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オバマ政権、月有人探査計画の打ち切りを決定 81

ストーリー by hylom
コストオーバー 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

米オバマ政権が月有人探査計画である「コンステレーション計画」の打ち切りを決定した(CNNの記事Bloombergの記事)。

先日、本家記事でも打ち切りの可能性が話題になっていた。オバマ政権としてはNASAの研究開発分野を有人宇宙探査ではなく、気候変動など地球科学分野へと方向転換したいと考えているらしい。

また、有人打上げロケットである「アレスI」や貨物用打上げロケット「アレスV」などに関しても開発中止になる模様。なお、国際宇宙ステーション(ISS)の運用は2020年まで延長されることとなったそうだ。

11年度のNASA予算は前年比1.5%増の190億ドルになるということで、宇宙開発自体を大幅に縮小する、という話にはならないようだ。また、民間企業によるロケットの開発や打ち上げの支援も行うとのこと。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by T.Sawamoto (4142) on 2010年02月02日 19時35分 (#1712723)

    元々このコンステレーション計画というものは、ジョージ・W・ブッシュ前大統領が2004年に宣言したVision for Space Exploration [wikipedia.org]に端を発していいます。その目標は、

    • 2010年までに国際宇宙ステーション(ISS)を完成
    • 2010年までにスペースシャトルを退役
    • 2008年までにCEV(Crew Exploration Vehicle/オリオン宇宙船のこと)を開発、2014年までに有人飛行を達成
    • スペースシャトル後継ロケットを開発
    • 2008年までに無人月探査、2020年までに有人探査を実施
    • 火星その他の無人及び有人探査を実施

    というものでした。かなり野心的な計画ですね。
    タイトなスケジュールを実現する為に、

    • Crew Launch Vehicle(人員打ち上げ用ロケット、後のアレスI):
      • 第1段にスペースシャトル用固体ロケットブースター(SRB)を転用
      • 第2段にスペースシャトル・メインエンジン(SSME)を転用

      (この結果、第1段より第2段の方が太い形状に)

    • Cargo Launch Vehicle(貨物打ち上げ用ロケット、後のアレスV):
      • 第1段にスペースシャトル・メインエンジン(SSME)5機を転用
      • 両脇のブースターにスペースシャトル用固体ロケットブースター(SRB)を転用

    と、無駄を承知で使い回しを想定していました。
    スペースシャトル退役はコロンビア事故を受けてのことですから順当としても、それ以外の部分に少々無茶があるとの批判が当初からあったわけでして……。
    案の定、その後の開発で様々な問題が露呈しています。

    • アレスIの第2段SSMEが空中点火できないことが判明、サターンVのJ2エンジン改良型に変更
    • 上記の理由から打ち上げ能力が不足し、アレスI第1段を4セグメントから5セグメントに変更
    • アレスIの第1段が予想以上に振動が大きいことが判明、振動吸収用ダンパーを追加(重量増加)
    • オリオン宇宙船が当初の見込みより重くなることが判明
    • 再利用前提で設計されたSSMEが高価なことから、アレスVの第1段もRS-68(デルタIV用エンジン)へ変更
    • オリオン宇宙船は陸上へ着地する予定だったものの、衝撃が強すぎることが判明し、海上着水へ変更
    • ところが、2時間漂流すると海水による腐食でオリオン宇宙船の再利用が難しくなることが判明

    等々……。
    相当なトラブル続きですね。多分、デスマーチに近い状態なんじゃないかと(^^;)
    どこかの時点で仕切り直しは必須だったと思われます。

    # かなり記憶に頼って書いていますので、間違いがあったらご指摘ください。

  • オプション5A (スコア:3, 参考になる)

    by simon (1336) on 2010年02月02日 16時31分 (#1712651)

    http://www.sjac.or.jp/common/pdf/kaihou/200910/20091007.pdf [sjac.or.jp]
    昨年オーガスティン委員会が出した報告書のなかの
    オプション5Aを選択する、ということらしいです。

    シャトル寿命:2011年
    ISS寿命:2020年
    貨物打上げ機:アレス5(軽量型)
    LEOへのクルー輸送:商業ロケット

    となると、JAXAが昨年唐突に「有人月探査」とか言い出して
    その実態はコンステレーション計画の席をカネで買おうと目論んでた企みが根底から崩されますね。

    悪巧みをしてた連中には「ざまあw」と言いたいところですが、いったんぶち上げた有人月計画はどーすんだ?
    月は先延ばしにして、とりあえずHTV改造の有人宇宙船、ということにはならんかなあ?

    • by Anonymous Coward

      >いったんぶち上げた有人月計画はどーすんだ?

