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バイオテック

植物の茎からバイオディーゼル燃料によく似た炭化水素を作り出す菌が見つかる 38

ストーリー by hylom
植物から直接燃料を作り出せるかも、 部門より

capra 曰く、

植物の茎などと言ったセルロースから、ディーゼル燃料に非常によく似た炭化水素混合物を作り出す菌がモンタナ州立大学のGary Strobel教授率いる研究チームによって発見された。この菌はパタゴニアの熱帯雨林の樹木に内生する菌で、論文がMicrobiologyで発表された(論文要旨本家記事より)。

バイオ燃料はサトウキビやトウモロコシの穂などを発酵・蒸留してエタノールを作り出すが、この方法では元の植物の大部分が無駄になってしまう。セルロースを原料として燃料を作り出せれば効率的かつ安価であるはずだが、生成過程で大きなエネルギーを要したり技術的に難しいとされてきた。

Strobel教授が発見した菌(Gliocladium roseum)は樹木の幹や草の葉、植物の茎などのセルロースに生息でき、セルロースの分解と液体燃料の合成の両方を行えるという非常に画期的な性質をもっている。しかしG.roseumの代替燃料源としての可能性や経済効率などに関しては論文でも触れられておらず、研究チームも工業生産からはまだほど遠いことは認めているそうだ。

菌の遺伝子や酵素などに炭化水素生成の鍵が眠るかもしれないとして、現在エール大学の分子生物学者のもとゲノム分析が進められている。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • それって (スコア:2, おもしろおかしい)

    by Lurch (10536) on 2008年11月10日 12時37分 (#1452734)
    セルロースを食べて、メタンを出す牛みたいなものですね(違
    --

    ------------
    惑星ケイロンまであと何マイル?
    • by Anonymous Coward

      カウのゲップを月賦で買う

      # この燃料くさくって・・・

  • 紙か髪か (スコア:2, 参考になる)

    by stat (28781) <28781NO@SPAMa2the.net> on 2008年11月10日 13時50分 (#1452797) 日記
    放射線照射による突然変異で産み出された、セルロースを分解する能力が極端に高い
    バクテリアによって世界中の紙が分解し尽くされてしまう、「紙か髪か」という
    小松左京のSFがある。
    もし、この菌の改良に成功して、高効率でセルロースを分解するようになったものが
    野生化したら、それは恐ろしいことになるかも。
    • ちなみに (スコア:3, 参考になる)

      by SteppingWind (2654) on 2008年11月10日 18時10分 (#1452940)

      今回見つかったのはバクテリア(細菌 or 古細菌といったモネラ)ではなく, 真菌(カビ・キノコ)ですね. でもって, こうした真菌類が地球上におけるセルロース分解の主役であるのは良く知られていることで, 特に珍しいものではありません. 湿っぽい所に材木をほったらかしておけば, キノコやカビが生えて分解するでしょ.

      今回の発見で特徴的なのは, そうして分解した結果を一般的なCO2とかで放出するだけじゃなくて炭化水素に変えるってとこでしょう. 高カロリーのキノコ料理なんてものには, ちょっとお目にかかりませんから, 珍しい物であるのは間違いないでしょう.

      親コメント
    • by Anonymous Coward
      >野生化
      http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080411-OYT8T00198.htm [yomiuri.co.jp]
      こういうことですね
      わかります。
    • by Anonymous Coward
      つるぺた萌えのオタと禿げ専の腐女子によるバイオテロかっ!
    • by Anonymous Coward
      セルロース分解菌については、パルプ産業の廃液をきれいにする
      ことに利用されています。

      廃液がある程度の熱水であることからそれらの菌はある程度の温
      度が適するものが主に利用されていますので、常温では効率は悪
      いようですね。

      #今でこそ電子ペーパー・電子ブックとかいう代替品があるので
      #、そんなに困らないかもしれませんよ。
      • by hashitom (34540) on 2008年11月10日 16時45分 (#1452899)
        放射線照射による突然変異で産み出された、セルロースを分解する能力が
        極端に高いバクテリアは生の草木には作用しないのですか。
        親コメント
        • by the.ACount (31144) on 2008年11月26日 14時21分 (#1462146)
          生物の基本は省エネ省資源なんだから、分解能力が極端に高いバクテリアなんて生き残れるわけないでしょ。
          うまく生きてるのはセルロース分解をゆっくり長持ちさせてる奴等さ。
          --
          the.ACount
          親コメント
        • by Anonymous Coward
          生命だから再生しているのもあるけど、ただ食われるのでは
          なくて、草木は防御化学物質も出していますね。
    • by Anonymous Coward
      >セルロースを分解する能力が極端に高いバクテリア
      SFとしては面白いのですが現実味はゼロ。
      植物ができて何億年だかのあいだ、地球上でずっと脆弱性をテストされてきたのに、
      いまだに攻略されていない究極の素材、それがセルロースなのです。
      人間ごときが何万年かけたところで攻略できるわけがありません。
      • Re:紙か髪か (スコア:4, すばらしい洞察)

        by firewheel (31280) on 2008年11月10日 18時00分 (#1452936)
        >植物ができて何億年だかのあいだ、地球上でずっと脆弱性をテストされてきたのに、
        >いまだに攻略されていない究極の素材、それがセルロースなのです。
        んなはずはない。

