KAMUI曰く、"JAXA(宇宙航空研究開発機構)が,国産の固体燃料ロケットM-V(ミュー・ファイブ)について,2006年度で廃止すると決めた事を河北新報の記事が伝えている。現時点では,今年9月に予定されている太陽観測衛星 SOLOR-B の打ち上げが最後のお役目となる。なお,タレコミ時点で JAXA や ISAS(宇宙科学研究本部)にこの件に関する情報はない。"
M-V後継機 (スコア:4, 参考になる)
#関係者なのでACで
Re:M-V後継機 (スコア:1)
あまり明るい見通しではないようですねぇ。
#SRB-A一本で第一段に不足なら、ロシア風に2本3本とまとめてみたら
#どうだろう?
計算してみた……のだが (スコア:5, 興味深い)
・SRB-A Gross Mass: 76,400 kg Empty Mass: 10,400 kg Thrust (vac): 2,250.000 kN Isp: 280 sec Burn time: 101 sec
・M14 Gross Mass: 83,560 kg Empty Mass: 12,070 kg Thrust (vac): 3,780.345 kN Isp: 276 sec Burn time: 46 sec
・M24 Gross Mass: 34,470 kg Empty Mass: 3,410 kg Thrust (vac): 1,245.287 kN Isp: 288 sec Burn time: 71 sec
・M34 Gross Mass: 11,000 kg Empty Mass: 1,000 kg Thrust (vac): 294.000 kN Isp: 301 sec Burn time: 102 sec
1. M-V(3段式:M14+M24+M34)の場合
これに1800kgのペイロードを積み、真空中をまったく水平に飛ばした場合の速度増分ΔVは以下の式で与えられます。
ΔV=9.8(276ln(130830/59340)+288ln(47270/16210)+301ln(12800/2800))=9642[m/s]
