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医療

カゼイ菌を服用することで花粉症を軽減できるという実験結果が発表される 73

ストーリー by mhatta
これからはヤクルトを毎日飲むか 部門より

insiderman 曰く、

「善玉菌」などと呼ばれている特定のバクテリアを含む飲料を服用することで、花粉症の原因となる免疫反応を抑えることができたという実験結果が、イギリスの研究者によって発表されました(Rautersの記事原論文)。

この発表を行ったのは、英ノリッジ食品研究所のClaudio Nicoletti氏ら。花粉症を患っている被験者にカゼイ菌を含む乳製品飲料を5か月に渡って毎日飲用させ、その血液を調査したところ、アレルギーを引き起こす抗体の数がカゼイ菌を服用していない被験者と比べて少ないレベルになる、という結果が得られたそうです。さらに、アレルギー反応を防ぐ役割を持つIgGと呼ばれる抗体の数はより増加していたそうで、これらの変化により花粉症の症状を低減することができるとのこと。

日本でもヨーグルトや乳製品が花粉症に効くという話はよく言われていますが、その効果が正しく実証されたということで、これを活用して花粉症の特効薬などができるとよいですね。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • ヤクルト? (スコア:3, 興味深い)

    by Livingdead (18685) on 2008年06月04日 12時21分 (#1356156) ホームページ 日記
    都市伝説かもしれないけど、ヤクルトの選手は花粉症が少ないってのを以前聞いた。
    もしかしてヤクルトの選手にはただでヤクルトが配られるのか?
    って、ここでいう「カゼイ菌」とヤクルト菌(代田株)とは違う?
    --
    屍体メモ [windy.cx]
    • 原文にはLactobacillus casei Shirota (LcS) と書いてありますから、
      ヤクルトの乳酸菌とおんなじ物でしょう。

      #よく知らないのですが、L・バチルスナントカ株まで厳密に書くものなんですか?
      --
      ____
      #風邪をひきました、脳が故障しています
      #残念ながら仕様です。
      親コメント
      • Re:ヤクルト? (スコア:5, 参考になる)

        by y_tambe (8218) on 2008年06月04日 13時54分 (#1356237) ホームページ 日記
        まぁ普通は、細菌についても、論文タイトルとか本文中では学名(Lactobacillus casei)だけで、菌株名はMaterials(実験材料)のセクションに書けばいいです。ただ、特殊な菌株を使ってたり、菌株の違いに意味があるような場合というのは別ですが(例えば、大腸菌K12株の全ゲノムを解読した、とか)

        シロタ株は、いわゆるプロバイオティクス用として選別して作成した菌株なんで、通常に分離されるL. caseiとは性質が異なる部分がありますから、そう考えれば菌株名を書くことに理由は付けられます。ただまぁ、タイトルには付けない方がむしろgeneralな話として広げられるんだけどなぁ…という部分はありますけどね。

        実は、わざわざ付けてるのは、ぶっちゃけて言うと宣伝的な意味があるというか。原報のAcknowledgementsにはちゃんと(というか)日本のヤクルト本社がスポンサーについてることが書かれてます。

        なんか、こう言っちゃうと「企業&御用学者の研究発表か!」みたいに、穿った見方をする人もいるだろうとは思うんですけどね。ただまぁ、ヤクルトは起業時の経緯なんかもあって、日本や世界の腸内細菌研究の発展に貢献した企業なんですよね。特に、日本で医学微生物学を研究しているラボは、最近では感染症の危険性がまた見直されてるとは言え、一時期(それこそWHOによる天然痘撲滅宣言の影響などから)「もう必要ない学問」として研究費配分が大幅に減らされ、正直、存続できないような状況に立たされたわけでして。そのときに、ヤクルトなどからの助成金に救われたところも少なくなかったり…。まぁ何にせよ、日本の微生物学研究を支えてきたところだ、という点については動かしがたいものがあるところです。
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        ヤクルトのCMで渡辺謙がLカゼイシロタ株と言ってますね。

        「カゼイシロタ」の部分が聞き慣れない言葉なので、「株」まで続けて「カゼイシロタカブ」という
        固有名詞かと思ってました。
      • by Anonymous Coward
        >ヤクルトの乳酸菌とおんなじ物でしょう。
        来年の春先にはダメもとで毎日ヤクルトを飲む人が出ると予想。

