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宇宙

NASA、次世代宇宙船開発でヤード・ポンド法を継続採用 100

ストーリー by hylom
宇宙ではデファクトスタンダードじゃなかった 部門より

capra 曰く、

NASAは、現在開発中の次世代有人宇宙飛行計画「コンステレーション計画」にて、長さや重さの単位として「ヤード・ポンド法」を継続して採用することを決定したとのこと(New Scientist本家/.より)。

開発中の次世代宇宙船の設計が現在のスペースシャトルに由来している上、単位系を変更するには予算が足りないということが採用継続の理由のようだ。30年前に作られたシャトルのドキュメントや設計図、またソフトウェアなどは全てポンドやフィートで記述されているとのこと。しかしこれらを全て国際単位系に換算するには合計3.7億ドルもかかるとのことで、この金額は2009年にスペースシャトル打上げに使われる費用の半分近くにもあたるという。NASA広報のGrey Hautaluoma氏曰く「国際単位系換算にかかる費用は我々の支払える額を超えていることが明らかとなった」とのことで、コンステレーション計画での国際単位系への移行は見送られることになった。

単位系の相違が一つの原因となり、NASAは1999年に火星探査機「マーズ・クライメイト・オービター」を失っている。また、2006年には無人宇宙船「DART」がドッキング相手の軍事衛星に衝突する事件があったが、この背景にも単位系の違いがあったとのこと。国際単位系への移行はNASAが今後も継続して取り組んでいかなければならない課題のようである。

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  • わざと (スコア:3, おもしろおかしい)

    by lutero (1993) on 2009年06月26日 16時24分 (#1594475)
    情報漏洩対策の一環として敢えてヤード・ポンド法使い続けてるのかもしれない
    万が一情報が渡っても度量換算に莫大な費用がかかり敵国の財政を圧迫する…のか?
    • Re:わざと (スコア:1, 興味深い)

      by Anonymous Coward on 2009年06月26日 16時46分 (#1594496)

      深読みのしすぎでしょう。

      米国はメートル条約にしょっぱなから加盟してますが、その当時も国内は
      メートル法への反発が強く、米国内でメートル法に対抗する形でヤードポンドの
      整備が行われたりした、という話を何かで読んだことがあります。
      割と保守的なところですからね。

      今でもメートル法に反発する人が結構いるようですが、当時ほどではなく
      知識層を中心にメートル法への移行を容認する意見を結構目にしますけど。
      面倒だとか今回のように金がかかるってことで見合わせられている分野が多い
      みたいです。ズルズルと100年以上も引っ張ってしまいますます移行が
      億劫になっているというのが現状じゃないっすかね。

      身近なところだと電子部品の足のピッチなんかがそうですね。
      これ変えられたら変えられたで結構、面倒……という風にズルズル来てるわけですな。

      親コメント
      • まず鉄郎をどうするか (スコア:1, おもしろおかしい)

        by Anonymous Coward on 2009年06月26日 20時50分 (#1594633)
        おまえ、ネジやってみるか?

        インチねじとメートルねじの統一
        親コメント
      • by miishika (12648) on 2009年06月26日 22時40分 (#1594685) 日記
        >身近なところだと電子部品の足のピッチなんかがそうですね。

        「19インチラック」に毎日向き合っている人も、ここには結構多いのではないですか。
        親コメント
      • by oguma (17986) on 2009年06月29日 9時16分 (#1595399)

        メートル法への反発が強く、米国内でメートル法に対抗する形でヤードポンドの
        整備が行われたりした、という話を何かで読んだことがあります。

         実際のところ、1959年以降、英米のヤード・ポンド法はメートル法で定義されているので、確実に換算はできるのですけどね。

        --
        Nullius addictus iurare in verba magistri
        親コメント
  • by gonzo (38147) on 2009年06月26日 18時04分 (#1594547)

    お金がかかるからといって後回しにするってのは、
    後々もっとお金がかかるパターンじゃね?

    多少お金がかかろうとも、「やらなくちゃ」と思った時点でやらないと。

    # 当社にはそういった負の遺産が多いデス

    • 結局は慣れの問題で,アメリカ人にしてみれば20フィートと言えば,その長さを簡単に想像できるのに対して,6mと言われてもすぐにはピンと来ない.日本人ならその逆ですね.ちなみにこれは典型的な家の一辺のサイズです.
      長さに限らず大抵の量は,ある意味,標準値に対する相対値で定義されているものですから,わざわざ異なる単位系を採用することのコストを払うだけの意味があるかどうかを考える必要があります.
      とは言え,国際標準と異なる単位系のみを使い続ける問題もあるわけで,実際,アメリカの小中学校の教育の場ではmetric systemも使われており,完全に取って代わることは近い将来には無いまでも,どちらの単位系で言ってもその「量」を実感できるようになる日は来ると思います.

