パスワードを忘れた? アカウント作成
21703 story
宇宙

観測史上最も明るい天体 27

ストーリー by yosuke
A.C.Clarkeへの宇宙からの献花 部門より

oddmake 曰く

National Geographic News記事より。
記事には、NASAのSwift衛星が撮影したX線および光学/紫外波長の写真が掲載されている。水曜日の夜、うしかい座に目を向けていた人は、5〜6等に達したこの天体を肉眼で見ることができただろう。
地球上の肉眼ではかすかな星の光のように見えたであろうこの天体はGRB 080319Bと呼ばれ、75億光年の距離で起きたガンマ線バーストであり、08/03/19 06:32:26 GMTに観測された(NASAのプレスリリース)。これまで肉眼で観測可能な最遠の天体であったM33の290万光年をゆうに三桁はぶっちぎり、いままで観測されたもっとも明るい2005年の超新星よりさらに250万倍も明るいそうだ。
億光年単位の距離の天体が目で見えるとかビッグバン以来もっとも明るいとか、なんだか宇宙のロマンをかきたてられる映像だ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by masakun (31656) on 2008年03月23日 20時32分 (#1317729) 日記
    タレコミより

    水曜日の夜、うしかい座に目を向けていた人は、5〜6等に達したこの天体を肉眼で見ることができただろう。
    地球上の肉眼ではかすかな星の光のように見えたであろうこの天体はGRB 080319Bと呼ばれ、75億光年の距離で起きたガンマ線バーストであり、08/03/19 06:32:26 GMTに観測された。

    "Pi of the Sky" observation of GRB080319B [fuw.edu.pl]でガンマ線バーストの様子が見られるけれど、

    At 6:12 UT we observed exceptionally bright optical flash reaching 5.8 magnitudo.

    とあって、日本標準時15:12(つまり昼間)に最大5.8等級に達し、その後どんどん見えなくなった模様。

    3月の星空 [astroarts.co.jp]

    3月19日の東の空にうしかい座が見えるようになったのが夜8時頃だとすると、その時には何等星
    くらいだったのでしょうね。

    # 別コメント [srad.jp]にあるCNNニュースによれば「この輝きが観測できたのは1時間足らず」ということなので、
    日本では見られなかったということでしょうね。:-)
    --
    モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
  • こんな編集者はっ! (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年03月23日 21時30分 (#1317738)
    部門名でまた泣いちゃったじゃないかっ
    • by Anonymous Coward
      75億年前から命日が決まってたんですね…
  • 破壊的 (スコア:2, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2008年03月23日 21時05分 (#1317733)
    このようなバーストが地球の近所で起こったら、たぶん地球上の生命は全滅するんでしょうね。
    問題は、どれくらい「近所」だったら破壊的効果が及ぶか、ということでしょうが、
    たとえば同じ銀河系内だったら十分破壊的とかなんでしょうか。

    ...というふうなことを考えて、ちょっと計算してみました。
    もし、このバーストが銀河中心にあったとしたら、どれくらい明るいか、計算できるはず。
    星の明るさは距離の二乗に反比例だから、(75億光年÷3万光年)^2=625億倍の明るさで、
    もとが5等級とすると、5等級 - log(625億倍) / log(2.512) = -22等級。
    というわけで、もしこのバーストが銀河中心で起こったら、地球からは -22等級に見える。
    太陽が -27等級、月が -13等級だから、かなり太陽に近い明るさというわけです。
    こんなのが数十光年とか数百光年とか数千光年の距離で起こったら大変なことになりますね。
    • Re:破壊的 (スコア:2, 参考になる)

      by YuiTad (29703) on 2008年03月24日 2時32分 (#1317804) 日記
       >もしこのバーストが銀河中心で起こったら、地球からは -22等級に見える。
       >太陽が -27等級、月が -13等級だから、かなり太陽に近い明るさというわけです。
       >こんなのがもしこのバーストが銀河中心で起こったら、地球からは -22等級に見える。
       >太陽が -27等級、月が -13等級だから、かなり太陽に近い明るさというわけです。
       >こんなのが数十光年とか数百光年とか数千光年の距離で起こったら大変なことに
       >なりますね。

