摂取するだけで体を鍛えられる薬が見つかる 61
「飲むだけで{やせる|マッチョに}」が現実のものに 部門より
insiderman 曰く、
カルフォルニアのHoward Hughes Medical Instituteの研究者、Ronald Evans氏らによって、摂取するだけでエクササイズの効果を飛躍的に向上させる化合物「GW1516」と、運動することなしに運動したのと同じ効果を体に与えることができる薬物「AICAR」が発見された(Reutersの記事、論文要約)。
論文によると、GW1516という化合物を与えたマウスとそうでないマウスを用意し、同様のトレーニングを行わせたところ、GW1516を与えられたマウスはそうでないマウスと比べて68%も長く走り続けることができたそうだ。
また、AICARという薬物を4週間与えられたマウスは、トレーニングを行っていないのにトレーニングを受けたかのようになり、 AICARを摂取していないマウスと比べて44%も長く走り続けることができたとのこと。これは「伝統的な」トレーニングを受けたのマウスを追い抜けるほどだったそうだ。
詳細は記事原文や論文を参照してほしいが、これらの化合物や薬物はAMPKやPPAR-deltaと呼ばれる、遺伝子の「master regulator」(主調節器)である遺伝子に作用することで、筋肉などにエクササイズを行った場合と同様の反応を与えることができるそうだ。
Evans氏はまだ製薬会社との共同研究などは行っていないそうだが、GW1516は比較的シンプルな構造の化合物であり、簡単に合成できるとのこと。また、これらの薬を使ったドーピングなども考えられるため、尿や血液からこれらの薬を利用した痕跡を検出するテストも開発しているそうだ。
ちなみに (スコア:5, 参考になる)
遺伝子操作で運動効果が高いマウスや、高脂肪な食事を摂取しても太らないマウスを作れるということにも驚きましたが、薬で遺伝子操作と同様の作用を与えられたという点にはさらに驚きました。
あと、今回開発しているドーピング検査は来る北京オリンピックに出場する選手に対しても行われる可能性があるそうです。もしかしたらすでにこの方法でドーピングしている選手がいる可能性もある、ということなんですかね……。
Re:ちなみに (スコア:4, 興味深い)
死亡事故などが起きたために禁止されるようになったはず。
今回発見された薬が、そういう危険な副作用などを起こさないものならば、
扱いもまた変わってくるかも。
しかしなんだ。
考えてみれば当たり前のことといわれればそうなんだが、
一生懸命鍛えれば筋肉がついて体も健康になるとか、怠惰な生活を送れば脂肪がつき、
ほかの臓器も不調になるとかいうのも体内の化学物質の作用の結果。
それを人工的にうまく調節できれば、怠惰な生活を送るまま、筋肉隆々のスポーツマン的な
身体を手に入れることも可能になるということか。理屈上は。
理屈上はそうなんだが、私のような古い人間にとっては、楽して簡単によい環境を手に入れると、
なんかそのうち「ばち」が当たりそうな気がしてしまう。
そういう根拠のない罪悪感を感じてしまうが、科学はそういう古いモラルではついて行けないところまで、
どんどん突き進んでいってしまうなぁ。
Re:ちなみに (スコア:1)
生物は、かなり複雑なバランスをとっている存在なので、そんな薬で筋肉だけ個別に発達させても、きっとバランスを崩して他の何かに影響が出るのではないかと思ったりします。たとえば、風邪をひきやすくなるとか、骨が折れやすくなるとか。(筋肉は大人! 運動神経は子供!! その名は(ry
それはそれとして:
筋力は高められているが運動神経が伴っていないドーピング・マンと、動体視力と反応速度だけ異常に発達したゲーマーが戦ったら、どっちが勝つのだろうか?
