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お金

サルにお金を持たせると人間と同じく非合理的な判断を下す 80

ストーリー by reo
合理性を単純化している気がしないでもない 部門より

ある Anonymous Coward 曰く、

霊長類の心理学を研究する Laurie Santos 氏は人間の非合理的な思考のルーツを探ろうと、サルに経済活動を行わせる実験を行ったところ、霊長類も人間と全く同じような非合理的な経済的判断を下すことが分かったそうだ (TED でのプレゼンテーション本家 /. 記事より) 。

人間に 1000 ドル渡し、さらに「コインを投げ、表がでれば追加で 1000 ドルもらえるが、裏なら追加はもらえない」という選択肢と「必ず追加で 500 ドルもらえる」という選択肢のどちらかを選ばせると、多くの人が後者を選択するという。しかし 2000 ドル渡して「コインを投げ、表が出れば 1000 ドル失うが、裏なら何も失わない」という選択肢と「必ず 500 ドル失い、1500 ドルをキープできる」のどちらかを選ばせると、前者を選ぶ人が増えるそうだ。実際にはどちらの場合も条件は同じで、前者は「1000 ドル貰える確率と 2000 ドル貰える確率、どちらも 50 %」、後者は「確実に 1500 ドル貰える」というものである。しかし人間は「失う」ということになると「loss mindset (損失思考)」に入ってしまい、2000 ドルのシナリオの場合、「損失が発生しない」確率に賭けてリスクの高い方を選んでしまうそうだ。これは経済学で「ロス回避」と呼ばれるバイアスのかかった考え方とのこと。

これと同じことがサルでも見られるという。Santos 氏はまず「トークンを人間に渡せば、引き換えに餌をもらえる」ことをサルに覚えさせたという。同時に 2 人の「餌のセールスマン」がいた場合、サルはより多くの餌を提示している方にトークンを渡すようになったという。そこで、それぞれが 1 粒の餌を持っている「セールスマン」が 2 人いる状況で、「必ずボーナスが 1 粒ついて合計 2 粒貰える」ことができるセールスマンを左側に配置し、「ボーナス無しか、2 粒のボーナスを貰える」いうセールスマンを右に配置した場合、サルは確実に 2 粒貰える方を選んだという。しかし条件を変え、それぞれ 3 粒の餌を持っているセールスマン 2 人のうち「渡す時に 1 粒減らされ 2 粒貰える」か「時々そのまま 3 粒もらえるが、時々 2 粒減らされ 1 粒しか貰えない」という条件にすると、人間同様サルは後者を選ぶようになったという。

このことからサルも「より多く貰える」か「より少なく貰える」といった相対的な評価を行うことが分かるとのことで、人間の非合理的な経済的判断のルーツがサルにも見られることが分かるという。Santos 氏は人間が自分たちは非合理的な決断を行う生き物であることを認識し、その限界を受け入れた上でそれを克服するシステムを構築することによって初めて人間の可能性を最大限に発揮できるのではないかと投げかけ、このプレゼンを締めている。ちなみにサルを「お金」を盗むようにもなったとのことで、これも人間そっくりだったとのことだ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • この話で得た教訓 (スコア:4, すばらしい洞察)

    by snurf-kim (10835) on 2010年08月13日 12時24分 (#1809278) 日記

    確実に利益を積み重ねたかったら「賽を振ってはいけない」という事と「賽を振らせる側に回れ」という事かな。

    • Re:この話で得た教訓 (スコア:1, おもしろおかしい)

      by Anonymous Coward on 2010年08月13日 13時02分 (#1809304)
      違う。 最終結果は変わらないのにデレデレツンツンとツンツンデレデレで異なる選択をしてしまうという話。
      親コメント
      • by Anonymous Coward

        いや、オタクの世界でツンツンデレデレはテンプレ化するほど流行ったがデレデレツンツンはそうでもなかったということ、
        読んでる腐女子は仲に入れないにもかかわらず「小次郎×翼」と「翼×小次郎」のどちらがいいのかで論争が起きるということ、

        以上を踏まえれば「合理的な部分」以外に価値を見出すのが人(と霊長類)なんじゃないだろうか。

        #最近どっかのサイトで「マクロ経済学は人間は合理的な行動をするという前提でモデルを作るが
        #そのそもその前提が間違っている」ってのを読んだのと関連するのかな、この研究