        花粉症は本当に辛いものらしいからね。高価な薬を服用したり毎日マスクやゴーグルを
        装着して不審者みたいな格好で通勤通学するくらいなら、ヤクルトを飲む方がずっと楽
        だし安上がりなのでは。

        結果は再来年かな。
        • by Namany (19002) on 2008年06月05日 14時53分 (#1357121) 日記
          >花粉症は本当に辛いものらしいからね。高価な薬を服用したり毎日マスクやゴーグルを
          >装着して不審者みたいな格好で通勤通学するくらいなら、ヤクルトを飲む方がずっと楽
          >だし安上がりなのでは。

          症状が酷いと「高価な薬を服用」して「不審者みたいな格好で通勤通学」しても耐え難いので、ヤクルトごときで代用になるとは思えません。
          「高価な薬を服用」して「不審者みたいな格好で通勤通学」した上でさらにヤクルトを飲むことになります。

          #最近も杉ほどではないけど症状があるので、たぶんカモガヤ花粉が飛んでいるんだろうなぁ
          親コメント
    • by Anonymous Coward on 2008年06月04日 12時34分 (#1356170)
      マジにヤクルト製品は飲み放題?みたいですよ。
      親コメント
      • 一方○○では (スコア:1, おもしろおかしい)

        by Anonymous Coward on 2008年06月04日 14時12分 (#1356251)
        よし、じゃあウチは新聞読み放題でどうだ!
        親コメント
        • by Anonymous Coward
          じゃあ、ウチは国鉄乗り放題で……
          • by Anonymous Coward
            広島涙目

            #マツダに泣きつくしか
            • by Anonymous Coward
              横浜:昔なら鯨食い放題だったのか~
            • by Anonymous Coward
              オリックスなんぞ借金し放題。え?返さないとダメ?
        • by Anonymous Coward
          中日ですね。わかります。
    • Re:ヤクルト? (スコア:1, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2008年06月04日 13時35分 (#1356227)
      クラブハウスにヤクルト製品が大量に置いてあるから持ち帰り自由の飲み放題だそうです。

      いつだかTVでヤクルトの選手が言っていたのを見た気がします。
      親コメント
  • 特効薬作るよりも (スコア:3, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年06月04日 12時26分 (#1356160)
    原因である手入れされてない森林の整備にお金を使ってくれないのでしょうか。
    杉や桧の花粉以外は低減されませんが、杉花粉による経済損失考えれば2年もあれば元取れると思うのですが。
    患者数の算出は厚生労働省で経済損失の算出は経済産業省で実際に整備事業するのは農林水産省だから無理ですね、
    じゃなくて、それをやらせるのが政治家ってモノじゃないんですかね?
    整備する会社に政治家の親族送り込めばやるんでしょうか。
    • by Anonymous Coward on 2008年06月04日 16時15分 (#1356326)
      実は、お金は出てるんだけど全部ダムに消えてます。
      治山 ダム でぐぐればいくら位でてるかもわかっていただけるかと。
      ちょっとでも回ってくれば、整備ができるんですが・・・
      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2008年06月04日 21時52分 (#1356566)
        最近は間伐材を使用した治山ダムが作られるようになりました。
        もちろんすべての治山ダムが間伐材を使用したものではないのですが、このような取り組みが行われているのは知っておいたほうがよいかもしれません。

        治山ダムは農林事務所の所管です。農林事務所では植林された杉やヒノキの間伐が必要なことはもちろん把握しています。そのため間伐材を利用した治山ダムは、間伐と治山ダムの資材の調達ができるという一石二鳥の解決法となっているようです。
        親コメント
    • by Anonymous Coward
      > 杉花粉による経済損失

      (プラスの)経済効果とどっちが大きいんだろう。

      • by Anonymous Coward
        そういうのを経済産業省にやらせられる人募集中です。
        都知事のあなた,2016年オリンピック招致はどう考えても無理だから、つかえるコネをすべて使ってこちらで名前を残してみませんか?
        こっちの方がヒーローになれますよ
        • by gendohki (16311) on 2008年06月04日 14時26分 (#1356264)
          てめぇの土俵でならもうやってる [tokyo.jp]。