この値は、高度200kmの円軌道の軌道速度であるところの7.78km/sあたりに比べると若干大きい速度になりますが、
その差は重力に逆らってロケットを持ち上げたり空気抵抗で引っ張られたり大気中でロケット燃やして比推力と推力を損したり、
といった損失で、中でも重力損失が一番大きい部分。地球の自転で得する速度もあるけど、おおよそ0.4km/sでまあその程度。
# ところで、件の記事 [nikkeibp.co.jp]だと「公称打ち上げ能力こそ1.85tだが、実際には2.3t」らしいのですが、では実際にペイロードを2300kgにして
# 同様に計算すると、ΔV=9202[m/s]。この差の0.44km/sを埋めるのは結構厳しいのですが。2段目がM24からM25に改良されて、
# 推力と比推力と推進薬重量とがそれぞれちょっとずつ向上しているんだけど、推算しても0.44km/sも差が埋まらないし。
# それに、この記事とそこからの引用以外、どこ探しても「ペイロード2.3t」と言ってるサイトは見当たらないし、
# 今年の5月に某所でもらったばかりのM-Vのパンフレットを見ても「Payload to LEO……M-V 1号機:1800kg、M-V 5号機:1850kg」って
# 書いてあるし。2.3tって誰が言ってるんだ?
2. M-V改(SRB-A+M24+M34)の場合
さて、上のM-Vのペイロードを1800kgにしたまま、第1段のM14をSRB-Aに換えるとどうなるか。
ΔV=9.8(280ln(123670/57670)+288ln(47270/16210)+301ln(12800/2800))=9597[m/s]
45m/sしか変わらないんですが。
……いやまあSRB-AはM14より推力が小さくて燃焼時間が長いので、その分重力損失が大きくなって、実際のΔVはさらに小さくなり、
より能力は下がります。SRB-AとM-14の燃焼時間の差は55s、この余分の55秒の間の飛翔経路角を、ごく大雑把に、ならして45度と仮定すると、
追加で発生する重力損失は55*9.8*sin45°=381[m/s]。この分ΔVは小さくなるはず。
さて、1.のM-Vに1800kg積んだときに達成されるΔVは9642m/s。これに追加で発生する重力損失(雑な推計だけど)381m/sを足すと10023m/s。
SRB-Aを使ったM-V改は、ΔVがこの10023m/sを達成できるようにペイロードを減らさなくちゃならない、はず。推計が雑すぎなければ。
この計算は関数電卓ではちょっと無理なので、Excelのゴールシークを使って「M-V改のΔVが10023m/sになるペイロード質量は?」と聞いてみると
出てきた答が1393kg。約400kg減、それでも1.4t積める。これでM-Vの60-70億円から値段が半減されると35-40億円となる。
1USD=115円とすると3000-3500万ドルといったところか。ロシアのICBMやSLBMのリサイクル品にはもとより太刀打ちできないけど、
もう少し頑張るとヨーロッパのVegaやLMのAthenaと肩を並べるくらいのロケットになるかもしれない。Athena-1が1700万ドル [astronautix.com]で
Athena-2が2600万ドル [astronautix.com](どちらも2000年時点)くらいらしいので。
うそ言わないの (スコア:1)
実際、M-Vのきちんとした計算は結構難しいです。8号機まで上がりましたが、それぞれがいろんな軌道に打ち上げられ、場合によって4段目のキックモーターがついていたりついていなかったりするからです。例として、電波天文衛星はるかを打ち上げたM-V-1と小惑星探査機はやぶさを打ち上げたM-V-5を比べてみましょう。後者では2段目の推進剤が2t増量され、ついでに比推力もちょっとだけ大きくなっています。キックモーターは1号機、5号機どちらもついています。
私の計算では1号機は1.8tのペイロードを積んだ時、9210m/sの速度増分をペイロードに与えることが可能です。これに対して、5号機では実に9800m/sの増速量を与えることが可能です。2.3tのペイロードに対しては1号機の場合8730m/s、5号機の場合9280m/sとなります。低軌道200kmへ地上から打ち上げる場合の理論的な増速量は8030m/s程度ですが、これに重力損失等加えて9300m/sになると考えてよいでしょう。少なくとも1800m/sが1850m/sになるようなものではなく、松浦晋也さんが日経bpで述べている通り、増強後のM-V(5号機以降)はそれまでのM-Vに比べて大幅な増強を施されたのである。
今後開発される新ロケットについては知りませんが、現在のM-Vは1.8tのペイロードに9800m/sの速度増分を与えられるのですから、2段式にしてあなたの計算通りならば、⊿Vも減るし重力損失も大きいロケットが出来上がることは確実なわけです。
まことしやかに計算しているようですがかなりいい加減ですね。下記の表現も意味がわからない。
>この値は、高度200kmの円軌道の軌道速度であるところの7.78km/sあたりに比べると若干大きい速度になりますが、...
なぜここで高度200kmの円軌道速度と比較されなければならないのか。地上から高度200kmまで必要な増速量の和は8030m/sである。あなたはじゃあ高度500kmだったら7.62km/sあたりと比較するんですね。
Re:計算してみた……のだが (スコア:1)
# 円軌道なら0度じゃん。
Re:計算してみた……のだが (スコア:1)
で、角度が浅いと、大気圏内を飛ぶ距離が長くなり空力損失が増える、というデメリットがありますね。
重力損失とのトレードオフってことで。
Re:計算してみた……のだが (スコア:1)
>で、角度が浅いと、大気圏内を飛ぶ距離が長くなり空力損失が増える、というデメリットがありますね。
うん。だから簡単に言えば100kmくらいまではまっすぐ上がって、そこからはできるだけ水平に加速する(のを滑らかに繋いだ感じ)になるわけだ。まっすぐ上がるのも落ちなくなるまで加速するのも短時間でやりたいところだから、やはり一段目は推力命って事になる。
# まわりの空気を巻き込んで加速するノズルができたらツィオルコフスキーの公式を超えられる、かな?
Re:計算してみた……のだが (スコア:1)
Re:M-V後継機 (スコア:2, 興味深い)
>>#どうだろう?
