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宇宙

「あかつき」の軌道投入失敗、原因は燃料系逆流防止バルブが開かなかったため 36

ストーリー by hylom
失敗は成功の糧 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

時事通信の記事によれば、探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入失敗は、主エンジンの燃料系逆流防止バルブが正常に開かなかった故障が根本原因と考えられると、JAXAが文部科学省宇宙開発委員会の調査部会に報告したとのことである。

ITmediaの記事によると、「あかつき」の金星軌道投入時に燃料タンクの圧力が想定より低下していたことが今までに判明しており、高圧のガスを燃料タンクに送って燃料をエンジンに押し出すことができなかったことが分かっていたが、その原因が今回特定されたことになる。

JAXAでは、このバルブが故障したメカニズムやエンジンの燃焼に与える影響を解明するため、来年7月にかけて地上で再現実験を行うとのことだ。6年後に再チャレンジが可能なのかどうかは分からないが、更なる解明と解決法の検討を頑張ってほしいものである。

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  • プレスリリース (スコア:3, 参考になる)

    by Anonymous Coward on 2010年12月27日 15時09分 (#1880411)
    http://www.jaxa.jp/press/2010/12/20101227_sac_akatsuki_1.pdf [www.jaxa.jp]
    http://www.jaxa.jp/press/2010/12/20101227_sac_akatsuki_2.pdf [www.jaxa.jp]

    かなり詳しい資料が開示されています。
    設計思想も多少解説されています。

    逆止弁に関しては,シリーズ・パラレル(直並列冗長)の冗長性にしないと
    信頼性はむしろ損なわれる可能性があり,その構成を取っているのは
    日本では有人クラスのHTVだけのようです。

    ちなみに逆止弁はアメリカ製です。
    単純な部品のようで,ミッションの可否を直接決定づける可能性があり
    恐ろしく信頼性が要求される部品なんですね。
    エンジンだけじゃなく,こういう地味な部品を作れるかが問われるのだと思います。

    #日本でも十分作れるはず,だけど国産じゃ数が出ないから
    #買ってきた方が遥かに安いんじゃないかな?
    • by Anonymous Coward
      あかつき用にカスタマイズしたわけではない、宇宙用の標準品のバルブ(逆止弁)だそうですが、そうなると他の衛星に使われているバルブは大丈夫か?という話も出てくることになって悩ましいですね
      オマケにバルブが故障した何か特別な理由が判明して今後の対策を取ることが出来たとしても、米国メーカーの製品の信頼性向上に無償奉仕しただけの結果になってしまっていっそう面白くないですね
    • by Anonymous Coward

      > ちなみに逆止弁はアメリカ製です。
      確かはやぶさで故障しまくって運用チームを散々苦しめてくれたリアクションホイールもアメリカ製だったよね。しかも外注だからブラックボックスで手の出しようがなかったという。

      • by Anonymous Coward

        分解禁止で買ったために、解析することも出来なかったようですね。

  • JAXAの事情 (スコア:3, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2010年12月27日 15時46分 (#1880433)

    「あかつき」周回軌道投入失敗から見えてくる宇宙工学の受難 あえて“初物”のスラスターを搭載した理由 [nikkeibp.co.jp]」
    とか読むと、JAXAはもう、そもそも実験ができないところまで追い詰められているようです。

    • by Anonymous Coward

      1n年前、大学4年の時にISASに行きましたが、あまり変わってないのかも。
      もともと金はなかったような・・・。

      当時、旧NASDAさんはお金があったようですが・・・。
      3つが合併されて、予算の配分もいろいろ複雑になってるんでしょうね。
      あまり政治が上手じゃなさそうな人たちでいっぱいのISASの立場が
      好転してるのかどうか・・・。

  • by Anonymous Coward on 2010年12月27日 15時36分 (#1880426)

    日本トップクラスの宇宙開発オタクはこう申しております。

    http://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/19213720035008512 [twitter.com]

    ShinyaMatsuura
    そしてあかつきだが、プロの間では、「6年後再投入とか言わずに迅速にあかつき2を製造して打ち上げろ」という意見が一般的。はやぶさは、粘れば地球帰還という偉業達成が待っていた。あかつきは、粘っても機器の劣化が進むだけ。

    http://twitter.com/ShinyaMatsuura/status/19214788139687937 [twitter.com]

