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バイオテック

英夫婦、生まれてくる子供の乳がんリスクを着床前診断でスクリーニング 41

ストーリー by reo
巨視的視点と感情論の狭間にて 部門より

capra 曰く、

英国の女性が、着床前診断により乳がんリスクを高める遺伝的変異がないことを診断した子供を来週出産予定とのこと (BBC 記事本家記事より) 。

着床前診断では、細胞が 8 個程度まで分裂した時点の着床前の受精卵の遺伝子を解析する。英国では遺伝的疾患リスクの高い場合、医師による着床前診断が 2006 年から許可されている。この英夫婦は夫の家系の女性が 3 世代に渡り 20 代に乳がんを発病していたため、着床前診断で受精卵のスクリーニングを行うことを決断したという。
この夫婦の間に生まれる子供が乳がんリスクを高める遺伝的変異 BRCA1 のキャリアであった場合、女の子であれば 50~80 % の高い確率で乳がんを発病する可能性があり、また男の子であっても遺伝変異を次の世代に渡す可能性が残ってしまう。今回行われた着床前診断自体は比較的ルーチン的な手法であるが、英国でこのように乳がんリスクをスクリーニングした子供が生まれて来るケースは初めてとのことで、着床前診断を行った病院の Paul Serhal 医師は「この処置の最大目的は生まれてくる子供にこの遺伝子がないことを確認するだけではなく、世代から世代への (この遺伝子の) 受け渡しを止めるということにある」と述べている。

なお、リスクを高める遺伝変異を持っていなくても他の遺伝的要因や環境的要因により乳がんを発病する可能性は当然ながら残っている。

無論、優生学的な視点からの批判もある。Comment on Reproductive Ethics の設立者でもある Josephine Quintavalle 氏はこう語る。「最も重要な事は人々がこの手法が乳がんを治す方法ではないと認識する点にあります。付け加えるならば、その遺伝的変異のキャリアであったという事で捨てられてしまった受精卵の事を忘れてはいけないという事です。次は何でしょう。このまま行けば最終的にはデザイナーベビーへと辿っていくように思われます。」。一方で本家ではこのようなコメントもつけられている。「一体誰が自分の家族に対して「乳がんを受け入れよう」などと言えるだろう。子供達の目を見て「がんを選べ」なんて言えるか ?」

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 機先を制す (スコア:3, 参考になる)

    by NOBAX (21937) on 2008年12月24日 10時37分 (#1479561)
    NHKの番組で、遺伝的に乳がんや卵巣がんになる可能性が
    高い家系の女性が、機先を制して、乳房と卵巣の
    切除手術を受けてしまうというのを放映していましたね。
    すごい選択肢があるものだと感心してみてました。
  • 逆に (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年12月24日 11時06分 (#1479597)
    子供の目を見て「お前は発がんの危険があるから生まれてこない方がいい」と言ってるような。
    まあ、生まれる前だからいいという割りきりかもしれませんが、生存に不利と思われる遺伝形質が実はある状況下において生存に有利に働く場合もあるので、安易にやっていいのかなぁ、とは思います。
    • Re:逆に (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2008年12月24日 14時29分 (#1479755)
      > まあ、生まれる前だからいいという割りきりかもしれませんが
      それは、そうでしょうね。
      医学倫理的には兎も角、感情的にどの段階で子供と認識出来るかは人それぞれですし

      > 生存に不利と思われる遺伝形質が実はある状況下において生存に有利に働く場合もあるので、安易にやっていいのかなぁ、とは思います。

      少なくとも、乳がんが生存に有利に働くというのは現時点では判明していないので、避けても問題ないと思います。
      生まれてくるのは乳がんリスクの無い他の人達と変わらないじゃない。

