普通の木材で作ったバイオリンも入れて実験してほしいなぁ部門より。
あるAnonymous Coward 曰く、
バイオリンの世界では、「ストラディバリウス」と呼ばれる楽器が名器として知られている。これは、イタリアのアントニオ・ストラディバリが製作したもので、その音色には使用されている木材が大きな役割を果たしているとされている。
ストラディバリウスで使用されている木材は、中央ヨーロッパで1645年から1715年の間厳しい気候が続いた際のものであり、この頃の樹木は成長が遅かったたため木目が均一であるという特徴をもつそうなのだが、スイスの研究者らが細菌を利用し、このような「木目が均質な木材」を作り出すことに成功したそうだ(ScienceDaily、本家/.記事)。
この特殊な菌類は木材の細胞構造を変化させ密度を低下させ、均質性を向上させるという。この処理を施した木材を使いバイオリン職人Michael Rhonheimer氏が製作した楽器「Opus 58」とストラディバリウスの聞き比べ実験を行ったとところ、Opus 58が最も良い音色であるという結果となったそうだ。実験に使われた楽器は5台で、1台がストラディバリウス、残り4台がOpus 58だったとのこと。
どの楽器を演奏しているかは明らかにせず、専門家を含む180人以上の聴衆に聞き比べてもらったところOpus 58が90票以上で最も良い音色の楽器とされたそうだ。ストラディバリウスは39票で2位につけたとのこと。また、Opus 58がストラディバリだと思った人は113人にも上ったそうだ。
1位になった楽器は4台の中で最も長く菌類に晒した木材を使用したものだったそうで、この結果はクラシック音楽における革命であるとみる音楽家もいるそうだ。数が限られており、億単位の値段もするストラディバリウスを手に入れなくとも、若い演奏家が素晴らしい音色の楽器で演奏できる日がくるかもしれないと期待が寄せられているという。
ちょっと補足 (スコア:5, 参考になる)
ScienceDaily の記事を見るとテストは、
2億円のストラディバリウス×1
かもされてないヤツ×2
かもされてるヤツ×2
で行われていて、かもされてるヤツはかもす期間の長短があって、長くかもした方 (9ヶ月) を "Opus 58" (作品58) と呼んでます。だから4台まとめて90票集めたわけじゃなく、その the longest treated な Opus 58 に90票だったようです。
コメントを書く
ピュアオーディオ業者がアップをはじめました! (スコア:5, おもしろおかしい)
あの名器ストラディバリウスを越えたと絶賛されたOpus58の菌を使用。
種菌選びから徹底してこだわりました。
24時間温度管理された室で10ヶ月間じっくり熟成させた
プレミアムヴィンテージ樹脂を贅沢に被膜に使用したこの電源ケーブル。
音の粘りの違いをお楽しみ下さい!
# 以下、それっぽいフレーズを挙げてみよう大会で
コメントを書く
オフトピかも(Re:ピュアオーディオ業者がアップをはじめました!) (スコア:3, おもしろおかしい)
というコメントが載っていて大笑いしたことを思い出しました。
コメントを書く
親コメント
似たような話を聞いたと思ったら (スコア:5, 参考になる)
ちなみに使った材質は、木材と菌の組み合わせで二種類あって、一つはPhysiporinus vitrius(Nature Newsの原文ママ)という菌で処理したオウシュウトウヒ [wikipedia.org](ノルウェートウヒ、Norwegian spruce)、もう一つはXylaria longipesという菌で処理したスズカケノキ [wikipedia.org](sycamore)です。
菌の方は、前者後者ともに和名はありませんが、どちらもヨーロッパではよく見られる木材腐朽菌 [wikipedia.org]のようです。
なお、NatureNewsでは"Physiporinus vitrius"と書かれてますが、恐らくスペルミスで、正しくは Physisporinus vitreus [commanster.eu]だと思われます。
後者は、クロサイワイタケ [www.ne.jp]という菌の仲間です。こんな形 [north-west...life.co.uk](巨大な画像につき注意)で、別名"Dead Moll's finger"(死んだ情婦の指)という、樹皮に生える腐朽菌の一種です。
コメントを書く
Re:似たような話を聞いたと思ったら (スコア:4, おもしろおかしい)
Physiporinus vitrius (和名なし)
あのストラディバリウスを超えた菌。まろやかで粘りのある響き。
Xylaria longipes(和名なし)
別名「死んだ情婦の手」。全体的に渋みのあるやや枯れた味わい。特に高音域の、切なく物悲しい響きには定評がある。
Schizophyllum commune (和名:スエヒロタケ [wikipedia.org])
全体的にまろやかで標準的。苦手とする音域はないが、悪く言えば特徴に欠ける、ありふれた音質。
Grifola frondosa (和名:マイタケ [wikipedia.org])
全体的に明るく軽やかな音質で、ダンス曲などには向くが、重厚さや音の粘りには欠ける。
Omphalotus guepiniformis (和名:ツキヨタケ [wikipedia.org])
独特の癖がある音質だが、中毒性がありファンも多い。幻想曲に向く。
Pleurocybella porrigens (和名:スギヒラタケ [wikipedia.org])
一見淡白でクセのない音だが、よく聴くとぴりっとした毒を含んだ響きを持つ。
Lentinula edodes (和名:シイタケ [wikipedia.org])
エキゾチックな、まろやかでコクのある響き。東洋的な雰囲気を醸し出す。
#やってみたら、「枯れ木に生える」という縛りが結構厳しい…。
コメントを書く
親コメント
ストラディバリウス自体も菌を使用? (スコア:3, 参考になる)
20-30年前の朝日新聞の日曜版だったと思うのですが、
「ストラディバリウスの音色は、菌類による木材の変性が原因?」
という仮説を紹介する記事が載っていた覚えがありますね。
意図的な使用なのか、工房自体が菌におかされていたのかは不明、といった話だったかな…?
