胞のタンパク質生成異常を治すことが可能かもしれないと期待している。現在研究チームは、生まれたマウスの学習障害が軽減されているか引き続き調査を行っているとのこと。
ダウン症候群に関する議論にはいろいろ敏感な側面がある。上記 New Scientist の記事と同日に掲載された「ダウン症候群への新たな受容」という記事では「ダウン症の子供を持つ親は、"完全なものを選ぶこと"、"障害を避けること"、"多様性を受け入れること" の線引き議論の最前線にある。出産前検査がより広まる事や、特に今回のような研究が進む事により、ダウン症を患う人々がより一層少数派になることを親たちは恐れている」と述べている。良いことなのか悪いことなのか、政策としてどうあるべきかを決めるのは未来の人間にまかせて、今は選択肢が増える事を見守ろう。
なんて無責任な (スコア:2, 興味深い)
でも、その責任を「未来の人間」に負わせてよしとする態度は賛成できない。問題の先送りでしかない。
まずは一生懸命考えよう。もしかすると、この場合「選択肢が増える事」は良くないことかもしれない。
リンク先 (スコア:1, 参考になる)
今回の記事の論文はこちら [greenjournal.org]。
ちなみにNAPというのはタレコミ中のADNPの一部分です。
#アレたまで見かけたとき、いくつか考えてたことがあったはずなんだけど、もう忘れてしまった。
くらやみの速さはどれくらい (スコア:1)
こっちは自閉症で、SFにジャンルされる話ではあるけれど。
障害者自身の視点による話という繋がり?で、アオリではアルジャーノンと類しているが読後の印象は全くの別物でした。
個人的には こちらのほうが好きかも。
患う? (スコア:0)
かな。意味的にちょっと致命的な誤字では。
Re:患う? (スコア:1)
読み辛くなることを避けるため、修正前の記述を line-through などで残さないことをお許し下さい。
Hiroki (REO) Kashiwazaki
潰して作り直した方が効率的だね (スコア:0, 荒らし)
効率的に生きてても面白くないよ (スコア:1)
面白さのために生かされる訳じゃないよ (スコア:1, おもしろおかしい)
Re:潰して作り直した方が効率的だね (スコア:1)
これの動画見てみ。
Re:潰して作り直した方が効率的だね (スコア:1)
=-=-= The Inelegance(無粋な人) =-=-=
Re: (スコア:0)
事態の敏感さをあらわしているよね
この手のレスが発生する限り、俺はこの技術が喜ばしいことだと思うよ。
Re:ダウン症候群は病気ではない (スコア:1, すばらしい洞察)
問題は、ダウン症に対する対策ができたときに、
> ダウン症を患う人々がより一層少数派になることを親たちは恐れている
という部分なんだよな。出生前のチェックについても、感情的に
「そういうことすると、自分たちの子は排除されるべきだったものだったのか」
と感じてしまう部分。その部分に対するケアというものがない限り、この手の
話はいつまでも堂々巡りになるんだと思う。
私個人としては、現実問題としてダウン症の子供を育てていくには、ものすごい
パワー(金銭的にも, 精神的にも) が必要で、全ての人がそのパワーを出せるわけ
じゃないわけだから、出生前にそういうチェックをすることを認めるべきだと思
うんだが。
究極の理想は、先天的遺伝子異常を、後から修復してしまえる技術ができること
だと思う。体中の細胞全ての遺伝子を置換とか。
Re: (スコア:0)
別解として、
そういう(あるいは他の理由で)育てるのが大変な子ほど、
親だけじゃなく周囲がもっとサポートするような体制&文化が
出来上がることだ。
期待できるかというとかなり厳しいけどね。
特に今みたいに個人主義に傾倒してる時代は。
家族制度なんてものは無数の正解のうちの1つでしかないんだよね…