        • by Anonymous Coward
          オタクの世界はよくわからないが、
          ツンやデレってのは可測性のあるものなの?
          せいぜい序数的にしか観察できないような気がするんだが。
  • by NOBAX (21937) on 2010年08月13日 11時22分 (#1809236)
    何もしないで、持ち逃げするという人が一番多いでしょう。
    1000ドルのときは、表が出る確率が100%と信じる人が一番多いのでは。
    • by Anonymous Coward

      > ちなみにサルを「お金」を盗むようにもなったとのことで、これも人間そっくりだったとのことだ。

    • by Anonymous Coward

      「持ち逃げする」って、悪いやつだな
      俺なら選択を迫られたら、「検討してみる」って言って去るだな

  • 逆の可能性 (スコア:2, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2010年08月13日 11時10分 (#1809228)
    経済的に合理的とされる選択が、実際には生存競争を勝ち抜く上で非合理的なものである可能性について
    • Re:逆の可能性 (スコア:2, すばらしい洞察)

      by ko-zu (30390) on 2010年08月13日 11時28分 (#1809243) ホームページ 日記

      帳簿上ではなく物質的な物を考えれば、「一度手に入れた物を奪われる」ってのはそれだけで身の危険がある。なら、1/2で危険にさらされない状況を選ぶ。
      対して、「新たに手に入れる」ことを考えているときは周囲に危険がないことが前提だろうから、利益対効果を計算したほうが良い。

      って考えれば合理的な判断と取れますね。
      とすると「500か1500」と「常に1000」といった選択肢にすれば大分違うように思います。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        > 「500か1500」と「常に1000」といった選択肢にすれば大分違うように思います。
        「1000か2000」と「常に1500」で、言い方を変えただけで行動が変わるという実験なわけですが。

    • by Anonymous Coward

      自然界には必ず餌をくれるセールスマンなんて存在しませんからね。餓死しないためには「非合理的」とされている行動のほうが有利な可能性は十分にありますね。

    • by Anonymous Coward
      だから、経済合理性が意味を持つ特殊な環境である現代に生きる人間は
      かつての生存競争で意味を持っていたものを捨て、経済合理性を身につけると、
      それ以外の人々に対して優位に立てるのでしょう。

      この環境に過適応してしまうと環境が変わったときに真っ先に死ぬことになるかも
      しれませんが、自分の寿命がくるまでは環境は変わらないと信じて過適応に走るのも
      ひとつの戦略かと思います。
  • いかにもらうか と いかに失うか という判断を比較しているような気がして、判断する内容の根本が違う気がする。

    設問1:Aの森はリンゴが たまに倍 なっているときがあるがまったく無いときもあり、Bの森はかならず3/4は成っている。
       「たまに」が50%でも75%でも、おそらく行かない。まったく無いのは困る。

    設問2:一方、Aの森はリンゴが通常通りあるがたまに半分のときがあり、Bの森はかならず3/4は成っている。。
       「たまに」が50%でも75%でも半分ある。半分あれば充分という判断?

    人生においては、同じ50%の確立の勝負なのに 勝利し続ける人もいる。
    50%の確立の勝負なのに、負け続ける人もいる。そのひとの人生においては勝率0割。
    同じ港町でも大漁に次ぐ大漁をかさねて御殿を建てた者もいるでしょう。けれど船を手放すひともいる。
    勝負の確立は同じでも、そのいっかいきりの人生においては同一ではない。
    だので極力損失を回避し、その中でも勝負できる機会があればリスクをとっても多くを獲得したいというのは、生き物として非合理的な判断とはおもえないけどなぁ...。
    それが損失回避の判断なんだろうけど両者は比べてよい設問なんだろうか。

    #あぁ、中島みゆきが歌いそうな世界だ...

  • もしかして (スコア:1, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2010年08月13日 11時05分 (#1809226)
    朝三暮四の現代版?
  • by Anonymous Coward on 2010年08月13日 11時17分 (#1809233)
    出落ちでごめんなさい……。
    • by Anonymous Coward

      そういうのは出落ちと言わない。無理して最近の言葉使わない。

  • by Anonymous Coward on 2010年08月14日 0時27分 (#1809598)

    どうなるのでしょうか?
    そんな実験も行われているのでしょうか?