      もっと広い目で、人類的な規模で特定遺伝子の淘汰が種の保存としてのリスクを招くという言い分かとは思いますが
      自分の子供が病気で苦しむか否かと、数十年、数百年後(?)の人類を秤にかけられる親がどれだけ居ますかね?
      親コメント
  • 進化始まりました (スコア:2, おもしろおかしい)

    by s02222 (20350) on 2008年12月24日 11時36分 (#1479630)
    いずれ、「今時病気になるなんてwwwこれだから平成生まれは!」みたいに言われる世の中になるんでしょうね。 最終的には「寿命てwww」とか。楽しみ・・・だけど楽しめない旧人類なんだよなぁ、私はorz
    • Re:進化始まりました (スコア:2, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2008年12月24日 13時31分 (#1479713)
      先天的な疾患(遺伝性の疾患)ならば遠い将来そうなる可能性はあるのかもしれないけど、後天的な疾患(生活習慣病や感染症)については多分そういう世の中は来ないんじゃないかな、と。

      特に感染症。世界規模での種痘の実施によって天然痘が撲滅されたことで、1980年頃には「将来的には地上から感染症がなくなる、あるいはそこまで行かなくても、もはや人類にとっての脅威ではなくなるだろう」という考えが(専門家の間でも)広まってた時期がありましたが、後のAIDSの出現、耐性菌や耐性ウイルスの蔓延、SARSや新型インフルエンザの危機などからも判るように、それが甘い見通しであったことは明らかになってます。
      人間が技術によって日々「進歩」するというのなら、病原体も日々「進化」しつづけているわけで。こればっかりは相手のあることなので、いくら人類の方だけが頑張ったところで仕方がないケースが必ず出てくる。多分、このいたちごっこからは逃れられないでしょう……それこそ人類そのものがなくなってしまわないことには。
      親コメント
    • 科学の進歩で後からパッチが当てられるようになるかもしれませんよ。
      --
      署名スパムがウザい?アカウント作って非表示に設定すればスッキリさ。
      親コメント
      • by 335 (4199) on 2008年12月24日 12時09分 (#1479651) 日記
        それが理想的なんでしょうね。
        遺伝的な多様性を破壊しない方法が生まれるまでの過渡的なテクニック
        が短期間、人類のわずかな部分集合に適用されることで、どれほど未来の
        人類の多様性が奪われるのか定量的に見積もる必要があると思う。

        人類の一部の命を奪うという意味では戦争や事故、伝染病なども結果的に
        人類をスクリーニングしているわけだから、それらとの影響の大小の比較も
        重要だ。

        ちゃんと評価すれば、いつまでにどんな技術を開発しなきゃいけないのか
        が明確になるし、それが将来の人類が得る知見として困難なのか容易なのか
        もおよそチェックできる。批判的な視点は必要だけど、現時点の最先端を技術
        の終着点だと仮定するのは短絡的すぎるかもしれない。
        親コメント
        • by Anonymous Coward
          でもねぇ、更なる進化した技術とか、経験の蓄積が無いと
          「その技術は正しかったのか否か」の判断って出来ないんですよね。
          で、怪しいからと言って使わなかったら、将来的に貴重な技術となるかも
          しれないものの芽を摘み取ることになる訳で、簡単な話ではありませぬ。

          近い分野で言えば、薬の歴史はその手の繰り返し。
          必要なのは効能と副作用を両方とも受け入れて上手く使いこなすことにある。
  • by starfighter (31940) on 2008年12月24日 15時07分 (#1479790) 日記
    抗生物質を必要以上に頻繁に使いすぎるから耐性菌が問題になると言われるが、
    それは、菌が慣れてきて耐性を獲得するという意味ではない。
    平時から極稀に耐性を持つ菌は突然変異で生まれている。
    抗生物質のない環境下では「抗生物質に耐性がある」ことは生存競争で優位に
    働かないのと、その性質を獲得した突然変異は同時に何らかの不都合(エネルギー
    効率が悪いとか)を生じさせることが多いので、淘汰されて生き残れない。
    ところが、抗生物質がある環境下では、「何らかの不都合」のデメリットは
    無視できるくらい小さいものになる。そうすると、耐性菌だけが残り、競争相手の
    いなくなった環境で元の数にまで増殖する。
    結果として、耐性菌だけになる。

