パスワードを忘れた? アカウント作成
7176 story

自然はウイルスを「保存」する 14

ストーリー by Oliver
1個でも残れば 部門より

KAMUI曰く、"河北新報の記事に依ると東京大学海洋研究所などの研究チームが,25年前に大流行して以降,自然界から姿を消したと思われていたインフルエンザウイルスがカスピ海のアザラシの間で今も感染を続けている事を発見した。
研究チームの大石和恵・海洋科学技術センター研究員らはロシアのチームと共同で 1993~2000年にカスピ海のアザラシ 77頭から血液を採取。その内 28頭から H3N2 というA型インフルエンザウイルスの抗体を検出。この抗体を北海道大学喜田宏教授らが保管するインフルエンザウイルスと比較した結果,1979年にバンコクから流行したタイプの抗体と判明した。
このタイプのウイルスは 1981年まで流行して以降,突然変異によって見つからなくなっている。調査でもウイルス自体は検出できなかったが,抗体のデータからアザラシの間では現在でも感染が続いていると判断された。
ウイルスを運ぶ鳥からはこのタイプが検出されていない事から,大流行した当時に「人間からアザラシ」に空気感染したウイルスがアザラシの間で感染を繰り返しながら「維持」されたと推測している。
また,カスピ海の別のアザラシ 5頭から,人だけに感染すると考えられていた B型の抗体も野生動物では初めて検出された。将来的に「動物から人への再感染」が起きる可能性を研究チームの宮崎信之東大教授が指摘しているが,SARS の流行を僅か 1年前に見ているだけに(汗)"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • 実際、不思議だったんですよねぇ。

    ウィルスは感染対象種が限定されているように見える。
    体外に放出されたウィルスは比較的短時間で活性を失う。

    といった印象を持っていたものですから。
    このニュースが正しいなら疑問は解消されますね。

    そして、このようは「種間感染」が頻繁に発生しているようなら
    タイトルの傍証のひとつになるかも。
    もっとも、変異を起こせるほどの情報を載せられない、
    という指摘もありますけど。

    #セクションローカルだと、やはりさびしくなりますね……
    • ウィルスは感染対象種が限定されているように見える。
      とか
      そして、このようは「種間感染」が頻繁に発生しているようなら
      とか、「限定」も「頻繁」も程度問題じゃないでしょうかね?
      限定されているとも言えるし、宿主が広がったあるいは変化したと考えられる例も多くありますから。

      新しいウイルス感染症が流行したとして、無からウイルスが生じるわけはないから、もともと他の種に感染していたウイルスの宿主特異性が変化したと考えるのが妥当。
      だと考えるなら、流行が終わった後、また別の種に宿主が変わったと考えてもおかしくない。

      体外に放出されたウィルスは比較的短時間で活性を失う。
      一概には言えませんが、これはまぁその通りでしょうね。
      だから、ある程度変異頻度の高いものしか、この記事のような現象は起こりえないかな。

      記事タイトルの『保存』に関しては、なんとも言えませんね。
      人間→アザラシと直接感染し、その後アザラシ間でのみ感染が繰り返されたという証拠もありませんし。
      ヒトでの流行は1981年まで。アザラシの調査は1993年から。その間10年以上の開きがある。
      その間にほかの種を渡り歩いてきた可能性もある。
      「ウイルスの運び役とされる鳥では、このタイプが見つかっていない」というのも、まぁ何の証明にもなっていない。

      もっとも、変異を起こせるほどの情報を載せられない、という指摘もありますけど。
      そんなことはないと思いますが。
      毎年違うタイプのインフルエンザが流行してるでしょ?
      極端な話、レセプター認識蛋白の1アミノ酸の変化で宿主特異性は変化しうると思いますが。
      • 発表要旨 [iwate.jp]を見つけました。

        今回のポイントは、1)カスピ海のアザラシにこれまで知られていた [jpa.or.jp]だけでなく、ヒトに感染性のあるH3N2が感染することが判った。2)しかも、ヒト/トリ/ブタではすでに変異型に置換されて無くなったと思われていたA/Bangkok/1/79(H3N2)であった。 という2点でしょう。

        そもそも、なぜヒト/トリ/ブタでH3N2バンコク型が無くなったか、というのが定かではないですが、その後に現れた変異型の方が何らかの理由でヒト/トリ/ブタでは増殖ないし生残に有利だったと考えるのが妥当でしょう。それがまだカスピ海のアザラシで残っているというのは、1)何らかの理由でアザラシではH3N2バンコク型が有利となる要素があったのか、2)あるいはその後に現れた変異型の感染力が低くなるような要素をアザラシが持っていたか、3)あるいはカスピ海のアザラシはたまたまその変異型に接する機会がなかったか、ということになるのではないかと思います。
        新しいウイルス感染症が流行したとして、無からウイルスが生じるわけはないから、もともと他の種に感染していたウイルスの宿主特異性が変化したと考えるのが妥当。
        もっと単純に「それまで地理的に隔離されてた」ということがきっかけになる場合の方が多いかと。
        山林開発などにより、それまでヒトと接する機会の少なかった野生生物とヒトとの距離が近くなることで、その生物を宿主としていたウイルスがヒトに感染する機会が増える。
        そのウイルス自体が、たまたまヒトに疾患を起こすものである場合もあるでしょうし、またヒトという宿主を得たということがそのウイルスにとって「大きな生活環境の変化」となり、新たな変異型が生まれる結果につながる、など。
        • もっと単純に「それまで地理的に隔離されてた」ということがきっかけになる場合の方が多いかと。
          環境まで考えるとその通りですね。

