パスワードを忘れた? アカウント作成
182722 story

ヒトゲノムには4000万年前のウイルス遺伝子が組み込まれている 31

ストーリー by hylom
4000万年の歴史 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

大阪大学微生物病研究所の朝長啓造准教授率いる研究チームが、ヒトやサルなどのDNAに「ボルナウイルス」の遺伝子が取りこまれていることを発見したそうだ。この遺伝子は、少なくとも4000万年前までに取り込まれたと考えられるとのこと。7日付の英科学誌ネイチャーにて発表された(論文要旨本家/.AFPBB News朝日新聞)。

今までも生物のDNAにレトロウイルスの遺伝子の一部が取りこまれることがあるというのは知られており、ヒトゲノムではその8%がウイルス由来のものだとされている。しかしレトロウイルス以外のウイルスがゲノムに取りこまれていることが明らかになったのは今回が初めてだそうだ。取り込まれた遺伝子は今もタンパク質を作り続けているという。

この発見はウイルスを利用した遺伝子治療や、遺伝病の原因解明に繋がると期待されているそうだ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by gonzo (38147) on 2010年01月12日 14時41分 (#1701354)

    聞いた話によると、
    ミトコンドリアも単細胞生物時代に酸素からエネルギーを作り出す他の生物を取り込んで出来た
    とか。

    ウイルスとは違うい人類だけの話ではないけど、こういう点からも生命って
    絶妙なバランスで成り立っている奇跡のような存在だと気づかされますね。

  • 一方、Windowsも (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2010年01月12日 12時36分 (#1701249)
    開発中にウイルスを取り込んだのでうまく動作していた。
  • >取り込まれた遺伝子は今もタンパク質を作り続けているという。

    ということは人体に何らかの影響を与えているのですよね。
    もしや、人が人である理由だったりして。
    • サルにも組み込まれているから、人が人である云々ではないと思いますです。

      でも、不思議だな~
      今の人間にもこういうことがおこってたりするのかな?
      いつの間にか、ニュータイプとかが誕生してたりするのかな?

      親コメント
      • こちらの分野は全くの門外漢ですが、
        ウィルスを取り込むことと、突然変異はどのような関係なのでしょうか?

        親コメント
        • 多細胞、特に哺乳類ともなれば生殖細胞と体細胞の分化は非常にはっきりしているので、まずウィルスの遺伝子は生殖細胞に取り込まれる必要があります。
          そしてそのようなことは比較的難しいと考えられてきたので、突然変異は自身の遺伝子の複製ミス(重複、欠失、転座)を主な原因としてきたと思います。

          親コメント
          • 生殖器官に選択的に感染するウイルスは水平伝搬の機会が増えたとも言えますね。

            親コメント
            • ただ、生殖器官でも卵や精子に感染しようと思うと結構難しい。特に哺乳類以降だとそういうウィルスもなかなか住みにくいかなと。
              例えば世に言う性病は性行為で感染しますけど感染場所は外性器に近い部位であったりして
              必ずしも精巣卵巣や精子や卵に感染するわけでもないですよね…。

              宿主に遺伝情報のかけらを水平伝播させることそのものを目的にするなら生殖器のような部位を狙う手もあるでしょうが、
              ウィルス自身の繁栄のためにはもっと他個体への感染機会の多い部位、例えば消化器官や呼吸器官、表皮などに感染したほうが有利かと…。

              なので私は下限として示された「4000万年以上」よりはもっとずーっと昔、もうちょっと生殖細胞に外部からアクセスしやすかった時期に取り込まれたのではないかなと…。

              あるいは取り込まれる以前からかなり長く共生していたウィルスだったのか。

              親コメント
              • いや、つーかですね、この辺りはまず、そのウイルス遺伝子が、(1)(単に細胞に入るだけでなく)ゲノムの中に組み込まれるかどうか、というのが先にあって、その後、(2)生殖系(germ line)に乗るかどうか、というのが問題になるんです。

                Kandoさんが述べているのは、(1)と(2)の境界を超えうるかどうか、という部分ですが、この部分についてはレトロウイルス/レトロトランスポゾンという先例が知られており、詳しく解析されてきた歴史から、今回のケースでことさら議論する重要性は低めです……体細胞系に入ったものが、生殖系に乗る確率は低いけれども、進化の歴史はそれが何度も起こるのに十分長い、と考えればいいだけの話で。

                そうじゃなくて、今回の報告が興味深いのは、(1)のステップがレトロウイルス以外のウイルス、しかも(少なくとも現在は)宿主DNAには侵入せずに増えるタイプの、ボルナウイルスという一本鎖RNAウイルスでも起きていた、ということです。
                培養細胞系での実験をした方ならご存知かもしれませんが、培養細胞への遺伝子導入を行う際、レトロウイルスベクターを用いる方法が割と知られてますが、それ以外にもいくつかの方法があります。例えば、アデノウイルスベクターを用いるとか、トランスフェクション試薬を用いるとか、エレクトロポレーションを行うとか……。


                ただ、この辺りはこの論文の主題ではなくて。むしろ、ボルナウイルスのようなRNAウイルスがどのように進化してきたか、という辺りの方がより関心の持たれる部分です。特にRNAウイルスでは、分子生物学的な解析を行うと、現存するウイルス種が、他の生物に比べて、極めて短時間の間に進化/分岐を遂げてきたような結果が出てくることが知られてまして。その解析方法の是非を含めて、現在も議論の対象になっています。

