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Takahiro_Chouの日記: [書評]エコ・テロリズム(浜野喬士/洋泉社新書)

日記 by Takahiro_Chou

そもそもは、グリーンピースとシーシェパードの分裂の原因とかを知りたくて買ったんだけど、その点に関しての収穫は有った。
早い話が、シーシェパードの創設者のポール・ワトソンは、グリーンピースに居た頃から、他のグリーンピースのメンバーもドン引きする位のアレなヤツだった、と。
日本の場合に譬えるなら、1960年代に全共闘やってたヤツが、70年代に成っても、昔と同じような事を主張してる……ってか、昔より、言ってる事や、やってる事が過激化してる……と言うような感じのヤツなのだ。
日本で、全共闘運動とかが有った頃、アメリカでも、「若者の反乱」みたいなモノが有った。そして、70年代になって、その「若者の反乱」は終息する。
だが、シーシェパードの創設者のポール・ワトソンは、70年代になっても、60年代の「若者の反乱」を引きずってる様な人物だったのだ……そりゃ、ドン引きするわな。

そして、アメリカでは、極端な保守派にも、極端なリベラルにも、既存の法律や政府や権力に対する不信感が有る。
保守派にとっては、アメリカと言う国の成り立ちゆえに、リベラルにとっては、マイノリティーが権利を獲得してきた過程ゆえに。
そう、アメリカの極右と極左は、
「正義の為には法律を破ってもOK」
「政府も、その政府が定めた法律も、何か胡散臭いモノじゃね?」
と言う心性においては一致しているのだ。

でも、まぁ、アメコミの名作「バットマン:ダークナイト・リターンズ」で、バットマンが、権力の走狗に成り下ったスーパーマンをブチのめすシーンは、ボンクラ魂を燃え上がらせるのは確かだが、現実に、自分の信じる正義ゆえに、警官をタコ殴りにするヤツが居たら、そりゃ、単なる傍迷惑なアブナいヒトであろう。
だが、実は、傍迷惑なアブナいヒト達の中でも、シーシェパードは、相対的とは言え、処置が容易な連中なのだ。
シーシェパードは、確かに、「エコ・テロリスト」の歴史の中では、エポック・メイキング的な組織では有るが、その運動論・組織論は古びてきている。……創設者・ポール・ワトソンと言う「看板」が有る時点で。

段々とアレな方向に向っていく、「エコ・テロリスト」の組織の中には、末端の人間を捕まえても、そこから、芋蔓式に他のメンバーを捕まえる事が難しいモノも現われてきている。
個々のメンバーが、他のメンバーの事を、ほとんど、知らなくても、機能し得る組織を作り上げる事により、「テロ行為」を行なったヤツが警察の御世話になっても、傷は最小限になる。……だって、末端のヤツがゲロしようにも、大した事、知らないんだし。
このような組織作りの参考にされたのが、IRA系の過激派って時点でガチである。

ま、シーシェパードのやった事に、大騒ぎしてるってのは、ある意味、日本に対する「エコ・テロリズム」は、まだ、大した事無いって証左なのかもしれない。
だって、アメリカでは、マジで、「エコ・テロリスト」から敵認定された企業の関係者が命を狙われるわ、そんな企業が「エコ・テロリスト」のせいで、倒産しかけるわ、と言う、洒落にならない事態が、起こっているのだ。
無論、反「エコ・テロリズム」的な人達も出てきているが、その連中の中からも、どー見てもテロリストです、本当に(ry ってなヤツらが出始める始末。
だって、アメリカにおいては、極左であるエコ・テロリストも、極右である反・エコ・テロリストも、法律や政府に不信感を持ってる、って点では共通してるんだもん。……どうなる事やら……。

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