    # 人間相手でそれをやってしまうと、
    # さすがに何かおかしいということに被験者が気づいて
    # 直感で答えず、計算しちゃうかな?

  • by Anonymous Coward on 2010年08月13日 11時52分 (#1809260)
     2000ドルもらって、1000ドル引かれるか何も失わない選択が、
    非合理とされるのがよく分からない。だって確実に500ドル引かれれば
    どうあがいても2000ドルは達成できないじゃないですか。リスクは
    承知の上だとすれば、何も非合理ではない気がする。
    • Re:非合理的? (スコア:3, 参考になる)

      by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2010年08月13日 12時01分 (#1809264) 日記

      >リスクは承知の上だとすれば、何も非合理ではない気がする。

      そっちの実験だけ読んじゃ駄目.

      最初の実験が
      ・1000ドルもらう
      ・選択肢A「1/2でもう1000ドルもらうが,1/2で何ももらえない」
       選択肢B「確実に500ドルもらえる」
      と言う条件で,多くの人が選択肢Bを選ぶ.

      次の実験が
      ・2000ドルもらう
      ・選択肢A「1/2で何も変わらないが,1/2で1000ドル失う」
       選択肢B「確実に500ドル減る」
      と言う条件で,多くの人がAを選ぶ.

      ところがこの二つの実験,言い方を変えただけで,実際にはどちらも同じ条件を示している.
      実験1も2も,
      ・選択肢Aを選べば1/2で2000ドル,1/2で1000ドル
      ・選択肢Bを選べば,必ず1500ドル
      と,全く同じであるのに,言い方を変えただけで人々の選ぶ方が変わるのがポイント.

      親コメント
      • 元コメが言ってるのはそういう事じゃなくて、選択肢の期待値が同じなんだからどっちを選んでも同じなので「同じ色の靴下が2セットあってどっちかを選ぶ」みたいなどうでもいい選択になってるって事。この実験は非合理性を示しているのではなく選択の好みや癖を示してしているだけなのよ。

        期待値が同じなんだから合理的には選択できないので合理性だけで選択しようとすると「靴下選ぶのに2時間かける」という非合理を招く。もっとも、試行回数が十分多いことがわかっているなら揺らぎを使って「賭ける選択で始めて、収支が期待値を上回ったら賭けない選択へ変更する」という勝ち逃げ戦略もできるけど。

        親コメント
        • by nodocuments (12199) on 2010年08月13日 14時23分 (#1809344) 日記

          いつでも、その固体の価値基準に照らして合理的な選択を行う。これがこの実験の前提。
          2000になる期待値が同じなのだから、一問目で2000になる可能性を選択したなら二問目でも2000になる可能性を選択するはず、というのがこの実験の仮定。

          ところが仮定は崩れた。ならば前提が間違っている。
          つまり非合理的な選択を行うことがある。

          という実験結果が得られましたよというお話。

          親コメント
          • by Anonymous Coward
            個体の価値基準を持ち出しちゃったら、(期待値ではない何らかの)価値基準に照らせばどちらも合理的な選択であるだけという可能性はないの?
            • by nodocuments (12199) on 2010年08月13日 14時40分 (#1809355) 日記

              個体が100頭いて、選択がバラけてもそれ自体は実験に何の影響もありません。
              それぞれの個体はそれぞれの価値基準に照らして、合理的な選択を行ったはずです。

              任意の一頭はどちらを選んでもいい。ただし、選んだからには二問目でも同じ選択をするはずだというのがこの実験の仮定です。

              親コメント
              • by Anonymous Coward

                別ACだけど、個体が自分の価値基準にそって一貫的な選択をしてるなら、それがどんな価値基準でも合理的と言うなら、
                早い話「これこれの提示の仕方をされた方を選ぶ」という価値観で選んでも合理的ってことにならないか?って話じゃないの

              • by nodocuments (12199) on 2010年08月13日 16時44分 (#1809424) 日記

                他の価値基準がどう絡んだかは問題にならない。
                同じ問題に対して同じ問題だと結論できなかったために違う価値基準を適用して違う選択にたどり着いたとしても、非合理には違いがないから。