Re:ちなみに (スコア:1, すばらしい洞察)
わざと殴られて慰謝料を取るオフサイド・トラップな戦略に長けた人もいますし。
Re:ちなみに (スコア:1)
> 死亡事故などが起きたために禁止されるようになったはず。
>
> 今回発見された薬が、そういう危険な副作用などを起こさないものならば、
> 扱いもまた変わってくるかも。
副作用を引き起こさない化合物の摂取は今でもドーピングではありません。
ある化合物の摂取によりトレーニングの成果を飛躍的に高めることができ
それが深刻な副作用を引き起こさない場合、それは「サプリメント」と
呼ばれるようになります。
既に、「プロテイン」だとか「アミノ酸」とかいう化合物が発見されており
これらを摂取しても「ドーピング」扱いにはなりません。
自己血ドーピングの危険性 (スコア:1)
この手のドーピングが往々にして「やりすぎ」にまで行ってしまいがちな
ことを考えると、採血の方のリスクだって、一応基準が決められていて
せいぜいVVRくらいのリスクに抑えられている献血とは比較できません。
# Hb 20g/dlまで行けるかどうかとか、1回800ml採血して
# 静注鉄剤とEPO打ったら(これも今は禁止ですが)どうかとか、
# そういうワケワカラン限界に挑戦する奴が必ず出てきますよ。
自己血ドーピングを合法化してHbなりフェリチンなりの基準を決めてやれば
骨髄提供程度の安全性は確保できるかも知れませんが、あまりにもナンセンスでしょう。
Re:ちなみに (スコア:1)
目先の利に惑わされて損するのは、科学でも常識。
the.ACount
Re: (スコア:0)
体だけ手に入れても駄目なんじゃないですかねー
バーチャルな学習体験とか、そういったものが発展すれば別ですけど
Re:ちなみに (スコア:2, 興味深い)
ああいうのは脳内の化学物質の分泌の割合をちょっといじってやるだけでできそうな。
アメリカなどではそういう向精神薬の軽いやつなんて普通に売られているね。CMもばんばんやってるし。
いままでたゆまぬ努力や海千山千の経験、あるいは生まれつきの才能といわれていたものが
薬一錠飲むだけで手に入るようになると、どういう社会になるんだろうね。
いままで身体内部の状態というのは、外界との相互作用で変化・獲得してきたのだけど、科学のおかげで
外界とは無関係に、まさに「設定」できるようになる。
薬飲んで幸せな気分になったり、明るい性格になったり、自信にあふれる行動を取れるようになったり、
スポーツマンのような身体を手に入れられたり、まさに理由のない幸福を手に入れられて、
それは幸せなんだろうか?
参考文献:グレッグ・イーガン「幸せの理由」
Re: (スコア:0)
「精神的にも肉体的にも」と表現したんで誤解されたかもしれませんが、たとえば神経
ネットワークの形成は学習や反復によってしかもたらされない訳で、それは少なくとも
ドーピングだけでは無理ですよね。
つまり、表面上、体だけつくったとしても学習や反復によってもたらされるもの
全てを身につけることができるわけじゃない、と言いたかったんです。
あとはまぁ、脳内の化学物質云々に関してはこういった見解 [yomiuri.co.jp]もあります。
Re:ちなみに (スコア:1)
>ネットワークの形成は学習や反復によってしかもたらされない訳で、それは少なくとも
>ドーピングだけでは無理ですよね。
そのうち飲んだだけで神経ネットワークが形成される薬が作られるよ!
Re: (スコア:0)
薬一錠飲む感覚で獲得できるような方法を科学が提供してくれるようになるかも、
という話。そうなったら、社会はどうなるのかねということ。
肉体の改造だって、以前は食事とトレーニングで地道に鍛えるしか方法が無いと
考えられていたところ、それをバイパスして化学的に直接調整する方法がいろいろ見つかり
だしている。
神経細胞の反復学習においても、化学的なアプローチだけでは難しいかもしれないけど、
昔の人が現在のような状況を想像できなかったように、今現在では想像もつかないような
アプローチで可能になるかも。
Re: (スコア:0)
日本人は精神論に頼りすぎる。便利で(薬理的・社会的)副作用の少ない薬なら、積極的に使う方が人生の質が上がりますよ。
自分はかつて神経症で引きこもっていましたが、抗不安薬を飲むと飲まないとで外出の容易さが大違いでした。
飲まない時→昼間部屋から出られない、飲んだとき→人がいっぱいの電車に乗れる。みたいな。
病気の人に効果がてきめんなんですから、ちょっと自信ない一般人が飲んだらけっこうすごそうですよ!