       可視光線レヴェルなら、太陽なみの輝きですむけど、この超「極超新星」のエネルギー・ピークはガンマ線帯域。銀河中心距離でも、大気上層は煮えくり返り二次放射線で地上の生命も存続をあやぶまれる可能性も。
       もっとも、この光がビームだとすると、運悪く正面にあたっている星々以外にもおよぶ深刻な被害の範囲は、たかだか「数十光年とか数百光年とか数千光年」(!)程度ですむかもしれませんけど。

       この事象を報じるNASAのニュースでは、ガンマ線バーストの直前にクラークが亡くなったことに触れ、さよならの挨拶にふさわしい暗合としていますけど、それって、『幼年期の終わり』のオーヴァーマインドの覚醒なみに致命的な挨拶と思う。
       あっ、むしろ、クラーク自身の1955年の短編「星」の現実化か?

      NASA - Naked-eye Gamma Ray Burst 03.21.2008
      http://science.nasa.gov/headlines/y2008/21mar_nakedeye.htm?list192734 [nasa.gov] [nasa.gov]
      アーサー・C・クラーク「星」The Star (1955)川村哲郎訳、『天の向こう側』 The Other Side of the Sky(1968)、ハヤカワ文庫SF。

      --
       YuiTad
      親コメント
      • by YuiTad (29703) on 2008年03月24日 3時24分 (#1317811) 日記
         補足。
         赤方偏移が96.4%だから、地球から見て可視光のアフターグロー(残光)も発生源近くではきわめて波長の短くなってX線領域に。
         となればエネルギー・ピークも、地球から見てガンマ線領域と思ったのだが、ガンマ線バースト本体のことを忘れていた。
         こちらのエネルギー強度の見積もりがなければ、もしも近くで同じことが起きた場合の予想もたてられませんね。
         実際に銀河中心で同じ爆発がおきたならば、上で述べたよりもずっと深刻な事態になるかもしれません。

         イーガンの小説にはそこいらについても、あくまで1995年の知識で触れられてたはずだが、今掘り返せないや(~~;;)。

        --
         YuiTad
        親コメント
    • Re:破壊的 (スコア:1, 興味深い)

      by Anonymous Coward on 2008年03月23日 22時07分 (#1317745)
      最初に到達するガンマ線バーストで人類のどのくらいが死滅して、技術文明がどの程度残るかが分かれ目でしょう。これは、光速で到達するので発見できないか、あるいはできてもかなり接近してからになるので間に合わないのが明白ですから。
      半数死滅程度なら、早期に体勢を立て直すことでその後にやってくる星間物質を含んだ衝撃波への対応も可能だと思われます。9割とかの死滅率になると立て直しに要する時間と衝撃波到達までのリミットによりますね。むしろ、大規模でも遠距離での超新星爆発のほうが猶予があることになる。

      まぁ、いろいろあってもしぶとく生き残ってる人類のことなので「地球は元気です。私もなんとか元気です。」ってな感じの名言が残る程度には大丈夫なんじゃないでしょうか(w。
      親コメント
  • by gm_camouf01 (31675) on 2008年03月23日 20時09分 (#1317725)
    太陽よりも明るかったの?
    • by SteppingWind (2654) on 2008年03月23日 22時03分 (#1317742)

      ここで言う「明るい」っていうのはちょっと気をつけなくちゃいけなくて, 実際に目で見る明るさはそれほどでもないってことが多々あります.

      というのも, このような発光現象だと, 多くの場合エネルギの大部分が電磁波についてはX線やガンマ線の形で放出され, 可視光領域ではごくごくわずかな明るさににしかならないからです. さらにX線やガンマ線は地球の大気で遮蔽されてしまい, 地上では二次的な宇宙線やそれに伴うチェレンコフ光 [u-tokyo.ac.jp]という形でしか検出できません. そのためこれらを観測するためには大気圏外の天文衛星 [sed.co.jp]が必要になるわけです.

