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パテント

特許のせいで衛星が放棄される可能性 86

ストーリー by mhatta
もったいない 部門より

pinbou 曰く、

本家/.の記事より。先月とある商用静止衛星(AMC-14)が打ち上げられたのだが、打ち上げの失敗により、機能するのに必要な軌道まで達しなかった。衛星の所有者であるSES Americomは、なんとか衛星を本来の軌道に乗せようと方法を探っていたのだが、予期せぬハードルにぶつかったと言う。

その障害とは、ボーイング社が持つ、月を利用したフライバイ(スイングバイ)・プロセスに関する特許で、この技術を使えば衛星の軌道を修正することが可能なのだが、たまたま現在SES Americomはボーイングと別の訴訟を戦っているため、許諾を受けられる見込みが無いということらしい(Space Travelの記事)。すでにSES Americomは軌道修正を断念し、衛星の完全喪失を宣言しているため、他社が買い取らない限り、この衛星は単なる宇宙ゴミと化すようだ。ちなみにEuropean Space Agencyは、地球の周りにある人間由来のスペースデブリの地図を公開している。

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  • by vn (10720) on 2008年04月13日 10時42分 (#1328925) 日記
    宇宙空間というのは、米国特許の適用範囲なのか?
    • > 宇宙空間というのは、米国特許の適用範囲なのか?
      いいえ、宇宙空間はどの国の主権下にもありません

      しかし、宇宙に打ち上げた人工天体は登録された打上げ国の主権下にあります
      (宇宙空間の探査と利用における国家活動を律する法原則に関する宣言/1963年国連決議)
      米企業の持ち物である人工衛星は米国主権下にあり当然米国特許の適用範囲となります

      公海上にある船舶と似たような考えでOK
      親コメント
      • じゃあ、もしかしたらパナマやリベリアの籍に移せばスイングバイできる?
        (出来ない事情があるから放棄したんだろうな。)
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        この特許を適用したら大リーグでは、フォークボールが禁止されたりしなくね?

        あるいは1球投げるごとに使用料金とか?
        • >この特許を適用したら大リーグでは、フォークボールが禁止されたりしなくね?
          しねえよ。
          はい、特許法 [houko.com]

          (定義)
          第2条 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
          2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
          3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
          1.物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
          2.方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
          3.物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
          《改正》平14法024
          《改正》平18法055
          4 この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。

          フォークボールの投げ方は技術的思想じゃなくて、
          個人の技能なので特許の成立要件を満たさない。

          ・・・ってどうせ解っててボケてるんだろうな。
          --
          ごめんなさい。
          親コメント
    • by Anonymous Coward
      宇宙人もたいへんだな
  • 運用放棄するなら放置しないで残存推力全開で大気圏に突っ込ませろよ
    • by Anonymous Coward on 2008年04月13日 15時21分 (#1329094)
      ボーイング本社にむかって?
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      大気圏に接する高度まで下げるには、大気圏ぎりぎりから元の高度に上げるときと同じ、
      正確にはアポジキックと同じ推力が必要なのですが、衛星単体でそれほどの起動変更を行えると思いますか?
      重力任せにただ落ちれば良いと誤解してる人はここ /.J でも結構多いようだけど。
      • 間違ってたら教えてほしいんだけど。

        >正確にはアポジキックと同じ推力が必要なのですが

        上げるときは大気が使えないけど、これは落とす話なんで、円軌道から楕円にして、近点が大気圏をかすめるようにすればいいような気がするんだけど、間違い?
        なので、上げるときと同じ推力はいらないという認識なんだけど。
        円軌道のままなら確かにそうかもしれないけど。
        親コメント
        • by KENN (3839) on 2008年04月13日 20時54分 (#1329207) 日記

          この辺の記事 [sorae.jp]によると、静止トランスファ軌道 [wikipedia.org]への投入に失敗して遠地点高度が不足しているという話なので、何もしてないならまだ楕円軌道のままのはずです。

          ESAのARTEMIS [wikipedia.org]と同じ(遠地点高度からするとARTEMISより多少マシな)状況ですが、実験衛星のARTEMISとは違って「どーせ保険入ってるんだから(プレスリリース [ses-americom.com]によると、約1億5千万US$の保険金が数ヶ月以内に支払われるとのこと)、さっさと次上げた方が費用対効果が良い」ということなんでしょう。良くも悪くも商売ですから。

