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両性ともクローン生殖しているかもしれないアリ 14

ストーリー by yosuke
働きアリのメリットは? 部門より

雄と雌では名称が違う猫族曰く、"男と女は違う生き物だ、という比喩的な表現が現実としてあてはまりそうな生物がいるそうです。仏領ギアナとニューカレドニアで行われたコカミアリ Wasmannia auropunctata の研究で、このアリでは雄は雄の遺伝子だけを受け継ぐクローン、雌は雌の遺伝子だけを受け継ぐクローンという、世にも不思議な生殖方法がとられている可能性があることがわかり、Natureに掲載されています( NatureJapanのハイライト(要登録)News@Natureの記事訳文)。"

"普通のアリの場合、受精卵からは生殖活動を行う女王アリと生殖活動を行わない働きアリの2種類の雌アリが生まれ、未受精卵が単為発生した場合には雄アリが生まれてきます。ところが、コカミアリの34の巣から採取した、199匹の女王アリ、41匹の雄アリ、264匹の働きアリのDNAを分析した結果、このアリでは、女王アリは自分の全遺伝子を持った卵を産んでクローンとして次世代の女王を作り出していることがわかりました。その一方、受精卵の一部が発生する途中でなんらかの機序で雌の遺伝情報がつまみ出されて、雄の遺伝情報だけを持った雄アリが生まれている、ということも発見されたのだそうです。もちろん、このアリでも普通の生殖方法で働きアリは生み出されていますが、働きアリは次世代を生み出しませんので、混合された遺伝子は受け継がれない事になります。
この研究に関しては、雄と雌が完全に独立した遺伝子プールを持つのかどうかを断定するには、今後のより大規模な調査が必要だと指摘されていますが、雄と雌が遺伝子的には完全に別の系統に 所属しているかもしれないというのは、なんとも不思議な気がする話です。"

研究者らは、"単為発生によって女王アリを産むように進化したメスによって、次世代に遺伝子を残せなくなったオスが、卵を借りてクローン生殖をすることで対抗するように進化したのではないか"、という仮説を出している。なお、New Scientistにも記事が出ている。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by ef (25263) on 2005年07月04日 9時51分 (#762271)
    雄は雌の半分の染色体しかもっておらず、何らかの方法で雌側の染色体をブロックした働き蟻をつくれば雄のクローンになるはずですが何らかの方法がなんなのかの解明が待たれるところです。

    それが判っても、哺乳類はゲノムインプリンティングという仕組みが単為生殖を阻害しているのでヒトではありえない話ですが(半数倍数性じゃないし)、、単為生殖マウスかぐやの話もあるから、将来的には...

    • 半数倍数性は、アリ(やハチ)の社会性の進化に重要な役割を果たしているという仮説があります。半数倍数性では、働きアリと次期女王アリ(働きアリからみると姉妹)は、遺伝子の4分の3を共有しています(父親由来の遺伝子はまったく同じなので、0.5×0.5+0.5×1=0.75という計算、普通は0.5×0.5+0.5×0.5=0.5)。これにより、自分の子供(遺伝子の2分の1を共有)を育てるかわりに、姉妹の世話をするように進化したというものです。

      ところが、このアリの場合は、次期女王アリのと遺伝子の共有割合(血縁度)は、2分の1のような気がします(0.5×1+0.5×0=0.5、で、あってます?)。と、このあたりで社会性の進化について新しいことがわかるのかも、と期待したり。

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      • > ところが、このアリの場合は、次期女王アリのと遺伝子の共有割合(血縁度)は、2分の1のような気がします(0.5×1+0.5×0=0.5、で、あってます?)。

        合ってると思います。
        で、それなら姉妹よりも若い娘のほうがいいはず、と思って部門名をつけたんですが。
        考えてみると、次期女王アリの娘(働きアリから見て姪)との血縁度も0.5になるわけですよね。それどころか、女系で見ていく限り、血縁度は永遠に0.5のままのような気がします。これってすごいメリットですよね。
        #しかしこのシステム、長持ちしますかねぇ。
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  • それって (スコア:2, すばらしい洞察)

    by akiraani (24305) on 2005年07月04日 17時14分 (#762490) 日記
     共生しているだけの別の生物のような……>オスとメス

     生物学的に同種と認められるんでしょうか?

    --
    しもべは投稿を求める →スッポン放送局がくいつく →バンブラの新作が発売される
    • Re:それって (スコア:1, 興味深い)

      by Anonymous Coward on 2005年07月04日 17時38分 (#762505)
      この話が確認されたなら、女王アリと雄は別種として扱うべきかもしれない、という話もあるようです。NatureのNews and Viewsに書いてありました。
      でも、そのとき働きアリはどうするんでしょうねぇ。
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      • Re:それって (スコア:1, 興味深い)

        by Anonymous Coward on 2005年07月04日 19時22分 (#762532)
        生殖能力ないので分類学上は考慮されないのでは?(ライガーやレオポンみたいに)

        一部の蜂の様に女王蟻が死ぬと一番大きな働き蟻が卵を生み出したり、、、しないかな。
        #それにしても多様性が無いってのは危険な気がする

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      • でも、そのとき働きアリはどうするんでしょうねぇ。

        働きアリは働きアリで単為生殖を始めたりすると、さらにややこしいことになるかも。

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        • Re:それって (スコア:2, 興味深い)

          by ef (25263) on 2005年07月04日 21時27分 (#762588)
          働きアリは働きアリで単為生殖を始めたりする アミメアリPristomyrmex pungensがこれに近いかも。

          アミメアリは女王アリも雄アリもいなくて、働きアリが単為生殖してクローンを産みます。
          コロニー全体が同じ遺伝情報の個体の群れです。

          今回のコカミアWasmannia auropunctataは一般的なヘテロな生殖で生まれた働きアリなので群れとしては(生殖には貢献しないけれども)多様ですね。

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  • by yamakai (16309) on 2005年07月04日 21時16分 (#762581)
    遺伝子の交配が無くて、進化はするのかな… 「クローン」って結局は同じ「能力」を持っているモノが できる訳で、実はこのアリが最終進化形なのか!? 突然変異と言うのは、この記事読む限りでは有り得なさそうだし、やはり違う種のモノの可能性が大きいと思う。 かなり素人ですが(笑)
    • by shiraga (14233) on 2005年07月27日 2時14分 (#772557)
      シャッフルが起きないだけで、DNAの塩基レベルでの突然変異は常に起きています。
      紫外線や宇宙線や化学物質によるDNAの損傷とか、DNA複製時のエラーとか。
      生殖細胞に生じた変異はやはり子供に伝えられるので、子供は少しずつ親とは違う遺伝子構造を持つはずです。

      なので、進化は起きるはずです。
      その速度は通常の交配をする種よりは遅いでしょうが。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2005年07月04日 12時22分 (#762345)
    ゼントラーディー軍とメルトランディー軍ではないか(^^;
    # アレなのでACで(13740)
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