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人工知能

第2回将棋電王戦、第4局は引き分け 77

ストーリー by headless
引分 部門より
shinshimashima 曰く、

13日に行われた第2回将棋電王戦第4局では塚田泰明九段とPuella αが対局し、230手で持将棋(引き分け)となった(第2回将棋電王戦 対戦結果YOMIURI ONLINEの記事朝日新聞デジタルの記事スポニチアネックスの記事)。

相矢倉の将棋で飛車を取られた塚田九段は入玉を目指すが、角行も取られて点数面でも不利な状況となる。Puella αも入玉したが、ここで入玉模様の勝負を苦手とするコンピューター将棋の弱点が出る。Puella α側が大駒を守らず、と金の量産を優先する間に塚田九段が点数を回復していき、222手目に最低点の24点を確保して持将棋を提案した。電王戦の特別ルールにより、持将棋後の差し直しは行われない。ここまでコンピューター将棋の2勝1敗1分け。最終戦となる第5局は20日、三浦弘行八段とGPS将棋が対局する。

将棋に詳しくない人向けに入玉と持将棋の説明

玉将が相手の陣地に入った状態では敵陣内や手前に歩兵を打って成ることで「と金」を量産して玉を守れるようになります。一方、将棋の駒の多くは後方の動きが弱いため、この状態の玉を攻撃するのは困難になります。

この状態を「入玉」、互いに入玉した状態を「相入玉」といます。相入玉になると決着がつかなくなるので、それを防ぐために点数で勝敗を決めます。点数は玉が0点(お互い持ってるので当たりまえ)、飛車・角(大駒)が5点、それ以外を1点で数えます。初期状態が27点づつで、プロの場合は互いに24点以上以上で相入玉になると「持将棋」として無勝負にします。

この点数が曲者で、普段の状態とは駒の価値が大きく異なってきます。普段はたいていの状況で飛車1枚<金銀2枚なのですが、点数勝負では角>金4枚=歩4枚という状態になります。コンピュータはこの切替が苦手なようです。あと持将棋模様の棋譜が少ないので有効な学習ができないとも言われています。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • というか (スコア:5, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2013年04月14日 11時56分 (#2363280)

    >相矢倉の将棋で飛車を取られた塚田九段は入玉を目指すが、角行も取られて点数面でも不利な状況となる。Puella αも入玉したが、ここで入玉模様の勝負を苦手とするコンピューター将棋の弱点が出る。

    塚田九段は提供を受けた古いボンクラーズでの事前研究からCOM側は入玉を目指さないと考えていたので、
    入玉さえしてしまえば相手玉を詰めて勝てると踏んでいたのです。
    だから持将棋になった場合の点数面は度外視して入玉したのですが、
    実際にはPuella αは(というか前回米長前会長と戦ったバージョンのボンクラーズですでに)入玉出来るよう改良されていて、
    入玉に向かわれてしまう。
    あてがはずれ、必死に点数を回復したんですね。

    • by Anonymous Coward

      プロでも入玉含みの対局は少ないのでヒューリスティックによる学習もしずらいんじゃないかと。

    • by Anonymous Coward

      相入玉からのあれを見苦しいととるかチーム戦の意地ととるか
      評価は真っ二つのようですな。

      「計算」しか能のない計算機に肝心の計算方法を正しく教えてなかった。
      教えられたとおりしか計算できないので、単純な算数ができないように見えたPuella。
      ある意味、計算機の「おバカさ」をさらけ出すことに成功したのかも。

      • by Anonymous Coward

        相入玉で点数の足りない側が、あの手この手で必死に駒を取りにいこうとするのは、人間同士の対局でもあることですしねぇ。
        コンピュータ相手にあの手この手で駒を取りに行って何が悪い、と自分は思ってますね…。

        もっとも大駒4枚取られて入玉目指された局面、人間相手なら到底取り返せないと投了してたでしょうけどね。
        (別コメントにもある通り、コンピュータ相手じゃなければそもそもこの局面には誘導しなかったわけだし)

    • by Anonymous Coward

      入玉ねらいがしばらくはCOM戦の有効な作戦になる予感。

      • by Anonymous Coward

        「しばらく」と言っても、次の対戦までには対策練ってくるんじゃない?