      国民「よかろう!ならば独力で挑むのみ!」
      政府「しかし予算が」
      国民「笑止!宇宙目的税ならばいくらでも払おうぞ!」
      議会「無人じゃいけないんですか」
      国民「機械などに任せられるか!この身で乗り込んでくれるわ!」
      米国「じゃあおれたちも乗せなサーイ」
      国民「釣りでした!」

  • 急がば回れ? (スコア:3, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2010年02月02日 16時53分 (#1712659)

    アメリカの宇宙開発政策が大方針転換、有人月探査中止よりも堅実な技術開発に注目せよ [air-nifty.com]

     メディアでは有人月探査中止が話題になっているが、NASAの予算サマリーをざっと読んだところ、それは大した問題ではないように思われる。
     オリオン・アレス1、アレスV、アルテアというコンステレーション計画は、設計変更と遅延と試験トラブル、そしてなによりも重度の予算不足を起こしていたわけで、ここで中止するのは良い判断だ(アメリカ国内では有人月探査の中止に反発も出ているが)。

     コンステレーション計画中止とシャトル引退とで、NASAにはかなりの予算の余裕ができる。
     オバマ大統領は、そこにさらに予算を積み増した上で、少なくともこれから5年間は、1)探査に向けた基礎技術開発、2)太陽系各所への先行無人ミッションの実施、3)民間セクターを活用した有人宇宙システム開発への大規模助成といった、極めて筋肉質で堅実な計画を打ち出した。

     サマリーを読んだ段階では、これは高く評価できる。特に堅実に基礎技術開発を進めるとしたところは素晴らしい。ありものを組み合わせて月に届かせようとしたコンステレーションとは逆にに、必要な技術をひとつづつ積みかさねて結果として月、火星、火星の衛星、近傍小惑星に届かせようという考え方である。

    ぱっとニュースを見たときは単純に予算削減かと思ってしまったのですが、そういうことではないようです。すぐに成果が見えることは無いかもしれませんが、今後の宇宙開発の基盤形成に繋がっていきそうですね。

  • 月探査みたいに金がかかるが、直接利益が見込めない政策は
    米国のような、もちろん日本も、伸びきった、成熟した国では無理。
    中国やインドのように伸び代のある国、成長過程で
    余分なカネを使える国に任せるしかない。

    アメリカも世界の警察官役を降りるようだし、
    日本はイギリスのように表舞台から退場して、分相応に生きていくのが吉
  • 鳥人間コンテストなんて止めてしまえ。
    月を目指すんだ!
  • 「探査」するだけなら確かに無人機でもロボットでもできるんだが……。

    自分たちの惑星を回る衛星にすら、人を送れない。
    いつまでこんな未開文明が続くんだ。
    確かに「現在」は必要ない。だが有人探査やノウハウの蓄積は未来のために必要なのに。
    一日も早くノウハウや実績を積み重ねるべきなのに。

    せめて俺が生きてるうちに、火星に足跡を記してくれよ……。
    月面基地やプラントに着手してくれよ。
    頼むよ orz

  • by Z80 (39572) on 2010年02月02日 16時12分 (#1712632)
    月有人探査計画打ち切り → 探査はもう十分だ

    地球科学分野へと方向転換 → 地球環境を月に再現するためのデータ作成

    宇宙開発自体を大幅に縮小するという話にはならない → 探査チームは次の計画にシフト

    ということで、宇宙開発計画は月の探査フェーズが終了し移住フェーズに突入しました。

    #探査が終了しただけなんですよね?ね??
  • by eukare (2230) on 2010年02月02日 21時51分 (#1712818) 日記

    「天空の第四帝国のせい」無し。
    #DVD発売まで一ヶ月切ったなあ…

  • と言うかチオコールのシャトルSRBのラインを生かすためだけのAresⅠのムチャな1段目やAresⅤのSRBだったわけで…。
    あの超大型SRBもロストテクノロジーになるんでしょうねえ。(という事はArianeⅤのSRBが世界最大の固体ロケットか。)

    AresⅤに関しては上段をスカイラブみたいなのにしたのをどどーんと何発か打ち上げてISS2とかってのを期待してたんで中止はちょっと残念。
  • by Anonymous Coward on 2010年02月02日 15時56分 (#1712613)

    > 11年度のNASA予算は前年比1.5%増の190億ドルになるということで、宇宙開発自体を大幅に縮小する、という話にはならないようだ。
    なんでお金を掛けられるのかなあ。あ「普通の国」ではロケット開発はミサイル開発と密接に関係してるからか。

    • by Anonymous Coward on 2010年02月02日 16時15分 (#1712635)

      > 11年度のNASA予算は前年比1.5%増の190億ドルになるということで、宇宙開発自体を大幅に縮小する、という話にはならないようだ。
      なんでお金を掛けられるのかなあ。あ「普通の国」ではロケット開発はミサイル開発と密接に関係してるからか。

      普通の国では温暖化などの気候変動が安全保障にかかわる [mainichi.jp]点でも関心が高いのであります。

      親コメント
    • アメリカの次年度の軍事予算7000億ドルから考えると3%未満という雀の涙状態で酷いと思います。
      アフガンでの人殺しには330億ドルも追加(海外での軍事作戦は総額1593億ドル)するくせに。
  • by Anonymous Coward on 2010年02月02日 16時02分 (#1712622)
    人が行かなくてもいいんじゃないですか?ロボットじゃだめなんですか??