これができないのはロシアに比べて技術や経験がないからです。
ロシアロケットのすごいところは
すべてのロケットブースターが安定して同時噴射できているからです
Re:M-V後継機 (スコア:1)
あんだけロケットエンジン付いてれば1発くらい死んでも飛び続けることはできるでしょうからね。
逆に1発しかロケットエンジンがない場合、かなり高い信頼性と出力が要求されますよ。
多ければ多いほどいい、という訳でもないですけどね。
(制御系が複雑になる為
次元が違うといえば違うのですが、はやぶさのイオンエンジンは4発同時制御ですし、4、5系統くらいの同時制御ならそれほど難しくはないと思います。
Re:M-V後継機 (スコア:1)
一発でも死んだら所定の棋道まで届かないから。
イオンエンジンは運転時間が長いし細かく制御可能だけど、SRBは運転時間が短い上にノズル以外制御不能なので、ブツ自体の特性が揃ってる必要があるのです。
Re:M-V後継機 (スコア:1)
燃料の成分が揃えばいいだけですよね?
実際HⅡ-AはSRB-Aが2発付いてる訳ですし。
M-Vで固体燃料ロケットの制御技術は十分成熟しているはずですから、それを複数同時に制御する事についてはそれほど難しいものとは思えません。
仮にM-Vの一段目を束ねる場合であればM-Vの制御インターフェイスの上に被せる様に実装すればいいだけの話では?
M-Vの制御インターフェースの返り値の解析による状況把握のパターンも確立できてるでしょうからそれを自動化すればいいだけの話でしょうし。
Re:M-V後継機 (スコア:1)
でもない。形とか泡の混入具合とかで違う。
なので揃えなきゃ揃わない。
# 大量生産すれば揃うかな?
M-Vの場合は単発で一つヽ違う特性のものを作ってるきたので、近い特性のものをって束ねて使うことはできるだろうけどそこまでは簡単じゃないと思うよ。
Re:M-V後継機 (スコア:1)
そういった技術的な内容は検討されていて、それでも経済性とか将来性とか政治力とか考えた上での事と思うのですが、いかがでしょう?
もし、nikomiさんが門外漢ではなくロケットの専門家でしたら申し訳ない。
--tahl--
Re:M-V後継機 (スコア:1)
重要なのは半世紀前の設計で今も現役で運用しているということでしょう。
世界初の人工衛星を打ち上げたスプートニク [spaceinfo.jaxa.jp]は、世界初のICBM R-7を流用したものだったわけですが、
初の有人宇宙飛行をしたボストークや、現行のソユーズやプログレすは、
第2段を追加はしてますが、第1段はスプートニクの流用ですからねぇ…
そのソユーズが今でも「信頼性の高いロケット」として評価されてるわけで、それは
最初の設計が優れたものだったのか、
長期の運用で枯らすことができたのか、
単にアメリカのスペースシャトルがヘタレだっただけなのか…
ただの空想ですけど。 (スコア:2, 興味深い)
スペースシャトルの利点に「オービター・メインエンジンのリサイクル化」
がありますが、実際はパーツ交換やメンテナンスで結構維持コストがかかっているそうです。
で、繰り返し使える筈の帰還船も意外と早くガタが来たのか事故続出。
ソ連崩壊時にブラン・エネルギアチームを引き上げていたら
国際宇宙ステーションなんて既に完成していたかもなぁ。と妄想してみる。
ブランのメインロケット(シャトルの外部タンクにあたる)
に補助ブースターを8基取り付けた「Volkan」のペイロード(積載量)は実に200t!!