        仮に対策が間に合わなかったとしても、一戦捨てる覚悟が無いと試すこともできんだろうし。

        • by Anonymous Coward

          評価関数が2つになるからどちらを優先するのかって話になる。機械学習するにも棋譜が少ないのは言われてるし

          • by Anonymous Coward

            評価関数の切り替えは「自玉が入玉したら」でいいとおもう。

            相入玉での評価関数の作成は、機械学習までする必要はないでしょう。
            ルールどおりの飛車角5点のその他1点、王だけはとられたら困るので
            55点以上に設定するだけでいいとおもいます。

            • by Anonymous Coward

              それだと副作用が大きすぎる。

      • by Anonymous Coward

        それを知ってて狙った「塚田九段」が何とか引き分けなんだぞ。
        もう無理ってことじゃんw

        • by Anonymous Coward

          また別の計算量が必要となる手に流れるだけ。
          乱数要素のないゲームなので
          つきつめると先攻後攻どっちが有利か
          判明するだけで終わるかもしれん。

          • by Anonymous Coward

            まあ、運の要素が絡まない以上は人間はいずれ負けるんだよね。
            計算量で決まるわけで、人間には拡張性がないんだから。

    • by Anonymous Coward

      >実際にはPuella αは(というか前回米長前会長と戦ったバージョンのボンクラーズですでに)入玉出来るよう改良されていて、。

      開発者の伊藤英紀氏は完璧に対策はしていないと言っている訳だが。それに塚田九段は最初から入玉を狙ってた訳ではないよ。

      • by Anonymous Coward

        いや、塚田は相手は絶対入玉しないと思っていたって言ってる
        だから点数捨ててでも詰ませにいったんだよ
        もし相手も入玉すると知っていたらあんな入玉はしなかった

      • by Anonymous Coward

        入玉を目指す過程で大駒を落とすなど点数を度外視していたのは、
        そもそも持将棋を念頭に置いていなかったからだと言ってるだけで、
        最初から入玉を狙ってたなんて誰も言ってないでしょ。

      • by Anonymous Coward

        去年1月の対米長戦のボンクラーズには入玉対策が入っていて、
        塚田に渡されたのはそれ以前の入玉対策が入っていないものだというのは
        この動画(記者会見) [nicovideo.jp]の21:30から伊藤さんが説明しています。

  • by Anonymous Coward on 2013年04月14日 13時39分 (#2363309)

    相手は入玉できないという弱点を狙うのは当然かもしれないけど、
    それって選択肢を大幅に削ってるハンデ戦てことだよね。
    人間相手に不得意な局面を狙うのは別にモヤモヤしないけど、
    なんだろう。

    • by Anonymous Coward on 2013年04月14日 14時24分 (#2363325)

      普通に将棋をしているだけでは人が勝てないレベルになっているというだけの話

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        このシリーズで、それがはっきりしましたね。
        対局内容うんぬんではなく、今まで見た中で一番有意義なコンピュータ対戦だった。

        あとは、お膳立てを整えて、チェスのカスパロフ戦のようなトッププロとのショーアップ対戦だけになってしまった気がする。
        将棋の場合、IBMのようなスポンサー的な絶対王者が居ないのが難点。
        電機メーカ起死回生のチャンスなんだけど、やれそうな会社、今ないしな。

        • by Anonymous Coward

          富士通が世界最速のスパコン「京」をひっさげて参戦すればいい。

        • by Anonymous Coward

          密結合のサーバがいるならスパコンメーカに登場願うしかないけど、GPS将棋のようなクラスタでいいなら、クラウドサーバがいい宣伝になるんじゃない?
          対局日だけCPU増やせてスケーラビリティも高い、賞金の何々分の一のコストで勝てました!とか
          クラウド使うなら、モンテカルロ使うようになった囲碁の方が向いてるけど、あっちはまだスパコン投入してもプロには敵いそうにないからなぁ。

        • by Anonymous Coward

          どの辺が電気メーカのチャンスなの?
          もう「あ、やっぱ人間勝てないんだ」とわかってきた形勢だし
          タイミング的に遅すぎるよ。

          コストを考えたら一蹴、文化事業的に考えたら参加OKって感じかと。

        • by Anonymous Coward

          将棋の場合、IBMのようなスポンサー的な絶対王者が居ないのが難点。
          電機メーカ起死回生のチャンスなんだけど、やれそうな会社、今ないしな。

          つくとしたらAmazonかな。

          GPS将棋は東大のPCをつかってクラスターを作ってるのでセットアップが大変だが、
          Amazon EC上につくれば(経費はかかるが)もっと大規模なクラスターが
          もっと簡単に作れるとおもう。

