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「ヒトゲノム地図」完成 55

ストーリー by yosuke
地図がなければはじまらない 部門より

canashiro曰く、"読売新聞によると日米など5か国の国際研究チームが、人が生まれつき持っている体質が全遺伝情報(ヒトゲノム)のどの部分で決まっているのか、その所在地を示す遺伝情報の“地図”を完成させた。
まだ、地図内のどの場所がどの病気と関連するかは解明されていないようだが、オーダーメイド治療の実現に近づく成果として期待されている。
薄毛の諸氏にうれしい画期的な治療法の実現にも一歩近づいたのかもしれない。"

日本からは理研の遺伝子多型研究センターが参加している国際ハップマッププロジェクトが、ヒト全染色体のハプロタイプ地図を完成させ、10/27付けのNatureで発表した(理研のプレス・リリース)。
ヒトゲノムには、核酸の変異により0.1%程度の個人差(多型)があるといわれている。その中でも、個人間で1つの塩基が置き換わっているSNP(一塩基多型:single nucleotide polymorphism)と呼ばれる箇所は数も多く単純であることから、オーダーメイド医療の有用な道具になると考えられている。このSNPについては、染色体上で近くにあるものが1つのブロック(ハプロタイプ)として遺伝することがわかっている。これによって、1000万もある全てのSNPについてではなく、ハプロタイプ単位で遺伝子型の解析を行なうことにより、効率的に機能を把握することができる。そのため、ハプロタイプがゲノム上のどこにあるかを示す地図が必要とされていた。
なお、この成果は公開データとされており、自由にアクセスすることができる。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • >染色体上で近くにあるものが1つのブロック(ハプロタイプ)として遺伝することがわかっている。

    ところが今回の論文で分かったこと(私見ですが)は、むしろハプロタイプブロックとい
    う概念の終わりなのかもしれません。
    SNPsは膨大な数があるのですが、それを全て調べることはコスト的にも時間的にも不可能
    なので、ブロック単位で代表する1つのSNPをTag SNPとしてとらえれば省力化ができる
    という期待が持たれていましたが、既存の方法でハプロタイプブロックを決めようとすると
    ブロックが細切れになって省力化にはあまり寄与しないということが分かってしまいました。

    そのため小さい単位でのブロック構造を示すことは論文中ではあきらめたような形になり、
    より大きな単位での組み替え頻度を表しています。
    それは生物学的には重要ですが、病気の原因を探すにはあまり有効でない話で、ハプロタ
    イプブロックを決定してSNPsで原因遺伝子発見、という期待は実現されなさそうだという
    印象を受けました。
    --
    kaho
    • by Anonymous Coward on 2005年10月30日 2時28分 (#822374)
      たれこみで紹介されている10/27付けのNatureで発表 [nature.com]というのはHapMap Projectの論文ではなくて、別の論文ですね、たぶん。HapMap Projectの論文はこちら [nature.com]ではないでしょうか。

      それはさておき、kahoさんのお考えがよくわかりません。

      >既存の方法でハプロタイプブロックを決めようと
      >するとブロックが細切れになって省力化にはあまり
      >寄与しないということが分かってしまいました。

      というのは、どのようなことでしょうか。ブロックが予想よりも小さかったということですか。そうとう長いと予想されていたのでしょうか。

      アフリカ人は中国日本人よりも、ブロックが短そうですが。

      逆に、(ブロックが長いので、と言う意味でしょうか)

      >ハプロタイプブロックを決定してSNPsで原因遺伝子
      >発見、という期待は実現されなさそうだという印象を
      >受けました。

      とありますが、もともとSNPsはほぼ、5kbくらいの間隔でわかっているので、ブロックの長さには関係がないように思います。

      親コメント
      • >たれこみで紹介されている10/27付けのNatureで発表というのは
        >HapMap Projectの論文ではなくて、別の論文ですね、たぶん。

        あ、申し訳ないです。ちょうどNature Podcast [nature.com]で
        HapMapの話を聞きながらだったので確認せずにHapMap関連だと思い込んでいました。