          しかし、(これはこれで別の話題かも知れませんが)考えてみると「地理的な隔離」というのは仮説としてはともかく、証明は結構困難ですね~。
          極端な場合、風にのって(あるいは塵にひっついて)ウイルスが1つ(ウイルスを数える単位はなんだろう?)やってきただけでも感染するかもしれないし。
          • 「地理的な隔離」というのはまずい表現だったかな、と今更思ってみたり。
            ただ、新興感染症の多くについては野生生物とヒトの接触機会の増加 [primate.or.jp]が重要な因子だと言うのは、確かに仮説とはいえども、専門家の間ではほぼコンセンサスを得られている仮説だと思いますよ。
            • いや、「野生生物とヒトの接触機会の増加が重要な因子」というのを否定するつもりは全然ないんですよ。

              単純に「接触があった」ことを証明するのに比べて、「隔離されていた(=接触がなかった)」ことを証明するのは格段に難しいな~と思っただけで。
              そう考えると「接触はあったけど感染はしなかった」という事を否定するのも難しい。
              実際には「どの程度の接触で何%感染するか」という確率論になるんでしょうけど。

              「接触が増える」ということは必然的に環境の変化を伴うわけで、それが原因で変異が増えるということもあるだろうし、従来は固定されなかった変異がヒトという新たな宿主を得て固定される可能性もあるし。

              実験室の研究と違って、疫学的な研究は単純な答えは出ませんね。
              • オフトピですが
                既にご存知かもしれませんけど、つい最近(2003, Dec 11)、Natureに、ウイルスの進化と新興感染症出現の関連を説明するための数理的モデルを発表してるグループがありましたね(News and Views [nature.com],1st paragraph [nature.com])

                この手のアプローチから仮説が固められていくことはあっても、厳密に疫学的に証明されるというのは不可能じゃないかと思います。

                例えばエボラ出血熱にしても、いわゆる「西洋医学」の俎上に上る以前から現地ではその存在と対処法(患者隔離と集落の封鎖)が知られていたわけだし、あるいは偶発的にヒトに感染しても、ヒトが終末宿主になるというケースも(最近なら香港H5N1トリインフルエンザのヒトへの感染など)いくらでもあるわけですしね。
                また自然宿主とヒトへの伝播経路の「正解」を見つけたとしても、それが即、治療法などに結びつくものではないので(映画「アウトブレイク」のようにはいかない)、あまり研究者の関心を惹く分野ではないのかもしれませんね。

                #その点では未来のリスク予想という点で数理モデルの方が有用なのかも。
      • ええと、変異云々は「ウィルス進化論」のお話です。

        遺伝子中のレトロウィルスが活性化して増殖する際に、
        宿主の遺伝子の一部を取り込むことがある、
        そのウィルスが他種の生物に感染することによって、
        異種間で遺伝情報の伝達が起こる。

        というのが、「ウィルス進化論」なんですが、
        宿主の生殖細胞に感染しても変異を生じさせるほどの「意味」を
        持つ遺伝情報をウィルスに乗せることは無理だ、という
        反論があったんです。

        まぎらわしくて、ごめんなさい。
        • ええと、変異云々は「ウィルス進化論」のお話です。
          なるほど。

          というのが、「ウィルス進化論」なんですが、宿主の生殖細胞に感染しても変異を生じさせるほどの「意味」を持つ遺伝情報をウィルスに乗せることは無理だ、という反論があったんです。
          一概に「無理」とも言えないと思います。

          何も1つの遺伝子全体を持つ必要はなくて、たとえば酵素の基質特異性を担う領域だけを運ぶだけでも十分でしょう。

          まぁ、それが都合よく該当遺伝子に組み込まれたり、スプライシングされるか、という確率的な問題はありますが。

          それに、ウイルスの遺伝子そのものが宿主生物に利用される可能性もありますよね。

          ♯(オフトピ)ヒトのReverse transcriptaseって、何のためにあるのかわかってましたっけ?
    • ウイルスの場合、確かに宿主が限定されてはいますが、厳密に単一の宿主(ヒトだけとか)にしか感染できないウイルスってのは意外と数が少ないものです。

