パスワードを忘れた? アカウント作成
275126 story

172番元素までの新しい周期表が提案される 28

ストーリー by hylom
せっかく覚えたのに>< 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

現在の一般的な元素周期表では原子番号118番までの元素の欄が配置されているが、これを172番まで拡張した周期表が提案された(元論文「化学者のつぶやき」の記事)。

周期表の拡張としては、これまで第8周期以降を素朴に拡張したシーボーグの拡張周期表がよく知られていたが、今回提案された周期表では139番と140番が途中をすっ飛ばしていきなり典型元素の所に出てきたり、第8周期が埋まらないうちに第9周期に中途半端に元素が並んだりと、よく知られた周期表とはかけ離れた異様な配置となっている。超重元素では核に近い電子が光速に近いために相対論効果が強く出て、軽い元素とは異なる性質が表れてくるということで、今回提案された周期表はその相対論効果を考慮した理論計算に基づくものであるとのこと。

もっとも、今のところ発見されている最大の原子番号の元素は118番元素で、2002年の合成報告以来、先への進展はないようである(117番など、途中の元素の発見は進んでいるが)。我々が生きている間に答え合わせを見るのは難しそうだ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by hafu (31167) on 2010年11月19日 19時50分 (#1861647) 日記

    これ、シンプルな Seaborg の拡張周期表の様に電子は入っていかず、9s 軌道、8p 軌道の辺りで順番通りには並べられなくなる、という話か。 面白いんだけど、これだけ重元素となると、前期量子論で言う電子軌道を安定して最内殻の電子が周回する前に電子捕獲が起こっちゃって原子核と電子が揃った意味での「原子」としての存在が不可能になっちゃう気がする (計算は知らないけど)。
    それに、電子配置を重視するなら周期によって電子配置が異なる、例えば 10 族 (Ni-Pd-Pt) の扱いなんかが、これまで通りという方も気になる。 (そもそもこの域に達したら、元素の化学的性質なんて殆ど意味を為さなかろうに……。)

    それよりも、もっと拡張周期表が普及して lanthanides, actinides なんて飛び地がある今の長周期表が「紙面の都合」である事を知らしめて欲しいもんだ。 拡張周期表は f 軌道に電子が入る領域、d 軌道に電子が入る領域、と実に美しいと思うのだが……。

  • by TarZ (28055) on 2010年11月19日 15時39分 (#1861507) 日記

    以前の周期表を「せっかく覚えたのに><」って、あれ原子番号103くらいまでありますよね。それを覚えたって、どんだけエロい語呂合わせだったんですか!

    # その語呂合わせ教えて、お願い…。

    • by Anonymous Coward
      ふっ(F)くら(Cl)ブラジャー(Br)愛(I)のあと(At)とか?
    • by Anonymous Coward

      「暗記の肝はビジュアル化とストーリー性です。
       即ち元素をビジュアル化しストーリー仕立てで [google.com]覚えれば効率よく覚えられるというわけです」

      という授業を受けたに違いない
      # にざかなジャンキーなのでAC

    • by Anonymous Coward

      マジレス(?)すると、113番(Uut)以降は名前は系統名 [wikipedia.org]だから覚えなくても分かるし、周期表上の場所にかんしても Ute(139) / Uqn(140) / Uhp(165) / Uhh(166) / Uhs(167) / Uho(168) あたりが変なだけで、他は順序良く並んでいるので…

      普通の周期表を既に覚えた人にしてみれば、わざわざ覚えるというほどの手間ではなさそうです。

      # というか、こんなんじゃ覚え甲斐がないので誰も覚えようとしないのでは。

  • 理科の時間 [youtube.com]は103番までなので、これも改訂版がでてくる時期になったと期待してよろしいでしょうか?

    >我々が生きている間に答え合わせを見るのは難しそうだ。

    それは悲しい。

  • by Anonymous Coward on 2010年11月19日 14時11分 (#1861457)

    すでに11/17の時点でリンク先のwikipediaの拡張周期表はPyykkoの拡張周期表の記述が追加されてるね。
    なので「シーボーグの拡張周期表」でリンクするには適切ではない状態になっている。
    垂れ込みはそれ以前だったのかもしれないが、編集者はその辺いじるとか編集者らしい仕事すればいいのにと思う。

  • by Anonymous Coward on 2010年11月19日 15時02分 (#1861482)

    >超重元素では核に近い電子が光速に近いために相対論効果が強く出て、

    ぜんぜんっわかんねえよ!!
    電子ってもともと光速で飛んでるんじゃねえの?
    最内殻(K殻)の軌道半径って元素ごとに違うの?
    誰か詳しい人、高校くらいの知識レベルで教えてくれなイカ?