      • by Anonymous Coward

        もう将棋に人間は不要ですなぁ……

        • by hishakuan (32621) on 2013年04月14日 21時08分 (#2363561) 日記

          人間同士の将棋とコンピュータ同士の将棋、続くのは前者だと思う。

          親コメント
          • by WindVoice (14680) on 2013年04月14日 22時24分 (#2363612) 日記
            そうなんだよね。コンピュータ同士の対戦でチャンピオン(「名人」じゃなくて「名機」とか)を決められても燃えないよね。チェスのコンピュータ同士の戦いは行われているかもしれないけど、盛り上がっているとは聞いてないな。
            --
            人生は七転び八起き、一日は早寝早起き
            親コメント
            • by muumatch (16737) on 2013年04月15日 0時15分 (#2363660)
              Puella α開発者の伊藤さんも、御自身のブログでその点に触れられてますね。

              http://aleag.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/20134-fd94.html [cocolog-nifty.com]

              COMがこれ以上強くなっても、人間の競技としての将棋は変わらず続いていくと思います。
              もしターニングポイントがあるなら、人間に勝つかどうかと言うより
              将棋というゲームの必勝法が解明された時になるのかな?(理論的には存在するらしい)

              別エントリで触れられてますが、入玉を目指す=COMの弱点を付く、というのは、
              自分は至ってマトモなことだと思いますし、それで興醒めすることも無いです。
              そもそも体力の不安とか心理的なプレッシャーが皆無とか、人間には無い強みがCOMにはあるわけですし。
              人間同士の対局だって、ある戦形がある戦形に有利だとなればそればっかやるわけですしね。

              伊藤さんが対局後のブログで触れられている通り

              http://aleag.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-c305.html [cocolog-nifty.com]

              アンチコンピュータ戦術の開発、さらにそれのアンチと続いていくことになるのでしょうね。
              伊藤さんはそれはつまらないと仰ってますが、イチ将棋ファンとしては寧ろそれを見てみたいです。

              ※あと数年はこういう対局を楽しめるのかな?
              親コメント
              • by Anonymous Coward

                ここで言う入玉を目指すと、今回の強引な入玉は次元が違いますよ

              • by Anonymous Coward

                対コンピュータ戦に注力しすぎると、対人戦の成績が落ちるようなことになりそうなので、
                今後は、伸び盛りな若手にはあんまり出て欲しくないな、とは思いました。

                そういう意味では、伊藤さんの「つまらない」は当たっているのでしょう。

                ただ、対戦相手の研究をしないプロ棋士なんていない(例外はいるっぽいが)ので、
                コンピュータと対戦するならコンピュータを研究するのは当然で、
                苦手を突くのを「つまらない」と評するのはプロに対する敬意の表し方を間違っていると思いました。
                (伊藤さんが敬意を持ってないとは思ってないです)

            • by Anonymous Coward

              感情移入できるキャラをつければ盛り上がるかもね。
              初音ミクじゃないけど、仮想人格を表に出して裏方は裏方に徹するの。

              # 色んな業界が破壊されそうで怖いが、いずれそうなるかも

    • by Anonymous Coward on 2013年04月14日 14時36分 (#2363329)

      第1局の勝ちも、「こういう状況になったらコンピュータはこういう無茶をやる」という弱点を突いての完勝。
      コンピュータ相手に勝つにも、そういう穴を突かないとならない時代になった、ということでしょう。

      しかもプロの技術があっても、それを正確に突き切ることは難しいというのが第2局第3局の結果かと。

      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2013年04月14日 14時38分 (#2363331)

      デバッグ作業だと思えばあら不思議、何もモヤモヤしませんよ。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      実際には裏目に出たんだし別にいいんじゃね。旧バージョンのソフトしか渡さない方もせこいけどソフトの進化をあなどった報いだ。

  • by Anonymous Coward on 2013年04月14日 21時44分 (#2363577)

