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テクノロジー

フッ化カルシウムの人工合成・量産技術が開発される 47

ストーリー by hylom
レンズのお値段は原材料費だけによるものじゃないよね 部門より
KAMUI 曰く、

岩谷産業上田石灰製造が、世界初のフッ化カルシウムの人工合成・量産技術を開発したそうだ。(岩谷産業のプレスリリース日刊工業新聞日経新聞)。

フッ化カルシウムは一般に「蛍石」として知られ、それから作られた蛍石レンズはカメラや天体望遠鏡、顕微鏡、半導体露光装置(ステッパー)などのほか製鉄でも一部の行程で使用されているが、現在はその全量を中国からの輸入に頼っているため価格変動や品質のばらつきという問題を抱えていた。

技術開発は名古屋工業大学の安井晋示准教授による技術指導を受けて行なわれたもので、直径5mm、長さ10mm程度の円柱形状に造粒した炭酸カルシウムをフッ化水素ガスと反応させることで高純度のフッ化カルシウムを人工的に合成するという。なお、現時点では天然蛍石より価格が高くなる見込みだが、温室効果ガスのフロン回収プロセスからフッ化水素ガスを得ることでコストダウンが出来るとしている。

……ということでASCII.jpの「世界中のカメラレンズが安くなる? 岩谷産業、世界初の蛍石人工合成技術を確立」記事はちょっと気が早いかも知れない(笑)。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by ikotom (20155) on 2014年10月17日 18時07分 (#2695566)

    > 記事はちょっと気が早いかも知れない(笑)。

    いや、おそらくですが供給源が増加するということだけで
    すぐにでも、価格抑制効果が生じるでしょう。

    工業化ならではの大量生産、効率化という将来に期待せずとも、
    「そこそこ割高」でも供給できるなら、基本的には下がる理屈です。

    というのも、まず天然資源というのは「枯渇リスク」の分だけ
    値段が高くなっていると考えてよいかと思います。
    なので供給元が増えることによってリスクが減れば
    上乗せされたリスク分だけ値段が下がるでしょう。

    加えて、供給がそもそも不安定な場合、価格というのは常に上下するものですが
    その場合も人口螢石の価格が事実上の上限価格となりますから
    レンズメーカー側も、無理して高い時に買い占めるリスクが減り、
    全体としてゆるやかに天然螢石の価格も下がるはずです。

    そういう意味で、レンズメーカーや消費者側には、すぐにでも実利が得られそうです。
    ただし岩谷産業の株に飛びつくのは、確かにまだ早いかもですね。
    全体の値下げによって、求められるコストダウンがその分大きくなるわけですし。

    • by Anonymous Coward on 2014年10月17日 18時25分 (#2695576)

      品質の問題もありますし。
      人工螢石の方が安定して高品質なので歩留まりも高くテストのコストも下がるはず。
      「そこそこ割高」程度ならコストダウン分でまかなえる可能性もあります。

      親コメント
    • そもそも、なぜ蛍石が高いかといえば当の中国が工業用途だけではなく宝石や飲用(!!)に供しているからで、 [wikipedia.org]
      その限りでは蛍石が、それも「高純度の」蛍石が出回れば、ほぼ産業用途に使っている国では確実にコストは下がるでしょう。

      むしろ、こうして人工的に合成した蛍石がどれほど蓄光・発光できるかが気になるところ。

      #物性系には詳しくないんですが、そもそもなぜ反応性の高いHFと自然界からいくらでも抽出できそうなCaを混ぜるだけっぽい生成法にここまで時間がかかったんだろう?
      #もしかして人造石油の生成を妨害し続ける石油メジャーの陰謀と同じく蛍石のコストダウンを阻止する華僑の陰謀!?