      親コメント
  • アメリカ製飛行機のFlightSim(例えばFalcon4.0とか)なんかをずっとやってると、

    速度 ノット
    高度 フィート
    距離 海里(ノーティカルマイル)
    重量 ポンド

    っていう感覚が染み付いちゃって、ロシア機のSim(Flanker2.0とか)でメートル法の
    計器は読みづらいです。
     速度450knt、高度3000ftと言われれば、機の状態が感覚的に分かるんですが、速度833Km/h
    高度914m、と言われても今一ピンと来ません。
    (念の為言っておくと、速度830Km/h、高度900mって言われてもピンと来ない事に変わりなし。)

    アメリカの宇宙機を操縦するのはアメリカの航空機操縦教育を受けたパイロットでしょう
    から、ここは変えにくいんじゃないかな。
    (エリートパイロットとただのアホゲーマーを一緒にするなという方も多いでしょうが…)
  • by Anonymous Coward on 2009年06月26日 16時41分 (#1594493)

    自衛隊の装備を国内でライセンス生産するときに、
    F-86 はメートル法に換算していたけれど、
    F-104 のような超高速機は少しの誤差も怖いという理由で、
    生産ラインの測定機器から何から全てヤード・ポンド法で揃えて作った、
    とかいう話を聞いたことがあります。
    宇宙船ともなれば、やはり単純に数字を書き換えるだけじゃ済まないんじゃないでしょうか。
    その上、あちらは「2のべき乗分の○インチ」なんて単位が非常に多いので、
    作業する人員の慣熟やミスのカバーに要するコストも半端じゃないでしょうしね。
    僕らだって、時間の単位が○分や○秒じゃなくて 0.00X時間 なんて言われたら面食らいますよね。

    • by Anonymous Coward on 2009年06月26日 17時10分 (#1594516)

      そのせいかどうかは知りませんが、今ではすっかり日本でも航空機産業はヤードポンドが中心ですね。

      航空機の国際規格であるNAS/MILはふるいのは全部ヤードポンド。近年のでもSIでちょうど良く作ってあってもヤードポンドの表記が正だったり。米国の連邦航空局の認可(これがとれれば大抵どこの国に行っても飛べる)を得るための資料もヤードポンド。

      今日本産で制作中の三菱のMRJだってヤードポンドだし、ホンダジェットだってヤードポンド。(まぁホンダジェットは設計は日本じゃないが)部品の製造図などではSIを使っていても、正式な仕様管理図はみんなヤードポンドだったりして。
      さすがにP-X,C-X(自衛隊の次期大型機開発)はSI単位系でしたが、航空機のスタンダードがこれなので、基本的な考え方は随所にヤードポンドが。
      その他にも、SI単位系でやってる航空機はないわけじゃない。ただ今でもヤードポンドが標準なのは揺るぎないようで、ほとんど見ません。SI単位系に合わせてるののほうがまだまだ珍しいと。

      と言うわけで、今では合わせるまでもなく、航空機の現場は、初めから測定機器から生産ラインから、下手すると設計者の頭の中までヤードポンドでできてますな。
      自分もこの業界に入るまではヤードポンドなんて全然無関係だったのに、入ったらこれで、これを一掃するのは大変そうだと思いました。特にボーイングあたりが「次はSI単位系でやります」とか言い出さない限り無理なんじゃねえかな。

      #もしかしたらこの話、NASなんかの古くから使われている規格の書き換えも含んでるのかな
      #そこまでやってこのお値段だったら、安いもんだとおもうがどうだろう。

      親コメント
  • by kikki (30639) on 2009年06月26日 17時36分 (#1594536)
    光速度cを基準にした単位に統一しましょう!
    たぶん異星人に会っても換算が容易かと。