    #ロボットを月に派遣したほうがいいような
  • by Anonymous Coward on 2010年02月02日 16時17分 (#1712639)

    中国は独自の宇宙ステーション建設に向けて着々と準備を進めてる [sorae.jp]し、インドも有人宇宙飛行を計画 [sorae.jp]してる今日この頃。一度途絶えると技術の継承は大変だよ?

    シャトルの打ち上げ施設だって、結局はアポロの遺産。シャトル退役後にハリケーンで被害が出た [wiredvision.jp]りしたらどうするの?「いつかまた使うかもしれないから」という理由で直すの?

    • by Anonymous Coward

      アポロ宇宙船のアップデート版再生産でもするんでないの?

    • by Anonymous Coward

      技術は途絶えてもいいって判断なんじゃない?今現在での宇宙に行くことのメリットって低重力下での素材研究とかぐらいな気がするし。月に行ったり火星を目指したりっていうのは国威発揚の要素が強いですし。だからこそ中国とかインドがやりたいわけで・・・

      個人的には現在の化学ロケットの技術で有人飛行をがんばっても何か未来があるとは思えない。
      根本的なブレークスルーがあれば別ですが、
      ロマンはないですけどね。

      ##月にモノリスとかスターゲートが埋まってればいいんです!

      • by Anonymous Coward

        >##月にモノリスとかスターゲートが埋まってればいいんです!

        モノリスじゃなきゃダメなんですか? ダロスじゃダメなんですか?

        • by Anonymous Coward

          >モノリスじゃなきゃダメなんですか? ダロスじゃダメなんですか?
          ダロスじゃダメなんです、だって尻切れトンボじゃないですか!

          #謎解きあると信じて買ったビデオ代返せ>>Bandai!

  • by Anonymous Coward on 2010年02月02日 16時28分 (#1712647)

    ということは火星有人探査の計画もおじゃんなの?
    あれは確か月に基地を建設してからどーとかと言う話じゃなかったっけ?

    もう技術は細々と生きていくために使う黄昏の時代に入ったのかね。
    超音速旅客機も、月有人探査も過去の話。

    • 一つには経済的な事情。国威発揚の為に人を月に送り込むと言うお題目でお金とってるどころではないような火の車状態。
      戦争と言うかブッシュ政権以前の好戦的な外交防衛政策でお金と人的資源を食いつぶしてしまった上に、この25年ほど経済政策の大勢を占めていた新自由主義が国力を喰い潰してしまってる。(正確には新自由主義で大企業や富豪を優遇しすぎた上に国家財産を彼らに激安で手渡すような政策を合法化してしまったのでアメリカが貯めてきた国富が彼らに吸い取られて市場でバブルを形成してしまった)

      # 今頃は1991~2年のソ連並の大混乱・無政府状態になっていてもおかしくなかったと言うのがアメリカ経済の衰退状況。
      # アメリカ国民の智慧と努力が防いだとも言えるけど、国民皆保険制度を廻る国民の分裂 [president.co.jp]を見ていると未だ予断は許せない。

      もう一つには、この15年間くらいの「ハイテク偏重体質」を見直そうという機運が出てきてるんではないですかね?同じ仕様の部品、部材なら安い外国の物で何でも揃えて頭の部分と最終的な工程だけアメリカでやればいい。生産現場を見る必要はない。と言うアメリカ的なやりかたが予想外に予算喰う上に他の面でも開発工程の足を引っ張りすぎてるので見直す方向がオバマ政権になってから明確になっていますよ。

      # 就任早々にはじまった「BUY AMERICAN」 [cafeglobe.com]と言う、調達段階でアメリカ製品である事を優先する。と言う政策の延長線上にあるような気もする。

      そう考えると、「まずは身の丈にあったものを」と言う事じゃないですか?
      遠い将来の月探査や常駐を完全に捨てた訳でもないし、「21世紀の月一番乗り」を、勢いの有る中国やインドに譲っても仕方ない。と言う事じゃないかと。

      親コメント
    • by s02222 (20350) on 2010年02月02日 17時53分 (#1712691)
      >超音速旅客機も、月有人探査も過去の話。

      人類がやんちゃだった頃の若気の至りになっちゃうのかな。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2010年02月02日 20時39分 (#1712765)

    NASAはすでに宇宙人から空飛ぶ円盤のテクノロジーを手に入れたから、ロケットなんて原始的なものは
    必要なくなったんだよ!!

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「科学者は100%安全だと保証できないものは動かしてはならない」、科学者「えっ」、プログラマ「えっ」

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