      親コメント
      • フッ素の一次流通を見ると,フッ化水素として輸入するか,蛍石を輸入して濃硫酸と反応させてフッ化水素を取り出すぐらいしかないようです。
        なので,蛍石を合成するためにフッ化水素を使う技術開発よりも,高品質の蛍石を確保する供給確保にインセンティブが働いていたのではないでしょうか。

        今回の成果は工業的に供給できるようなることで,レンズ用途として質の良い蛍石を無理に確保する必要がなくなる(かもしれない)点で画期的だと思います。

        # フロン回収・フッ化水素へのリサイクルは既にがんばっているようです。今後,急激に回収率が向上するのは難しいかも。

        親コメント
    • フッ化カルシウムは高価ですが、それでも年々少しずつ下がっていたので、
      コンシューマーにとっての完成品(=レンズ)の中で純粋に原材料費の占める割合は
      既にたぶんそんなに大きくないです。
      それよりも、この材料は加工が難しくデリケートなので、研磨とかコーティングとか
      加工費が高いはず。
      # 結晶構造のくせに線膨張係数が大きいので、割れやすいんですよね……
      #それで、温まった後は徐冷して温度管理に気をつけたりとかね……

      なので、今回の結晶生成前の原材料が合成できるようになっても、
      レンズまでの総コストへの影響は当面は 1% とか 2% とか、
      そんな感じで限定的ではないかと……

      それでも、採掘するしか無かった原材料を合成できるようになったので、
      品質管理とか、安定供給とか、いずれは大幅な大量生産とか、
      色々と恩恵が出てくることを将来的には期待したいですが。

      • by Anonymous Coward

        素材が貴重品だったから加工に余計な手間がかかっていたってこともあるかも…
        少々無駄が出るが高速に加工できるといった手法が実はあったりするかも…
        などと妄想してみたり

    • by Anonymous Coward

      フロンを産廃として処理するのなら処理費用分だけ安くできるんじゃないでしょうか。

  • by iwakuralain (33086) on 2014年10月17日 18時10分 (#2695568)

    品質が高く一定以上を保てるのであればそれはそれで別の需要もあるかもしれないし
    人口で作れるということであれば市場原理として下がる場合もあるし。

    • by Anonymous Coward on 2014年10月17日 19時21分 (#2695594)

      より明るいレンズが作れそうなので少々高くても…

      という需要が見込めそうです。。。

      親コメント
    • by Anonymous Coward

      > 人口で作れる
      やっぱり中国製じゃないか。

    • by Anonymous Coward

      その金属って原価に占める割合が高いってこと?

      レンズって購入者が限られるからそれなりの数が出ないので高いと思ってた。

      望遠を持ち歩く時代になるかもしれませんね。

    • by Anonymous Coward

      EDとかLDみたいな特殊ガラスより安価に出来れば良いのだろうけど、どうしても難加工だからなぁ。
      結局高額なレンズにしか使われないと思われますし、そういうのは材料費なんて誤差範囲だろうし。

  • by Anonymous Coward on 2014年10月17日 17時44分 (#2695559)

    目の付け所はいいけど安全にだけは気を使って欲しいな。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%83%E5%8C%96%E6%B0%B4%E7%B4%A0 [wikipedia.org]

    • by Anonymous Coward

      何万トンも作られてる一般的な工業原料だけどな。
      まあ、危ないのは危ないけど。

      • by Anonymous Coward

        半導体関係だと、大学生が普通に使ってるよ。

        電気電子系とか機械系(MEMSとかでフッ酸を使う)の学生は、化学に関する安全の意識があまりないので、見てて怖いです。

        • by Anonymous Coward on 2014年10月17日 22時13分 (#2695670)

          むかし阪大で受けた安全についての講義で聞いた話によると,もの知らんで事故を起こした例もあったとか。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            「もの知らん」でも若干意味が通っててクスッときた。
            東京でもモノシラン輸送車の事故があったはず

          • by Anonymous Coward

            阪大って
            一時期爆発事故が相次ぎましたね。
            それも入室して照明つけたらボカンってベタなやつ。
            もの知らん新入生には要注意。

          • by Anonymous Coward

            そういえば、歯科医が歯にフッ素塗るつもりでフッ酸を塗ったとかいう事故もあったような・・・・

        • by Anonymous Coward

           大学の時は、「手に着いたら手を切り落とすしかないから気をつけろよ」の一言で終わりでしたね、HFの取り扱い上の注意点は。
          ちなみに、電気電子系の学科です。