    鎌形赤血球症というものがある。ヘモグロビンβ鎖にかかる遺伝子の変異により
    生じる遺伝病で、重度の貧血を引き起こす。
    反面、赤血球の寿命が短いがために、マラリア原虫の増殖が抑制されるため、
    マラリアの発症をおさえられることが知られている。

    確かに、鎌形赤血球症の遺伝子は、ホモでもつと成人前にほとんどが死亡してしまう
    ほど危険なものだし、マラリアの原因は既知で治療法も確立されている。
    しかし、鎌形赤血球症より軽症な何かと、マラリアほど原因がはっきりしていない
    何かが、同様の関係にあるかもしれない。
    デザイナーベイビーまでいってしまうと、「何らかの不都合」を排除することで、
    本当に必要な「環境圧力に対する耐性」を失うことになりはしないのだろうか。

    特定の遺伝子を排除することで、その遺伝子が押さえ込んでいたより危険な未知の
    何かを発現させるかも知れない、という意識は、着床前診断等にかかわる研究者、
    医師、そして診断を受ける本人も決して忘れてはならないことだと思う。
    これは、巨視的な遺伝子の多様性を保持すべきという話だけではなく、個人が選択を
    する際の正しいリスク評価についての話でもある。

    > 子供達の目を見て「がんを選べ」なんて言えるか ?

    子供達の目を見て「がんを回避した結果、一生地獄の苦しみを味わうことになった」
    と言うことになるリスクが0ではない、そういう話。

    技術的に可能かどうかと、宗教や倫理と感情の対立の間に、こういった視点での
    可否基準があるはずなのだが、どうもこの手の議論ではすっぱり抜け落ちてることが
    多い気がする。
    まあ、「なんでもかんでも手を入れるのは良くない」以上にはっきりいえることは
    ないので、考えても仕方ないのは確かだが。

    # 第一段落いらんかった気がするが気にしない。
    • by Anonymous Coward on 2008年12月24日 16時54分 (#1479895)
      引用したセンテンスはミクロな話ですよね。

      > 子供達の目を見て「がんを回避した結果、一生地獄の苦しみを味わうことになった」
      > と言うことになるリスクが0ではない、そういう話。

      着床前に殺されちゃったお姉ちゃんと、その後に生まれてきた妹は別人です。
      妹はどのみち一生地獄の苦しみを味わいますし、それはお姉ちゃんを殺した因果応報ではありません。
      親コメント
    • #下の方でもちょっとだけ勘違いしてるコメントが見かけられますが、ここに

      今回、検査の対象になっているBRCA1ですが、これ自身は癌遺伝子ではありません。そうではなくて癌抑制遺伝子です。
      元の文章から読み取りにくいのかもしれませんが、BRCA1が変異して本来の機能を失ってしまっており、それによって乳がん発症のリスクが高まるということです。

      #あくまで「高リスクとなる」に留まるのは、がんの発症には、いわゆる「多段階発がんモデル」で説明されるように、
      #複数の抗がん機能の欠損が積み重なる必要があるためで、そのどこか一つのステップが先天的に進行してるので高リスクになる。

      そういう観点から言うと、BRCA1の変異を「遺伝的多様性」と結びつけて解釈するのが妥当かどうかについては、ちょっと疑問は残ると言わねばなりません。例えばこれが、生存に必須の遺伝子において、その機能を欠損させるような変異がある場合などには、その胎児は出産前に自然流産になるでしょう。しかしBRCA1は*そこまで*重要な遺伝子ではないため、変異があっても生まれてはくるし、結果的にそれが一種の先天異常みたいになる、という具合。
      遺伝的多様性、ということから言いますと、別に「機能を失うこと」が重要なのではなくて、「多様であること、そのもの」の方がクリティカルなわけでして、機能欠損した変異型BRCA1でなくとも、遺伝子多型により、機能的に正常な変異型BRCA1でいいので、とにかくバリエーションが多い方がいい、ということもありえます。もちろん、その機能中心になるような部分がクリティカルに働くケースもあるので、まぁどっちとも言えない部分はあるというか……結局のところ「遺伝的多様性のために重要」も「それほど重要でない」も、どっちにしても今の段階では根拠がなく、想像にすぎない話になっちゃいますけどね。