        以下、私のやっている仕事に関連しているので、あまりにも専門的になってしまい
        分かりにくくなってしまったらすみません。

        > >既存の方法でハプロタイプブロックを決めようと
        > >するとブロックが細切れになって省力化にはあまり
        > >寄与しないということが分かってしまいました。
        >
        >というのは、どのようなことでしょうか。ブロックが予想よりも小さかったということですか。
        >そうとう長いと予想されていたのでしょうか。

        予想よりもかなり小さかったというのもありますが、これは論文には書かれていないことですが、
        もっと問題なのはブロック間の隙間がかなり広くなってしまったということがあります。
        ブロック内のSNPはTagSNP一つで解析が省力化されることが期待できますが、ブロックの
        隙間のSNPsは確実に連鎖しているSNPsがありませんので全て解読しなければいけません。
        ブロックに属するSNPsと属さないSNPsの数の比から考えてどれほど効率的にTagSNPが
        決定されたとしても全ゲノム解析をSNPsで行うのは高コストであることは変わらないという
        ことが判明した、というのが私が自分で行った計算の結果と考察です。

        > とありますが、もともとSNPsはほぼ、5kbくらいの間隔でわかっているので、
        > ブロックの長さには関係がないように思います。

        上に述べたようにブロックの長さは解析のコストに反比例します。
        単独の遺伝子が原因の病気はかなり解析が進みましたが、これからは複数の
        遺伝子が関係する病気の解析にターゲットが移っています。
        正体の分からない複数の原因遺伝子を見つけるためにSNPs解析を網羅的に行う
        ことはHapMapのデータを得てもコスト的に見合わないと考えています。

        SNPsを病気の原因遺伝子の解明に用いるとしたら、予め限定した候補遺伝子に
        ターゲットを絞って行うか、ヒト集団全体を対象にした関連解析ではなくて血縁関係
        を元にした連鎖解析に用いるかするべきではないかと考えます。
        --
        kaho
        親コメント
        • ありがとうございました。

          調べなければならないSNPsの数が予想よりも多すぎる、ということなのですね、なるほど。

          理研のプレスリリース [riken.jp]をみると、中国人日本人の場合、25万のSNPsで全ゲノムの98.5%の領域をカバーすることができることが明らかとなった、とあります。

          全ゲノムに1000万くらいあるSNPsのうち、25万をしらべればよいのですから、かなり省略できる、といっても、莫大な数です。ひとつ調べるのに100円だとしても、一人の検体につき2500万円かかるっていうことで、相関分析するのに、何検体必要なのかわかりませんが、20人分として、5億円ですか。実際はもっとずっとかかる、ということですね。
    • 個人的には、ハプロタイプブロックなんてのは、そもそも人種毎にまちまちな訳で、TagSNPにしても、効率よくそれらを抽出する手法は特にない訳です。これもまた人種差異がありますし。  結局、candidate geneのSNPsを調べて相関解析というのが、もっとも納得のいくやり方で、で、それも人種毎にinfomativeなSNPであったりそうでなかったりする訳です。歯がゆい気もしますが、その辺が事実なところではないかと。
  • by Anonymous Coward on 2005年10月29日 9時23分 (#822107)
     薄毛の諸氏にうれしい画期的な治療法の実現にも一歩近づいたのかもしれない。

    これですか・・・
    いや、人によっては切実な問題なんだろけど。
    • by gendohki (16311) on 2005年10月29日 9時37分 (#822114)
      切実ですよ。
      「ハゲってカッコイイよね」って女の子の遺伝子を組み替えてもらうですよ。

      #……来ねぇかなスキンヘッドブーム。
      --
      「なんとかインチキできんのか?」
      親コメント
      • by huixteng (22050) on 2005年10月29日 10時19分 (#822119)
        > 「ハゲってカッコイイよね」って女の子の遺伝子を
        > 組み替えてもらうですよ。

        雌がハゲを嫌うにもかかわらず、
        なぜ人間の雄にはハゲがプログラミングされているのか?
        というのは進化心理学の永遠の謎だという話を聞きましたが
        本当でしょうか。専門家の方のご意見を聞きたいです。