                親コメント
              • by nodocuments (12199) on 2010年08月13日 19時13分 (#1809475) 日記

                選択内容の合理性は問われてないんですよ。

                親コメント
              • by nodocuments (12199) on 2010年08月13日 21時36分 (#1809534) 日記

                この実験では、同じ条件でも結果を変えてしまう『何か』の存在が示唆されています。
                条件は同じであるのに、結果が違うからには別の『何か』がなければなりません。
                そういった、結果に差を生む『何か』の研究はこの実験の先にあります。
                それは『2000ドルを手にしたときの期待感』かもしれません。

                親コメント
            • >期待値ではない何らかの)価値基準に照らせばどちらも合理的な選択であるだけという可能性はないの?

              そう,まさにその通りです.
              というか,そもそものこの実験(の大元の実験.選択肢の詳細は違いますが)が載っている論文の主張がそれです.

              そもそも古典的な経済学において,

              ・人間は合理的に利益の高い選択をする

              という仮定(もうちょっと書き方は違いますが)で理論が構築されていました.
              ところが,実際の人間の行動はそれほど合理的ではありません.あるとき,そういう「非合理的な行動」と言うものも,実はそれなりの理由のある「ある評価関数」に基づいた行動と見なせて計算できるんだよ,と言うことを言い出した人がいたわけです.

              人間が物事に対して判断を下すための評価関数は,純粋な期待値などから計算される評価関数とは違っていて,だから不合理に見える(というか最適手を求める観点からは見えるだけではなく実際に不合理だったりもする).でもその評価関数自体を組み込んだ経済学を作れば,もっとよく実在の経済を説明できる理論が出来るよね,ということで.

              でまあ,代表的な論文がこれです.

              http://psych.hanover.edu/classes/Cognition/papers/tversky81.pdf [hanover.edu]

              行動経済学の大家,KahnemanとTverskyによる有名な論文で,ここで構築されたprospect theory(単純化すると,人間は利得よりも損失を重く見て,出来るだけ損失の少ない選択肢を選びがち,という主張)によりKahnemanは2002年のノーベル経済学賞を受賞しています(Tverskyは確か死んでたんでもらえなかった).

              親コメント
        • >元コメが言ってるのはそういう事じゃなくて、選択肢の期待値が同じなんだからどっちを選んでも同じなので

          これはその通りです.私のコメントでもここは否定していません.

          >この実験は非合理性を示しているのではなく選択の好みや癖を示してしているだけなのよ。

          ここも,前述の通り,「ある一つの選択肢の組」だけに関してならそうです.
          ですが,私が指摘した点は,そもそもこの実験において「非合理」とされているのはその二つの選択肢の中からの選び方ではなく,選び方が選択肢の提示のしかたに依存する,と言う点で.その部分が元コメの方の勘違いしていた点です.この実験はあくまで「選択肢の組み合わせ」を2種行って,その比較まで行って始めて「一つの実験」,となるわけですので.

          この実験の元々の提示(人間相手に行われた古典的実験)においては,期待値が同じである

          選択肢1:確実に定額Aをもらう
          選択肢2:等確率でA+α or A-αをもらう

          と言う二種の選択肢を提示されたとき,提示のしかたにより回答が異なる,と言う部分を「人間の選択における非合理性」と称しています.
          つまり,ある提示のしかた{選択肢1:選択肢2}の中で1を選ぶのか2を選ぶのかは単に好みの問題だ,というのは確かですが,{1:2}と等価ではあるけれども表現の違う選択肢の組{1':2'}を提示すると,何故か逆を選ぶようになる,と言う点を人間の選択の非合理性としているわけです.

          そして,この実験結果(等)を元にして,「人間は何かを得る場合と失う場合とで異なる重み付けをしている」というprospect theoryにつながるわけですわな.その重み付けもなかなか複雑な形状をしていたりとかそのあたりの研究は今でも続いておりますが.
          前述の実験の例で言えば,2000得て500失うよりも,1000得てから500さらに得る方が得した気分になる,と言う奴ですね.