    ShinyaMatsuura
    今なら、図面も治具も残っていて、技術者の間でも「どこを苦労した」「どうすればいい」といったノウハウの記憶も鮮明。2年あればあかつき2は作れる。予算は…何のための独立行政法人か、と言っておこう。

    http://twitter.com/sasamotoU1/status/19223955416027136 [twitter.com]

    sasamotoU1
    だったら、原因分析及び6年後の軌道投入期待値、観測確率を計算しつつ、リカバーとしてあかつき2の検討してもいいんじゃないかなあ。今回失敗した原因が確定できれば、次号機はそれを対策して打ち上げられる。残念ながら予備機なんかないけれど、2年もあれば新作作って打ち上げられるはず。

    でも所詮お役所仕事なので、無理だろうというオチまで検討済み…。

    • by Anonymous Coward on 2010年12月27日 16時01分 (#1880442)
      そうなんですよね。今回の報告で一番がっかりしたのが
      原因究明までに半年以上もかかる,ということ。
      打ち上げタイミングがある訳だから,さっさと「あかつき2」を作れ,とおもいますね。
      いまなら予備部品もたくさんあるはず。

      あかつきは6年後に投入するのもよし。

      個人的にはイカロスと再ランデブーするのを希望。

      たとえばイカロスのLGAとあかつきのLGAを通信できるように書き換えて,
      あかつきのHGAを用いて中継する実験,とか
      イカロスの帆をあかつきのカメラで撮影しながら光・熱の反射の具合とか液晶の劣化具合とか撮影,とか
      回転速度による帆の挙動解析,とか。貴重なデータがいっぱい得られそう。

      あかつきのセラミックスラスタのイカロスによる撮影もできるかも。
      達成できたら,世界初だよね?
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2010年12月27日 15時57分 (#1880439)

      そこまで書いたならこのtweetも
      http://twitter.com/ShinyaMatsuura/statuses/19214272215121920 [twitter.com]

      ShinyaMatsuura
      なにより、10年かけで準備してきた研究者のコミュニティが、6年も引っ張ると崩壊する。人材を継続的に育成し、次世代を育て続けるためには、継続的打ち上げが必要。金よりも人が貴重なのだ。

      親コメント
    • by Anonymous Coward
      それができるならセオリー通り2機体制で飛ばしてる…といいたいところだが
      今は世論的にボーナスステージに突入してるので、アピールはしといた方がいいかも。

      成果を出すには投資が必要。企業の研究・開発系にいれば当たり前の話だけど、これを世間に周知する意味もあるし。
    • by Anonymous Coward

      やはり、こういう場にはあんまり否定的意見は上らないものなんですかね。
      予算が有り余っているなら、あかつき2でも3でも作れるし作ったら良いと思うんですが、現状はもっと違う所に予算は投入するべきだと思っているAC。

      費用対効果の見え難い金星(宇宙)探索より、iPS細胞だとか高分子(抗体や核酸)医薬、核医学とかのこれからの需要が見込まれ、且つ競争の激しい所に先鞭(特許)をつける一層の努力をするべきではないかと、ね。

  • でもチャンスをピンチに!またブーメランかよ by○○党
    #まず部門名見て思った。

    それはともかく、のぞみと同じ原因だとしたら、のぞみと同じように、
    やはりミラクルな軌道計算で、次回6年を3年ぐらいに短縮できたらいいんですが。

    近くにスイングバイできる天体が無いから難しいか

    • by Anonymous Coward
      最近ブーメランというと都条例しか思い浮かばない
    • by Anonymous Coward
      3年だと今回の失敗の責任者がまたプロジェクトをやる可能性が高いが、
      6年もあると、そろりそろりと退職していって、失敗の責任を問おうと
      したら皆転職したあとの祭りだったりして。
      • by Anonymous Coward
        こういうプロジェクトでは、失敗したときに責任を問うてはなりませぬ。 もちろん、サボタージュなどでない限りね。
  • by Anonymous Coward on 2010年12月27日 14時05分 (#1880390)
    だとしたら、かっこ悪過ぎだろ...
    • 同じではない (スコア:2, 参考になる)

      by Anonymous Coward on 2010年12月27日 22時08分 (#1880613)
      のぞみの時はラッチングバルブ,今回は逆止弁なので別です。
      ラッチングバルブはのぞみの失敗を糧に加圧ラインに基本冗長性を持たせてあるみたい。
      ただしメインスラスタの燃料・酸化剤側は冗長性無し。
      姿勢制御系はすべて2重化。