        一説には、既に体力衰退しているにもかかわらず
        これ以上子供を増やすと、今まで以上に財力・体力を
        家族に分け与えなきゃいけなくなるので、
        自ら雌の興味の対象外になるように仕向けるため
        進化の過程で習得したワザらしいですが。

        ご先祖さんそんなワザいらんです
        と思ってしまいます。
        --
        閾値は 0 で
        親コメント
        • by aquila2664 (26677) on 2005年10月29日 11時05分 (#822136)
          なぜ人間の雄にはハゲがプログラミングされているのか?
           脱毛が起きる男性の前頭部の毛母細胞と後頭部の毛乳頭細胞は、男性ホルモンとの感受性が異なることが知られています。前頭部の毛乳頭細胞は、男性ホルモンが増加すると毛母細胞の活性をブロックし、毛周期が退行期誘導され毛が抜けます。後頭部の毛乳頭細胞はアンドロゲンの影響をほとんど受けません。両性の腋毛、恥毛、それから男性のひげや胸毛は逆に、男性ホルモンが増加すると、毛周期が成長期誘導されます。

           かように、禿とは性的成熟を示すサインなわけですから、生物学的には雌に忌避される要素はないのではないかと思われます。ヒトではどちらかというと社会学的な要素が大きいのではないでしょうか。たとえば、現代社会ではアンドロゲンが誘導する闘争的、攻撃的性格は必要とされていない、とかね。

           こっからは妄想ですけど、仮にヒトがネオテニーの完成を目指す方向に進化しようとしているならば、成熟とともに形態変化する個体を淘汰しようとする圧力がかかっている可能性はないでもないですが…
          親コメント
        • by RowFill (28503) on 2005年10月29日 10時42分 (#822126) 日記

          雌がハゲを嫌うにもかかわらず、
          なぜ人間の雄にはハゲがプログラミングされているのか?
          というのは進化心理学の永遠の謎だという話を聞きましたが
          本当でしょうか。専門家の方のご意見を聞きたいです。


          心理学の問題であれば
          「なぜメスがハゲをなぜ嫌うか」が
          問われるべきじゃないですかね。

          # ここは頭髪に脆弱性を持つ人のスレですね?
          親コメント
          • 実は禿げを嫌うのは主に雄だけらしい。
            つまり、雄が『これでは雌に嫌われる』とかってに思い込んでいるだけで、
            雌にとっては『禿げ?気にしないけど』ということだという学説があります。

            というのも禿げる原因に男性ホルモン過多が理由の一つに上げられるからで、
            女性はそういった男性をより男性らしいとむしろ好むと発表した論文を読んだことがあります。
            (Natureだと思ったけど、間違っているかも)
            参考、本当に色々な学説があるらしい:
            http://members.at.infoseek.co.jp/hottokei/gensyou.html

            こういった問題は人類を二分する程の利害が絡むため鵜呑みには出来ないですが、こういった研究もあります。
            http://www.forestlee.co.jp/03_chuuka.html

            # そういえば、あの教授も禿げの素晴らしさを力説していたなぁ
            親コメント
        • by tachyon (24078) on 2005年10月29日 12時57分 (#822176)
          一般的に生殖が行われる年齢の後に発現する性質については、進化のメカニズムでは淘汰の対象にはならないんじゃないでしょうか?
           まだ生殖が行われる前の青少年期の時点でのハゲなら、配偶者候補に嫌われることによって、それを引き起こす遺伝子が遺伝子プールから取り除かれることもあるでしょうが、生殖を済ませた中壮年期でハゲになっても、そのための遺伝子はすでに子供に受け継がれているので「後の祭」ということなのでは?
          親コメント
          • by hiddenangel (14285) on 2005年10月30日 1時38分 (#822358)
            日本ではあまり馴染みの無い病気ですが、ハンチントン舞踏病という死んでしまう遺伝病がなくならない原因はまさにこれだったりします。
            ハンチントン舞踏病は、大体30-40歳で発症するんですが、そのころには子供がいる人も多いのです。

            また、ハンチントン舞踏病の家系であるけれど子供を成した兄と、病気を警戒して子供を作らなかった弟がいて、けっきょく発症したのは兄の方だけなんていうエピソードも山盛りのようです。
            親コメント
        • by Anonymous Coward on 2005年10月29日 12時48分 (#822172)
          > 雌がハゲを嫌うにもかかわらず、
          > なぜ人間の雄にはハゲがプログラミングされているのか?

