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11850 story

暗黒物質のいらない重力論 23

ストーリー by yosuke
the-simple-formula 部門より

本家記事より。セント・アンドリューズ大のHong Sheng Zhaoらは、暗黒物質なしで銀河の運動を記述する重力理論を Astrophysical Journal Lettersで発表した。(セント・アンドリューズ大のプレス・リリース素粒子物理・天文学研究評議会のプレス・リリース)。
銀河外縁のガスの回転速度から銀河の質量を見積もると、光学的に観測できる質量の10倍以上が必要になる。このことから、暗黒物質と呼ばれる相互作用の弱い物質が大量に存在するとされている。
これに対して、暗黒物質を使わずにこの現象を説明するものとして、Mordehai Milgromによって提唱された修正ニュートン力学"がある。これは、運動方程式 F = m a を修正して F = m μ(a/a0) a としたもので、加速度が非常に小さいときには力と加速度は比例しなくなる。Zhaoらはこの関数をさらに修正し、あらゆるスケールで使える方程式を作り上げたと主張している。詳細な内容については、エディンバラで4月に開かれるAlternative Gravities & Dark Matter Workshopでも発表される。
暗黒物質に関する/.Jの記事:暗黒物質の粒子は熱かった?

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  • 微妙… (スコア:1, 興味深い)

    by TarZ (28055) on 2006年02月16日 3時12分 (#884358) 日記
    暗黒物質もそうなのですが、これも「現象を説明するための理論」
    ということなのかな…。要約だけだとよく分かりませんが。

    現象を説明するための理論というのももちろん必要でしょうけど、
    美しさという観点では、まず理論があってそこから未知の現象の
    存在が導出される(で、その現象が実際に見つかって理論の正しさ
    が検証される)というのがいいかなあ。

    # 「現象が先」で著名なのは、ニュートリノ(β崩壊で欠けたピース
    # が…→きっと未知の素粒子が!)かな。

    今回の重力理論は、背後を流れる何かしっかりした理論的な裏付け
    があるのですかね。銀河の運動の説明以外に。

    (3時間過ぎてるのに1got!! 本家は活発でいいなあ)
    • Re:微妙… (スコア:3, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2006年02月16日 10時07分 (#884437)
      普通現象が先だと思うけど。

      1)今までの理論で説明できない現象が出てきた
      2)->それを説明する新理論
      3)->新理論によって導かれる、旧理論と異なる結果の出る
      未検証の現象が、予言される。
      4)->予言の実験、検証。
      5)->旧理論に変わるものとして広く認められる。

      と言う手順を踏むのが、科学の進歩一般の道筋。
      経済学や哲学は(3)から先ができないから、
      人の数だけ理論があって収拾つかない。
      親コメント
    • Re:微妙… (スコア:2, 興味深い)

      by oshu (25681) on 2006年02月16日 6時14分 (#884375)
      ># 「現象が先」で著名なのは、ニュートリノ(β崩壊で欠けたピース
      ># が…→きっと未知の素粒子が!)かな。

      物理学の歴史を見ると、確立された理論の大部分が
      おっしゃるところの「現象が先」だと思うのですが・・・??
      (古典力学も統計力学も古典量子力学も特殊相対論も・・・)

      ま、いずれにしても
      暗黒物質はなんとなく眉唾な気がしているので、
      暗黒物質の存在を否定する理論の研究には頑張ってほしいです。

      #暗黒物質を否定するためなら、
      #エレクトリック・ユニバース・モデルに魂を売ってもいい!・・・かも?
      --
      敢えて言おう。カスである!と。
      親コメント
      • by TarZ (28055) on 2006年02月16日 10時57分 (#884470) 日記
        複数コメントをいただいていますがちょっとここにぶら下げます。

        特殊相対論って、現象ありきなんでしたっけ。ローレンツの仕事が現象ありきだ、
        ってのは分かるのですが…。
        と思ってウィキペディアを見てみたら、特殊相対論の項 [wikipedia.org]では
        「マイケルソン・モーレーの実験では、(中略)相対速度は検出されなかった。
        (中略)このような背景のもと、アインシュタインは…」
        と書かれているなあ…。
        アインシュタインはマイケルソン・モーレーの実験を知らなかった、という話が
        あったと思うのですが、ググると「アインシュタインは講演でそう主張しているが
        ウソくさい」という見解もあるようで。