      ここを見ると
      http://twitter.com/ShinyaMatsuura/ [twitter.com]
      のぞみの時は特注品,今回は宇宙用標準品のようです。
      親コメント
      • by Anonymous Coward

        >のぞみの時はラッチングバルブ,今回は逆止弁なので別です。

        同じ。呼び方が違うだけ。
        ラッチ弁て書いてるし [itmedia.co.jp]

        • by Anonymous Coward
          違います。

          正式版である
          http://www.jaxa.jp/press/2010/12/20101227_sac_akatsuki_2.pdf [www.jaxa.jp]
          の35ページと見比べるとわかりますが,itmediaの図はラッチングバルブと逆止弁を区別して書いてありません。

          逆止弁は逆流を止めるための弁(遠隔操作であけたり閉めたりはできない),
          ラッチングバルブは開けたり閉めたり遠隔操作できる弁で,役割・機構が全く違います。
    • by Anonymous Coward

      部門名を読んでの、素直な感想。

      • by Anonymous Coward

        糧になるとかならぬとかではない。糧にするのだ。

        #元ネタ不明

        • by Anonymous Coward
          のぞみの失敗が糧になってないから、また逆流防止バルブなんじゃないの?
  • by Anonymous Coward on 2010年12月27日 14時45分 (#1880401)

    ノズルが壊れたせいなのかもー?っていうひとつの憶測があったんだけど、それに比べたら少しは希望ある?

    #燃料系には副系統無いのかな…
    #なんか無さげに見えるな…

    • by Anonymous Coward

      むしろ今度は姿勢崩れたのなんで?ってことがきになる.

      • by Anonymous Coward

        ラッチ弁は加圧された燃料が高圧ガスラインに逆流しいないように付いてるわけで、
        それが開かなくなるということは、高圧ガスタンクのほうが圧力が低くなっていたということでは?
        つまり正常に調圧されていなかった、あるいはどこかが破断していたのでは?
        どこかから高圧ガスが噴いて、その結果、姿勢も狂ったと考えるほうが自然だと思うんですが。

        #もしくは大人の事情でとりあえずアメリカ製部品のせいにしただけちゃうんかと

        • by Anonymous Coward
          もしどこかが破断していたと仮定すると,時間を経過するにつれてゆっくりと圧力が元に戻った,という事実と相反すると思います。
          調圧不足ということもあり得ません。なぜなら同じ調圧を利用する酸化剤の方は正常圧力だったからです。
          というわけで高圧ガスタンクのほうが圧力が低くなっていた,という可能性は却下できます。
    • by Anonymous Coward

      リンク先の記載によるとバルブの故障はあくまでもトラブルの根本的原因です。これがきっかけで、

      エンジンへの燃料供給が不十分となって異常燃焼か噴射口の破損が起き、噴射方向がずれて姿勢が乱れた結果、逆噴射が中断したという。

      とのことなので、物理的な破損が発生しているかはこれからの再現試験で明らかになるでしょう。

      • by Anonymous Coward

        >リンク先の記載によるとバルブの故障はあくまでもトラブルの根本的原因です。これがきっかけで、

        根本的原因ではありませんよ。
        逆止弁が壊れるにしても何か原因があったはずで。
        調圧が異常で過大な圧がかかったとか、何かが噛み込んだとか。

        とりあえず逆止弁が故障したっぽい、という推測が発表されただけで、
        依然として根本原因は不明ですし、追試も出来ません。

  • by Anonymous Coward on 2010年12月27日 19時29分 (#1880555)
    ただ地上での噴射実験が少な過ぎたからじゃないんですか?

    →これも予算のせいですか。
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「毎々お世話になっております。仕様書を頂きたく。」「拝承」 -- ある会社の日常

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