SS1の日記: 怪しい卒業ボタンの慣習を常識的に考える 3
春。卒業式。卒業式に先輩の第二ボタンを貰う。という慣習がどこまでのこっているのか。 …は,わからないけれど。じっさいにもらおうとすれば,かなり困難な課題であることがわかるであろう。
第一に,あなたの学校の制服がいわゆる「詰め襟」でないといけない。ブレザーにも第二ボタンはあるけれど… たぶん,もらってもうれしくないだろうと思う。幸運にも男子の制服が「詰め襟」だったとしても,第二ボタンをもらうまでには幾つものハードルがある。
1.タイミング
当然だが,「ください!」と言うのは卒業式の日である。たのむタイミングもけっこう重要である。基本は,卒業式が終わった後。でないと「ごめんね。これから卒業式があるから・・・」と断られる可能性が大である。もちろん,そんなこと気にせずあげちゃう男子もいるわけで,そのあたりのキャラの見極めは重要である。
2.付き添い
んで,「ください!」と言ってくるときに,一人で頼みに来るわけではないのだね。本当に貰った。と証言してくれる「付き添い人」を二人以上用意する必要がある。(らしい・・・)。もちろん,ボタンを貰う行為は,本人の自己満足にすぎない・・・ といえるんだけども,クラスメートとかに否定されて脳内妄想あつかいされんようにするわけだね。
3.申込みのセリフ
私が知ってるのはこうだった。卒業式がつつがなく終わり。最後のホームルームも終わって,友人と部活仲間と待ち合わせている部室(というか化学実験室)へ移動するところだった。こちらは不意をつかれたかっこうだったけれども,彼女たちは「出待ち」していて,満を持していざ! というかんじだったと思う。で,セリフはこう・・・
「○○先輩! 先輩の第二ボタンを私にください!」
ノリとしては,ネルトンのあれなんだけど,上記のように付き添いの二人が両脇で両の手を丸めてクラウチングスタイルに構えて控えている。上記のセリフの女子は両手を重ねて,お辞儀をしたままの状態。このまま2秒間ほどフリーズする。
あー。ここでいっとくと・・・ というか。いうまでもないとおもうが,後輩女子に第二ボタンを請求されたのは私じゃなくて,私の同級生であります。彼は,生徒会長経験もあるイケメンで・・・ それはいいんだけど,彼には卒業後,一ヶ月ほどして結婚して,そして年内に出産することになる公認の彼女がいる。だから,それって・・・ どうなの? と私なんかは思うわけだけど,後輩女子的には,問題ないらしいのである。つーか,リアル彼氏的にどうなのよ。と,その友人に目を向けると,さすがのモテモテさんでも,卒業ボタンを請求されるのは初めてらしく(そらそーだ)いっしゅんかたまっていたのだが,3-4秒ほどして,「うん。いいよ。」と一言。それから自分の胸に手をやり第二ボタンをブチっとちぎって,女子が両手を重ねてお椀のようにかまえているところに,そのボタンをポロリと落とす。
「○○先輩! ありがとうございました!!」
と,後輩女子3人組は,きゃっきゃと笑いあいつつパタパタと走り去る。私と第二ボタン持ち主の同級生は,呆然とつったったまま見送ったのだった。いやもう,横で見てても緊張しますですよ。こういうのは。見送って,はふーと溜息をついてから,
「…本当にあるんだね。こういうの」
と私。その同級生も,
「うん…」
と同意する。さきほどの女子が3年生教室の廊下から消えるまでたたずんでたっす。んで,やっと落ち着きを取り戻して,二人で歩き始めたんだけども・・・ というか,私とその同級生は同じ部活に所属してて,ホームルームのあとは部室で待ち合わせて,皆で卒業後の宴会に行く予定になってたのね。んで。気を取り直してぱたぱたと二人で歩き始めたんだが・・・
4.第二ボタンならなんでもよかった?
二人で歩き始めたんだけども,私の脳内に「きゅぴーん!」と邪悪な発想が脳をよぎったのだ。歩き始めてたぶん,5歩目くらいだったと思う。私は,自分の制服の第一ボタンをブチっと引きちぎって,その友人に渡す。
「…えっ」
と一瞬戸惑う友人。
「つけとけ…」
と私。
「あ… うん」
と,友人は受け取って,あいている第二ボタンのボタンホールに差し込んで止める。ぐらぐらするところをそっと止めて。それから,3歩ほど歩いたところである・・・
「○○せんぱーい! 第二ボタンをください!」
あとは,もう慣れたもんである。
「ん・・・ いいよ!」
と,ボタンを引きちぎる振りをしながら,同級生が第二ボタンを後輩に渡す。見送ったら,私が次のボタンを引きちぎって「ん・・・」と渡す。同級生は,「ほい・・・」とうけとって第二ボタンホールにはめる・・・ こうしてループ作業を繰り返すうちに,部室にたどりついた。
5.いまは反省して……
いや,そっからが大変だったのよ… 途中で引きとめられてたから,うちらがいちばん最後になったんだけど,先に待ってた同級生女子が,私と同級生男子の制服を見咎めて,
「なんで? ○○(同級生の名前)はわかるけど,なんで,あんたのボタンが全部なくなってるわけ!?」
と女子。だもんで,私と同級生は,
「え。いや,こうやって・・・」
と,さきほどのシチュエーションをパントマイムで示す。いまから思えば,それですべてを理解するのは,理解力が高すぎとか思うんだけども,そのパントマイムですべてが理解された。事実を理解した彼女は,立ち上がり。私に人差し指で指さして,こういった。
「あんたわ… あんたは,乙
女の敵よ!」
よく,怒りで体が「わなわな」と震える。という表現があるけど。リアルに「わなわな」と震えてるのを見たのはそのときがはじめてだったようにおもう。私はびびって,目を泳がせつつ…
「えー。でも,みんな喜んでたよねー」
と,その同級生に同意を求め。その同級生も,なかば失語しながらも,
「ねー」
と。同意して見せたのだった。もちろん,これが火に油を注いだことになったのはいうまでもない。
あー。念のためにいっとくと,その「乙女の敵」発言をした女子は,同級生の彼女ではないです。彼のリアル彼女は,部活の宴会の後で迎えにきてたりしたんだけども,たぶん,笑い話になってると思う。
とまあそんなこんなで,卒業ボタンひとつとっても,作法とかマナーとか「おとめごころ」とかいろいろむずかしいところがあるようだけれど,そういうチャンスは,一生に一度だけなので,十分に楽しんでほしいなと思う。その瞬間を……
関係ねっすよ (スコア:0)
Re: (スコア:0)
詰め襟だったけど、「下さい」なんて言われたこと無いなあ。
「バレンタインチョコ」や「下駄箱にラブレター」と一緒で、都市伝説なんじゃないの?
#制服ない高校へ行ったのは、悔しかったからじゃないんだからねっ。
ブレザーの男子校出身者から一言 (スコア:0)
リア充死ね(TM)