          親コメント
          • 繰り返しになるけど、二つの実験で傾向が同じだろうが違っていようがどっちも同じで合理的判断は不可能なので、どんな結果が出ようがこの実験では「非合理的」を示す事はできない(=合理/非合理を示したいなら実験の設計が不適切)。というのが元コメの主張だと思うんだけど?

            さらに言えば、得に楽観的で損に悲観的という方針は、選択を繰り返すと前のコメントの勝ち逃げ戦略そのものになるわけで、そういう意味で合理的な基本方針だと言えるんじゃないかなー。

            親コメント
      • by Anonymous Coward

        >次の実験が...と言う条件で,多くの人がAを選ぶ.

        投稿文を見ると後者の実験ではAを選ぶ人が増えるとは書いてあっても、どの程度増えるかは書いてないですね。
        元のビデオ見ても、tend to go a little riskyと言ってるだけで程度は言ってないようです。

        しかし期待値が同じなんだから提示上のちょっとした印象の差で選好が変わるのも当然な気がするなあ。
        アンケート調査なんかでは、ちょっとした言葉遣いの差で結果がずいぶん変わったりする。

      • by Anonymous Coward
        #1809260のACです。
         phasonさんの解説で、この実験のポイントはよく分かりました。
        yet-another-suさんもおっしゃってますが、本質的に同じ2つの実験で、
        人々の選択の傾向が変わることを指して非合理的と言っているのですね。

         私はてっきり、リスクを承知でハイリターンを期待する行動が非合理的
        と言っているのかと思いました...orz
      • by Anonymous Coward

        期待値が$500と$1500ですので、期待値の金額による差かもしれないと思うんですが、
        その部分は考慮されているんですかね?

        • >期待値が$500と$1500ですので

          期待値はどちらも1500ドルですよ.

          実験1では,あらかじめ1000ドルもらった後に,(確実に+500もらえる or +1000か+0かの賭をする),という選択肢です.
          期待値はどちらの選択肢でも1500ドル,賭けた場合の変動幅は1000ドルです.

          実験2では,あらかじめ2000ドルもらった後,(確実に500減らされる or -1000か-0かの賭をする),という選択肢です.
          期待値はどちらの選択肢でも1500ドル,賭けた場合の変動幅は1000ドル.実験1と同じです.

          なお,どの選択肢を選ぶかは,この「変動幅」や利益/損失の絶対値の大きさにも依存することが知られています.
          例えば,

          あらかじめ1000ドルもらった後に,(確実に+500もらえる or +1000か+0かの賭をする)
          という場合と,
          あらかじめ1000万ドルもらった後に,(確実に+500万もらえる or +1000万か+0かの賭をする)

          と言う場合では,選択肢の選び方(の統計)が異なってくることが知られています.
          #それらがどのような重み付けがされているのか,と言うこともprospect theoryでの考察対象となります.

          親コメント
      • by Anonymous Coward
        ・選択肢Aを選べば1/2で2000ドル,1/2で1000ドル
        ・選択肢Bを選べば,必ず1500ドル


        が等価だなんて思っている人とは話題は進まない
        • ・実験1「選択肢Aを選べば1/2で2000ドル,1/2で1000ドル」「選択肢Bを選べば,必ず1500ドル」
          ・実験2「選択肢Aを選べば1/2で2000ドル,1/2で1000ドル」「選択肢Bを選べば,必ず1500ドル」

          で、実験も実験2も実質的条件は同じで文面が違うだけ、なのに実験によってどちらを選ぶのかという傾向が異なるという話。
          選択肢Aと選択肢Bが等価かどうか問題にしていない。

          そこのところを勘違いしている人とは話題が進まない。

          親コメント
    • by ikotom (20155) on 2010年08月13日 11時58分 (#1809262)

      元コメの言うとおり。確率的には同じ期待率なんだから、どっちを選んでも合理・非合理なんて関係ないのでは?
      こういうのを試すときは、期待値は小さいけど最大損失も小さい、期待値は大きいが最大損失も大きい、というのを比べないと。
      損失回避の傾向については金融の世界では有名な話だけど、それに乗っかるなら
      もうちょっと実験に対するアプローチを考え直した方がいいと思う・・・。

      というかね、こういう実験の前提として、これは「実験である」という合意があってこそ選択の論理が成り立つのじゃない?
      猿にしてみれば「必ず右なら2粒」というルールなんて何の保証があるんだ?って話ではないの?
      「いつも右なら2粒出る。それは今後も続くと保証されている」というのと
      「いつも2粒出ていたが、今後はもしかしたら変わるかも」というのでは
      猿じゃなくても考え方が変わってくると思うんだけどなあ。

      親コメント
    • by yet-another-su (15375) on 2010年08月13日 12時04分 (#1809265)

      ここで言う非合理ってのは,選択が整合的でないというくらいに考えておくのがいいのではないかな.