          # 静止軌道上で制御不能 [srad.jp]になるよりマシ。

          親コメント
        • 静止トランスファ軌道なら楕円軌道なのは既に出てるけれど、楕円軌道だと主たる重力源である地球(近地点)付近が一番速度が速いです。(ケプラーの第二法則 [wikipedia.org])
          静止軌道への投入が試みられていないなら、遠地点で点火するはずだったアポジモーターがまるまる残っているはずですが、これで減速を行ったとしても低軌道に再投入できるかできないかくらいでしょう。(多分)
          低軌道(軌道としてはISSが近い)での大気の影響はあまり強くないので少なくとも数年間はそのまま飛び続けることになります。
          衛星自体のエンジンでは軌道を維持できるのも時間の問題だと思います。
          そうなると制御が利かない状態で大気圏に突入する事になるので、燃え尽きずに人口密集地に墜落する可能性があります。
          他にも突入角度が浅すぎて大気に弾かれ無数の破片(デブリ)を撒き散らす可能性とか。

          大気圏に突っ込ませれば万事オーケーという訳でもないです。
          現状の楕円軌道の方が安定度ははるかに高いでしょうね。少なくとも数十年は飛び続けるでしょう。
          現状の楕円軌道で単体のデブリとして管理しておく方がリスクは低いとの判断でしょう。
          親コメント
  • by Tuatha D Danaan (32722) on 2008年04月13日 15時42分 (#1329104)
    このゴミが今後起こすであろう様々な事故の責任はSES Americomが取ると
    いうことでよいのですかね?

    --
    #何かとぶつかって破片が飛び散れば、どんどん賠償額が上がっていくでしょうね。
  • by Anonymous Coward on 2008年04月13日 20時44分 (#1329204)
    これって特許制度がきちんと機能していないのでは?
    「金さえ払えばみんなが使えるようにしよう」というのも特許の目的の1つでしょ?
    # 少なくともタテマエ上は
    • by Anonymous Coward on 2008年04月13日 21時21分 (#1329215)
      >「金さえ払えばみんなが使えるようにしよう」というのも特許の目的の1つでしょ?

      違うよ。
      発明者等が正当な利益を得るために「一定期間独占さ
      せる」のが目的。結果みんなが技術を公開してくれる
      だろうと期待するわけです。
      だから独占中は使わせたくない相手に使わせない目的
      もあるよ。

      まあ、会社ごと買えば使えるようになるから、ある意味
      「金さえ払えばみんなが使える」は正しいけどね。

      みんなが使える様にするのはその期間が終わった後。
      でもそのときは特許にお金を払う必要が無いから、
      「金さえ払えばみんなが使えるようにしよう」は答えと
      して間違い。
      だいたい、今回の問題は「お金を払いたくない」から出
      発しているのだから、お金さえ払えばとの話は無意味。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年04月13日 10時04分 (#1328894)
    誤った軌道を習性しても仕方が無い。
  • by Anonymous Coward on 2008年04月13日 11時23分 (#1328954)
    今回は持っている相手との不仲が原因でしょう
    あと、ちゃんと交渉したのかな?
    必要なのが土地、資源、人材などでも同じだと思う

    そもそも打ち上げ失敗したのが悪いのであって、
    たまたまでしかない今回の特許やボーイングは何
    の問題も無い。

    これで文句がいえるなら、出張に必要な交通機関の
    チケットが取れなくてビジネスに失敗しただけで、
    (早めに席を押さえた)他人や座席を用意できない
    交通機関が悪いように言えるよね。
    • by SteppingWind (2654) on 2008年04月13日 12時37分 (#1328997)

      問題はスイングバイなんていう, 基礎的には30年以上前から実際に使われている [wikipedia.org]技術が今時特許となっていることだと思うんだけどな. 下手すりゃ「重力等ポテンシャル面に対する傾斜経路を利用することによる無動力加速方式」が特許になるぐらいな.

      何か特許に値するような特別な物があれば話は別なんでしょうが, リンク先を見るにはそうではなさそうです. 裁判所レベルで精査すれば特許となりえない, いわゆるブランコ特許 [srad.jp]の類らしいと. そうであっても法廷闘争にもちこむには時間と費用がかかるから, 捨てちゃった方が話が早いというのが今回の事件でしょう.