      #動物ウイルス/植物ウイルス/バクテリオファージとか、細胞レベルで違う宿主に感染するものが交差することはありませんが。

      ヒトのみを宿主とするものの例としては、ヒト痘瘡(天然痘)ウイルスが代表的で、1980年に一旦なりとも撲滅宣言が出せたのには、このことが大きく関わってます。天然痘では、さらに幸いなことに、終生免疫が(ほぼ)可能なワクチンがあったので、地球上の全人口にワクチンを接種し、かつ現存する患者がいなくなればその時点で「撲滅」できた、というかたちに一応なりますから。

      #ただ、まぁ実際には米ソ軍が保持してたもので、いまだ現存してるわけなんですけど。
      #あと、ソビエトが「万一のときの言い訳用」に置いていたといわれる、シベリア永久
      #凍土中の天然痘患者遺体とかからの再感染も、確かに可能性はありますね。

      しかし、こういう例というのは本当にまれで、大半のウイルスについてはヒトにも他の動物(節足動物なども含む)にも感染(かつ、その体内で増殖)しうるものです。
      • by shiraga (14233) on 2004年01月05日 21時06分 (#466042)
        Scientific American 2003年10月号によると、地域によってはシベリアの永久凍土が解け始めているとか。
        記事中では、地盤が緩んで建物やライフラインに被害が出ている、と書かれていたんですが、天然痘がもれたら怖いですね~。
      • ありがとうございます。勉強になります。

        先日、ついに一般市民のSARS感染が報道されていましたね。
        当局はハクビシンの処理を始めたようですが、
        その市民はハクビシンには接触していない一方で、
        ネズミに接触していたとのこと。
        (あの国だけに、食べたのかと思いました(苦笑 > 自分

        ウィルスの感染対象"スペクトル"が広ければ、
        対処、撲滅は困難になりますね……

        近い将来にはインフルエンザとSARSの混合ワクチン接種を
        受けることになるのかもしれません。
        • >先日、ついに一般市民のSARS感染が報道されていましたね。
          >当局はハクビシンの処理を始めたようですが、

          ハクビシンの処分ってのは、正直言って短絡的な措置だと思います。 ちょうどYahooニュース [yahoo.co.jp]にも上がってますけど。

          中国政府は昨シーズンのSARS流行で対応の悪さが目立っただけに、今回は迅速な対応を、と思ってのことかもしれません。また、大々的に対応する姿勢をデモンストレーションして、国内のパニックを防ぎ国外の目を向けようという意図があるのではないかとも考えられます。

          ハクビシンの売買などの禁止は必要なことですが、わざわざ野生にいるものを人の手で捕まえ、一カ所に集めて(ハクビシン間での感染機会が増す)、人の手で処分するなんてのは感染リスクを増やすだけです。また、処分する根拠として、今期1人目の患者から分離されたウイルスがハクビシン由来ウイルスの遺伝子と同一であったとしてますが……正直いって、昨年来のSARSに関する研究報道で、この分野での中国の研究レベルの低さは露呈してますので、まずその診断結果が疑われて当然のことだと。

          中国にとって大事なのは、まずとにかくヒトの住んでいるところでの衛生環境の改善でしょう。SARSがハクビシンとヒトのみに感染するならばともかく、ネズミやサル、イタチどころか、ネコやトリにまで感染しうることが判っている今、ハクビシンだけをやり玉に挙げるのは意味のないことです。
  • インフルエンザ雑学

    インフルエンザウイルスの起源はカモ類といわれています。
    野鳥が保菌者となっていて、鶏や豚に鳥インフルエンザを感染させます。
    鳥インフルエンザは直接人間には感染しないと言われていますが、 鶏の体内で鳥ウイルスが突然変異を起こして、人間への感染力を持つ事があります。
    豚に感染した場合は、人間のインフルエンザウイルスも豚に感染するため、 豚の体内で人型と鳥型のウイルスの遺伝子が混ざり合って 新種のウイルスが生まれやすくなるそうです。
    中国では人間と鳥や豚が同じ場所で生活することが有る為、 このような状況が生まれやすいと言われています。

    インフルエンザウイルスは「ヘマグルチニン(H)」と 「ノイラミニダーゼ(N)」の2種類のタンパク質が 突起状に付いていて、この組み合わせが135種類 (H1N1型~H15N9型)存在します。 現在、野鳥などから採取され、確保されているのは97種類。
    人間界で大流行を起こした、スペイン風邪(1918年)はH1N1型、 アジア風邪(1957年)はH2N1型、香港風邪(1968年)はH3N2型です。
    現在は、これらと違う新型インフルエンザの流行が懸念されているそうです。

    朝日新聞:鳥インフルエンザ発生の記事 [asahi.com]
typodupeerror

目つきのヤバい少年がナイフをシュッ・シュッと振り回しながら街を徘徊している情景が目に浮かんだ -- あるセキュリティ専門家

読み込み中...