TarZの日記: ボタンを押す振動で発電、電池不要(?)のリモコン
「リモコンのボタンを押す」ときに生じた振動で、リモコンに必要な電力を発電する (日刊工業新聞:昨日の記事なのにすでにリンク切れ)
音力発電 (中略) は、指が加えた力を振動に変えて発電するリモコン用の電源ユニットを開発した。圧電素子の発電力を従来比で3割向上させることで、実用に十分な100ミリワットの電流を確保。08年夏にもNECが製品化する見込み。振動を電力に変換する研究は各方面で進むものの製品化に至った事例は珍しい。
/.Jでも何度かとりあげられた、あの発電床を仕掛けた株式会社 音力発電の技術。
「電池不要のリモコン」とは記事に明記されていないが、ボタン押下で発電と謳っているのだから、不要ということでおそらく間違いないと思われる。暗いと発電できない太陽電池と比較すると、振動発電リモコンは操作する人間がいる以上は確実に動作するという点がメリットだろう。
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ここからは個人的な感想。
音力発電の手掛ける「発電床」については、私はその存在意義自体を懐疑的にみていて、/.Jの過去ストーリーでも疑問と問題点を表明した。(「改札を通って発電しよう?」の「既視感 (#988344)」からのツリー)
懐疑的な一つの理由としては、歩行者の負担によって発電していると考えたから。
これについては、「本来は捨てられている振動によって発電しているから負担はない」との指摘をいただいた。その後に続く議論で、結局双方が事象の一部分だけを見ていた、という点で意見の一致を見たと考えている。この問題の正解は、「無駄な振動で発電される部分もあるが、歩行者の負荷も増える」。
もっとも、定量的な資料が見つけられず(おそらく、音力発電サイドでも評価していないのだろう)、振動・歩行者負担がどのような割合で発電に寄与しているかは意見が分かれている。議論に参加したtaka2さん(最後まで付き合っていただいたことに感謝)は、圧電素子の変形はほとんどなく、歩行者の負担分はごく少ないと考えている。一方私は、(非常に誤差の大きな実測により)歩行者の負担は発電量の半分に近いと考えている。
どちらが正しいかは解らないが、強く確信をもって言えることがいくつかある。
- 振動分で発電できる量には上限があり、その上限はかなり低いところにあること
- もし発電床の発電効率を実用的なレベルまで上げようと思えば、発電モジュールの変形量を増す(=歩行者の負担を上げる)方向でしか対処できないこと
クルマのように重心が水平移動するような移動体に対して発電床を適用するなら、(歩行時の上下動による衝撃エネルギーを回収できる)歩行者のときよりも確実に移動体側の負担が増すこと
(おそらく、発電量以上の燃費悪化という形で)
このように、懐疑的にみる理由はいくつもあるので、先の議論を経ても発電床に対する私のスタンスは変わっていない。つまり、駅の床や道路のような場所に圧電素子を仕込み、上を通過する歩行者やクルマから「使える」電力をひねり出そうとする技術の実用性については、ごく一部の例外的な用途を除き、大きな疑問符を付けている。
もっとも、圧電素子による発電そのものが悪いとは思わない。特に、「弱い電力でもよい」「容易に外部から電力を得られない(例えばモバイル用途)」ようなケースであれば、意義があると思っている。
ということで、今回のような「電池不要リモコン向け」というのは悪くない応用例だと思う。
来年夏にはNECが商品化するというから、どんな商品に仕上がるのか、例えばボタンの押し心地や競合技術(これは結局商品が出てこなかったな)との比較をしてみたい。
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