    • by Anonymous Coward on 2010年11月19日 15時12分 (#1861489)

      特殊相対性理論の帰結により,質量を持つ粒子は光速に達することができません.
      ですから電子は常に光速より小さい速度で原子核のまわりを回っています.
      (ここで「回っている」というのは便宜的なもので,量子力学的には正しくない描写)

      つぎに,電子がなぜ原子核に落ち込まないかというと,電子が原子核に引き寄せられる
      力と遠心力が釣り合っているからです.ちょうど人工衛星が落ちてこないように.
      (これも非常に素朴な描写だが驚くほど現実と良く合っている)

      引き寄せられる力は核の電荷量に比例しますから,原子番号の大きな原子ほど,
      一番内側の電子は高速で回らないと力が釣り合いません.計算すると,原子番号が
      3桁の電子の速度が,光速に比べ無視できない大きさになります.

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        ということは、電子が光速に達したところ(次の原子の電子が光速を超えると証明されたところ?)が
        理論上の元素の終わりということですか。それが172番かどうかは分かりませんが。

        • by Anonymous Coward

          漸近していくんで、どこかで光速に一致するわけではありません。

          • by Anonymous Coward
            陽子と中性子が増えてったらブラックホールにならないの?と思ったけど、そういえば中性子星ってあるじゃないとググったらトルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界ってあるじゃないか。
            原子番号どころかトンのレベルを超えた、元素じゃなくて星(というかブラックホール)だけどね。
        • by Anonymous Coward

          どっこい,最内殻電子の速度が光速に達するのは原子番号137番だそうです(参考 [wikipedia.org]).

          172番の方は

          原子番号が173を超えると、1s軌道の電子の束縛エネルギーが電子-陽電子の対生成に必要なエネルギーを超える。

          とありますが,…つまりどういうことなんだろう…

      • by Anonymous Coward

        具体的に、相対論的効果を考慮しない場合の元素の性質の推定と、
        考慮した場合の推定ではどのような違いが出てくるんだろう?

        • 直接効いてくるのは電子軌道のエネルギーです.相対論効果の大きい内殻電子のエネルギー(と軌道の形)が大きく変わり,原子内での電子-電子相互作用を介して上の準位の電子のエネルギーまで変わってきます.このため,化学結合の強さが大きく影響を受けることとなります.
          #エネルギーの近い軌道同士は強く結合する.そこで結合している原子のうち一方の軌道のエネルギーが変われば結合の強さが変わる

          また各軌道ごとにエネルギーの変化量が違う(例えば核に近い軌道と遠い軌道で大きく違う)ので,エネルギー順に並べた軌道の順序も入れ替わってきます.そのため,単純な計算だとd軌道に電子がいると思いきや,実際には上のs軌道の方がエネルギーが低くなって電子はそっちに入っていたり,と言うことで理論と実測が大きく変わってきます.
          #軌道が変わると対称性が変わるので,結合方向(分子の形)やら反応性やら全てが変わります.

          大ざっぱに,原子番号で50あたりから効果がよく見え始めて,もう一周期下がると考慮に入れないともう計算が成り立たない,とかそのぐらいですね.Cu,Ag,Auそれぞれの結合エネルギーの計算で,Cuだとほとんど無視できる,Agだと1-2割ぐらいズレが出る,Auだと半分ぐらいになる,とそのぐらいだった気が.
          有名どころですと,原子番号78-79-80のPt,Au,Hgでそれぞれ触媒の反応性,金のあの色,水銀が液体になる理由,あたりの説明は相対論的量子化学を使わないとどうにもならなかったと思います.

          親コメント
        • by Anonymous Coward
          「相対論がプラチナを触媒にする」という本があります。面白いです(宣伝じゃないです)。
      • by Anonymous Coward

        電子と一緒に回る座標系でイメージするわけでもないのに
        遠心力と引力がつりあう、なんて説明をする意義は果たしてあるのだろうか

        それとも他の人は電子に乗った視点でイメージしているのだろうか?
        俺は原子核の周りを回る電子を外から眺めているという視点でイメージしてしまうが…

        というか、電子が原子核に落ち込まないのはより低いエネルギー準位が存在しない状況だからでは?

    • そもそも電子は飛んでいるのか? と量子論的な話にしてみる.(確か高校でもs, p, d軌道なんかの概念図は勉強するよね?)

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        >(確か高校でもs, p, d軌道なんかの概念図は勉強するよね?)

         残念ながらソレは、いつ、どこの高校で、誰に、なにを、教わったかで変わってしまうのですよ。

        #化学は残念な結果だったAC

  • by Anonymous Coward on 2010年11月21日 1時02分 (#1862007)
    番号増やす拡張もいいですが, はやく負方向へも拡張して欲しいものです.
typodupeerror

Stay hungry, Stay foolish. -- Steven Paul Jobs

読み込み中...