          単に、禿げるときは既に子供までできてしまっているから、雌の好みがどうだろうが子孫が繁栄しているだけだったり。
          若禿げは淘汰されているかもしれませんよ?
          親コメント
        • #822119 の私のコメントに、いろいろ専門的なご意見をいただいて恐縮しています。

          私が書いた、

          > 一説には、既に体力衰退しているにもかかわらず
          > これ以上子供を増やすと、今まで以上に財力・体力を
          > 家族に分け与えなきゃいけなくなるので、

          云々の話ですが、ソースは竹内久美子氏(研究者らしい)の書かれた本で
          専門書ではなく軽い読み物のような体裁だった
          記憶があります。

          肝心の書名が記憶になくて、amazon で調べた限りでは、
          「男と女の進化論―すべては勘違いから始まった」(新潮文庫)
          だったように思うのですが…。
          --
          閾値は 0 で
          親コメント
          • by tachyon (24078) on 2005年10月29日 17時29分 (#822248)
            竹内久美子といったら、リチャード・ドーキンスの「生物=生存機械論(あるいは「利己的な遺伝子」論)」を、ドーキンス自身が人間の行動には適用できないと主張しているにもかかわらず、安直に援用して適当なことを吹いているトンデモの類いです。真に受けてはいけません(--;)。
            親コメント
            • > 真に受けてはいけません(--;)。

              おおっとそうだったんですか。

              実は私は、この分野は最近になって興味を持ち、
              つい先日ロバート・ライトの「モラル・アニマル」を
              読んだばかりのペイペイです。

              そこから本当は遡って、リチャード・ドーキンスや
              ジョン・メイナード・スミスへ至るべきなのでしょうけれど、
              なかなか不勉強で、寝る前の軽い読み物的な
              安直な方向へ走っております。面目ない。
              --
              閾値は 0 で
              親コメント
            • この流れで竹内久美子の名前が出るかなと思ったら
              やっぱり出てきてワロタ
        • イタリヤに行くと禿はもてるみたいな話を聞いたことがあります。
          文化的な要因じゃないですかね?

          #まぁ、要因が文化的でも淘汰はされるのか
        • >つまり、最初から成熟し(ハゲ)ている個体だけになるのですね?

          このまま人間が進化していくと胎児のような風貌になるという説がありますね。
          つまりどんどん早産になっていくから、体毛がなくて目が大きくて頭が大きい生物、それはまるでアメリカで人をさらって行く宇宙人のような風貌です。
          だから宇宙人は実は未来から来ているなんでネタが発生してくるわけで。
          人間は生まれてすぐに歩けなかったりとか脆弱ですが、チンパンジー並みに成長してから出産しようとすると20ヶ月くらいはかかるらしいですね。
          それだけ早産というわけです。
        • 昔は人間の平均寿命ってそんなに多くないですよね。
          そうすると大体ハゲきる前に死んでしまうので
          効果ないような気が。

          半島の100年ちょっと前の平均寿命は26歳だったということは
          あの時代ハゲは長寿の印で尊敬されてたのだろうか?
    • by canashiro (17571) on 2005年10月29日 10時53分 (#822131) ホームページ 日記
      タレコミ人です。 最近ひしひしと恐怖をあじわっているので……

      --
      抜け毛の多いcanashiro
      --
      I think I can
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2005年10月29日 9時27分 (#822108)
      私は切実ですけど(笑)
      ウイルスを使って遺伝子操作をする方法はありますが、精度とか安全性とかはどうなんでしょう?
      地図が出来ても、内容の解析や遺伝子操作方法の問題とかあるので、恩恵を受けるには現実的にはまだまだ先のような気がしますが。
      親コメント
      • by guchis (27687) on 2005年10月29日 10時48分 (#822128) 日記
        遺伝子「診断」だけでも結構有用になるんではないかと思いますよ。あなたにはこの薬、みたいな。
        それに毛髪や肥満関係はお金になりそう多くの人が恩恵を受けるってことでよく研究されているみたいですし。