        では、別の例を。

        何年か前にPhysical Review Letterに「右回りのコマは軽くなる」という論文が
        載りましたが、これはなにか既存の理論では説明できない現象があってその説明の
        ために作られたわけではなくて、最初に理論があってその検証のためにコマを回して
        みたら(理論で予想した通りに)実際に右回りさせたコマが軽くなる現象が見つ
        かった、というものだったと記憶しています。
        これは、結局は誤りが指摘されたようですが。

        「現象ありき」でぱっと思いついたのがニュートリノの例だったので言及しました
        が、それを持ち出すまでもなく大部分が(少なくとも推論を始めるきっかけとして
        は)現象ありきだ、と言われればそうかも知れません。
        親コメント
        • by Anonymous Coward
          今の理論で不都合なことが無いのに、新理論をわざわざ立てる
          ようなことはしないでしょう。
          必要も無いのに新理論をやたら作るのは科学的なアプローチではなく、
          ただの目立ちたがり屋です。

          科学のセオリーとしてもっともシンプルな説明を選ぶ
          べしという「オッカムの剃刀」と言うのがあります。

          新理論と旧理論で説明能力や予言能力に違いが無い場合、
          唯一、新理論の方が古いものよりシンプルに物事を
          説明できると言う場合にかぎり、
          新理論が受け入れられるでしょう。

          天動説が、地動説に取って代わったようなケースですね。
    • by jpgr (27776) on 2006年02月16日 12時58分 (#884598)
      # 「現象が先」で著名なのは、ニュートリノ(β崩壊で欠けたピース
      # が…→きっと未知の素粒子が!)かな。

      ワシの思い違いかもしれませんが、ニュートリノはまず「理論が先(スピン保存則が破れないように導入した)」で、後から発見されたという順番だったと思いますが...。

      #全く自信がないけど敢えてID

      親コメント
      • Re:微妙… (スコア:2, すばらしい洞察)

        by TarZ (28055) on 2006年02月16日 13時07分 (#884610) 日記
        # ひょー。^^; ちょっと線引きが微妙な問題を挙げてしまった気がするので
        # ツッコミ多数。

        とりあえずこの件について書きますと、各種保存則は理論じゃないんです。
        あれは信仰です。
        親コメント
        • 補足 (スコア:2, おもしろおかしい)

          by TarZ (28055) on 2006年02月16日 13時19分 (#884621) 日記
          もちろん私も信仰しております。

          # 他にも仕事量(*1)不変の法則とか、質量保存(*2)の法則とかいろいろ。

          *1:ジュールで測れないほう。
          *2:減らねーんだわ、これが。食う量減らしているのに。
          親コメント
          • by Anonymous Coward
            質量保存の法則は幻想であることが既に証明されていて、
            今は質量増加の法則と呼ばれています。

            だって、大盛りってまいうーなんだもん。
            • by TarZ (28055) on 2006年02月16日 20時55分 (#884849) 日記
              なるほど、新たな保存則を導入する必要があるようです。すなわち、質量とエネルギーは等価であると。
              ここから導かれる結論は、カロリー(いや、SI単位ではジュール)を摂ると質量が増えるのです。

              なんとおそろしい。

              この新たな知見に基づいた最近の観測結果として…体をひねったりしたときに、従来の理論ではなかった
              はずの質量を感じるようになってきました。どうやら、体の周囲には目に見えない質量があるようなのです。
              つまり、これが話題の暗黒物質ってわけですね。

              # 先日、部屋掃除中に10年前の健康診断結果が出てきたのでみてみたら、今より体重が10kgほど低くて。
              # あああ、ほんと、どこに肉ついてんだろ。dark flesh...○|▽|_
              親コメント
        • by Anonymous Coward
          >各種保存則は理論じゃないんです。

          Noetherの定理と対称性から出てくるから理論の範疇に入れてもよいのでは?
      • Re:微妙… (スコア:1, 参考になる)

        by Anonymous Coward on 2006年02月16日 13時31分 (#884634)
        >ワシの思い違いかもしれませんが、ニュートリノはまず「理論が先(スピン保存則が破れないように

        それは、「新しい理論から導かれる予言」と言う方ではないかと。
        親コメント
    • by Anonymous Coward
      ある現象を証明するための理論の副産物として未知の現象/物質が予言される
      というパターンはあるかと思いますが、
      純粋に「まず理論があってそこから未知の現象の存在が導出される」なんてことあるんですか?