かつて、サターンロケットの3段目を丸々使ったスカイラブ級のステーションも楽々建造できたでしょう。
シャトルと違って無人打ち上げもできるから、失敗しても人的被害は無いし。(帰還に神経を使わなくていい)
ちなみに、ブースターはシャトルと同様再利用可能でした。
当時のNASAに、そんな予算はなかったでしょうからただの妄想に過ぎないことは承知ですけど、
TVで野ざらしのまま放置されたブランのメインロケットを見た時を思い出す度、もったいなく思います。
Re:M-V後継機 (スコア:1)
ロシアやヨーロッパのロケットの初段が雄弁に物語ってるよ。初段は比推力より推力だ(=液水液酸はベストではない)とな。空力損失があるからとっとと上空に出る必要があるし、重力損失があるからある程度まではとっとと加速する必要があるの。大気の底からの打ち上げは真空中で無重力の場合とは条件が違うんだなー。
Re:M-V後継機 (スコア:1, 参考になる)
> 分かっただろうか。軽いガスを高速で噴射するということは、ロケットが動き出す初期には、運動エネルギーをガスが持っていってしまうということなのだ。
> そう、だからこれらのロケットには固体ロケットブースターが付いている。ガスの噴射速度は小さいが推力の大きな固体ロケットブースターを付けて、打ち上げ初期の平均ガス噴射速度、つまりは比推力を下げてやっているのだ。
> ここで疑問に思わなくてはいけない。取り扱いの難しい液体酸素・液体水素を使って、噴射速度を上げる、つまり高性能にしたというのに、なんで固体ロケットブースターでわざわざ噴射速度を下げなくちゃならないのか?どこかおかしくないか?
ターボファンの話なら言っていることはわかるのですが、ロケットにはファンもバイパス比もかき回すべき大気もありません。
噴射できる質量ははじめから決まっているんだから、噴射速度=比推力は高ければ高いほうがいい。エンジンや燃料の扱いに難儀さえしなければ。
そもそも、液体酸素/液体水素の推進剤の欠点を挙げるのが主眼ならば、
などと書けばいいだけの話だし、こんなことくらいそこらの入門書にも書いてある。だのにそれを華麗にスルーして上で引用したようなことを書くあたり何をかいわんや、ということを言ってるんだと思われますが。
Re:M-V後継機 (スコア:1, すばらしい洞察)
>ロシアやヨーロッパのロケットの初段が雄弁に物語ってるよ。(略)
件の記事 [air-nifty.com]は、別に結論を間違えているわけではないのですよ。
人の受け売りですからね。
ただ、その結論に至る道筋がトンデモ。
聞きかじったジェットエンジンの知識と混同しちゃったんだな、
ということは大学で航空宇宙を専攻したくらいの
知識を持つ人なら分かります。(過去の議論 [srad.jp])
# この記事にどんな反応を示すかで、自分の頭で考えて結論を出す人なのか、
# すごい (と言われている) 人が言うことはなんでも盲信しちゃう人なのか、
# 如実に分かるなあと、当時は興味深く見ていました。
Re:M-V後継機 (スコア:1)
# 結論だけ正しいというのは困ったもんだなぁ...。
Re:M-V後継機 (スコア:0)
Re:M-V後継機 (スコア:0)
「科学衛星の多くを重さ500キロ程度にする方針」でロケット本体も低コスト化を目指す
というのは納得出来るのですが,ブースター流用はJ1の先例が気になってしまう.