        ---
        カッコいいハゲを目指している guchis

        親コメント
    • by Anonymous Coward
      禿を人生の問題として深刻に受け止めるのは 東アジア,特に日本と韓国だけなので,研究して成果を出してもそこまでお金にならないとか. 大きな研究所は,それだったら,同じ手間かけて,世界中に潜在的な顧客が想定できるアレルギーとか肥満の研究をした方が,期待できる経済的成果が大きいと. なので,皆様は独自に研究なさるのがよろし.
      • by Anonymous Coward on 2005年10月29日 15時33分 (#822220)
        >> 禿を人生の問題として深刻に受け止めるのは東アジア,特に日本と韓国だけなので,研究して成果を出してもそこまでお金にならないとか.

        そこまで言ったら明らかに間違いでしょう。欧米だって禿を悲しむ風潮はありますし、皆、避けられるものなら避けたいと思ってますよ。日本や韓国ほどには深刻じゃないというのは事実だとは思いますが、単に比較の問題で「ハゲてきても全く気にしない」というワケではない。
        親コメント
  • by t_mrc-ct (5292) on 2005年10月29日 11時56分 (#822158) 日記
    ヒトゲノム地図ってジャンクDNA [srad.jp]の部分も地図に載ってるんですかね。
    もしも載ってないんだったら「残りの97%の地図作り」という膨大な仕事が…
  • ねこみみ (スコア:2, おもしろおかしい)

    by Yuryu (19524) on 2005年10月29日 13時40分 (#822188) ホームページ
    このようなニュースを聞くたびに、ねこみみ(別にその他の耳でも良い)が実現しないのかとどきどきします。

    そんな私はだめな子。
  • by teratera (19792) on 2005年10月30日 0時26分 (#822331) 日記

    SNPsとオーダーメード医療の話が出たときに、絡んできそうなのが医療保険・生命保険の問題です。
    簡単にSNPs解析を行えるようになれば「家族に○○病患者がいる」というよりも、より明確な形で遺伝性疾患の危険率が評価できます。癌になりやすい人に対して、通常より割高な保険料を請求するような会社がでてもおかしくないです。そのあたりの問題はきちんと議論されているのでしょうか
    #アメリカではゲノム計画が始まった1990年代前半にこの議論が始まっています

    議論を要求するものの例として、他にも「どこからどこまでを疾患と評価するか」という問題がでてきそうです。
    SNPsで規定されている以上、その状態がその人のデフォルト状態……と解釈すると、例えば皮膚ガンになりやすい遺伝子を持っている人は、皮膚ガンになっても「もともとそういう人だから、しかたない」と「他の人ならば疾病と判断される症状を疾病と判断されなくなる」リスクがでてきます。
    #極論です、当然ですが

    メリットだけ見ていると、恐ろしい社会になってしまいそうです

    • Re:保険の問題は? (スコア:3, すばらしい洞察)

      by hiddenangel (14285) on 2005年10月30日 1時17分 (#822348)
      保険のみならず、遺伝病の診断や治療は難しい問題です。
      まず現在、遺伝病を治す方法は基本的にありません。
      日本ではあまり問題にされませんが、遺伝病と診断された胎児に対する中絶の問題が発生します。

      さらには、どこまでが病気であるのかという線引きの問題が発生します。
      ハンチントン舞踏病は死んでしまう病なので非常に明確な議論ができるとは思いますが、たとえばダウン症候群などについてはどうでしょう? また、ダウン症候群を病気と認めた場合に、現在ダウン症候群で生まれて生きている人達の立場はいかがなものとなるのか?
      これは別に私自身の杞憂だけではなく、出生前診断の問題として生命倫理の分野で議論され続けている問題でもあります。

      また、この分野の技術が進んで、遺伝子治療というか遺伝子の書き換えが可能となった時に、どの程度までそれを許容できるのか、という問題も発生しそうです。
      たとえば、どこかの中絶させられるはずの胎児を金持ちのクローンに書き換えて借り腹をして産ませるのは許されるべきでしょうか?