      それから、まぁ完全にオフトピですが、マラリアの治療法については現在は「確立された」と見なすのはよろしくないです。ワクチンも作製できず、治療薬にしてもすでにクロロキン耐性マラリアが世界的に蔓延している状況です。現在、もっとも警戒すべき感染症の一つだと言っても過言ではありません。
      親コメント
      • なんか誤読させてるようなのでまとめてお返事。
        主題は、タレコミ最後に書かれた本家コメントに感じた違和と、それに対する反論です。
        サブジェクトにも書いた通り、ミクロな視点の話しかしていないつもりです。

        この手の話にミクロな視点からのアプローチをした場合、基本的に、「親の視点」が基準である
        ことは注意すべきで、忘れてはならないと思うのです。
        選択権があるのは親です。親がどう思うのか。親がどうするのか。そういう文脈で語られるものです。

        さて。
        確率的に百万人に一人に発症する病気があるとして、それが当たった子を持つ親は「どうして
        うちの子だけが」と思います。当然、回避できるものならしたいと考えるでしょう。
        その回避するための手法の一つが着床前診断です。

        存在することができなかった兄弟なんかどうでもいいんです。だって生まれてないどころか、
        人の形にすらなってないじゃないですか。死産、流産ならともかく、排除された胚は、明らかに、
        実感としては、最初の子供ではありません。
        実感できるという人は、受精卵が吸収されてしまったり、着床することができず妊娠不成立と
        なった場合も子供が死んだと感じる奇特な人なのでしょう。
        実感と、宗教的倫理的にすっきりしないことは別の話であり、また、法的に受精卵は人なのか
        どうかという論議ともやはり別の話です。

        百万人に一人の疾病を回避する選択をした親がいたとして。
        回避した結果生まれてきた子供は、一億人に一人のより重度な別の障害をかかえていたとしたら
        どうでしょうか。
        それが、百万人に一人の疾病が発症していたならおきない障害だったとしたら。
        「失敗した」「前の方が良かった」と思ってしまうのではないでしょうか。
        そういう事態だっておきうる。

        明確なメリットを取り、未知のリスクを目をつぶるというなら、わかった上で目をつぶるべき。
        「そんなことは起き得ない」「仮におきてもベストな選択をした」といえるというのであれば、
        やればいいと思う。
        もし考えていなかったならば、考えるべきだ。
        それが親としての、選択権を握った人間としての責任なんじゃないでしょうかね。
        その結果、あえて「スクリーニングをしないであるがままを受け入れる」選択はあっても
        いいんじゃないでしょうか。
        胸を張って、子供にそういえばよろしい。

        これら一般化した話を踏まえたうえで。
        「乳がんを受け入れようとかがんを選べとは言えない」というのは、「がんのリスクを減らした」
        と子供に言いたい、そのほうが気分がいい、という主張に過ぎません。
        ならば、そう主張した彼(彼女)は、一億人に一人に当たってしまった目の前の子供に対して、
        なんというのでしょうか、

        今回の話に限っていえば、当該遺伝的変異を持っていれば感染しない致死的な伝染病が将来
        発生しないとは限りません。耐性菌と抗生物質の関係です。
        その状況に直面したときに、子供に向かって何というのでしょうか。

        自分の子供に良かれと思ってやったことが、子供を苦しめる結果にはならないのか?
        親が行った選択に起因する問題が発生したとき、それを親自身が受け入れられるのか?