          #後の自治体がやるかどーかは別問題ですけどね。
          --
          「なんとかインチキできんのか?」
          親コメント
        • by Anonymous Coward
          花粉症になっても働けなくなるわけじゃないし、治療費で金の流れが増えるので、経済効果がプラスなのは明白。
          そもそも、人間(社会)の幸福度を計るためにキャッシュフローの指標を持ち出すのがおかしい。
          • by Anonymous Coward
            >花粉症になっても働けなくなるわけじゃないし、

            頭脳労働は効率が落ちるし、肉体労働は疲れやすくなるし。

            花粉症の季節は、薬のせいか花粉症のせいか、頭はボーッとするし、体は火照るし。家から出たくもなくなるし。外出時に薬飲んだら、汗は出にくくなるし、トイレは近くなるし。

            「ゴールデンウィークにレジャー? バカじゃネェの?」とか思うようになってるよ。治りかけは咳がひどくなるから、家の中でおとなしくしてるのが一番だよ。鼻のかみ過ぎで鼻血は出るし、鼻の中が腫れて水疱が出来て、それが破れれば膿んでかさぶた出来て・・・散々だよ。

            鼻水>水洟>青洟>咳>完治
             3月 4月 5月

            #ピーク時の水洟は糸すら引かない。ティッシュで栓しても滲み出して滴り落ちる。
            #薬で抑えて、ようやく鼻がすすれる。水だとすする前に落ちちゃうからね。
    • by Anonymous Coward
      同感だ。

      現在は国民の10人に1人が花粉症といわれている。
      彼らが年に二ヶ月間、抗アレルギー薬(一日分で約190円)を
      服用したとすると、医療費支出は約1兆円です。

      管理されていない杉林を破棄し、自然林に戻すことができれば、
      何割かは花粉症患者を減らせるでしょう。

      仮に3割減れば、300億円ですよ。

      消費税増税とか言う前に、杉林を焼き払うなり何なりしてください。
      • by Ryo.F (3896) on 2008年06月04日 13時16分 (#1356207) 日記

        管理されていない杉林を破棄し、自然林に戻すことができれば、
        <<略>>
        消費税増税とか言う前に、杉林を焼き払うなり何なりしてください。
        杉林を焼くだけじゃ自然林にはならないよ。植林せずに自然林になるまで放置するの?
        いくら杉林が防災・保水能力が低いと言っても、ゼロではないんだから、単に焼き払うだけでは問題が出るよ。
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        花粉症の患者って減るの?
        花粉症って治るの?

        まぁ症状が軽くなれば薬は減るだろうけど
      • by Anonymous Coward
        1兆円の3割は300億ではなくて、3000億ですな。

        あと、不要な支出は減らすべきですが、
        それによって経済活動がシュリンクした分はどこで補いましょうか。
        • by Anonymous Coward
           ・経済猿はこれだから……
           ・自分の病院(耳鼻科)が倒産して困るんですね、わかります
           ・自分の製薬会社が(以下同文)
          どれでも好きなの選んでくれ。

          まあ煽りはともかくとしてだ。
          半ば人災になってる花粉症の医療費なんて、経済活動としては不健全極まりないぜ。
          花粉症が緩和されれば外に出る人も増えるし消費も加速される。
          それも加味しての経済損失って言ってるんじゃねえの?
    • by Anonymous Coward
      森林の整備って簡単に言うけど、
      誰も日本産の杉で家建てないのにどこの山主にそんな金があるのか。
      将来性も後継者も無い林業にどこの団体が金をつぎ込むのか。

