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「コレラワクチン米」が開発される 30

ストーリー by Acanthopanax
needle-free-vaccination 部門より

KAMUI 曰く

東京大学医科学研究所清野宏教授らの研究グループが、コレラ菌の毒素の一部をつくる遺伝子をイネに組み込む事で「ワクチン入りのコメ」を開発。このコメを粉末にして与えたマウスをコレラ菌に感染させても下痢などの症状が出ず、ワクチンとして機能する事を確認した(asahi.com の記事MSN毎日インタラクティブの記事)。コレラ菌に感染すると2度目以降は発症し難くなる事から、コレラ菌の遺伝子の一部を組み込んだコメを食べる事で予め免疫を獲得する事を目指したもので、米国科学アカデミー紀要に論文が掲載されている。なお、組み込む遺伝子を変更する事で他の感染症にも対応出来る上にコメは常温での保存が可能な事から、途上国での感染症阻止が期待出来るそうだ。

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  • by Anonymous Coward on 2007年06月16日 7時50分 (#1174705)
    そのうち“三種混合”なんてのもできたりして。
  • コレワラクチン米 (スコア:2, おもしろおかしい)

    by takegata (26121) on 2007年06月16日 11時28分 (#1174758)
    と空目
  • by arnika (19815) on 2007年06月16日 6時37分 (#1174686) 日記
    学研究所の間違いですね.知名度が低いのか..たんなるタイポか..

    # 昔いたけど ID
  • by pongchang (31613) on 2007年06月16日 14時22分 (#1174816) 日記
    まず、お米が確実に収穫できるか?という問題があります。衛生管理の面で、製薬工場である「田圃」の細菌やウイルスの排除を定める規格を作るところから始まります。次に、コメの不純物がどれくらいになるか、コメアルブミン、デンプン、ビタミンB1etcがどのくらいなら適正な「製剤」なのか。最後に、抗原である「産物」がどれくらい含まれるか。
    口にするときには、「1合」という単位ではなく、ワクチン「?」単位とか、抗原「xx g」となるように、非組み替え米やデンプンで「調合」したレトルト品にするよう要求されると思われます。
    • Re:厚生労働省は白目 (スコア:2, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2007年06月16日 14時37分 (#1174818)
      いや、これって「保存が利く」とか「運びやすい」っていう点に注目して発展途上国向けの普及を狙ってるのであって、日本みたいな国で使おうとは思ってないような。
      # 日本でコレラなんか流行しないし、しても普通のワクチンで十分でしょ
      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2007年06月16日 14時52分 (#1174826)
        > 発展途上国向けの普及を狙ってる

        同様の「植物をワクチン貯蔵庫に使う」アプローチは複数有るのですが、実際に人間での研究まで辿り着いたのが「じゃがいも」です。ただ、生で食べなきゃダメなのだそうで … 不評だそうです。現在トマトを使う方向で改良をしているようですが、まだ結果についての報道は無いみたいです。
        親コメント
      • 論文の要約の最後に"bioterrorism"なんて書いてあるから(ただの大口かもしれないけど)、
        日本を含めた先進国も視野に入れてるような感じですね。
        針刺しが要らないワクチンは日本でも需要があると思いますし。
        ただ、遺伝子組み換え食品に過剰反応してるうちは、日本では普及しないでしょうが。
        • by y_tambe (8218) on 2007年06月17日 0時16分 (#1175048) ホームページ 日記
          ここにぶらさげます。