    電王戦では、これまでどちらかが序盤で変化してしまうことが多かったので、今回初めて (ほぼ) 定跡形でがっちり組み合う将棋になりましたね。
    定跡が整備されている矢倉なら塚田九段が作戦勝ちするだろうと思って見ていたので、プエラの方が中盤でリードしたのには驚きました。

    これまで序中盤はリードされる展開ばかりでしたが、(指し盛りを過ぎた塚田九段とはいえ) プロの居飛車党相手に矢倉でこれができるようだと、中盤もプロと紙一重のところまできてるのかもしれないですね。

    • by Anonymous Coward

      定跡形に近いところだとまさにその定跡形を手本に評価関数を整備しているプログラムの強みが出せるのではないかなと。

      • by Anonymous Coward

        矢倉は今も昔も人気戦法で、定跡が日々アップデートされています。
        ソフトはプロの最新研究にはとても追い付けないので、定跡が整備されている戦形だと、プロ的には結論が出ている悪い変化に飛び込んでしまう可能性が高いのでは、と言われていました。

    • by Anonymous Coward

      歩が上がって、駒がぶつかり、角が躍動する将棋はソフトが強いです

    • by Anonymous Coward

      COM側は中途半端な端攻めで、入玉を許してましたよね。

      コンピュータがまともな矢倉を指せるのはいつ?

      • by Anonymous Coward

        3枚の駒関係で評価関数を作っているので
        3枚の攻めで行けるという評価で攻めてしまう。
        結果、攻めが切れてしまう。

        切れない4枚の攻めを実現するには4枚の駒
        関係での評価が必要だが、そうすると評価パ
        ラメータが膨大になってしまう。

      • by Anonymous Coward

        大駒を根こそぎ取って大幅に点数勝ちしていたのですから、入玉されたって問題ありませんよ。

        その後点数を保ったまま速やかに入玉できないというのが弱点でしたが。

        • by Anonymous Coward

          棋士側だって入玉したら、大駒をいくら渡しても寄せら
          れることはないことを計算ずくで渡しているだけだから。

        • by Anonymous Coward

          >大幅に点数勝ちしていたのですから

          追いつかれてたら意味ないぞ。

          • by Anonymous Coward

            最終的に引き分けには持ち込まれましたが、あの将棋で「入玉されたからまともな矢倉が指せてない」という評価は当たらないでしょう。

            • by Anonymous Coward

              端攻めは失敗していたと見るね。もともと攻めが細い傾向
              が第3局までを見ても分かる。

              人間なら飛車を1筋に回すなりして、攻め駒が十分になって
              から攻めるところだ。

              • by Anonymous Coward

                あの右銀は何をしたかったのかよく分からん。

              • by Anonymous Coward

                確かに細い攻めでしたが、矢倉特有の細くても攻めが続けば有利という状況だったと思います。

                局後の会見でも塚田九段は

                >中盤の形成は「はっきり悪いと思っていました」と認識していたという。(http://news.nicovideo.jp/watch/nw581691)

                と言っていますから、中盤では局面をプエラがリードしていたのは間違いないでしょう。

  • by Anonymous Coward on 2013年04月15日 8時48分 (#2363780)
    第一局:頂上レベルじゃないソフトはまだ人間未満なのね
    第二局:そりゃ正面から深読み勝負をしたら人間が負けるよ
    第三局:性能的には互角でも体力的限界で人間には厳しいね
    第四局:ほぼ最強とは言え、この程度の仕様が未実装とは・・・・・・

    俺的には第4局がベストバウトの予感。
    なにしろ、実戦中に見つけたソフトの実装不備を、しかもそこを突く攻撃手順まで見つけて敗勢だった試合を引き分けに持ち込んだんだから、単純にスゲーって思う。
    人間vsPCの勝負らしさというか、異種格闘技戦っぽさ全開でおもしろかった。
    • by Anonymous Coward

      モハメド・アリ vs アントニオ猪木

      アリのパンチが当たれば猪木とはいえ立ち上がることは難しいので、
      猪木はスライディングや仰向けに転がることを多用した。
      ボクサーであるアリからはまともに立たない猪木にパンチすることが
      できない。

      当然猪木にブーイングの嵐が起こったが、結局引き分けに。

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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ研究家

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