鳥インフルエンザの抗ウイルス薬耐性種の出現は鶏への乱用が原因か? 9
ストーリー by yosuke
ウイルスは変異する 部門より
ウイルスは変異する 部門より
KAMUI曰く、"中国国内で鶏の鳥インフルエンザ対策として,人間用のインフルエンザ治療薬「アマンタジン」が大量に使用されていた事がワシントン・ポストの記事で伝えられている(産經新聞の記事)。
中国では 2004年に鳥インフルエンザの発生を初めて公表しているが,実際には 1990年代後半から飼われている鶏の間で流行しており,その度に養鶏業者がアマンタジンを飲み水に混ぜるなどして使用していたという。アマンタジンはA型インフルエンザウイルスの増殖を抑える効果を持つものの,約30%と非常に高い確率で耐性ウイルスが出現する事も知られており,家畜への使用は国際指針でも認められていないが,中国では鶏への使用を許可していた。
鳥インフルエンザはA型インフルエンザウイルスの変異種で,人での流行が発生した場合にアマンタジンが有効であるとされてきた。しかし,ベトナムなどでの人への感染例でアマンタジン耐性が報告されている。また,最近では WHO によって,別の抗ウイルス薬であるオセルタミビル(タミフル)耐性についても報告されている。ただし,タミフル耐性種の感染力は著しく低かった模様。"
殺菌成分配合の薬用石鹸でも同様の事態が? (スコア:1, 参考になる)
過剰な清潔さ-抗菌石けん [hica.jp]
triclosan(トリクロサン)に対する薬剤耐性 [nih.go.jp]
屍体メモ [windy.cx]
Re:殺菌成分配合の薬用石鹸でも同様の事態が? (スコア:2, 興味深い)
#つか、それ以前に、トリクロサンの作用は細胞壁じゃなくて、脂質代謝阻害だったと思うが。
トリクロサンなどの殺菌剤の濫用が、その殺菌剤に対する耐性菌を生むことはおそらくは確かですが、とはいえ、例えばトリクロサン耐性の生じる頻度は極めて低いですし、またそれが同時に他の抗生物質に対する耐性には結びつかないのです。そもそも、こういう殺菌剤は使用できる範囲が限られているのと、基本的には作用が単純なので耐性は生じにくい。これらの殺菌剤を使用しても、感染した場合の治療にはそもそも使えないものなので、あまり大勢には影響がない、という感じです。
変異ウイルス (スコア:1, 興味深い)
識者の人に聞きたいです.
Re:変異ウイルス (スコア:2, 参考になる)
ザナミビル・オセルタミビルは、宿主細胞で再生産されたウイルス粒子が離れていくときに必要な酵素の活性を抑えることで、ウイルスが宿主細胞から出て行くのを防いで、抗ウイルス作用を示します。
ターゲットになっている neuraminidase の変異で薬剤耐性を獲得したとして、 neuraminidase としての活性がえらく落ちていると、ウイルスの再生産効率は低下しますな。
Re:変異ウイルス (スコア:1)
ここ [wikipedia.org]に詳しく書いてますが、インフルエンザウイルスはHA(ヘマグルチニン)で細胞膜表面の糖鎖(シアル酸)に結合することで細胞内に入り、その中で増殖しますが、放出されるときにはそのままだと出てすぐ元の細胞に結合してしまい、周りになかなか広がれなくなります。そこで、NA(ノイラミニダーゼ)が働いて、細胞表面の糖鎖を切断し、それで周りに拡散できるのです。
NAがないウイルスでは、HAの結合性が弱く、細胞についたり離れたりするので、周りに広がる能力がありますが、NAによるものより弱いので、一般に増殖力が弱いです。
ただまぁ、これはあくまで「今までに出現している」NA阻害剤耐性ウイルスの話であって、今後また別の機構による耐性ウイルスが生まれると、また別の話になります。
抗生物質と同じ道か… (スコア:1)
Re:抗生物質と同じ道か… (スコア:2, 参考になる)
オセルタミビルもザナミビルも、おなじ neuraminidase をターゲットにしてるので、耐性には交差性があると考えるのが自然かと。
http://www.newscientist.com/channel/health/bird-flu/mg18625023.100
このサイト、数時間ほど見えなかったような・・・(今は見られる)
Re:抗生物質と同じ道か… (スコア:1)
アマンタジンは、細胞内に小胞(エンドソーム)で取り込まれたウイルス粒子から、遺伝子などが細胞質に放出されるときに必要な、M2タンパク質という、一種のイオンチャネルを阻害するもので、これは前2者とは異なるメカニズムです。ただ、この機構は変異が多くて、耐性を生じやすい、というところ。
Re:抗生物質と同じ道か… (スコア:1)
newscientist.com は見えたり見えなかったりが多いので参考までに。
http://www.medicalnewstoday.com/medicalnews.php?newsid=25455