          ここでいう「コレラ菌の毒素の一部」というのは、コレラ毒素のBサブユニットってものです。
          コレラ毒素は、A1B5型毒素(AB5毒素)と呼ばれるタイプに分類される、タンパク質性の毒素です。毒素としての活性を担ったAサブユニット(活性サブユニット、active subunit)1分子と、毒素の標的となる細胞に結合してAサブユニットを細胞内に侵入させる役割を持ったBサブユニット(結合サブユニット、binding subunit)5分子で、一つの毒素複合体が形成されてます。
          毒素のくわしい働き方については、以前ウィキペディアのコレラ菌の項目 [wikipedia.org]に書いたんで、そちらを参照してもらった方がよいかと思いますが、ここでポイントになるのは、コレラ毒素の活性本体はあくまでAサブユニットであり、その酵素活性(ADP-リボシル化)に依存してます。だからBサブユニット単独であれば、コレラの「激しい水溶性下痢」を起こすような作用はありません。一方、コレラに対する免疫には、腸管粘膜などに分泌されるIgGやIgAによる凝集および中和作用が重要なんですが、これは「理論的には」Bサブユニットに対するものでも、全毒素に対するものでも、どちらであっても有効になりえます。なので、Bサブユニットを標的とする、というのはワクチンの安全性の面から言うと理に適った方法なわけです。

          実は、コレラに対するワクチンは何種類か(海外で)実用化されてるものはあるんですが、その効果というのは必ずしも優れたものとはいえなかったりします。コレラ菌の死菌を経口的に投与するもの(経口死菌ワクチン)が、もっとも有望視されてるものですけど、それでも持続時間は数年程度ですし、発展途上国では経済的な問題などから十分な投与ができなかったり、という問題点が残されてます。たとえば効力に関しては、コレラ菌の遺伝子のうちAサブユニットだけを欠損させた、遺伝子改変による人為的な弱毒菌を用いるというやり方を進めているところがあったはずです。
          それに対して、今回の方法について言うと、Bサブユニットだけを利用している点などから、おそらくは全菌や弱毒菌を使うものと比べると効力では劣る可能性があるかと思います。ただ米を用いているので、コレラの集団発生がしばしば問題になる、難民キャンプなどに対しては、食料支援と同時にワクチン投与を行えるという点では大きなメリットがあると言えるかと思います。もちろん「遺伝子改変作物」に関する問題は残りますけど。
          親コメント
        • > 遺伝子組み換え食品に過剰反応

          あんなのただのファッションですよ。
          ワイドショーで「ワクチン米は正義の遺伝子組み換え食品」
          みたいなキャンペーン張ればあっという間に形勢逆転です。
  • by Anonymous Coward on 2007年06月16日 10時04分 (#1174737)
    摂取する時は、やはり、粉にするぐらいで、
    加熱調理したらダメなんでしょうね…

    # 薬の代わりならそれでもいいのでしょうけど。
    • Re:炊いたらダメ? (スコア:3, 参考になる)

      by NAT33 (17123) on 2007年06月16日 15時08分 (#1174833)
      別に菌そのものを内包してるわけじゃないから、加熱で毒素が変質しないのなら
      加熱しても問題無いと思われ。
      親コメント
    • by sadasan (29024) on 2007年06月16日 17時07分 (#1174887)
      食中毒の多くは、ノロやボツリヌスの様な病原体が
      直接介在するものではなく
      雑菌による「腐敗」で作られた毒素が引き起こすもんですよ。
      毒素だから、煮ても焼いても無駄無駄無駄。
      それと同じ理屈で、組み込まれているのが「毒素の一部」
      なら調理しても変化しない訳で。

      しかし、この方法なら卵アレルギーの子供でも
      安心してワクチン接種(?)を受けられますね。
      親コメント
      • Re:炊いたらダメ? (スコア:4, 参考になる)

        by y_tambe (8218) on 2007年06月17日 0時34分 (#1175053) ホームページ 日記
        いやいや、そんなことはないです。

