硫化水素でマウスの人工冬眠に成功 12
ストーリー by Acanthopanax
zzz 部門より
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torly曰く、"中国新聞の記事によると、フレッドハッチンソンがん研究センターのロス博士らがマウスを人工的に冬眠状態にすることに成功した模様です(BBCのより詳細な記事(英語)/本家記事)。実験で80ppmの硫化水素に晒されたマウスは、代謝速度が90%下がり、呼吸数も10回/1分未満に落ちました。6時間経ち、通常の環境に戻された後は正常に戻り、後遺症を示しませんでした。"
論文は、Science誌に掲載(要登録)されている。
応用分野 (スコア:2, 参考になる)
この類いの話になると、有人恒星間飛行のための人間の人工冬眠の話がすぐに出てくると思いますが、このプレス・リリースによると、ロス博士らは以下のような応用も考えているようです。
・ガン治療
酸素を必要としないガン細胞を治療しようとすると、周りの健康な細胞を必要以上に傷つけてしまいます。周辺の細胞の代謝を落とせば、もっと有効な治療ができるかも。
・臓器移植
代謝を下げれば、体外で臓器を長時間にわたって生きたままにすることができます。
・高熱患者の治療
人間は高熱が続くと脳を損傷します。現状ではERに運び込まれた患者は氷の中で体温を下げられていますが、代謝を下げて体温を低下させるならば凍傷の危険もありません。
個人的には、思ったより応用分野がひろいんだなあと感じました。
情報追加 (スコア:3, 参考になる)
Eggy smell sends mice into hibernation [nature.com] - Nature Web News
卵のような臭いはマウスを一時停止させます [mypress.jp]
硫化水素(H2S)では、最近起きたケミカルタンカーで死亡事故 [mainichi-msn.co.jp]が一番初めに浮かんだのですが、濃度の違いで大きな利益、という話になるかもしれないのですね。
ついでに、この類いの話では必要不可欠な、有人恒星間飛行のための人間の人工冬眠の話をリンクします。ESAの「DADLE(D-Ala2,D-Leu5-エンケファリン)」についての研究の記事です。
Could astronauts sleep their way to the stars ? [nature.com](現在は有料記事)
宇宙飛行士達は、星へ向かう時に冬眠できるのでしょうか ? [mypress.jp]
タレコミを出そうと思ったら既に有ったので(ローカルを確かめてよかった)、情報だけ追加します。
Re:応用分野 (スコア:1)
我々が通勤電車でちょっと寝るような感覚で、 彼らは宇宙船の中で何ヶ月も冬眠してしまうのです。
#映画ではこの設定はあんまり役にたってないみたい。
ジェダイの例は極端ですけど、人工冬眠ができれば火星旅行くらいは可能になるんではないでしょうか。
冬眠? (スコア:2, すばらしい洞察)
マウスって自然には冬眠するんでしたっけ?
人間などの冬眠しない動物を強制的に冬眠させたら、ちゃんと
起きるのでしょうか?それこそ後遺症が心配…、というかそのまま
永遠にお眠りになりそ…。
#うちのノートPCもサスペンドしたら、ちゃんと復帰できないことが
#あるので…。
Re:冬眠? (スコア:1)
Re:冬眠? (スコア:1)
なるほど、マウスがある条件下で起こす日内休眠を硫化水素を用いることで人工的にその状態にすることに成功した、というみたいですね。
ありがとうございました。
後遺症を示さなかったって (スコア:1)
屍体メモ [windy.cx]
Re:後遺症を示さなかったって (スコア:2, 参考になる)
SHIRPAテスト [springerlink.com](リンク先はオリジナルの論文概要)と呼ばれる、変異体マウスの異常に関して評価するテストがあります。論文中ではそれを用いて評価したと述べているので、少なくとも最低限度の確認はされていると言うことでしょう。
行動そのものが正常か(primary screen)、異常があるのであればバランスととれないのか、飲食行動に異常があるのか、といった細かい表現型特徴を調べ(secoundary screen)、その細かい異常の原因が神経異常か、酵素レベルの異常か調べる(tertiary screen)テストで、1997年に提唱されて今回も用いられていると言うことはそれなりに実績のあるテストではないかと思います。
ありがとうございます (スコア:1)
屍体メモ [windy.cx]
Re:後遺症を示さなかったって (スコア:0)
免疫力は落ちないの? (スコア:1)
脳低体温療法では32~33℃を数日
心臓血管手術における超低体温では17℃2時間程度で
脳血流完全停止。
でも体にかなり負担をかけて免疫力が大幅に低下します。
具体的には肺炎等にかかってしまうようになります。
成長ホルモン [naoru.com]などの対処方法もありますが、
そういったことはこれから研究されていくのでしょうね。
おならをガマンすると (スコア:0)