浮気の治療に成功、ただし患者はハタネズミ♂ 9
ストーリー by Acanthopanax
永久の誓い 部門より
永久の誓い 部門より
MIYU曰く、"アトランタにあるEmory大学の社会神経生物学実験室の研究者であるMiranda Limとその同僚達が、ウイルスベクターを使用して、乱婚の行動をとるアメリカハタネズミ(Microtus pennsylvanicus)のオスの遺伝子操作を行い、カップルの成立に重要な役割を果たしている脳内のバソプレッシン受容体を増加させたところ、その行動が一夫一婦の行動をとる近縁種のプレーリーハタネズミ(Microtus ochrogaster)のように変わったと報告しています(Natureの論文概要、研究室のプロジェクト概要、Nature Web記事、記事の訳)。
この研究では、単一の遺伝子の変化によって、乱婚だったハタネズミのオスが一夫一婦に変わるという劇的な変化が生じたわけですが、カップルの成立に複雑な社会的要因が絡んでくる人間で同じような状況が有り得るのかどうかは、現在のところ未知数だそうです。
でも、永遠の愛を誓う時に指輪交換ではなくウイルスベクターの注射をするという光景を思い浮かべると、ちょっと怖いモノがあります。"
これの応用例で (スコア:2, 興味深い)
#で、ぎゃくに、乱婚の要因になるホルモンとかを作れたら、出生率を上げる事が…
#いや、その前に堕胎率が上がるだけか…
/* Kachou Utumi
I'm Not Rich... */
Re:これの応用例で (スコア:2, 参考になる)
これに似たことは既に行われているそうですよ。
つまり、今回の研究で注射したV1aRの阻害剤を単婚性のハタネズミに注射すると
乱交性になると。
この論文を読むまで知らなかったのですが、ほ乳類のうち単婚なのはたったの5%
なのだそうですね。つまり、ほ乳類として産まれたからには(笑)多婚の方がノー
マルなのかも。
今回面白いことの一つに、遺伝子自体は99%一致していて特に変異があるという
わけではなかったことです。
どこが違うのかと言うと、遺伝子の少し前の領域に変異しやすい領域があって、そ
の部分が変化して遺伝子がタンパク質につくられる場所が変わったせいで行動が全
く変わってしまったというのです。
いろいろな生物でゲノムプロジェクトとかやっていて、人間の多様性から病気をな
んとか見つけようとしている人もたくさんいるのですが、こういう話を聞くと「や
っぱり遺伝子だけ見たところであんまり意味ないかも」と思ってしまいますね。
#生殖の様態をコントロールしても一生に何度も繁殖期を迎える動物の場合駆除に
#は役立たないみたいですね。
#結構な予算を使って不妊の害魚を放流したことがあったそうですが、当然のごと
#く予算の無駄遣いに終わったそうです・・・
kaho
Re:これの応用例で (スコア:1)
これって要するに、配列中でもプロモーター領域あたりに変異が入った(入りやすい)ってことですよね。
確かにゲノムプロジェクトなど見てると、遺伝子発現のネットワーク解析をやっている所などもあるので、今回の記事はそういう点でおもしろいかと。
遺伝子だけだとダメかなって感じることは、確かにありますけどね。
# ってBIな方なら今更な話でしょうけど…
Re:これの応用例で (スコア:1)
してしまったようですみません。
特に今回、単婚のハタネズミのV1aRのプロモーター領域に入
っていた変位というのが、マイクロサテライトというとても
変化し易い領域だったというのも面白いです。
これくらいの変化であれば下手をすれば一世代でも起こり得
るかもしれません。マイクロサテライト多型による行動の
変化と言えばヒトでもドーパミンレセプターD4の多型が好
奇心の強さに影響する [google.co.jp]という話が有名ですが、これはエ
クソン内の話です。
そんな軽微な変化が生殖行動に大きな影響を与えるとすると
あるいはちょっとした遺伝的浮動で種の分化が起こってしま
うのかもしれませんね。
SNPを猛烈にやろうとしていた人などはコーディング領域の
多型で多くの病気が解明できると思っていたりしたのかもし
れませんが(何か今年もたくさんお金をかけて似たようなプ
ロジェクトが進行しているとかいう話も・・・)、それだけ
では不十分だというのは今や世界中の研究者の共通理解なの
だといってよいと思います。
kaho
Re:これの応用例で (スコア:1)
犬の話の時にマイクロサテライト [slashdot.jp]について伺いましたが、今回の「ほんの少しの違い」が実は「下手をすれば一世代でも起こり得る」ような部分での話だったのだ、と説明していただいて今更ながら驚いています。微妙なものなのですね。
SNPの話などを読んでいて、近いうちに「分かりやすい病気の判定」・「有効な治療」が出来るようになるのでは、と期待してしまっていたのですが …… やっぱりそんなものではない ……。でも、研究をなさっている方々は地道にこつこつと解明を進められているのだろうから、きっといつかは、とか思ってもいいですよね。
でも生き物って不思議です。
# 実は普通に [slashdot.jp]タレコミを書ける バカMIYUです
永遠の愛を誓うときに交わすべきもの (スコア:0)
このネズミの場合、浮気というのだろうか? (スコア:2, 興味深い)
人間の場合、恋愛感情だけでなく、セックスによる快楽も関係すると思います。
また、実際人間に作用する場合、浮気を防止というより、セックスレスになったりしないのでしょうか?
Re: …… (スコア:2, 興味深い)
人間は社会制度的に単婚という形態をとるだけで(イスラム圏の一部では合法的に一夫多妻だったりします)、生物としてみると乱婚性です。そして普通はどちらの状態を選ぶかは当事者の「任意」で選択されていて、しかも可逆性です。ですから逆に、なぜ「浮気」(乱婚)をしない人がいるのかが、興味深い点だと思います。
>人間の場合、恋愛感情だけでなく、セックスによる快楽も関係すると思います
例えば麻薬中毒患者では、脳内の情報伝達の部分が阻害される事で、セックスによる快楽より麻薬による快楽が優先したりする [mypress.jp]そうですので、セックスによる快楽の優位性が絶対に変わらないわけではないようです。
それに、人間では、例えば偽薬によって痛みの感覚が減少するなどのように、脳の皮質の部分で刺激(視覚・聴覚・触覚・味覚etc.)が「解釈」されていたりもします。自分が痛いわけでもないのに、心理的な結びつきが強い相手の痛みを自分のものの様に感じてしまったり [slashdot.jp]もします。
「浮気」をしないのは、もしかしたら人間でもハタネズミのように脳内で反応が起こって動機付けされているからかもしれない。パートナーが苦しむ分を感じることで、「セックス=快楽」の感じ方が変わるのかもしれない。もっと単純に、ばれてパートナーに逃げられるのが怖いだけなのかもしれない。… 以下妄想が続く …
将来もし人間で同様なことが可能になったとしても、「自分の意志でそうしようと考えるような人には、こういうモノはそもそも必要でなかったりする」、というのがアレゲな点だなと思っています :-)
# 人間の場合パートナーの意味合いがハタネズミとは違いますよね
永遠の愛を誓う時に (スコア:1)
のも怖いが
「指輪交換ではなくデーブスペクターの講釈を聞く」
ほうが嫌だな。
# 初夜…萎えそうで。
@大阪なヒト