        ノロウイルスによる食中毒は、ウイルスが消化管に感染することによるものそのものですし、細菌性の食中毒の多くも実は消化管感染症である「感染型食中毒」なんですね。
        細菌性の食中毒は「毒素型食中毒」と「感染型食中毒」とに大別されるんですが、指摘されている「食品中で作られた毒素によるもの」は、(1)黄色ブドウ球菌、(2)ボツリヌス菌、(3)セレウス菌(嘔吐型)の3種類くらいで、その他の細菌性食中毒、つまりサルモネラ、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、カンピロバクター、セレウス菌(下痢型)などは、すべて感染型食中毒です。なお、黄色ブドウ球菌の毒素(エンテロトキシン)は耐熱性ですが、ボツリヌス菌の毒素は熱によって失活しますので、「加熱処理」うんぬんについても、ご指摘の部分は正しくありません。

        まぁ「食中毒」という言葉自体が、実はちょっと曖昧でして、本来ならば「感染型食中毒」は食中毒というよりも、もっと純粋な「消化管感染症」であって、本来言うところの「食中毒」は、例えばフグ毒やキノコ毒などのような毒素型のものを指すように分けると、実は理解しやすかったりもするんですけど、まぁ医学分野や行政が「感染型食中毒」という用語で統一してますからね。

        で、今回のこのコレラ毒素についてですけど、もともとコレラ毒素はタンパク質なんで熱によって失活しますし、それ以前に胃酸によっても不活化されるものです。もし、そこに問題がなければ、コレラ毒素の毒性を持たない部分(Bサブユニット)単独で、そもそも経口免疫が可能だろう、ってことになりますんで。ところが、実際は熱や酸による不活化が問題になる。ただ、今回のケースのように作物に発現させた場合などは、例えば米の糖質なんかがそういった変性からタンパク質を保護するため、一部は腸管に到達可能になるケースが多いようです。実際、この論文のAbstractでもその旨のことが述べられてます。
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        > しかし、この方法なら卵アレルギーの子供でも
        > 安心してワクチン接種(?)を受けられますね。

        ごくまれに、コレラワクチン米に過剰反応する人がいたりしませんかね。
        • by sadasan (29024) on 2007年06月16日 19時52分 (#1174949)
          >ごくまれに、コレラワクチン米に過剰反応する人がいたりしませんかね。

          ええっ?、と検索してみたら、
          本当に「米アレルギー」ってあるんでやんの。
          小麦アレルギーがあるんだから、予想は出来た筈なのに!
          何たる不覚!不覚ゥ!迂闊な事は書くもんじゃないです。
          親コメント
          • by Jk-Kt (27766) on 2007年06月16日 23時21分 (#1175024)
            北海道米のゆきひかりだと大丈夫らしくてアレルギー患者向け米として
            一定の需要があるようですね。
            まだ理屈がわかってないみたいですがどういう作用なんだろう。
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          • by Anonymous Coward
            免疫システムに異物と判断されれば、どんなタンパク質でもアレルゲンになりうるわけで。
  • by Anonymous Coward on 2007年06月16日 20時46分 (#1174971)
    > コレラ菌の毒素の一部をつくる遺伝子をイネに組み込む事で

    コレラ菌の毒素そのものを作る遺伝子を稲やほかの作物に組み込むこともできるってこと?

    そんな花粉を穀倉地帯で昆虫に運ばせるとかも出来たりするのかなあ。出来たらいやだなあ。
    • まぁ結論から言うとできますが、それらはいわゆる「生物テロ」ってことになりますので、そっち方面からの法的規制は(一応)存在してます。
      #まぁそういうのを無視して国ぐるみでやってしまうところもあるだろうって可能性までは否定できませんけど。

      まぁコレラ毒素は胃酸で分解されやすいので、実は「そこまで」怖くはない。むしろ、ボツリヌス毒素とかを使われる方が(致死毒性の強さからも)よっぽど恐ろしいですね。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2007年06月17日 1時09分 (#1175077)
    遺伝子組み替えってだけで売れないし、実験室の外に出す事さえ出来ないよ。
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未知のハックに一心不乱に取り組んだ結果、私は自然の法則を変えてしまった -- あるハッカー

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