      親コメント
      • by YuiTad (29703) on 2008年03月24日 1時49分 (#1317787) 日記
         >ここで言う「明るい」っていうのはちょっと気をつけなくちゃいけなくて,
         > 実際に目で見る明るさはそれほどでもないってことが多々あります.
         >このような発光現象だと, 多くの場合エネルギの大部分が電磁波については
         >X線やガンマ線の形で放出され, 可視光領域ではごくごくわずかな明るさに
         >にしかならないからです.

         この場合は違います。
         ニュースソースそのものに、後述するNASAのものを含め、誤解を招く表現がありますが、ガンマ線バーストと、ここで言う「明るさ」とは別物です。
         ガンマ線バースト自体は、今回のような強烈なタイプでは秒以下しか持続せず、また、ガンマ線は大気にさえぎられるため、地上の望遠鏡では観測できない。このため、その正体をさぐることは長く難しかった。
         しかし、1997年、バースト直後にその源の空域で、可視光付近の波長の残光(アフターグロー)の存在が判明。これを受けて、衛星観測と地上ならびに宇宙配置の望遠鏡の自動連携体制が構築された。
         今回の観測は、その新体制の最新の成果。
         つまり、報道で言う光度5~6の輝きは、われわれの目で見る波長でのこと。
         75億光年彼方のピンポイントの発光が、しばらくの間、肉眼で観測できたということが驚きだったのだ。
         ちなみに、75億光年彼方と特定できたのは、この光が光速の96.4%というとんでもない比率で赤方偏移していたため。
         だから、

         >いままで観測されたもっとも明るい2005年の超新星よりさらに250万倍も明るい

         というのは、ガンマ線の強度から算定されたエネルギーではなく観測された可視光での話。

         アフターグローの光度は、爆発の規模をそのまま反映しているとは限らない。中性子星もブラックホールも、両極から極軸に向けて強烈なジェットを噴出している。
         アフターグローが、爆発によって全球に対しては非対称に放出されたジェットにより、二次的に発生した輝きだとしたら、それはきわめて細い光のビームとなるはず。
         今までに観測された同様の強烈バーストでも低い可視レヴェルでは、ずっと低い光度しか観測されたいない。
         ということは、今回の輝きは、爆発源から宇宙へと放射された光の細いビームの真正面にわれわれの銀河が存在していたために観測できたのかもしれない。

         なお、もしも爆発源が近傍にあれば、たかだか超新星レヴェル(!)であっても、近くの恒星系の地球のような惑星には深刻な被害が生じうる。
         上記のビーム効果を計算に入れても、今回のような強烈バーストの場合、かなりに広い領域の恒星系に属するすべての惑星上の生命にとって、その結果は致命的だったはずだ。
         それが、どのような災厄をもたらしうるかについては、ちょっと古い知見にもとづくものだが、SF『ディアスポラ』においてグレッグ・イーガンが考察を行なっている。

         可視光ではなく、ガンマ線バースト強度から算出される爆発強度については、もっと詳しい解析がNASAなどにより明らかにされると思う。

         以上、下記データを参考に。
        NASA - Naked-eye Gamma Ray Burst 03.21.2008
        http://science.nasa.gov/headlines/y2008/21mar_nakedeye.htm?list192734 [nasa.gov]
        ショート・ガンマ線バーストの起源【2005年10月26日 国立天文台 アストロ・トピックス(158)】
        http://www.astroarts.co.jp/news/2005/10/26short-grb_nao158/index-j.shtml [astroarts.co.jp]
        ガンマ線バーストの衛星・地上連携観測【2003年3月27日 美星天文台など】
        http://www.astroarts.co.jp/news/2003/03/27grb021004/index-j.shtml [astroarts.co.jp]
        ガンマ線バーストは極超新星が起源?【2003年6月18日 Subaru News】
        http://www.astroarts.co.jp/news/2003/06/18grb/index-j.shtml [astroarts.co.jp]
        グレッグ・イーガン『ディアスポラ』、山岸真訳、ハヤカワ文庫、2005。
        Egan,Greg,"Diaspora",1995.
        ↑上に引用した「アストロアーツ」あたりでの詳しい解説が期待される。