        巨視的には大差ないだとか、目の前の子供を守りたいという壮大な対立軸とはまた別に、
        ミクロな視点の一般的な感情論よりもほんの少しロジカル位置に、別の議論すべき軸が
        あるのではないでしょうか。
        そしてこっちのほうが、親と子の立ち位置として、より重要なんじゃないかと思うのです。
        論旨はそういうことです。

        # このへんまで書いてからごっそり削ったので、いまいち謎な耐性菌の話が残った、と。
        # マラリア治療法の確立は言いすぎでしたね。極端な例→ちょっと現実っぽい例→一般化
        # と話を展開する際の推敲ミスです。適当に読み替えてください。
        親コメント
        • by Anonymous Coward
          > 実感できるという人は、受精卵が吸収されてしまったり、着床することができず妊娠不成立と
          > なった場合も子供が死んだと感じる奇特な人なのでしょう。

          自分の感覚と異なる人間は奇特だとよ。何様だよ。

          > 実感と、宗教的倫理的にすっきりしないことは別の話であり、また、法的に受精卵は人なのか
          > どうかという論議ともやはり別の話です。

          誰が法律論をしていたんですかね。

          あなたは法律で禁止されていなければ人を殺してもOKと考えるタイプなんでしょうね。
          そして、人を殺してもOKだから法律で禁止すべきではない、というトートロジーを唱えて悦に入る。
          • 妊娠不成立というのは、特に異常のない母体でも普通におきます。
            受精しても、半分くらいは不成立になるという話も聞きます。
            着床できなかった受精卵は、体内に取り込まれて吸収されてしまったり、次の月経で体外に
            排出されてしまうため、ほとんどの場合、受精していた事実に気づきません。
            月経のあるなしに関係なく日常的に妊娠検査薬を試しているとか、不妊治療をしていたとか、
            そういう場合でもなければ、気づく機会自体ないのです。

            気づいていないことを「実感」できるものでしょうか。
            存在を知らなかったにもかからわず、子供が死んだと「実感」できるだなどというのは、
            奇特としかいいようがありません。

            # 着床できないまま育って、塊が出ることもあるようですが、そういう認識できるものは
            # とりあえず脇においてます。気づいているからこそ、本質的に流産とは違うものである
            # にもかかわらず「化学的流産」という呼び方をするぐらいですので。
            # 気づいたか、気づいていないかは、重要なポイントです。

            # 後段については、「宗教とか倫理とか法律の話はしてない」と宣言している部分を逆の
            # 意味に取られても困るのですがね。ミクロな話をしてるとサブジェクトに書いてるのに
            # 「巨視的には大差ない」とか反論が来たから、今度は本文中に明示しただけなのですが。
            親コメント
        • by Anonymous Coward
          >今回の話に限っていえば、当該遺伝的変異を持っていれば感染しない致死的な伝染病が将来
          >発生しないとは限りません。耐性菌と抗生物質の関係です。
          >その状況に直面したときに、子供に向かって何というのでしょうか。

          架空の将来を仮定するロジックを使うのであれば、逆のことだってなんだって言えてしまいます。

          逆に、当該遺伝的変異をトリガとして、該当変異を持っている人だけが罹患する致死的な疾患が将来発生しないとも限りません。
          その子供が乳がんの上に、さらに別の疾患の二重苦を背負う羽目になったとき、子供に向かって何と言うのでしょうか?

          • 基本的に同意です。
            ただ、例示された逆の状況は、ちょっと違います。

            「知るか知らないか」の選択がまずあって、「手を入れるか入れないか」の選択が次にあります。
            「特定遺伝子の有無を確認し、あれば排除する」に対応するのは、「特定遺伝子の有無を確認しない」です。
            「特定遺伝子の有無を確認し、あっても排除しない」という選択肢を選んだ親がいれば、おっしゃるとおりです。
            # 胎児の性別判定なんかは、確認するが手は入れない例になるかもしれません。
            # 遺伝子発現前なら、排除されてしまうのかも知れませんが……。

            遺伝子の確認をせずに、乳がんの上にさらに別の疾患を負った場合には、こう言えばいいと思います。
            「あるがまま受け入れよ」
            選ばれた子と選ばれなかった子は別ものというロジックは、この見解の後ろ盾になりうるでしょう。