Re:M-V後継機 (スコア:0)
この御時世、あんな国とかこんな国に対する牽制という意味もこめて固体ブースターの技術を維持しておくべし--という政治決断があってもいいんじゃないかなあ。
とはいっても日経BPの記事を読むと、あまりに独自の進化を遂げすぎてしまった巨大恐竜という印象も否めませんね。
Re:M-V後継機 (スコア:1)
固体燃料のメーカーも日本油脂で同じです。
製造拠点は違う [nof.co.jp]ようですが。
SRB-AとM-V一段目は、噴射時間や推力など基本仕様が異なりますが、
M-V打ち止め=固体ブースターの技術が失われる、という話ではないのでは。
Re:M-V後継機 (スコア:1)
Re:M-V後継機 (スコア:1)
SRB-Aで充分でしょ。
ポラリス [wikipedia.org]くらいの性能があれば事足りる用途なんだし。
M-V打ち止めって言えば打ち止めだけど (スコア:4, 参考になる)
【J-Iの亡霊】ISASロケット総合スレ [M-V]4号機【蠢く】 [2ch.net]
M-V Liteだのなんだの言われてた改造案を採用して、現行のM-Vを廃止って話ですね。
#まぁ上記の通り、500kg案って、事前に噂になってた中では、一番性能の低い改造案なわけだけど・・・。
それはどこの軌道へ500kgなの? (スコア:1)
惑星間に500kgだと現行のM-Vとそう大きく変わらない規模だし。
いや、そもそも低軌道に500kgなんて誰も言ってない (スコア:1)
と書いてあるだけなんですが。これからの科学衛星が500kgになることは書いてあっても
新ロケットのLEO投入能力が500kg、なんて書いてないですよね。その意味に取れなくもないですけど。
はやぶさだってLUNAR-Aだって500kgかそこらの質量だし。まあ、
これの議事録なり何なり出てこないと確かなことは言えませんがね。
ボソっ (スコア:1, 参考になる)
# 関係者なのでACで
Re:M-V打ち止めって言えば打ち止めだけど (スコア:0)
となると、低コスト化はやむを得ない流れのような気がします。
低コスト化はいいけど (スコア:1, 興味深い)
ロケットとしての実験をやるのか、それとも衛星を打ち上げる為のローコストな打ち上げ機材として使用するのか。
その辺りの設定がきちんとなされての判断なのか気になります。
複数ラインあるのなら、そのうち一つ位は枯れた技術の安価で安定しているだけが取り得のものがあっても良さそうなのですが、日本のロケットは全て実験機兼務ってのがちょっと変ではないかと。
きっと (スコア:3, すばらしい洞察)
で、また車輪を再発明していくんだろうか。
Re:きっと (スコア:1)
別に現状のままでも、研究者、技術者が段々と引退していきますので、
あと10年もすればノウハウやスキルは散逸してしまいますよ。
どうせ車輪の再発明が必要になるのなら、まだ余裕のあるうちにやっておくべきではないかと。
Re:きっと (スコア:2, 参考になる)
># こっちも止めちゃうって話ありましたっけ?
部外者なのでわかりませんが、36基打ち上げているのでかなり枯れたロケットだろうから価格も安いだろうし、当面は存続するんじゃないでしょうか。
とはいうものの、このクラスは日本でも民間企業が開発に乗り出しているので、民間企業の開発が成功して十分安価なものになれば、民間企業からの購入という線はあるかもしれません。
#SS-520ロケット [isas.ac.jp]はどうなるかわかりませんが。
masamic
"M-V Standard" という案は無かったのだろうか? (スコア:3, 興味深い)
なので、M-Vを完全に規格化してしまって、「申し訳ないけど衛星はそれにあわせてくれ」ということにすれば、M-Vのカスタマイズ項目は激減して、ロケット本体の価格は量産効果で安くなるのではないかと思うだけどねぇ。
こういった案は検討されなかったのだろうか?
結果として価格低減効果は少ない(⇒ゆえに却下)と見積もられたかもしれないけど。
ということはASTRO-G(VSOP-2の衛星)は500kg以下?
それともH-IIAで打ち上げ?#ロケット大きすぎ
VSOPの衛星「はるか(MUSES-B:830kg)」の9倍の解像度を持つ予定だけど大丈夫なのか?
