Kandoの日記: 家畜伝染病予防法 6
あんまり関心のある話題でもないので静観していたが、なんだか騒いでいる層の偏りとヒステリックな国政批判の調子が気になったので調べてみた。
(特定家畜伝染病防疫指針)
第3条の2 農林水産大臣は、家畜伝染病のうち、特に総合的に発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずる必要があるものとして農林水産省令で定めるものについて、検査、消毒、家畜等の移動の制限その他当該家畜伝染病に応じて必要となる措置を総合的に実施するための指針(以下この条において「特定家畜伝染病防疫指針」という。)を作成し、公表するものとする。
《追加》平 15法073
2 都道府県知事及び市町村長は、特定家畜伝染病防疫指針に基づき、この法律の規定による家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずるものとする。
…なんだ、とりあえず現体制では家畜伝染病の防疫は第一に県の仕事じゃないか…。国の役割は指針を示すこととなっている。今回の口蹄疫の場合、当事者は宮崎県だ。
(http://d.hatena.ne.jp/realromantic/20100506/1273130580に報告されているような千葉県農林水産部畜産課の反応はきわめて妥当なわけだ。)
…とはいえ、(責任追及は後回しで)とにかく手に負えなくなったので、
と国に助けを求めるというのなら、まぁ仕方ないとは言えるだろう。
しかし、今の段階での宮崎県知事からの批判は宮崎県知事の責任転嫁といわれても仕方ないな。
- 宮崎県知事の批判を伝えるMSN産経の記事:http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100508/lcl1005080050000-n1.htm
- と県知事に対する批判の例:http://blogs.yahoo.co.jp/koganemusida/61421114.html
…今の体制の問題点に関する議論は別にありえるかもしれないが、今慌ててやることではないだろうしね。
で、「口蹄疫ウイルスと口蹄疫の病性について」に一通り目を通した上で思うに:
実際のところ、有効な移動制限とか殺処分の範囲とか局所性が高い話だから、現場に近く現場の情報を知っているはずの地方自治体が中心にならないと、きめ細かで効率的な防疫はできないだろう。
行政サービスには適正な規模というものがあり、それが故に地方自治体がある。なんでも国が出張ればいいってものではない。大体こういうものは早期発見・早期対処で被害の拡大を防ぐのが基本。国の対応なんて期待していたら間に合わないのは当たり前。だからこそ地方自治体が責任を持つ制度設計になっているのは妥当であろうと思われるのだが…。
5月18日追記:
「宮崎県、3月末に口蹄疫見逃し 立ち入りも疑わず」 (東京新聞 2010年5月18日 12時32分 )
…イキナリ大発生なわけはないので、いずれこういう話が出てくるんじゃないかとは思っていた。
今回は県に全責任を負わせるのはあんまりだと…… (スコア:2, すばらしい洞察)
自治体は初期段階からちゃんと動いていましたし、
最初に知事が国に支援要請に行った際も、
「これまでになく規模が大きくなりそうで、県だけでは対応しきれない恐れがあるから」
と言うことだったと思います。
現状進行中でもありますので、現在においても原則論や責任論は排して
国を挙げた対処をしてほしいとは思いますが……
口蹄疫は別格 (スコア:0, すばらしい洞察)
>とりあえず現体制では家畜伝染病の防疫は第一に県の仕事じゃないか…。
いや口蹄疫に対してその条文を持ち出して責任逃れをするのはいかがなものか。
それってもっと伝染性の低い影響の小さな伝染病の話であって、口蹄疫の感染力は別格でしょ。
もっと平たく言えば、「間違っているのは法律の方だ」と言っても過言ではない。
Re:口蹄疫は別格 (スコア:1)
まずは被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。
法第三条の二に『家畜伝染病のうち、特に総合的に発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずる必要があるもの』となってるんだから、『影響の小さな伝染病の話』なんて言い方はリンク先すら見ていない証拠でしょう。都道府県知事および市町村長が防疫を行う責任がある「特定家畜伝染病」 (施行規則第一条の二 [e-gov.go.jp]) 中に「口蹄疫」ときちんとありますよ。
法制度の不備を謳うなら、都道府県レベルでの対応が前提となっており、これを跨いだ地域/国レベルの問題になった場合にどうするか、大流行状態になったときが想定されていないという話になると思います。都道府県内での対応で充分なら、法第四十八条にもあるとおり国の関与もあくまで都道府県を通すという形になるのは妥当だと思います。
責任問題に口出しするなら事実をちゃんと追え (スコア:0)
今回の口蹄疫に関して宮崎県や県の自治体が取った対策は、
10年前に起きた口蹄疫の経験を生かして作られたマニュアルにのっとっています。
確認された当日に県が動き出し、農水省や国に報告もされています。
また10年前の国が取った行動や対策なども記録に残されていますので調べたらいかがですか。
国を動かしてでも対応しなければいけない「疫病」というのは
2000年当時の日本以外にも海外諸国でも認められている事実ですよ。
今回の口蹄疫で国として対策本部を立ち上げたのが昨日一昨日のニュースで流れましたね。
放置しておけば全国に広がる疫病の問題を、今日まで国として対応してこなかった責任は間違いなく国にありますよ。
Re: (スコア:0)
>>国として対策本部を立ち上げたのが昨日
昨日の報道は、4月20日に農水省が設置していた対策本部(本部長・赤松大臣)を官邸に格上げしたものです。
もっと早く官邸に、ということならその通りだと思いますが、国としては既に対策本部を設置していました。
口蹄疫の疑似患畜の確認及び口蹄疫防疫対策本部の設置について 平成22年4月20日 農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/100420.html [maff.go.jp]
防災法も関係してる (スコア:0)
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxrefer.cgi?H_FILE=%8F%BA%8EO%98Z%96%4... [e-gov.go.jp]
災害法には政府の責任も明記してあるし、激甚災害法の適用は政府の権限。
行政無作為ってのもあって、権限と責任を適切に行使しないことも罪。