        人間の胃袋が酸に耐えるように、生きている植物は再生するから保ってるだけ。
        死んだ植物なら分解する生物はいるよー。

        分解できなければ、いまごろセルロースによる環境破壊が深刻な問題に
        なってます。それこそプラスチック以上の。
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        セルロースだけ見ればそうかもしれませんけど、
        元の植物はそうこう言ってる間にどんどん攻略されてますよね。
        しかも数千年レベルで。人間舐めちゃダメですよ。
  • 間一髪 (スコア:2, 興味深い)

    by hashitom (34540) on 2008年11月10日 15時29分 (#1452852)
    バイオエタノール生産のためにパタゴニアの熱帯雨林を伐採するのが早かったら発見はなかったわけですね。

    Jungle, the final frontier....
  • by Anonymous Coward on 2008年11月11日 0時06分 (#1453156)

    この菌はパタゴニアの熱帯雨林の樹木に内生する菌で

    タレコミにあるこの語ですが、普通は「内生菌」という語を使うと思います。修正するとしたら、「パタゴニアの熱帯雨林の樹木の内生菌」くらいでしょうか。

    意味的には同じように見えるでしょうが、一応専門用語なので。英語では“endophyte”と“endophytic fungus”(論文はこちらを用いていますね)の2種類の表現がありますが、日本語ではたぶん「内生菌(類)」という表現しかしないと思います。

    なお、この「内生菌」というのは、「植物の体内に、病気を起こすことなく共生している真菌」を総称する言葉です。もっとも「共生」と言っても、植物と菌、それぞれにどのような利益(と不利益)があるのかという点については、まだよく分かっていません。

    # 内生菌には草食動物に対して毒性を持つ物質を生産するものもいるようですが、
    # 全ての内生菌でそのような現象が知られているわけではありません。
    # また、菌側の利益がよくわからないんですよね。
    # 内生菌は植物体内ではあまり増殖しないようですし
    # (まあ活発に増殖すれば、たぶん「病気」と呼んだ方がよい状態になってしまいます)、
    # 菌根のように植物体外に伸びていくわけでもない。
    ## 葉が老化あるいは落葉したときに、
    ## ほかの菌より先に定着して(というか既にそこにいる)分解を開始できるので
    ## 競争上有利なのだ、という解釈はありますが。

  • by Anonymous Coward on 2008年11月10日 12時44分 (#1452741)
    セルロース バイオ燃料 [google.co.jp]
    いっぱいログ出てくるけど。
    • by Anonymous Coward on 2008年11月10日 13時33分 (#1452785)
      ググった結果の方は、セルロースからエタノールを作る技術。今回のものはセルロースから炭化水素系化合物を作らせる技術なので、根本的に話が違ってきます。より平たく言うと、前者だとバイオエタノール対応車に買い替えないといけないけど、後者なら車の方は今のままでOKとなる可能性が出てくる。

      実際のところ、オクタンなども含めた炭化水素まで発酵で生合成されてるようですし、問題になるのは後は効率の問題で、合成されたもののうち、実際の燃料に使えるものを効率よく分離する方法の確立とか、そういったものだけを選択的に出来るだけ多く作らせるような菌株の開発とか、そういった方向に研究が進んでいくでしょう。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        すると、関連ストーリーはこっちの方が近いのかな?

        バイオマス・ガソリンの開発に日本の研究者が成功 [srad.jp] (食事中閲覧注意)

        こんときは眉唾ものと思われ、というコメが多かったけど。
        こっちの技術その後どうなったのかしら。
      • by Anonymous Coward
        論文要旨を読みますと、セルロースからの合成に触れているのは
        Volatile hydrocarbons were also produced on a cellulose-based medium・・・
        の一文だけで、オートミール培地(つまりデンプン質?)で80ppm検出したとありますが
        セルロースについては量の記述がありません。

        私はこの分野について全くの素人ですが、あまり大した発見があったようには見えませんねえ。
  • by Anonymous Coward on 2008年11月10日 13時10分 (#1452765)
    強風に立ち向かう男たち。
  • by Anonymous Coward on 2008年11月10日 16時42分 (#1452896)
    早く化学繊維を分解する細菌兵器を開発してくれ!(byふもっふ)

    # 肩こりが治るのを期待してるんですよ、ええ。
    • そんなことをすると、服の耐久性が下がってしまって、ビンテージものが出回らなくなります。
      すると、あっちこっちに裂け目を入れているお肌露出度が意外と高いオネーチャンたちがいなくなってしまいますが、それでもよろしいのか?
      --
      fjの教祖様
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2008年11月10日 23時40分 (#1453140)
    ディーゼル機関はもともと燃料性状の変化に対して高いロバスト性を持つわけですから、
    そろそろ車両業界側での、エンジン側の燃焼条件のフィードバック補正技術の指針策定に
    力を入れる方向に行くべきだと思いますです。

    その上で満たすべき燃料特性の仕様を定めた上で、実用の方向に行くべきでないかな、と。
    運送のしやすさ、低温時の性状、水分の含有性、加水分解性、腐食やシールへの攻撃性、
    高圧ポンプ中での挙動、インジェクタとの相性、対応すべき触媒やDPFの能力…

    特に植物由来アルコールや軽油様燃料だと、原料が含んでいるミネラル分などの要素もありうるわけで。
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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

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