#部外者で内情は知らないのでID。
masamic
Re:"M-V Standard" という案は無かったのだろうか? (スコア:2, 興味深い)
そもそも、役所の縄張り争い結果、ISASは固体燃料ロケットを使わざる得なかった
↓
固体燃料故に、打ち上げ内容(ペイロード、投入軌道etc.)に合わせてカスタマイズ
↓
結果、同型ロケットだけど実質的には単品物となり高価格になる
ロケット本体を量産効果を狙って低価格するならば、運用に柔軟性のある、小型の液体燃料ロケットを大量生産して、使用するべきではないでしょうか。
同一規格の固体燃料ロケットに合わせて衛星を作れ(打ち上げろ)では、手段と目的が入れ替わってしまっていると思います。
(M-V程度の能力の液燃ロケットをM-Vより安価にできるかはちょっと疑問ですが、それ故にGXの失敗は残念です)
Re:"M-V Standard" という案は無かったのだろうか? (スコア:2, 興味深い)
あと気象条件の運用制約が違ったり。
(一般的に液燃ロケットの方が条件厳しい)
でも現在のM-Vはコストが肥大化し過ぎだという指摘には
関係者皆さんは真摯に受け止めた方がいいと思う。
とはいえ固定パッケージ化して打ち上げコスト10億程度に
これまでに比べて大幅に抑えるというならこのダウングレードは
非常に有意だけど20~30億じゃあ低軌道投入1t程度のスケール
じゃないと学術研究用に広く利用って言うお題目は白々しく感じますね。
Re:"M-V Standard" という案は無かったのだろうか? (スコア:1)
>>これまでに比べて大幅に抑えるというならこのダウングレードは
>>非常に有意だけど20~30億じゃあ低軌道投入1t程度のスケール
>>じゃないと学術研究用に広く利用って言うお題目は白々しく感じますね。
そりゃ、10億切るのは理想ですけど、20億であっても、
M-V一発の予算で三発打ち上げることができるわけです。
そうなれば、より多くの研究者に衛星打ち上げの機会を提供することにもつながります。
コストが高いといっても開発費は安いでしょう (スコア:1)
開発費はたったの165億円。H-Ⅱの開発費は2700億円。
10機打ち上げた場合の合計は(M-Vが70億、H-Ⅱ
を昔の130億で計算)すると、M-Vが865億円、
H-Ⅱが4000億円。MーVはどうみても安いでしょう。
3年前にM-Vの改良に50億かければ1機を35億にできると
提案したのに、自民党が認めてくれなかったらしい。
http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=247541&FORM=biztechnews
Re:コストが高いといっても開発費は安いでしょう (スコア:1)
それに、その「50億かければM-Vは1機35億に」って今回のM-V改と要旨は同じだし。
M-V打ち上げ一覧 (スコア:3, すばらしい洞察)
2号機はペイロードのLUNAR-A [isas.jaxa.jp]が抱える諸問題によりほとんど無期延期状態(一部部品は6号機に流用 [nikkeibp.co.jp])。タレコミにあるSOLAR-Bの打ち上げは7号機になります。
…そういやH-IIも8号機で打ち止めだったなぁ。
参考資料:ロケット打ち上げ実績 [www.jaxa.jp]
惑星探査機は何で打ち上げるのだろうか (スコア:2, 興味深い)
なった場合、他の方も言われているようにクラスター
ロケットにでもしないかぎり、現行のM-Vよりも
パワーダウンは避けられず、大型化してきたミッション
には辛いはず。地球低軌道は申し分ないが、M-Vは
惑星探査にはきついとスペックだと言われ、「のぞみ」
や「はやぶさ」は苛酷な減量の末にようやくモノに
なったのに、これ以上何を削れと言うのだろうか。
ところで、2008年打ち上げ予定で開発中の金星探査機
の行方が気になります。おそらくM-Vに合わせた
スペックでしょうけど、今になってのロケット変更は
関係者にとって打撃ではないでしょうか。
新型固体燃料ロケットで浮いた予算で、安い小型
ミッションを数多くこなすか、H2Aを惑星探査などの
大型ミッションに振り分け、それ以外の中・小規模
ミッションは新型固体燃料ロケットで打ち上げなら
バランスがとれ、日本の宇宙科学研究の質は