      それなら、将来性もあって金を生み出して海外市場も医療や健康市場に金突っ込む方がいいに決まってるじゃない。
      原因から断つより、経済も「回る」でしょ?未来永劫。
      • by Anonymous Coward
        ・山林整備する金がないから、それを国庫から負担するための錦の御旗です。
        ・切った木は最悪でも石炭火力発電所で石炭に混ぜて燃せるでしょ、生材でも。 杉花粉対策が目的なのだから間伐材で儲けることは考えないで予算組む。
        ・薬局で保険適用外の薬買う分にはいいが、医者で薬出してもらったら時の医療保険の負担増をこのご時世に消費拡大と喜ぶのか?
        ・たとえ薬飲んでも作業効率落ちる人は多い。 その損失は無視?
        ・このまま杉林を放置すれば林の表土の保持力は落ちる一方。 そうなると土砂崩れ多発。 これは実際10年以上前から始まってる。 土木工事が増えるから経済にはプラスですか?
        ・後継者も将来性もないのなら、なおさら手入れしなくても大丈夫な自然林に近づける努力をするべきではないか?
        そもそも杉花粉症対策市場って100億円レベルじゃないの? 花粉症は杉や桧以外でも起こるので研究は続けることに異論はありません。
    • by Anonymous Coward
      別に研究者は金を出すスポンサーでもないしなぁ。
      製薬会社だって別に林業でなんかやっている訳でも無いし。

      つまりは「森林管理」と「特効薬を作る」ってのは、それ自体は全く持って重ならないレイヤー上の話題だって事。

      「国として対策に金を注ぎ込む」ってストーリーが立つまで待ってましょう。

  • by YOUsuke (6796) on 2008年06月04日 13時35分 (#1356224) ホームページ 日記
    イギリスにも花粉症ってあるんだ・・・
    --
    妖精哲学の三信
    「だらしねぇ」という戒めの心、「歪みねぇ」という賛美の心、「仕方ない」という許容の心
  • 腸と鼻 (スコア:2, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2008年06月04日 15時56分 (#1356308)
    腸内細菌を摂取すると鼻炎に効果がある理由がわかりません。 ただ善玉菌を採る事で体調がよくなっただけ、って訳じゃないのかな。 要約の中には、免疫関係の細胞が花粉に対してあまり反応しなくなるとか、IgE濃度が下がるとかは書いてるけど、 症状が改善したとは書いてないんですよね~。 あと「アレルギー反応を防ぐ役割を持つIgG」ってのは間違いです。 Ⅱ型とかⅢ型アレルギーとかはまさにIgGが原因のひとつなので、せいぜい「花粉症の症状を防ぐかもしれないIgG」にしておいたほうがよいですよ。(Wikipediaにすら書いてあったです。)
    • Re:腸と鼻 (スコア:5, 興味深い)

      by y_tambe (8218) on 2008年06月04日 17時10分 (#1356360) ホームページ 日記
      >ただ善玉菌を採る事で体調がよくなっただけ、って訳じゃないのかな。
      いや、その「だけ」っていうことの方がよくわからんのですけどね。

      一応、「鼻炎」というか、花粉症(その他、アトピー性皮膚炎とかのI型アレルギー全般を含む)に関しては、その根治療法につながることが期待されてる「Thバランス仮説」ってのがありまして。

      そもそも花粉症などのアレルギー(I型アレルギーと分類される)がなぜ起きるのか、というと、花粉に含まれる何らかのタンパク質に対する抗体が血中にたくさん増えるから、です。この抗体は、そのタンパク質と結合するものなら、何でもそうなるのか、というとそういうことはなくて、抗体の中でも特にIgEと呼ばれるタイプのものが問題になります。IgEは、アレルギーを引き起こすようなタンパク質(アレルゲン)と結合する傍ら、もう片方では(抗体分子のFc領域)では、マスト細胞とか肥満細胞とか呼ばれる、血液中の細胞と結合します。IgEを介して、アレルゲンがマスト細胞と結合することで(正確には、マスト細胞表面に結合しているIgEに、アレルゲンが結合し、細胞表面のIgEが架橋されることで)、マスト細胞が活性化されて、その細胞内にある顆粒から、ヒスタミンなどの、いわゆるアレルギー物質(ケミカルメディエーター)が細胞外へと放出されます。これが、くしゃみとか鼻水とか痒みとか、花粉症の諸症状の直接の原因になるわけです。(なので、抗ヒスタミン薬とか、ケミカルメディエーター遊離抑制剤なんかを対症療法的に用います)