        --
         YuiTad
        親コメント
    • by Anonymous Coward
      太陽等とは比べ物にならないくらい明るいんだよ。

    • by Anonymous Coward
      絶対光度でいえば、太陽なんて天体どころか恒星としてもそんなに大した明るさではないです。
      おそらく大質量星の超新星爆発だと思われるこの手のGRBと比べるなんて無意味です。
  • 参考リンク (スコア:1, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2008年03月23日 20時18分 (#1317726)
    結構むちゃくちゃなCNNニュースの日本語版と
    http://www.cnn.co.jp/science/CNN200803220005.html [cnn.co.jp]
    痛いニュースのほほえましい反応も張っておきますね
    http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1106203.html [livedoor.jp]

    #ワロタフレーズ→爆発で、近くにあった惑星は蒸発した。
    • by Anonymous Coward

      爆発で、近くにあった惑星は蒸発した。
      この天体が爆発する前にその方向に望遠鏡か何かを向けて
      75億光年離れた場所の惑星を観測していた人がいたということにビックリした。
      それに比べたら星の爆発なんてたいしたニュースじゃないね。
      惑星を観測していた人は予知能力でもあったんじゃないか?
  • by Anonymous Coward on 2008年03月23日 20時46分 (#1317730)
    75億年前に75億光年先から発せられた光が今到達したとすると、
    宇宙は膨張してるから、今この星は75億光年よりはるか遠くにあるんですよね?
    同様に、宇宙の果て(150億光年)から、宇宙が誕生したとき(150億年前)に発せられた光が、今ちょうど地球に到達しているんですよね?

    ということはつまり、宇宙が誕生したとき、宇宙の果ては150億光年先にあったということ?
    • by Anonymous Coward on 2008年03月23日 21時08分 (#1317734)
      時空的には、今というのは光速度cで繋がった瞬間のことです。
      それより時間軸正方向の事象は、観測も出来ないし影響も与えないという意味で未来です。

      >宇宙は膨張してるから、今この星は75億光年よりはるか遠くにあるんですよね?

      というのは予測でしかありません。おそらくそうなのでしょうが、もしそうでなかったとしてもそれを確かめるすべは全くありません。未来のことですから。
      #あと、この星はもうありません。

      それと、宇宙の果てについては捉え方が一義的なのでもう少し調べてみてください。
      例えば、現在の観測技術では宇宙の晴れ上がり前を見ることはできませんから、見える範囲は宇宙の年齢×光速度より少し狭い範囲です。また、宇宙の膨張速度は光速度を超えていたので、実際の宇宙の果ては半径150億光年より広いです。
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      ビッグバン仮説がもし正しいなら、宇宙は一点から生じたので
      宇宙の果てというのは目の前のはずです。そうでなければ、
      ほんの一瞬で例えば150億光年の距離が生じる空間が出来た
      ことになります。
      それと膨張宇宙はビッグバン仮説を元にした仮説であり、
      実は今も膨張しているかどうか怪しいことなのですが。
  • by Anonymous Coward on 2008年03月23日 21時44分 (#1317740)
    75億光年だなんて途方もなく遠い星が肉眼で見える程の現象には大変な興味をかきたてられます が、

    人類が星空を見上げる様になってからこないだの19日までの期間なんざ宇宙の歴史からすっとほんの一瞬である訳で、
    その間にたまたま開闢以来最も明るい天文現象が起きました、な~んて話には膨らんだ宇宙のロマンがしゅしゅしゅと
    縮んでしまう感蝕を覚えました。
typodupeerror

犯人はmoriwaka -- Anonymous Coward

読み込み中...