      提示されている選択肢は経済的に考えた場合,

      >実際にはどちらの場合も条件は同じで、前者は「1000 ドル貰える確率と 2000 ドル貰える確率、どちらも 50 %」、
      >後者は「確実に 1500 ドル貰える」というものである。

      にも関わらず,置かれている文脈によって異なる判断をしてしまうというのを問題にしているのであって,前者を選ぶのが有利か後者を選ぶのが有利かは全く問題にしていないということ.

      親コメント
    • by Anonymous Coward
      私もそういう印象を持った。
      考えたら結論は同じだったが騙すような印象を持ちました

      金は多いほどいいんじゃなくて、目的に合っていればいいんだよね
  • by Anonymous Coward on 2010年08月13日 13時14分 (#1809313)

    人間に確率として提示するのと、(実験されてるとも知らない)動物にものをあげたりあげなかったりするのが同じ実験だろうか。
    貰えたり貰えなかったりする経験を確率的な条件として認識しなおす際に働くバイアスがでかいと思うんだが。

    この例で言えば猿は毎回起こることをいち早く認識して、起こったり起こらなかったりすることの認識はより弱いというだけじゃないの?
    毎回ボーナスをくれるセールスマンは「良い奴」と判断し、くれたりくれなかったりするやつは混乱して「こいつ何だっけ?」。それで前者を選ぶ。
    毎回餌を減らすセールスマンは「嫌な奴」と判断し、減らしたり減らさなかったりするやつは「こいつ何だっけ?」。それで前者を避ける。

    • by Anonymous Coward
      > 人間に確率として提示するのと
      実験と知って確率を提示された人間が、不整合な選択をすることは
      すでにさんざん実験されてるんです。

      サルが不整合なのは、実験と知らされてないからではない
      と言えるでしょう。
      • by Anonymous Coward

        人間ははっきりした確率的な条件を与えられていて不整合な選択をする。
        サルは確率的な条件などは知らされず、選択によって一定の確率でものが起こるような実験的シチュエーションであることすら知らされずに不整合な選択をする。
        人間も猿も共に不整合な選択をするのですが、実験状況の差が大きいので同じ起源の不整合さである証明としては疑わしいと言いたいわけです。
        実験と知らされていたとしても、「経験」から「確率的条件」を割り出す過程がサルにだけ課せられていて、ここに例えば前述したようなバイアスがかかりうると思ったのです。

        • by new release (37404) on 2010年08月13日 23時22分 (#1809570) 日記
          実験条件を知っているか否か、および確率的な期待値を割り出す過程が余計に課されていても、
          プラスの場合は、手堅いプラスを選ぶ⇒時々大きくくれる人は良くわからんから無視
          なのに
          マイナスの場合は、手堅いマイナスを選ばない⇒時々大きくくれる人は良くわからんけど選ぶ
          となって、「マイナスの方がより印象に残ってしまう」という結論には影響がないと思えるのですが。

          不動産屋の「ブス、ブス、並」(ある並物件でも、よりひどいところから見せて、最後に「よい物件でしょう」
          と言えば、成約率が上がる)の手と同じに思えます。
          親コメント
  • by Anonymous Coward on 2010年08月13日 13時55分 (#1809331)
    合理的な判断だったら
    人間が ”サル以下の地球生命体の癌” ということが証明されて
    サルから進化する方向を誤ったのが人間だったことが証明されたのに。
    残念だ。
    • by metta (20740) on 2010年08月13日 19時05分 (#1809472) 日記

      合理的な判断だったら
      コンサルが ”サル以下の地球生命体の癌” ということが証明されて
      プログラマから進化する方向を誤ったのがコンサルだったことが証明されたのに。
      残念だ。

      に空目した。

      親コメント
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