      で、このマスト細胞の表面に結合するのは、確かに一部のIgGなども含まれますが、そのほとんどはIgEです。大部分のIgGやIgMなど、他のタイプの抗体は結合しません。またこういった抗体というのは、「抗体産生細胞」とか「形質細胞」とか呼ばれる、B細胞というリンパ球が分化して出来た細胞から産生されるのですが、最初の段階では、そのB細胞が「どのタイプの抗体」を作るか、というのは決まってません。ここがミソでして、B細胞が分化する過程で、「花粉と反応するIgG」を産生する細胞にたくさん分化していけば、その分「花粉と反応するIgE」を産生する細胞は減少する、というわけです(かなりおおざっぱな説明ですけど)。

      じゃあ、このB細胞の分化をコントロールしてるのは何かというと、それはサイトカインと呼ばれるタンパク質群です。サイトカインは体内のいろんな細胞、特に免疫に関わる細胞が分泌するタンパク質で、非常にたくさんの種類があり、俗に「サイトカインネットワーク」と呼ばれるように、それぞれが複雑に相互作用しながら、互いにコントロールしあってます。が、これまた非常におおざっぱに言うと、インターフェロン(IFN)と呼ばれるものが、B細胞をIgG産生細胞に、インターロイキン4(IL4)がIgE産生細胞に、それぞれ分化させます。そして、これらのサイトカインを産生するものとして、前者はヘルパーT細胞のタイプ1 (Th1) 、後者はタイプ2 (Th2) が知られています。このどちらが優位に働いているかによって、B細胞の分化のバランスが変化し、それによって血中のIgE濃度が下がれば、I型アレルギーの「根治的な」治療につながるだろう、というのが、もう10年以上前から言われている、Th1/2バランス仮説というヤツです。

      「でも、そんなこと可能なの」というのは、もっともな疑問だと思いますが、Thバランスが変化しうるだろうってこと自体には、一応裏付けがありまして。例えば、昔から医療用、実験用の抗体(抗血清)をウサギなんかに作らせるとき、抗原を吸着させて投与する「アジュバント」ってを利用するのですが、このアジュバントの種類によって、IgGとIgEのどちらを増やすかコントロールできることが知られてます。一般的に用いられるフロインド完全アジュバントは結核菌死菌成分と鉱物油からなりますが、これを用いるとIgGが増えやすくなるし、一方、水酸化アルミニウムゲル(アルミナ)を用いるとIgEを作りやすくなるなど、何らかの条件によって、できる抗体のタイプをコントロールすることは可能だと。また、寄生虫感染のときにはIgEが優位に増えてくることも知られてまして、そういう「体内に感染する微生物」の種類も、Th1/2バランスに影響するんじゃないか、と考えられてるわけです。

      腸内細菌との関係について言うと、近年「腸管免疫」と呼ばれる免疫機構の解明も進んできてまして、消化管の内部に存在するものの一部がM細胞という腸管の細胞を介して、マクロファージなどに取り込まれ、それに対する免疫反応が起こりうるというメカニズムが判ってきてます。なので、腸内細菌叢の状態がTh1/2バランスにも影響しうる、というのは、まぁちょっとばかし飛躍しているとは言え、ありえないとも言い切れないくらいの考え方です。ただ、じゃあ腸内細菌叢がどうなったら、Th1優位になって花粉症が軽減するのか、また実際にはどれくらいの効果があるのかについては、まだ何の手がかりもなかったわけで。今回の研究は、実際のヒトでの研究結果として、その第一歩と言えるものだと言えます。
      親コメント
      • Re:腸と鼻 (スコア:1, 興味深い)

        by Anonymous Coward on 2008年06月04日 19時06分 (#1356435)
        ご説明ありがとうございます。
        私がy_tambeさんの引用部で言いたかったのは、花粉症の症状軽減策として、休養したり運動したりと、健康的な生活を送ることが言われていて、一方で善玉菌は体を健康にするのだから、善玉菌を採る→健康になる→花粉症緩和であって、善玉菌を採る→花粉症緩和ではないのではないか、つまり、善玉菌が花粉症の特効薬なのではなく、(これまでいわれている通り)善玉菌を採ることを含めた「健康的な生活を送ること」こそが花粉症対策に繋がる、というのがこの研究でわかったことなんではないのか、ということです。
        で、引用部の前文と関わるのですが、もし善玉菌を採り、腸内細菌のバランスがよくなり、Th1/2細胞のバランスがよくなったとして、その腸内の変化がどうして鼻まで伝わるのかがよくわからないのです。
        Th1/2細胞のバランスが血流にでも乗って徐々に伝わっていくのでしょうか。でもそれだったら、体全体のバランスがよくなるはずで、(花粉症の症状緩和も含めて)体が健康的になるということのはずです。
        もっと直接的に花粉症に影響する証拠があるのでなければ、善玉菌'が'花粉症の症状を緩和する、とはいえないんじゃないか、と思います。