            「そのほうが気分がいい」は別にエゴだと思っていません(論理的に無意味とは思っていますが)。
            子供視点では「選ばれた子」のロジックで、生まれるか生まれないかの二択しかないので受け入れるしかない。
            選択を決断をするのは親。結果を受け入れるのは親。
            良いと思って何かをした結果、期待以上の効果があったときは喜んで受け入れるでしょう。
            良いと思って何かをした結果、裏目が出たときは素直に受け入れられるでしょうか。
            受け入れたくなくても、それは許されないことなのですが。

            ご指摘の通り、「遺伝的疾患リスクが高い場合」は手を入れてもいいというのが英国の一般認識であるといえます。
            今回の例のように明らかに高いリスクがあるものを排除することは、合理的だと判断されるでしょう。
            # 法は「社会はこうあるべき」という社会的圧力によって作られるものなので、合理的だからこそ合法。
            それに対し、巨視的な視点から批判することはしてはいけないと思います。
            百人に一人の「一人」に該当した人にとっては、微視的な視点しかありえません。
            一人の人間は、確率に収束するほど子をもうけません。

            さて、最初に書いた二段階の選択ですが、「知ったならば手をうちたい」というのは自然な感情です。
            タレコミに書かれた本家コメは、「がんを選べ」と言っています。
            知らなければ「確率通りにがん(のリスク)が当たった」だけで別に選んではいないのですが、
            この論調では、知らないことを「子供のリスクを残しかねない悪行」とでもいいかねない気がします。
            「知れることは全て知るべき、手を入れれるものは全て手をいれるべき」の行き着くところは、
            それこそ遺伝子に起因するものは容姿まで含めてデザインするデザイナーベイビーです。
            確認をしなかった親に対する批判は、それはそれで何か間違ってると思うのです。

            私が主張する対立軸で得られるのは、「確認をしない」ことの微視的正当性です。
            同様に「確認をして手を入れる」ことへの巨視的批判に対する疑義です。
            親コメント
            • by Anonymous Coward
              >さて、最初に書いた二段階の選択ですが、「知ったならば手をうちたい」というのは自然な感情です。
              >タレコミに書かれた本家コメは、「がんを選べ」と言っています。
              >知らなければ「確率通りにがん(のリスク)が当たった」だけで別に選んではいないのですが、
              >この論調では、知らないことを「子供のリスクを残しかねない悪行」とでもいいかねない気がします。

              それは「がんを選べ」の翻訳部分を深読みしすぎかと。原文は、

              >But who am I to tell this family to go ahead and accept brest cancer? Can you look t
    • by Anonymous Coward
      その考え方だと、抗生物質などの薬の使用に関しても、使用しないという選択を考慮に入れるべきだ、とも言える。
      食べ物に関しても、人体に必要な未知の栄養素がある可能性は0ではないので、合成のビタミン剤などよりも天然の食品を食べるべき。遺伝子組み換え食品はもってのほか。さらには化学肥料や農薬も使わない方が良いとも。
      • by Anonymous Coward
        考慮には入れるべきだろ?
        考慮した上で使うのも使わないのも自由だ
    • by Anonymous Coward
      手を入れた結果、何か予期していなかった別の特性が生まれるかもしれませんよ?
      人口甘味料の歴史なんか、ほぼ全てが「全然関係ない物を作ってたが口に入れてみたら甘かった」らしいですし。

      減数分裂時の遺伝子組み換えや突然変異で多様性なんか常に生まれてますよ。
      特定の遺伝子一つ排除した所でそれこそ巨視的視点じゃ大差無い。
      あまりにも進化ををナメてませんかね?
    • by Anonymous Coward
      >子供達の目を見て「がんを回避した結果、一生地獄の苦しみを味わうことになった」
      >と言うことになるリスクが0ではない、そういう話。

