ナノ粒子でインスリン経口薬を 18
ストーリー by mhatta
飲んで安心 部門より
飲んで安心 部門より
Medical News Today記事およびBBC記事より。注射器は痛いし病菌感染の心配にもなるということで、多くの人が選択できれば注射器でなく錠剤で薬が欲しいことと思う。しかし、これまでインスリン治療を必要とする糖尿病患者らには、選択の余地が無かった。それはインスリンのような蛋白質製剤は、胃酸などによって分解されて血中にまで吸収されない困難があったためだった。
台湾の国立清華大学の宋信文教授らの研究グループは、キトサンとポリグルタミン酸からなる110-150nm程のサイズのインスリンを保護するナノ粒子を形成した。そして何も与えないラット、素のインスリンを経口投与したラット、ナノ粒子を投与したラット、インスリン注射したラットで対照試験を行い、その結果、10時間後のラットの血糖値は投与量にもよるが60%〜80%まで低下することが確認できたという。
注射の場合には2時間で血糖値が40%まで低下し、かつ投与量が1/6〜1/12で済んだことを考えるとまだまだ改良の余地はありそうだが、期待のもてる研究成果である。
この研究成果はBiomacromolecules誌に掲載された。(PDF版)
ありえる使い道 (スコア:5, 参考になる)
http://www.tokaisangyo.or.jp/kabetu/etc/yakkyoku/mame91.htm [tokaisangyo.or.jp]
主流としては、3度の食後にドカンと血糖が上がるのは超速効型(ノボラピッド等)で押さえつけ、一方で、夜間とか食間の"基礎的なインスリン分泌"を、中間型やそれより長い注射剤(ノボリンNやランタス)を睡眠前に注射して補う、というような組み合わせを用います。
少なくとも内服インスリン製剤は、後者の「インスリン基礎分泌を補う」という目的で、中間型の代わりに用いるなら、比較的早くに実用化できるんじゃないかな、と思います。
また、インスリンを必要としない程度の人は、通常、膵臓からのインスリン分泌を促す(というより膵臓からインスリンを絞り出す)SU剤という内服薬を用いるわけですが(アマリールとかオイグルコンとか)、これは膵臓の細胞を疲弊させ、どんどん効かなくなっていくという副作用を持っています。そのような人に用いることで、膵臓を保護してインスリン導入を予防していく、といった使い方が充分可能なんじゃないでしょうか。
今すぐすべての注射にとって代わるものではないと思いますが、現時点でも意外と使い道は多いように思います。
# まぁどうせ価格が問題になったりするんですけどね(笑)
早期の実用化を希望 (スコア:4, 参考になる)
この技術が実用化されれば、使い捨ての注射針やインシュリン容器の処理をしなくていいのでそういう面でも助かるなぁ(使った針は一般ゴミとして捨てられず、病院に持って行かなくてはならない)。
出先のスーパーなんかで食事をする前にトイレに入って自分で打つんだけれど、監視カメラがもし設置されてて注射してるところが見つかったら、ジャンキーと間違われて逮捕されるかもしらんとびくびくする毎日からも解放されるし(涙)
でも、効くのが10時間というのはまだまだ遅い。1時間ぐらいにはなってほしい。
Re:早期の実用化を希望 (スコア:3, 参考になる)
> でも、効くのが10時間というのはまだまだ遅い。
内服という手もありますけど、吸入インスリンも期待していいんじゃないでしょうか。吸収スピードが速いみたいだし。
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&c2coff=1&rls=GGGL%2CGGGL%... [google.co.jp]
どちらもまだ問題はありますけど、欧米で認可されているから吸入の方が手にはいる可能性が高そうですね。
インシュリン飲み薬 (スコア:3, 興味深い)
でも、効き始めまで10時間では使い物になるレベルじゃないですね。
食事をはじめるのと同じタイミングで飲んで、食事によって
血糖が上昇するタイミングに合わせて利き始めないと使い物にならないのです。
#外食だとオーダしても出てくるまでにどのぐらいのカロリーがある
#ものかわからないので、事前に投薬するのはギャンブル
注射するものであれば、5分後ぐらいから効き始めて
2時間でピークを迎えるものもあるので、それと同等か
それ以上になってくれないと選択は出来ないかなぁ。
それより、注射器のデバイスとしての進化が全くダメなのが
何とかしてほしいところ。10年以上前のノボペンのつくりはよかったのに。
アベンティスの [mhlw.go.jp] やる気のなさ [mhlw.go.jp]にはゲンナリだ。
この注射器すごく使いにくいんですよね。老人とかものすごく