詳しく覚えていらっしゃる方はいませんか?
コメントを書く
ストラディバリウスは、いい音がする分けではない (スコア:3, 興味深い)
ストラディバリウスは、遠くまで減衰しないで音が届くというのが
売りであって、音色が格段にいいという分けではないというのが、
当日の主催者の解説だった。
直近で聴いていた人も、半分くらいは名もないヴァイオリンの方が
いい音だと評価していた。
コメントを書く
Re:ストラディバリウスは、いい音がする分けではない (スコア:2, 参考になる)
まず前提としてストラディバリウスのようないわゆる「名器」は現在のコンサートホールも無い,
マイクやスピーカー,CDもレコードもない時代のものだということを考慮すべきではないかと.
当時ストラディバリウスなどが珍重されたのは,まずもって「音が大きく響くこと」が理由です.
その上バイオリンは一般に制作されてから150年目くらいが一番よい音がされるとされており,
200年以上昔に制作されたバイオリンは言ってみれば盛りを過ぎた状態なので,音質だけから
言えばもっとよいバイオリンがあるのは不思議ではありません.
一方で「最高の状態の」ストラディバリウスの音を再現しようとしても,寸法をまったく同じに
作ったバイオリンが同じ音にはならなかったこと,ニスをはがしても音質に影響がなかったこと
などから,今では手に入らない木材が鍵であろうと考えらていました.
そこで木材にある処理を施すことで,「失われた材料」を再現できたとしたら,過去に存在した
真の(あるいは幻想の)ストラディバリウスを手に入れることができることになるだろう,という
ことになっているわけです.
こうやって楽器の構成要素を一つ一つ再構築することで,我々が何を持ってよい音としているか
またよい楽器というものがいかなるものかを理解するというのは,全く科学的な態度だと思います.
コメントを書く
親コメント
ストラディバリって (スコア:3, 参考になる)
コメントを書く
Gallery Fake (スコア:2, 興味深い)
ストラディバリのニスを小道具に使った話があったと記憶しています。
何巻かは覚えておらず。
それで記憶しているといえるのか?
# This is not my signature.
コメントを書く
親コメント
楽器の善し悪し (スコア:2)
楽器の善し悪しって、
そりゃ音の良さってのもあるけど、そんなのはある一定以上なら演奏者の腕次第。
古くてレア度のために高価であって、マニアックな人がコレクションしたがるような楽器は本当に良いのかどうかは眉唾。
僕はずっとクラリネットとピアノを演奏しているけど(10年以上)
先生はどんな楽器で演奏したってきれいな音出すし、
僕が先生の高価な楽器で演奏したって所詮僕の演奏。
だいたい、音楽や音って演奏場所やオケの構成、ホールの構造、演奏する曲、客の入り、温度/湿度、その他諸々の条件によって毎回違う演奏になってその度に違う音になってしまうんですよ。
全体の調和に対して楽器そのものが占めるファクターはそんなにないと思う。
演奏者として思うのは、良い楽器は演奏者と演奏曲に合った音が出せる、演奏しやすい楽器だと思う。
高価で良いと言われる楽器も、自分と自分の曲に合わなかったら使いにくいったらありゃしない。
# 自分が楽器(クラリネット)を買うときは色々吹き比べて、
結局気に入ったのはあるシリーズの下位モデルだった。
コメントを書く
つまり (スコア:1)
コメントを書く
Re:つまり (スコア:5, すばらしい洞察)
あんなに美しいラインを持った楽器を作れる人はそうそういません。
あと、楽器はちょっとした形、板の厚さの違いで音とか鳴り方が変わるので、材料がよければいい楽器になるわけではありません。
自分で弾いてみるとちょっとしたランクの違いもよく分かりますよ。せっかくいい樹を使ってるのに・・・という楽器もあります(というか、よく見かけます)。
このニュースのポイントは、「バイオリン用の木材の品質を改善する技術が見つかった(かもしれない)」というところだと思います。
コメントを書く
親コメント
Re:つまり (スコア:3, おもしろおかしい)
△「バイオリン用の木材の品質を改善する技術が見つかった(醸しれない)」
コメントを書く
親コメント
Re:つまり (スコア:5, 興味深い)
結果として到達した技術水準としては、ストラディバリウスは "一時代に一人は出る程度の職人" だと、私は思います。実際、当時は同時代の製作者であるヤコブ・シュタイナーの方が評価が高かったですし、現代にも製作技術はストラディバリウスにひけをとらないと言われる製作者がいます(もちろん賛否両論あるでしょうが)。
