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Torisugariの日記: cite属性再論 2

日記 by Torisugari

数年前、「cite属性は(法的な意味も含めて)引用元の明示とみなせるのか」という論争がありました。当時、私は全く興味がなく、この件を知ったのは随分と後になりましたが、今読んでも面白いので、未読の人は検索してみることをお勧めします。ちなみに、私はどちらかというと肯定派、つまり「cite属性だけで十分だ」と思っています。

何分、古い話なので、議論の多くはネット上から散逸(というか湮滅というか)してしまっています。そんな中、野嵜健秀氏の『闇黒日記』にこんな記述がありました。
http://noz.hp.infoseek.co.jp/diary/20020505.html

Netscape 6/Mozilla Browserでは、blockquoteのプロパティでcite屬性のURIを參照出來ますし、そこから出典の文書にジャンプする事も出來ます。

野嵜氏の結論は、ジャンプの可否に関わらず変わらないと思いますが、何故今これを持ってきたのかというと、この由緒ある「プロパティ」が、Firefox3.6から完全に消えてしまったからです。従って、現在、Firefoxでcite属性を確認するには、他のブラウザ同様にソースを確認するほかありません。この他にも、del要素/ins要素の日付なども「プロパティ」に表示されていたので、それらも同様です。

metaData.xulの削除に関しては、ある意味仕方がない面もあります。お世辞にも綺麗な実装ではなかったですから。しかし、私はある種の必要悪だとも思っていました。だから、全く代替案が打ち出せていない(思いつかない)現状は、残念です。

思うに、ウェブデザイナが引用元や日付を書き込もうとする意思は尊いものです(方法はどうあれ)。なぜなら、人間が機械にモノを伝えようとすることが、全てのエヴァンゲリズムの原点であるはずだからです。であるからこそ、機械たるUAはその気高い行為に対して、利便性で応えるべきなのでしょう。振り返ってみると、「プロパティ」ダイアログは、そういう意味では、さほど優等生ではなかった気がします。しかし、「ソースを見ろ」とか「スクリプトでごにょごにょと」とかは輪をかけてあんまりだと思うんですよね。

上記の論争も含めて、これらの一連の流れで、最も責任が重いのは、HTML(特に4)の規格だろう、と個人的には感じています。cite属性だけ見るとすっきりしていますが、q/blockquoteとの関係上、cite要素が相補的な役割りを果たすはずであることを考慮すると、なんとなく「すわり」が悪いというか、もうちょっと上手く設計できなかったのか、と思ってしまいます。

そんなcite属性もXHTML2では大出世して、href属性と対を成す存在(元と先)になっています。しかも、UAはcite属性のリンクを辿る手段を提供しなければいけません(MUST)。まあ、XHTML2はいわば架空の規格のようなものですから、ほとんど意味はないんですが、こういう面だけでも、なんとか上手いこと現実と折り合いをつけていくわけにはいかないんでしょうかね。

/xhtml2/mod-hyperAttributes.html#adef_hyperAttributes_cite

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2010年02月03日 11時29分 (#1713094)
    「引用」の要件って日本の著作権法独自の定義なのかな?
    であるとHTML規格側でどうこうってのは無理な相談なのかも知れない。

    引用元明示が国際的なルールであるならば、
    引用のための要素であるblockquoteでそれを十分に満たせないのは、
    仕様の不備・不足であるように思う。

    # ちなみに、citeで書いてJSで表示する派
    • 引用元明示が国際的なルールであるならば、

      ベルヌ条約の10条3項に

      (3) Where use is made of works in accordance with the preceding paragraphs of this Article, mention shall be made of the source, and of the name of the author if it appears thereon.

      ⑶  ⑴及び⑵に規定する引用及び利用を行うに際しては、出所(著作者名が表示されているときは、これを含む。)を明示する。

      とありますから、国際的ルールと断言できると思います。まあ、仮にベルヌ条約に未加盟の国が相手だったとしても、引用すれば元を示したくなる機会は頻繁に訪れるでしょうから、(規格に入れるか否かは別として)どっちみち必要なことじゃないですか?

      cite属性とはあまり関係ありませんけど、例えば日本でも、論文の参考文献の書き方は業界団体がちゃんと標準化活動をしているわけじゃないですか。

      科学技術振興機構.“参照文献の書き方”.科学技術情報流通技術基準 SIST ハンドブック.2008-05-23.http://sist-jst.jp/handbook/sist02_2007/sist02.htm#5-10 [sist-jst.jp],(参照 2010-02-03).

      日本でも国文系なら『』を使う、といったルールがありますし、世界中にはさらに様々なスタイルがあります。例:

      (1) NLM (MEDLINE) スタイル1),2) 米国国立医学図書館 生医学分野
      (2) ACS スタイル3) アメリカ化学会 化学分野
      (3) IEEE スタイル4) 米国電気・電子技術者協会 工学分野
      (4) APA スタイル5) アメリカ心理学会 学際分野
      (5) MLA スタイル6) 米国現代言語協会 人文・社会科学分野

      http://sist-jst.jp/handbook/sist02_2007/sist02_k.htm#ST02_f [sist-jst.jp]

      で、こういった引用符の有無とか、下線を引くとかは、もう、文字通り「スタイル」の話なので、理想を言えば、CSSが処理するのが一番いいと思うんですよ。つまり、そこらへんをCSSですっぱり決め打ちできるように、論理構造としてのマークアップが頑張ってほしいな、と。

      <cite class="SIST"
            author="科学技術振興機構">
        参照文献の書き方
      </cite>

      みたいな。

      でも、WHATWGのHTML5:cite要素を見ると、どうもこういう方向には行かないらしい。
      http://dev.w3.org/html5/html-author/#the-cite-element [w3.org]
      しかも、依然として、cite要素はどうやってquote系要素と結び付けていいのかわからないので、cite属性は責任重大なんですよね。

      いっそ、

      <blockquote cite="#ref1">春はあけぼの</blockquote>
      ...
      <cite id="ref1">枕草子</cite>

      みたいに使えばいろいろ整合性がとれるんですが、こういう縛りに世間的な合意があるわけじゃないですからね。

      親コメント
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クラックを法規制強化で止められると思ってる奴は頭がおかしい -- あるアレゲ人

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