困るんじゃないかなと思うところ。不具合もよく出てるし。
医者からは壊れると困るから予備を持っておきななんて初めて言われたし。
Re:インシュリン飲み薬 (スコア:1)
剤形等々の薬効成分外の部分は特許でがんじがらめにされていることが多いので発展しづらいんですよね。
一方自社開発は手間がかかるわりにお金にならない(他社は他社で特許を避けたものを作ろうとしちゃったりするから)
「昔同じタイプ作ってたじゃん!」って言ってみたら、実はその製品だけのクロスライセンスを結んでたりして。
あの会社のあの薬を別会社のあのデバイスで作ってくれたらいいのに!と思ってもなかなかうまくいきません……。
これって・・・ (スコア:1)
インスリン [wikipedia.org]の胃酸 [wikipedia.org]での分解は妨げられたとして、
腸での吸収まで阻害されてしまうなんてことはないんですかね。
完全に素人考えですけど血中インスリン濃度を常に定量的にコントロールできないと
静脈内投与に取って代わることは難しいんじゃないかなあと思うんですが。
ところでこれインスリンに限らず他のホルモン剤でも使えそうですよね。
成長ホルモンなんかを経口投与しやすくすればイージードーピング・・・なんてことに/(^o^)\
#識者の方ツッコミよろしく
ごめんなさい。
Re:これって・・・ (スコア:3, 参考になる)
流し読みしただけですが,このカプセル自体は低pH条件でしか安定じゃないらしく,腸や血流中
(ナノ粒子なんでそのままでも吸収されます)のような非酸性条件下では分解しています.
ですので胃を過ぎて酸性条件でなくなれば分解されて中身が出てくるようです.
#このため,食事前でないと口から胃にかけてで十分な酸性条件が保てず,そこで分解して中身を
#放出->胃でインシュリンが分解,ってなっちゃうよ,と注意書きされてました.
Re:これって・・・ (スコア:1, 興味深い)
その道のジャンキーはケツからファンが多いが
通過儀礼もないしな
Re:これって・・・ (スコア:2, 参考になる)
座薬による投与も研究されているみたいですが, 吸収量を正確に制御することが難しくて実用段階にまでは達していないみたいです. その点では今回の経口投与も同じ問題が残るでしょう.
Re:これって・・・ (スコア:0)
取って代わりたいのは皮下注射にではないでしょうか?
ミステリー小説のネタになりそう (スコア:1)
体内にいくらでもあるし。
Re:ミステリー小説のネタになりそう (スコア:2, 参考になる)
外から致死量のインスリンを入れた場合、Cペプチドが異常に低いのでばれます。
ちなみに、インスリン多量投与による殺人事件は既にあります…(医療従事者がやった)
Re:ミステリー小説のネタになりそう (スコア:2, 参考になる)
Re:ミステリー小説のネタになりそう (スコア:1, 興味深い)
だとすると、インシュリン以外の「色々な」たんぱく質系のモノを
ラップするのに使えたりするんじゃないでしょうか?
詳しくは知りませんが、それらの中には毒物とかも有るのでしょうね。
ずっと昔どっかの本で読んだ怖い話として、毒じゃないけど
「一撃で女性を一生妊娠できなくする薬」の可能性ってのが指摘されてました。
いわく、男液に対する抗体を、女性の体内に作ってしまう、のだそうだ。
そうすれば正規(●器?)のやり方で注入された液も、
ぜんぶ敵と見なされて潰されてしまうであろう、と。
で、そういうヤバイ抗体の元になる抗原(のたんぱく質)を、
注射を使わずこっそり体内にぶちこむ、という悪辣なことに、
今回の粒子は使えてしまったりしないんでしょうか?
>Cペプチドが異常に低いのでばれます
「何をした」かはすぐばれても、
「誰がした」「いつした」は経口だと隠蔽しやすいんじゃない?
極論すりゃ食い物に混ぜりゃいいんだから。
食い物に酸性雰囲気を作るのは簡単でしょ。
要するに酸っぱけりゃいいわけで、
十分(?)酸っぱければ唾液の弱アルカリだって問題にならんし。
#酸っぱい食い物のセキュリティホールっぷりが真剣に議論される時代になったら嫌だな…
Re:ミステリー小説のネタになりそう (スコア:1)
the.ACount
おっかしいな~ (スコア:1)
インシュリン自体はポリペプチドだし、ナノ粒子もポリグルタミン酸なんて言うからにはポリペプチドだろうから、腸で分解されてしまうんじゃないか?
the.ACount
ほんとに使える? (スコア:0)
低グルコース状態にするように見えますけど、
これはいいことなの悪いことなの?
Re:ほんとに使える? (スコア:0)
即効型インスリンの代替としてはもっと早く効いて早く切れて欲しいでしょう。
持続型インスリンの代替としてはもっと効果が続いて欲しいでしょう。