          • by Anonymous Coward

            私は化学の学生でした。
            安全がテーマの講義もありましたし、学生実験の最初の時間は安全の話だけで終わりました。
            コンタクトレンズをつけてきたら入室禁止だったし(保護眼鏡をかけるのは大前提だけど)、
            とっさに逃げないといけないときに、一瞬の差が生死を分けることがあるからという理由で、
            椅子なしだったし、扉は全部外開きで、ノブを回さなくても開くようになっていました。

            学生実験室の天井には血の跡がありました。なんでも、ゴム栓にガラス管を通そうとして、
            むりやり力で押し込もうとした学生のものだとか。ガラス管が割れて、そのまま手を貫通したらしい。

            フッ酸は、酸性度は弱いのでついたときにはほとんど気がつかないが、皮膚を浸透して骨まで達したときに、
            のたうちまわるほど痛くなって、そのときにはもう手遅れで、手を切断するしかないという話でした。
            切断しないと死ぬから、って。

            • by Anonymous Coward

              今はちゃんとドラフトの中で保護具(保護面、手袋)をして作業をするので、大げさなことになる心配は少ないのですが、いくら安全教育やっても危険なことする馬鹿がいるので大袈裟に話をしているという側面もあります
              まあウェットエッチは見れば液体があるのが分かるから良いですが、ガスを扱うときには本当に気をつけないといけないです

          • by Anonymous Coward

            有機化学の授業では蛍石になった骨を削らんと痛みがなくならんと教えられました。

  • by Anonymous Coward on 2014年10月17日 19時57分 (#2695606)

    蛍石を使っているレンズって高級レンズのごく一部だと思うのだが。

    • by Anonymous Coward on 2014年10月17日 22時16分 (#2695672)

      つーか、高級レンズ、それも現在はキヤノンの極一部、だな。
      蛍石は高いだけでなく、柔らかかったり(このため前玉や後玉に使えない)、経年劣化で曇るなどのデメリットもあるので、他社は全部低分散ガラスに移行済み。
      ついでに蛍石を写真レンズに使うための特許の一部をキヤノンが保持しているため他社は使うメリットがない。
      ということでキヤノンのレンズは安くなる可能性はないわけではないけど、他者は望みないね、としか。

      なお、まだ望遠鏡では使っているメーカーもあるけど、それは「望遠鏡だから」(カメラレンズほど生産数が多くないし、価格も高価)だからだろうし。

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        Nikkor にも FL ついてるのあるのよ
        http://www.nikon-image.com/products/lens/nikkor/af-s_nikkor_400mm_f28e... [nikon-image.com] (2014.8)
        http://www.nikon-image.com/products/lens/nikkor/af-s_nikkor_800mm_f56e... [nikon-image.com] (2013.5)

        • by Anonymous Coward on 2014年10月17日 22時50分 (#2695688)

          ま、そいつらはニコンがキヤノンがあまりに蛍石使用を全面に出すからしょうがなくウチも出しました、ってレンズだね。蛍石も実は他社製を使用してるし。

          ぶっちゃけキヤノンとニコンって自社が光学ガラスまで作ってるからHOYAやオハラのEDガラスを表だって使えないって足かせもあったりする。
          で、HOYAは蛍石と同レベルの光学特性と言われるガラス(シグマのFLDやタムロンのXLDがそれ)を開発できているから、それより安くできるかが鍵だろうね。

          親コメント
          • by Anonymous Coward

            > ぶっちゃけキヤノンとニコンって自社が光学ガラスまで作ってるから
            キヤノンもニコンも、レンズは自社製造できますが、硝材に関してはキヤノンは作っていないのでは?
            カメラ・レンズメーカーで硝材から生産可能なのは、ニコン、ミノルタ、コシナの3社しか無く、ミノルタはソニーに吸収された際に炉を手放したとかいう話がよく言われているみたいですが。

            • by Anonymous Coward

              なんと、コシナはガラス材まで作ってるんですか…。
              昔の28-200mmみたいなイロモノのイメージが未だに色濃くて、フォクトレンダーとかツァイスとかいいもの色々作ってるの知ってるのに、どこか二流メーカーに思えてしまうw