      日本人は物としての人体はともかく、人体の設計については比較的自由な信念を持っている人が多いので、西欧というかキリスト教徒的な信念を持つ人達とまた違う議論をせねばいけないでしょう。比較的柔軟な発想ができるでしょうから、技術の進歩にとっては有利な立場なのでは無いかとも思っています。

      この問題からは、派生する社会問題が数多く発生するように思われます。もちろん、発生する問題があるからといって、開けうる技術の可能性を摘み取ってしまうのもナンセンスであると思います。診断が確定的にできるようにならなければ治療はできませんし、この技術の芽を摘むということは、死に至る遺伝病で亡くなる人が必ず一定以上発生するということでもあります。

      私は遺伝子操作で肌の色が治療されてしまう未来を望みませんが、死に至る遺伝病が少しでも減ればいいとも思います。
      親コメント
      • by zukky (26273) on 2005年10月30日 6時00分 (#822401)
        いつも思うのですが、個人が死に至る遺伝病で死ぬのは嫌だからなんとかしようと思うのは当前として、マクロの視点に立ったとき、はたして「死なないように」してしまって好いのかと言う疑問があります。
        システムとして破綻しているのならば、改善する必要がありますが、人間が生まれる遥か以前から概ねうまく機能しているシステムを変えてしまって、大きな破綻を招くのではないのか、空恐ろしく感じます。
        #会社の隅でひっそりと動いていたPC-UNIXのサーバを鶴の一声でWindowsにリプレースさせられて、悲劇が始まったなんていう話はよく聞く昔話のように思います。
        親コメント
        • by hiddenangel (14285) on 2005年10月30日 10時59分 (#822436)
          それはどちらかというと、医療すべての問題であると思います。
          現在の地球には過剰と言って良いだけの人間が住んでいると私は思いますが、医療の発達が占めている部分は非常に大きいでしょう。
          そして、人間が多すぎる事が、非常に大きな弊害をもたらしていると私も思います。
          zukkyさんの懸念は、非常に適切であると思います。
          翻ってみると、治療行為そのものの是非は遺伝病に限らない問題でもあります。

          私が遺伝病の治療について考えるとき、非常に気になるのが「なにが治療なのか?」という事です。
          現在「治療」と呼ばれているもののほとんどは、その人の人生のある時点で達成する事ができる健康状態への「回復」でありますが、これを定義とすると遺伝病は「治療」しえない事になります。
          しかしながら、先天性の疾患を臓器移植などで「治療」するというのは非常に受け入れやすい感覚です。こちらは遺伝病の「治療」に近い捕らえ方でしょう。
          しかしながら、遺伝病の「治療」の技術がもたらす効果はそればかりでなくて、たとえばそれこそ頭髪の過多であるとか、肌の色であるとか、顔の造作であるとか、そういったことをも修正することを可能にもするでしょう。
          しかも、ある程度成長してからというより、生まれる前に。

          私も、遺伝病の治療という概念がもたらす先には非常に多くの問題が待っているとは思いますが、しかしそれでもやはり治療ができる未来が来る事を望んでいます。
          いまさら「遺伝子診断するな」とも言えない所まで来ていると思いますし、診断をした後には元コメントのようなたとえば保険や、あるいは婚姻条件や就職の有利不利といった非常に切実な格差の問題になると思っています。

          #もしくは、老衰そのものが遺伝子の書き換えによって完全に防げるとしても、それを行うべきではないという話でしょうか?
          #これもそのまま実現してしまうと単純に人類が増えすぎて困る事になりそうですが、いつかは達成して欲しいと思います。
          親コメント
    • by Anonymous Coward
      そういうことが起きないよう出生前に検査して生まない。

      すばらしき新世界 \(^_^)/
      • by Anonymous Coward
        そして種の多様性を欠くことを自ら選んだ人類は絶滅という道を辿る。

        すばらしか?新世界
  • by nabek (28461) on 2005年10月29日 13時41分 (#822190)
    Googleで遺伝子マップが見れちゃったりして。
  • ローマ法王 (スコア:1, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2005年10月29日 22時11分 (#822305)
    こういう構成すればローマ法王を作れるというところまでやってみよう。
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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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