                それと、ここでは誰も指摘してないようですが、「4000万年前のウイルス」とか言ってますが、じゃあそもそも「その4000万年前のウイルスはどこからやってきたものか」というのも大きな問題でして。ウイルスの起源については、いくつかの説が存在しますが、こちら [nii.ac.jp]にもあるように、元々は細胞に存在した「動く遺伝子」が起源ではないか、という説が主流になってきてます。捉えようによると、今回の発見は「4000万年前にボルナウイルスが動物のゲノムに入り込んだ」のではなくて、「ボルナウイルスが4000万年前当時に存在した動物のゲノムに由来する」のかもしれないとか、まぁ、そういう意味でも面白い研究だと思います。
                親コメント
              • >例えば、アデノウイルスベクターを用いるとか、トランスフェクション試薬を用いるとか、エレクトロポレーションを行うとか……。

                #補足。

                これらの一過性の遺伝子導入法では、レトロウイルスベクター(やアデノ随伴ウイルスベクター)を用いて、ゲノム自体に外来遺伝子を組み込んでstable transfectantを得る場合とは異なり、通常は一過性に導入した外来遺伝子がゲノムに入ることは*めったに*ありません。が、ごくまれにこれらの遺伝子導入法でも、stable transfectantが得られることがあります。
                #確率的には非常に低いですが。

                ある意味では、今回の報告もレトロウイルス/レトロトランスポゾンではなくても、外来のウイルス遺伝子が進化の過程でゲノムに組み込まれた痕跡である、とも言えるかもしれません。
                親コメント
          • 元タレコミには「少なくとも4000万年前」とあるので、いっそもっとずっと古ければ話は簡単なんでしょうけどね。
            極端な話、細胞内器官は共生によると考えられているわけでそのころまでに取り込まれていればもうほとんど正規の面子といっていい。
            もう少し時代下って単細胞生物だったら生殖細胞と体細胞が分化してないし、
            さらにもう少し下っても受精卵の防御が薄い生物なら受精卵に感染という形も考えられる。

            なのでヒト以外の生物でその遺伝子が受け継がれているかどうかが興味あるところ。

            親コメント
          • ということは、
            「ウィルス感染による突然変異」があったとして、研究が進むのですかね?

            # 大雑把に例えて、魚類のある世代がウィルスに感染して次の世代から両生類になたったとか有りなんですかね?

            親コメント
        • by Anonymous Coward on 2010年01月12日 14時39分 (#1701352)

          多種の生物との遺伝子交換が行われる事になります。これが遺伝子の変化や多様性を起こす要因の一つとされています。突然変異を積み重ねる場合、それらの変異はごく小規模なものであったり、致死遺伝子と化していたり、おおきな変化を起こすのは難しいです。ですがウィルスを介した遺伝子の交換の場合、ある程度正常に活動する全く別の進化をしてきた遺伝子を取り込むことになり、大きな変化を起こしえるのです。

          ・・・っていうか、これ自体は随分前から言われていた気がする。遺伝子組み換えに使われる基本的な技術の一つだしね。

          親コメント
        • by Anonymous Coward
          >ウィルスを取り込むことと、突然変異はどのような関係なのでしょうか?
          自分も門外漢なのですが、
          今まで動いてたコードにウイルスが別のコードを強引に挿入、結果予期せぬ動きに……
          ……ってことじゃないかと。
          • あれでしょ、ウィルス由来のコードが8%もあるということは、
            実際のところ、Windows Updateで毎月パッチを当てるみたいなもんでは。
            親コメント
            • by Anonymous Coward on 2010年01月12日 14時11分 (#1701334)

              >実際のところ、Windows Updateで毎月パッチを当てるみたいなもんでは。

              どちらかというと、管理者のいないオープンソースプロジェクトのような。
              各々が好き勝手にコミットしまくりで、動かなくなったプログラムは淘汰される。

              そういう進化論的開発メソッドというのを試してみる猛者はいないものか?

              親コメント
              • by Anonymous Coward

                プログラム単位で淘汰されると大変そうですが、
                オブジェクト指向的にはクラス単位での淘汰だと面白そうな気がしますね:-P

              • by Anonymous Coward
                こんなの? [hatena.ne.jp]
            • by Anonymous Coward
              >ウィルス由来のコードが8%もあるということは

              パッと思いついたのは、ライセンス関連とか大丈夫なのかな?という心配でした。
  • by Anonymous Coward on 2010年01月12日 12時09分 (#1701224)
    ビンゴ?
    • by Anonymous Coward

      あれって巻末に続編があるようなことが書かれていて、アメリカではとっくに発売されているのに、
      日本語訳は一向に出版される気配がない。原書で読むしかないのか。

      ハヤカワ仕事しろよ。クラークの「ファーストボーン」も早く出しやがれ。

      • by Anonymous Coward
        いやあの本、ハヤカワが版元じゃないから。

        ##それはそれで問題だと思う。
        • by Anonymous Coward

          うーむ。ソニー関連会社だったか。
          それじゃ、やりっぱなのも仕方がないな(を

  • by Anonymous Coward on 2010年01月12日 12時16分 (#1701231)
    地質学的には始新世 [wikipedia.org]と言うらしいですが、クジラはこのウイルスから逃げて海に帰ったのか…(嘘
  • by Anonymous Coward on 2010年01月13日 10時18分 (#1701824)

    人間がもともと持っていた遺伝子がこのウイルスに組み込まれた可能性はないの?
    と論文も読まずに言ってみる。

    (多分この程度の可能性は検討され尽くして棄却されてるんだろうな。)

    • by AyamaSets (30895) on 2010年01月13日 11時47分 (#1701886) ホームページ
      私は別方向の逆に、このウイルスに対抗するために淘汰を繰り返したら、
      結果的にヒトゲノムにこのウイルスの遺伝子と同じコードができあがった、と妄想しました。

      そうでなければ、生殖細胞か発生の初期段階で感染するくらいしか思いつかないですね。
      親コメント
typodupeerror

アレゲは一日にしてならず -- アレゲ研究家

読み込み中...