保たれるでしょうけど、浮いた予算がそっくり
削減されるなら関係者が最も恐れる宇宙科学の
最悪のリストラそのものでしょう。
ポストM-V問題で「はやぶさ」でようやく芽が
出てきた日本の惑星科学研究と宇宙工学を潰さないで
もらいたいです。
じっくりと育てれば大輪の花を咲かせますよ。
今が一番大事な時です。
せめて、悪夢のリストラにならない事を祈りたい・・・。
H2A-Liteという案は無いの? (スコア:1, 興味深い)
つまり、MV(低軌道に2トン)が担っていた中型ロケットのラインが消えます。
本来、GXロケット(低軌道に4トン)が埋めるはずでしたが、頓挫しています。
ここらへんで、H2Aの性能を落として廉価にしたロケットが登場してもいいんじゃないか、と思うんですがどうですかね…。
具体的には、1段目のエンジンを液体酸素-ケロシンにして固体ブースター無しにするとか。エンジンはロシアあたりから購入で。
2段目より上をH2Aと共通化できるので、H2Aのコスト低減にもなりそう。
どこかで、こんな感じの案を見たことある気がするんですが…。妄想だったかもしれない(-_-;
H-IもNシリーズもありますぜ (スコア:5, 参考になる)
1段目をとっかえるとまったく別のロケットになってしまいますので……。
それに、例えばGXで使う予定の液酸/ケロシンのアトラスIIIの1段目に、H2Aの2段目を乗っけてしまいますとね、
なんとH2Aと大して変わらないペイロードのロケットが出来てしまいます。これじゃあ具合が悪い。
それなら、H2AからSRB-Aを取り払って1段目のタンクを短縮して、ちょうどDelta IV Midium [astronautix.com]の縮小版のような感じにすれば
2-3tくらいをLEOに上げるロケットが出来るはず。一部で話が出ていた「H2A-Lite」というのは、おそらくこんなロケットではないだろうか。
さて、と。H-IならLEOに3.0t、N-II、N-Iでもそれぞれ2.0tと1.3tを打ち上げられるので、
本当にその規模の打ち上げ需要が旺盛なら彼らを復活させてもいいかもしれないとか思ったり。
彼らの元となったデルタだって数え切れないくらい科学衛星上げてるわけだし、それに。
・N-I LEOに1.3t 初打ち上げ:1975/9/9 最終打ち上げ:1982/9/3
・N-II LEOに2.0t 初打ち上げ:1981/2/11 最終打ち上げ:1987/2/19
・M-3SII LEOに0.77t 初打ち上げ:1985/1/8 最終打ち上げ:1993/2/20
・H-I LEOに3.0t 初打ち上げ:1986/8/13 最終打ち上げ:1992/2/11
・M-V LEOに1.8t 初打ち上げ:1997/2/12 最終打ち上げ:2006(予定)
本当にM-Vは必要だったのか? NシリーズやH-Iに衛星乗せてもらえば良かったのではないか?
そうすればロケットは量産効果で安くなるし重量的に余裕ある衛星ができるし、
固体ロケット技術の維持向上とか言ってみたところで他にその技術を使わなきゃ無用の長物だし、
ISASでもロケット研究したいのならば、M-3SIIから規模を変えずに安くしたり軽くしたり
といった研究をしていれば、ISASの衛星側の教授ももっと気軽にたくさん工学試験衛星なんかを
上げられたのでは……という疑問が。
# 「I(旧N)の仕事が……」とか言うのは禁句。
Re:H-IもNシリーズもありますぜ (スコア:1)
Nシリーズや、H-Iについては、その当時の日本の技術レベルから、ブラックボックス扱いでしか提供してもらえない部品(機器)があっていろいろと苦労したのですよね。
でも、H-IIで完全国産化が可能なレベルになったことから、H-IIAでは海外の製品が(ブラックボックス扱いではない形で)かなり自由に使えるようになり、低価格を実現したわけで…。
であるなら、今なら、NシリーズやH-Iを非ブラックボックス機器だけで実現することは可能かもしれませんね。
#でもあのクラスの固体燃料
ミサロケットは将来のためにも維持したほうが良いような気がする。masamic
1990年にそんなことは無理では (スコア:1)
おふとぴ (スコア:1)
過去記事 (スコア:0)
Re:過去記事 (スコア:0)
目新しいのは、宇宙開発委員会に報告するっていうくらいかな?