              とはいえ、フローライトの話ですが、倍率色収差ならデジタル補正で直してるような時代です、どれだけ需要あるんだろ…。
              写真レンズとしては、今後は滅多に使われないんじゃないかなぁ。
              肉眼で見る望遠鏡なら需要があるのはわかるんだけどね。

              • by kohzoh (34869) on 2014年10月18日 19時10分 (#2695937) 日記

                一眼レフカメラでは光学ファインダーで見ますから、ニコンやキヤノンはデジタル補正なしに収差が少なくできるに越したことなし。
                実際、ミラーレスカメラ用のレンズでデジタル補正前提で作ってるものってどのくらいあるのかな?
                将来そのレンズのつくカメラが滅んで、マウントアダプター経由で使えるようになったとき補正データがなければトホホな性能でしかない・・・なんてことになりそう。

                親コメント
              • by Anonymous Coward

                コシナは普通の光学ガラスの生産はできますが低分散ガラスなどまでは生産できません。そのあたりはHOYAやオハラのガラスを使用しています。

              • by Anonymous Coward

                マイクロフォーサーズの場合は規格上補正データをレンズに持ってるので、大半のレンズが補正前提ですね。
                補正してないのは、歪曲収差が出ない望遠系と、サードパーティーのシグマ製ぐらいじゃないかな。
                SONYのNEXも補正前提だったかと思います。

                レンズ収差で、デジタル後補正が可能なものは、歪曲収差と倍率色収差です。
                これらは、ピクセルの位置をズラせば収差無しと同等にできます。(代償としてズラしたぶんだけ解像力がちょっとだけ落ちる)
                通常は収差扱いされませんが、周辺減光も補正可能ですね。

                逆に補正不可能なのが、像面湾曲、球面収差、コマ収差、非点収差と、軸上色収

            • by Anonymous Coward

              無鉛光学ガラスの開発はキヤノンですよ。キヤノンも自社で光学ガラスの開発ができます。
              でも今は製造はオハラに委託でしたね。記憶違いすまん。

    • by Anonymous Coward

      フローライトと言えば憧れの一品
      ってあれ天然石しかなかったの?マジで?
      脈理とか問題にならないわけ??

      • by Anonymous Coward on 2014年10月17日 20時53分 (#2695630)

        溶かした後に単結晶を作ります

        親コメント
        • by Anonymous Coward

          おお、やっぱそうなんだよね…
          溶かして単結晶かとかできるんだったら合成も難しく無さそうな気がするんだけど、
          難しいんだ…へぇ…

          • by Anonymous Coward on 2014年10月18日 7時56分 (#2695771)

            この辺 [canon.jp]ですね。

            > 蛍石の特異な光学性能は、1800年代に発見されていましたが、当時は小さな天然の蛍石しかなく、顕微鏡に使用されるのが限界でした。
            > キヤノンは、必要なものは自ら創造するという積極的な姿勢のもと、蛍石の人工結晶生成技術の開発に挑戦。
            > 1969年に写真用レンズとして世界で初めて使用することに成功しました。

            # 最初にタレコミ読んだとき、キャノンが以前からやっているじゃんと思った。
            # 今回のは大元の材料を化学的に合成したという話なのね。

            親コメント
        • by Anonymous Coward

          キヤノンの方法は、液相から単結晶を作るのでなく、真空槽中で成長させるとかで手間と時間が掛かって高価なんですよ。

      • by Anonymous Coward

        最近、涙目になってSPlanFL2を買った私が通りますよ。

        なんであんな高いんだよorz

    • by Anonymous Coward

      高品質のが安定供給されれば、考えるんじゃない?
      ※ホッタのメガネレンズにしたい

      • by Anonymous Coward

        なぜメガネが高品質になるんだい?アポクロマートでも組むのかい?

    • by Anonymous Coward

      安くなれば安レンズにも使われるでしょう。

  • by Anonymous Coward on 2014年10月18日 10時36分 (#2695809)

    今の歯磨き粉に入っているフッ素=フッ化ナトリウムじゃなくて本当はフッ化カルシウムを使った方がいいんでしょ?

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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ見習い

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