      屁理屈のように素数が登場して1,2世紀の間半信半疑とされていいたが、複素数の登場で素数の有効性が認められた。という話を最近読んだが、まったく理解できていないのでAC
      • by TarZ (28055) on 2006年02月16日 12時15分 (#884542) 日記
        >屁理屈のように素数が登場して...

        素数の「何を」「誰が」半信半疑とされていたのか、これの元ネタ知りたいです。
        (Web上の情報ならURL希望)

        素数などは古代ギリシアの頃から概念があったわけで、複素数の概念とは2000年の
        開きがあります。仮に「素数が登場して複素数が登場するまで(何かが)半信半疑」
        なら、1,2世紀ってことはないでしょう。
        親コメント
      • by ajishio_taro (19329) on 2006年02月17日 1時02分 (#884947)
        > 純粋に「まず理論があってそこから未知の現象の存在が導出される」なんてことあるんですか?

        ブラックホール(宇宙方程式のシュバルツシルト解)
        反粒子(ディラック方程式)

        の予言なんてまさにそれなのでは?
        親コメント
        • by TarZ (28055) on 2006年02月17日 2時49分 (#884992) 日記
          もっと一般に有名どころでは、フリードマンによる場の方程式の解とか。(1922年、膨張宇宙モデル)

          エドウィン・ハッブルによって銀河の後退が発見されたのはフリードマンの死後です。(1929年)
          親コメント
      • by Anonymous Coward
        >屁理屈のように素数が登場して1,2世紀の間半信半疑とされていいたが

        素数を屁理屈なんて言うと古今の全世界の数学者の怒りを買いますよ。
        • by Anonymous Coward
          笑ってしまったけれども,確かに「おもしろおかしい」はつけられないですよねぇ
          #もしかして虚数と言いたかったのかなぁ > 元のヒト
          • by Anonymous Coward
            みんな「まったく理解できていないのでAC」な人の意味不明な発言はスルーしようよ

            # スルーできてないAC
  • by Anonymous Coward on 2006年02月22日 14時00分 (#888077)
    式を複雑にしてパラメーターを調整すれば、いくらでも現象に当てはまるようにできるが、そんなものは予言能力の無い無意味な当てはめにしかならん。
    基本的な哲学あるいは制約の上に立って、矛盾とギリギリの境界で現象との一致を求めるから意味のある理論になるのだ。
    • 話にならんは言いすぎでしょう.
      よくわからん現象に対して

      ・未知の物体の存在を勝手に仮定してしまう(暗黒物質の導入)
      ・未知の力なり未知のパラメータを勝手に導入してしまう(重力理論の修正)

      ってアプローチは基本的には良くも悪くもどっちもどっちだと思います.
      #前者は他の素核の実験結果との整合性,後者は他の観測結果からのパラメータ/修正項
      #の制限で絞って,まともそうな方が残るというだけで.
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        理論のフレームを変えるのと、光ってない未知の質量を仮定するのとでは
        前者のほうがより話にならんと思いますけどね。
        何か強い理論的根拠があるならともかく。
        特殊相対性理論でいえば相対性原理の拡張のような、ね。

        高エネルギー物理でも、現象論的なモデルではどんどんパラメータを追加すれば
        いくらでも理論値を実験値に近づけることはできますが
        それでは誰も興味を持ってくれないのでなるべく理論的背景を意識した項を導入し、
        より恣意性を排除したモデルを目指しますよね。(対称性を意識するとか)

        とりあえず修正ニュートン力学は一般相対論とうまく整合性取れてるんでしょうかね?
        単独でニュートン重力だけ補正されてもありがたみが薄いです
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計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである

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