        #血中IgGが増加しているのに、FcgRをもってる単核球の反応が抑えられてるのは何でなんだろうか。
        親コメント
        • Re:腸と鼻 (スコア:2, 興味深い)

          by y_tambe (8218) on 2008年06月04日 20時22分 (#1356489) ホームページ 日記
          >一方で善玉菌は体を健康にするのだから

          んーと要するに、上で引用した意図というか、ツッコミどころはここなわけです。「善玉菌」というものが存在するということと、それが「健康にいい」ということ、この二つの前提が「ホントウにそうか?」ということ。

          これを「ホントウにそうだ」というためには、医学的/科学的な立場から実証しないといけないわけですが、そうなると結局のところ、順序が逆であることに気付くはずなんです。例えば「乳酸菌を採ると○○の症状が緩和された」「△△の症状も緩和された」「××を発症するリスクが下がった」 → 「乳酸菌は健康にいい」 → 「乳酸菌は善玉である」、という具合でなきゃならないわけで。今回の報告ってのは、要するに、その「○○」に「花粉症」が入っただけの話です。で、乳酸菌が「健康にいい」とか「善玉」というのが、そもそも十分に実証されてるわけではありません(つーか、そういう医学的に曖昧な指標をどうやって定義し、測定するというのか、という問題があるわけです)。

          「善玉」とか「体にいい」という考え方も、いわゆる「善悪二元論」というヤツで、とにかく分かりやすいのだけど、それが真実かどうかは判らないし、却って物事の本質を見誤ることがあります。そこを出発点にして議論するのは危険ってヤツです。
          親コメント
        • by y_tambe (8218) on 2008年06月04日 20時35分 (#1356506) ホームページ 日記
          >もし善玉菌を採り、腸内細菌のバランスがよくなり、Th1/2細胞のバランスがよくなったとして、その腸内の変化がどうして鼻まで伝わるのかがよくわからないのです。

          Th1/2細胞は、そもそも血中のリンパ球(Tリンパ球)の一種です。ヘルパーT細胞、あるいはしばしば「免疫の司令塔」なんて喩えられることもあります。ヘルパーT細胞が産生するサイトカインが、免疫系の全体を左右すると言ってもいい存在なので、その作用はもちろん鼻を含めた全身に及びます。

          #ただまぁ、だからといって「体が軽くなった!」とか「朝からしゃきっとする!」などのような、「健康情報番組」的な意味での
          #「体全体のバランスを良くして……」なんていう、ものではありませんが

          花粉症に伴うアレルギー性の鼻炎も、上で説明したように、鼻から侵入した花粉(アレルゲン)が、鼻の粘膜のところに来たマスト細胞上のIgEと結合して、そこからケミカルメディエーターが放出されることによって起きると考えられてます。なので、血清中の花粉特異的IgEの量自体が減少すれば、その反応も和らぐ、ということになります。

          問題はむしろ「腸から血中」、つまり「消化管の中(=体『外』に当たる)にある抗原が、ちゃんと血液中のT細胞などに認識できるようになるのか?」というところなんですけど、そこらへんを効率よくつなぐシステムとして、上で述べたような腸管免疫のシステムが注目されている、というわけです。

          #サブジェクトに意味はない
          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年06月04日 14時43分 (#1356271)
    私は甜茶 [wikipedia.org]で鼻水ダラダラがだいぶマシになりました。
    スーパーで売ってるお茶のパックで作って飲んだだけですが。

    カゼイ菌や他の治療法との対照実験もして欲しいですね。
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日本発のオープンソースソフトウェアは42件 -- ある官僚

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