      ブランコ特許ぐらいなら笑い話ですむかもしれませんが, 現実的かつ巨額なお金の話, しかも宇宙開発にまで米国の特許制度およびその運用体勢が悪影響を及ぼしてきたってのがポイントだと思います.

      親コメント
    • by Anonymous Coward
      本当にね。
      少なくとも、SES Americomはボーイングの特許に抵
      触しない新しい技術を今すぐ開発してうまく衛星を軌
      道に乗せる事は出来ないようだし、
      そうなるとボーイングの特許がなかったら、独自にそ
      の方法を見つけられるのかどうかも怪しい。

      というより、問題が起きたときに取れる対策がボーイ
      ングの特許しか無い、しかしそれは今は使えない、と
      いうことが事前に分かっていた上で打ち上げをやった
      はずなので、これはSES Americomが事前にリスクを
      理解した上で打ち上げに望み、結果的に失敗したとい
      うだけの話ですよね。

      万一打ち上げ後に事故が起きて慌てて対策案を探した
      らボーイングの特許しかなかった、でも使わせてもら
      えねーやチキショーメといった程度の話なら、そんな
      会社はそもそも打ち上げをやる資格がない。

      • by Anonymous Coward
        それだけならいいけど別の訴訟を円満に解決するため逆にスイングバイの
        特許が有効であることを示そうとしてボーイングと裏取引があったのなら
        ちょっとこわい。そのうちボーイングに特許使用許諾を得ました、とか
        言って軌道修正したり。

        #知財部の同僚の話聞いてたらそんなことあっても全然おかしく ない気がする
        #まあ今回はたぶん違うと思うけどね。
  • by Anonymous Coward on 2008年04月13日 12時00分 (#1328972)
    別の訴訟ですぐに和解して、使用許諾をもらって実施すればいいだけのことを、さも特許が問題なような。 さっさと金を払ってやらせてもらえば一気に解決。金ぐらい何とかしろと いうことでよいのではないでしょうか? 問題は金です。
    • それをやっても推進剤をほとんど消費しちゃって寿命が極端に短くなるので捨てちゃえということなんだよ。
      # この例を出してLE-5なら再点火できますとか言って売り込んだりはしないんだろうな。MHIは。
      親コメント
    • by crypt (12091) on 2008年04月13日 14時46分 (#1329066)
      こちらの記事 [technobahn.com]だと別件の特許訴訟(約50億円の賠償請求)をとりさげるという条件ということみたいですね。費用対効果を考えた結果この方法を適用できないという決断でしょう。(訴訟には自信を持っているということでもあるということですね)
      親コメント
    • by Anonymous Coward
      >問題は金

      (少なくともスラドにおいては)逆。
      「金より大事なものが有るんじゃねーの?」って議論だ。

      衛星しかり。"自由"しかり。生命しかり。などなど。
      • by Anonymous Coward
        大事なものはお金に換算できるのでやはりお金の問題です。

        >衛星しかり。"自由"しかり。生命しかり。などなど。

        全部お金に換算できます。
        • by Anonymous Coward
          自由とか、生命とかって、どっかで売ってるの?
          市場が形成されてなければ、お金に換算はできないと思うんだが。
          • by Anonymous Coward
            >自由とか、生命とかって、どっかで売ってるの?

            売っているよ。
            普通の人は8時間の自由を企業に売っている。
            命がけの仕事なら高い値段で売れる。

            ちなみに、売買はしなくても価値の換算はできる。
            たとえば、事業で死人が出たらどれだけの損失とか
            普通に計算しているでしょう。
            賠償請求等の金額算出などもそれ。

            特に、今回のような商売上の話なら金銭で解決で
            きるし、するべきだ。(商売の話なのに、特許が
            嫌いというまぬけな思想を押し付けるほうがどう
            かしている)
  • by Anonymous Coward on 2008年04月13日 13時36分 (#1329030)
    フライバイって、アーサー・C・クラークが最初に論文を出した訳で、特許は無効では?
  • by Anonymous Coward on 2008年04月13日 13時53分 (#1329036)
    特許のせいってwwww
    そんな言いがかりが許されるなら、はやぶさの姿勢制御がうまくいかなかったのは、化学エンジンの性能不足とか言うのもアリだよな。
    本当はフライホイールの故障が原因なのに、その代替案のせいに責任転嫁。
  • by Anonymous Coward on 2008年04月13日 13時57分 (#1329040)
    リスク管理のために、責任を擦り付ける特許を探すのは良いことだ。
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身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人

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