「根拠のない自信」みたいなモン
Re:ちなみに (スコア:1)
the.ACount
Re: (スコア:0)
>楽して簡単によい環境を手に入れると、
>なんかそのうち「ばち」が当たりそうな気がしてしまう。
うまく説明できないんですけど、ドラえもんのオチ的な何かがありそうですよね……。
Re:ちなみに (スコア:1)
Re: (スコア:0)
つまり、飲んだ瞬間に全身の筋肉がブルブル震えだし、翌日は筋肉痛で動けなくなるような薬だと理想的ですね。
Re:ちなみに (スコア:3, おもしろおかしい)
Re: (スコア:0)
という説は昔からある。
Re: (スコア:0)
スポーツマンシップに則り“お約束”というルールをみんなきちんと守ってるじゃないか。
・ロープに投げられれば、しがみつかずに跳ね返って行かなければならない。
・相手が技を出せば、それに掛かってあげなければいけない。
・コーナーポストから飛び下りる選手が怪我をしないように下で受け止めてあげなければいけない。
#個人的に、アレを格闘技とは呼びたくない。
Re: (スコア:0)
Re:ちなみに (スコア:1, おもしろおかしい)
AICARって (スコア:3, 興味深い)
病気や加齢で筋力が弱った人に投与するといった使い方もアリなのでしょうか。
あとは、宇宙食に添加して、宇宙飛行士の筋力維持のために使ったりとか。
うまいこと使えるなら、そういったスポーツ以外の分野でも期待できるのかなぁとおもいつつ。
混沌の中にこそ真実がある・・・かもしれないけど探すのめんどい
Re:AICARって (スコア:1)
つまり, 中から体を頑丈にする飲むパワードスーツ. 名づけて「中から体を頑丈にする飲むパワードスーツ」ですね.
# 元ネタを知っている人はいるだろうか?
スピリッツもできるかもね (スコア:1)
できても実用性があるか?といわれると無いと思うんだけど・・・。
私は知っている (スコア:1)
Re: (スコア:0)
何を食べてもなかなか太らない体質の私にも効果はありますか?
ハンバーグ程度じゃだめですよ。
Re:私は知っている (スコア:3, おもしろおかしい)
・煙草をやめる
・ビールを毎晩1リットル以上飲む
・昼夜逆転の生活
・40歳を過ぎる
というエクササイズを実践したら太ることができましたよ。2番目のエクササイズが辛いとは思いますが、あなたもひとついかがですか。一緒に頑張りましょう。
Re:私は知っている (スコア:1)
実践し,かつ全くスポーツもしませんし,食事制限もしたことが
ありませんが,19歳の頃の179cm 59kgのまま30年近く殆ど変化ありません.
また,特に生活習慣病の持病も既往歴もありません.
これが私だけならともかく,親等の近い親戚 (職業も環境も全く別)
が皆同様の状況です.変化と言えば老眼と薄毛ぐらいでしょうか.
明らかに理に適っていないことが自分の身体に起きているというのも
奇妙な気がするものです.
Re: (スコア:0)
#オリジナルはs/肉/毒/です
対照実験はしたんでしょうか? (スコア:1)
-- う~ん、バッドノウハウ?
少し間違って覚えるよりは。 (スコア:1, 参考になる)
論文読む限り、GW1516もAICARも、PPARδとAMPKのアゴニスト(タンパク質にくっついて活動的にさせる物質)であって、遺伝子に作用してこいつらの発現調節する物質じゃないようです。
それから「master regulator」はAMPKであってPPARδは違います。ついでに言えば「master regulator」という特別な名称が付いてるわけではなくて、AMPKはいろんな調節機構に必要である、って感じの意味です。
おまけ。Wikipediaへのリンク
PPAR [wikipedia.org]
AMPK [wikipedia.org]
Cellの解説 (スコア:1)
魚類にも効くのだろうか (スコア:1)
この手の薬で魚類にも効果があるのが出てくると、養殖業者が飛びつきそうだね。
薬漬けの魚なんてちょっと怖いけど、回転寿司やコンビニ弁当で知らないうちに
口に入ることになりそうな予感。
この薬が早く一般に普及してくれると良いな。 (スコア:1)
# 本来の意味は「心身共に健康であればいいな」程度なものだったとか?参考 [google.co.jp]
ここは自由の殿堂だ。床につばを吐こうが猫を海賊呼ばわりしようが自由だ。- A.バートラム・チャンドラー 銀河辺境シリーズより
Cellの解説 (スコア:1)
空目した (スコア:0)
Re:空目した (スコア:2, 興味深い)
素人考えだけど。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
#けどまあ。鍵盤弾きにとって指を鍛えられる薬があったら楽だよ。
Re:空目した (スコア:1)
スルー力ですか
ちからのたね? (スコア:0)
Re: (スコア:0)
「だけ」じゃないじゃん? (スコア:0)
Re: (スコア:0)
タチカワスペシャル (スコア:0)
わかります。
新たなスパムメールのネタの悪寒……… (スコア:0)
ぜひとも (スコア:0)
Re:ぜひとも (スコア:1)
Re:マウス曰く(おふとぴ) (スコア:1)