      仮にそういう因果関係が実在するとすれば、今回のトピックである「遺伝的変異BRCA1」非キャリアであるところのおそらく世の中の大多数の女性のうち50%〜80%が、今現在乳がんとは別のなんらかの疾患により、一生地獄の苦しみを味わっている最中であるという現実があってもおかしくないのではないでしょうか。
      もしそのような事例がないのであれば、そのような因果関係はそもそも存在しないか、仮に潜在的にあったとしてもリスク
  • 関連ストーリー (スコア:1, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2008年12月24日 11時36分 (#1479629)
    遺伝子欠陥による胚選択、どこで線を引くべき? [srad.jp]
    せっかく盛り上がってるストーリーなんだし。
  • by Anonymous Coward on 2008年12月24日 10時15分 (#1479538)
    母乳を飲むだけで病気になるというニュースがありましたが、その後どうなりましたか。
    • by Anonymous Coward
      私は母乳で育ちましたが、確かにときどき風邪をひきます。
  • by Anonymous Coward on 2008年12月24日 10時19分 (#1479543)
    T/O
  • by Anonymous Coward on 2008年12月24日 10時39分 (#1479564)
    感情論ってどっちのことなのかね。
    少なくとも、タレコミ人はどちらかが感情論だと考えているようだな。

    殺人容疑者にも法の統治に基づく保護がつくように、
    議論というものは、少なくとも、客観的な立場を全うしようと努力することは可能だ。
    どちらが正しいか結論づけることはできなくても、蓄積そのものは有益なものになり得る。

    煽るんなら、感情論に走るなと釘を刺す方向でやってみてはどうかね。
    • by Anonymous Coward
      >感情論ってどっちのことなのかね。
      >少なくとも、タレコミ人はどちらかが感情論だと考えているようだな。

      たしかに、そこで「感情論」を対置してしまうことは、「みんな理性では"巨視的視点"の方が正しいと知っている」という根拠レスな"共通理解"を暗黙の前提として置いてしまっているように見えます。

      「巨視的視点」(私なら「マクロ視点」と言います)に対置すべきは「ミクロ視点」で、「全体最適」と「部分最適」同様、どちらが正しいというものではないと思います。

      どちらの方が「合理的」であるかにしても、文字通り視点をどこに置くかによって評価は180度変わると思います。
  • by Anonymous Coward on 2008年12月24日 11時27分 (#1479620)
    頭がいいとか運動能力がとかはどうかとは思うが、病気の心配が減るのはいいことだと思うがなぁ…
    受精卵には意思はないと思う。でも確かに何分裂目で意思がでるかもわからんし、困った話だね。
  • by Anonymous Coward on 2008年12月24日 17時57分 (#1479959)
    > 一方で本家ではこのようなコメントもつけられている。「一体誰が自分の家族に対して「乳がんを受け入れよう」などと言えるだろう。子供達の目を見て「がんを選べ」なんて言えるか ?」

    子供が「ガンを選ぶ」わけではなくて、親が「ガンの子供なんて要らない」と選ぶということを忘れておる。
    ガン遺伝子が発見されたので処分された子と、発見されなかったのでそのまま生まれた子は異なるということも。
    --
    生殖したいな~
    • 永遠の課題なのかもしれませんが。

      たとえば障害を持って産まれてきた子どもがいたとして、
      その兄弟姉妹が結婚などの人生の一大事を迎えた際に
      まったく影響しないとはいえないわけです。

      また、子どもが好き好んで障害を持って生まれてきたわけでないのも事実。
      親が就労などで制約を受けるのも事実。

      うちももうすぐ子どもが生まれますが、
      先天的な障害が分かっているとしたら悩みに悩むと思います。
      着床していれば母体にもリスクがあるし、
      個人的な感覚ではすでに自分の子どもとして育っているので
      受け入れる方向で悩むと思うのですが、
      着床前で分かったら拒否しない自信がありません。

      ただ、「リスクが存在する」というだけでは拒否はしないような気もします。
      複数の受精卵であればより安全なほうを母体に戻すべきだとは思いますが。

      育つ過程で事故にあうのもリスクですし、個性という名のある意味最強のリスクも存在しますし。
      (ウチのチビ共も個性豊かで人様に迷惑かけないとも限らないからなぁ。)

      やっぱり、人類知りすぎてしまった感がありますね…。
      親コメント
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犯人はmoriwaka -- Anonymous Coward

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