    …余計こんがらがるわっ
  • by rhodamine (32563) on 2009年06月26日 17時38分 (#1594539)
    一般にシャトルの打ち上げ費用は「一回当たり」4億ドルと言われています.
    "New Scientist"の記事,
    NASA recently calculated that converting the relevant drawings, software and documentation to the "International System" of units (SI) would cost a total of $370 million – almost half the cost of a 2009 shuttle launch, which costs a total of $759 million. "We found the cost of converting to SI would exceed what we can afford," says Hautaluoma.
    には確かに年1年の合計が7.6億ドルとありますが,これは明らかに間違いですね.
    やりたくない人の言い訳にも聞こえる.
  • 懲りませんね (スコア:1, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2009年06月27日 23時02分 (#1595095)

    現在、ヤードポンド法の使用が禁止されていないのは、アメリカ、ミャンマー、リベリアのみだそうです。
    後の2国は『禁止されていない』だけで、実際にはメートル法に移行が済んでいるようです。

    米国では単位系の換算ミスで多数の事故が起こっています。
    マーズ・クライメイト・オービターhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%8... [wikipedia.org]
    ギムリー・グライダーhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%8... [wikipedia.org]

    単位系の移行には大きな労力が必要ですが、移行しないままで居る方が色々な面でコストが掛かると思います。

  • トピックにNASAも加えてください。あのストーリーどこだっけと探して、見つからず手間どりました。

    --
    LIVE-GON(リベゴン)
  • by Anonymous Coward on 2009年06月26日 16時08分 (#1594463)
    宇宙船の中にゴルフ場が出来るまではそのままでせう。
  • by Anonymous Coward on 2009年06月26日 16時12分 (#1594466)

    でも日本も和暦から離れられないんだよなw

    • Re:頭が固い国だな (スコア:2, すばらしい洞察)

      by hokuto (16888) on 2009年06月26日 16時34分 (#1594484) ホームページ
      暦はSIで定められていませんからね。
      別に何使っても一緒かと。
      何の疑問も無くキリスト教由来の暦を使っちゃうよりはむしろ良いかもしれません。

      例えば、日本の商社が中東のイスラム教国とやりとりをするとき、書面上では日付をどう記しているのでしょうね。
      候補が3つくらい浮かぶ程度には、暦の表記ってのは曖昧なものです。
      統一しようって動きも(当たり前だけど)ありませんし。

      そして何より、単位の切り替えにはお金がかかります。
      明確なメリットが存在するNASAの単位系切り替えですら予算不足を理由に実行されないのですから、
      ほとんどメリットの見えない暦の変更なぞに税金を投入できるわけがありません。
      親コメント
      • by hafu (31167) on 2009年06月27日 5時48分 (#1594805) 日記

        候補が3つくらい浮かぶ程度には、暦の表記ってのは曖昧なものです。
        統一しようって動きも(当たり前だけど)ありませんし。

        ISO 8601 ちゃんの事を忘れないで下さい……。
        曖昧で困るからこそ、なるべく西暦を使いましょう、っちゅー話があるんじゃねーか?
        年号の変化で計算の連続性が保てない暦なんぞクズだろ、クズ。
        西暦に代替できる程、きちんと年数が連続して、且つ、普及した暦ってあるっけ? 神武天皇皇紀?
        それ国内でも知ってる人 (沢山) 居んの?

        もう、西暦の由来なんぞどうでも良かんべ。 そもそも、キリストの生まれた年だって厳密には西暦 1 年じゃ無いしな。

        親コメント
      • by ken2 (27347) on 2009年06月26日 20時31分 (#1594626)
        ユリウス日で…
        親コメント
    • by tarosuke (2403) <webmaster@tarosuke.net> on 2009年06月26日 16時36分 (#1594487) 日記

      暦でそれを言うならいまだに太陽太陰暦を使ってるとかいう話。

      日本で一番古い単位系から離れられてないのは建設業。尺貫法が通用してる。
      体のサイズベースの単位系なので確かに建物には悪くない選択ではある。
      が、そういう単位系は加速度が入るなどで単位間の互換性が問題になる所だとgdgd。
      # なのでNASAでヤードポンドってのは最低の選択w

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2009年06月26日 16時20分 (#1594471)

    流石に現状で替えたらヤバイだろ。
    替えるならその次に完全新規で行う時だ。

    #あれ?でもISSのモジュールはどうなっているんだろうか?

  • by Anonymous Coward on 2009年06月26日 16時28分 (#1594478)
    MOONLIGHT METERなんてタイトルに変更にならなくてよかった
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Stay hungry, Stay foolish. -- Steven Paul Jobs

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