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akiraaniの日記: なぜ、東方ワールドはここまで大きくなったのか

日記 by akiraani

こないだのザ・ネット☆スターで取り上げられていたが、東方Projectと呼ばれる弾幕シューティングゲームとその二次創作の広がりについて素人考察をしてみたい。

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東方Project(以下、東方と表記)とは、同人シューティングゲームのシリーズ作品で、日本で最も有名な同人ゲームの一つ。詳しくはWikipediaの東方Projectを参照のこと。

東方の二次創作が登場しだしたのは2002年のWindows版が発表されて以降である。シリーズを重ねるごとに東方の二次創作を扱うサークルも増え、2004年には東方専門のオンリー即売会が開催されるまでになった。他に有名な同人ゲームタイトルに「月姫」「Fate/staynight」「ひぐらしのなく頃に」などがあるが、TVアニメ化などの強力なメディアミックスが行われはるかに知名度が高いにもかかわらず、ここまで盛んに二次創作が行われてはいない。
また、東方の二次創作の大きな特徴として、音楽作品の豊富さがあげられる。同人誌ショップなどで同人CDコーナーを見れば、その約半分が東方関連商品で占められている。
さらに、最近になってシリーズのファンが大きく増加しており、昨年末に行われたコミックマーケット74では同人ゲームジャンルの中でサークル数にして約1/3を占めるまでになっており、オンリー即売会である博麗神社例大祭でも予想を大きく上回る来場者数で入場制限が行われた。
Projectの名を関してはいるものの、東方は事実上ZUN氏が個人で制作している作品。それがこれほどまでに影響力を持つようになった背景にはどのような背景があるのだろうか。

最も大きな要因は、作品クオリティの高さにあるだろう。いわゆる弾幕シューと呼ばれるジャンルにおいて、ゲームとしての完成度が非常に高く、商業作品の人気作と比べても遜色ないクオリティとオリジナリティを誇る。特に音楽方面では他の同人作品の追随を許さない高い評価を得ている。
原作ののクオリティが高ければ、そこに影響されて二次創作を始める人も増えるのは当然だろう。

次に、重要なポイントはライセンス関連の問題がクリアなことだろう。
東方では二次創作に当たって十分な自由度を持つ明確なガイドラインが著者本人によって設定されている。全般的に暗黙のお目こぼしという印象の強い二次創作で、権利問題を気にせずに二次創作活動に打ち込めるというのはかなり大きい。
音楽方面での活動が多いのは、権利関係の心配が少ないというのも大きいだろう。

ワールドやキャラクター設定に隙が多いというのも大きなポイントだろう。
元々がシューティングゲームに登場するキャラクターであるため、数こそ多いもののそれぞれに付随する細かい設定やストーリーは非常に少ない。原作で見えているのは名前とバストアップのキャラクターCG、せいぜい数ページ分の断片的なエピソードだけである。
このため、サイドストーリーや追加設定などを入れ込む余地が非常に多い、非常に二次創作の作りがいがある作品であるといえる。ファンの間で作られた設定が半ば公式に近い広がりを見せ、一種のシェアードワールド展開とも言えるほどのつながりがあるのも。

ここ1~2年におけるファンの急激な増加は、ニコニコ動画、YouTubeといった動画共有サイトの影響が大きい。
違法アップロードが問題視され削除騒動などが絶えなかった動画共有サイトにおいて権利関係がクリアなのは二次創作サークルにとって大変に魅力的であり、ファンによるシェアードワールド展開があった東方という素材はニコニコ動画躍進の原動力であるマッシュアップ文化に大変相性がよかった。
元々同人関連では音楽方面での活動は非常に限定的であり、ファン層も限られていた。ところが、動画共有サイトを利用した作品発表が可能になったことで、同人誌即売会では広がりにくい音楽、映像方面で二次創作作品が同人ゲームというジャンルの枠を超えて広く見られるようになった。

動画共有サイトを通じた展開は音楽という共通言語を介して海外にも波及しつつある。マスメディアが作り出したムーブメントではないので、これから時間をかけてじわじわと広がっていくことも大いにありうる。
個人作品を起点とし、マスメディアを介さず広がったムーブメントの例としてこれほど興味深い題材は他にはないのではないだろうか。

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