ただ、バイオリンという楽器のスタンダードが確立されていなかった時代に活躍したパイオニアであることを考慮すると、後世の "同水準の職人" とは別格と言っていいと思います。
いまだにバイオリンの形はストラディバリウス・モデルがメインストリームで、グァルネリ・モデルはややマイナー、マッジーニ・モデルは超マイナー、シュタイナー・モデルのバイオリンはもう作られてません。アマティ・モデルも滅多に見ないですね。
あと、古い楽器は木材の結晶化が進むことで音質が変化します。好みやもともとの品質の影響もあるので難しいところですが、一般に「パワーはやや落ちるが音色はよくなる」と言われます。
古い楽器と新しい楽器では、製作時点でまったく同じ条件の木材を使って、ミクロン単位で同じ形に作ったとしても、経年変化で違う楽器になってしまいます。ですから、高水準の楽器だと、製作年代の違うもの同士を比べてもどちらの製作者の方が腕がいいとは言えないんですよね。
こうした比較の難しさも、オカルトっぽい言説が流布する背景のひとつです。
あるクレモナの大御所が雑誌のインタビューで「私の製作技術はストラディバリウスを超えたと思っている。ただ、時間の差は越えられないので、私の作品が彼の作品を超えることはない」といった趣旨の発言をしていました。
最後に、身も蓋もない話をするとバイオリンは結局のところ「調整の楽器」です。どんなにいい楽器でも調整がしょぼいといい音は出ません。安くてもまともなつくりの楽器なら、丁寧に調整してやればかなりいい音がします。例えば量販店に置いている50万のバイオリンと、職人常駐の工房兼楽器店に置いている50万のバイオリンでは、同じメーカーの同じモデルでも、2~3倍は値段が違うんじゃないか、と思うような差があることが多いです。
現存するストラディバリウスは後世に修復、改造、調整を施されているため、実のところもともとどんな音だったかはもう分かりません。
コメントを書く
親コメント
良い音色 (スコア:1)
高価な楽器特有の音と安い音がある。専門家ならそれが分かると思います。
値があるレベルを超えると、音以外で評価されている部分が大きいことも。
(例えストラディバリと全く同じ音が出せる現代の楽器があっても、それほど評価されないでしょう。)
実態としては、様々な音色の楽器があって、いくつかの楽器に高値をつけているだけなのです。
善し悪しとはまた話が違ってくる。
コメントを書く
Re:痛快w (スコア:1)
別に破壊はしていないでしょう。
高価で若手には入手困難な名器の代替品が出来そうだって話なんで。
名器には名器たる所以があり、根拠の無い権威では無いのですよ。
#どうしてそういうひねた見方するかな
☆大きい羊は美しい☆
コメントを書く
親コメント
Re:なんか人工的につくりはじめると (スコア:1, すばらしい洞察)
電子音はそれそのもので音が鳴らない。
なんでも鳴らせるスピーカーができればそれだけでニュース。
コメントを書く
親コメント
Re:均一な木材 (スコア:1)
>「ニスが重要」
あ〜、同じこと聞こうと思った!
コメントを書く
親コメント
Re:一方 (スコア:1)
バイオリンと中国と言えば映画『レッド・バイオリン』を思い出します。
コメントを書く
親コメント
部門名は (スコア:2)
「かもして鳴らすぞ〜」が良かった。
#編集者の陳腐な感想はいらない。
妖精哲学の三信
「だらしねぇ」という戒めの心、「歪みねぇ」という賛美の心、「仕方ない」という許容の心
コメントを書く
親コメント
Re:痛快w (スコア:2, すばらしい洞察)
「はたから見ると従来の権威を覆した偉業を成し遂げた人」がいたとして、
本人が「従来の権威を覆してやるぜ!」と頑張ったとは思えないんだよねー。
よりよくしようという日々の積み重ねが、ふと気づいてみれば・・・っていうのが現実っぽい。
コメントを書く
親コメント
技術は継承され発展している (スコア:1, すばらしい洞察)
「アレと同じものはもう作れない」「アレを超えるものはもう作れない」ではなく
技術が伝承され、その秘密が科学的に解き明かされた上でさらに順調に発展しているのは痛快かもね。
# そうじゃないと悲しいのはあれですか?職人気質?
コメントを書く
親コメント
Re:なんか人工的につくりはじめると (スコア:1)
電子音でなんでもできちゃうんじゃない?
「電子音」=「波形がサインカーブを描く単音」と解釈したが, 一度 Fourier 級数の収束について勉強してはどうだろう? ノコギリ波の Foulier 級数展開したものの収束の様子 [ufcpp.net]を見ると, そう簡単には元の音を再現できないことが分かると思う.
コメントを書く
親コメント