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cyber205の日記: ダチョウの卵を使った抗体製造が予想外の好結果 72

日記 by cyber205

新型インフルエンザ対策で注目 「ダチョウ抗体」とは?
>「感染症に強く、ニワトリの約25倍の卵を産むダチョウなら、抗体の大量生産が可能かもしれない」
>「1個の卵から、4グラムの高純度の抗体が採れる。半年で100個ほどの卵を産むので、
> ウサギ800匹分に相当する抗体が1羽のダチョウから半年で作れます」

確かに大きな卵ならたくさん作れるってのは事実だろうけど、それ以外の特徴もあるのだとか。

>注射する抗原の量はウサギと同じで、ダチョウは飼育コストも安い。最初は卵の大きさだけに着目していたが、
>できた抗体はウイルスや病原菌に対する感度が極めて高く、熱にも強い。
>さらに、1羽のダチョウから多くの抗体が作れるので、品質のばらつきも小さいなど「予想外の長所」を備えていた。

>塚本さんは今年6月、大学主導のベンチャー企業「オーストリッチファーマ」を設立し、ダチョウ抗体の商品化に乗りだした。
>その第1弾が抗体を塗布したマスクで、福岡県のベンチャー企業「CROSSEED」が今秋から一般向けにも販売を開始した。

抗体を塗布したマスクを口にあててやることでインフルエンザ予防になるらしい。これまでは抗体の製造コストが高く
なかなかそんな贅沢なことはできなかったのだが、ダチョウの卵を使えば多量生産できるのでコスト的な制限は存在しない。
かなり画期的なんじゃないかな、これは。ただし、医薬品ではないのでこれを宣伝しまくるわけにはいかないのだとか。

毎年毎年、どれが流行るか分からないのに何とか流行を予想してワクチンを作り、
それを毎年医者にいって保険が適用されない高い注射(といっても原価1200円~1300円らしいけど)
をしてもらうよりも、適合する抗体をダチョウで多量生産してそれを塗布したマスクで
罹患を予防できるというのなら、こんなにお手軽な話はないわけで。

これからの風邪予防には「抗体マスク」が有効です。なんてことになるのかも。

(ダチョウに目をつけたところがアレゲだよね、というわけでアレたまに入れておきます)

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • せーの、ヤー (スコア:5, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2008年12月02日 14時42分 (#1465928)
    「これ、ダチョウから作られた抗体だって。注射してみろよ」
    「じゃあ俺から」
    「いや俺が」
    「いやいや俺が」
    「どーぞどーぞ」
    • この抗体って、人体に注射して効果があるものなんですかね?
      記事を見た限り、そのような用途は想定されていないようなのですが……
      親コメント
      • by y_tambe (8218) on 2008年12月02日 17時46分 (#1466075) ホームページ 日記
        やってみにゃ判らんわけではありますが、まぁ正直、注射ではあんまり効果が期待できないだろうというか…。インフルエンザの感染防御に関しては、むしろ気道粘膜中にウイルスに対する分泌型IgAが産生されることが重要だと言われてますので。

        そもそも感染症の治療に関しては、こういう抗体(あるいは抗血清)そのものを用いた治療(受動免疫による治療)というのは、どっちかというとあまり行われてはいません。例外的に、細菌の産生する毒素そのものが危険であるような場合には、抗毒素抗体による治療が行われますが、イメージ的には、例えばヘビに咬まれた後で抗血清を投与するのと似たようなものだったりする。

        また、こういう異種動物の抗血清や抗体を用いる治療の場合気をつけないといけないのは、二回目以降には効き目が激減したり、副作用(いわゆる血清病)が現れる可能性があるということ。これらを併せて考えると、直接の予防や治療に用いるのは難しくて、まぁマスクに目をつけたというのは*それほど*外れてはいないかなぁ、という印象です。

        ただまぁ、実際に抗体が抗原と上手く結合して中和するというのは、両方が水に溶けてる状態での話だからなぁ…というのもあって。なので、示されているようなウイルス液を染み込ませる実験で「中和した」と言っても、それはマスクでの効力を確認したとは言いがたい部分がある。
        また、マスク自体へのウイルスの吸着力を上げるような作用はあんまり期待できないのが正直なところで、これはどっちかというと「マスク繊維の働きでマスクに絡めとられたウイルスを不活化する」というのが、メインの効果だと考えられます。まぁ、マスクにくっついたウイルスがまた何かの拍子に剥がれて、吸入されて病気を起こす、というケースならば有効なんでしょうけど、「果たしてそういうケースってどこまであるのかなぁ?」とか「別に抗体使わなくても、消毒薬とかで不活化すりゃいいんじゃない?」とか、まぁ実効性に対する疑問が次々と湧いてきて…という感じ。

        ただまぁ個人的には、このダチョウを用いる抗体製造自体には期待するところは、割と大きいんですけどね。抗体をばんばん使うような、生化学/細胞生物学実験が本職なんですが、抗体ってのはとにかく金がかかるものでして。抗原となるタンパク質1種類につき、0.1ml単位で5-6万円くらいするものなんかザラです。しかも、基本的に生き物に作らせるものであるため、メーカーごとの当たり外れが大きいし、添付文書の写真みたいな綺麗な結果が「出ねーじゃないかオイ」、というのもしばしば。出来るだけ、事前に他の研究者からの情報を集めて、選びに選び抜いて買っても、結局は同じタンパクに対する抗体を2-3種類買い直す羽目になることもしばしば…。そういうものなだけに、安価かつ安定供給される方向性には期待してます。

        #つっても、今度はダチョウIgY抗体に対する二次抗体をいろいろと買う必要が出てくるわけで、痛し痒しですけどね。
        親コメント
      • by s02222 (20350) on 2008年12月02日 17時04分 (#1466045)
        本来は注射して使いたいんだけど、それには臨床試験が必要でまだまだ時間がかかる。とりあえず、医薬品ではない、として発売しておいて、本来の用途は追々、ってことかなと思いました。

        たれ込み前半を読んでて、なんだか今にも従来品を置き換えそうな印象に、おいおいそんなテスト済んでないものいきなり注射して大丈夫か? と思った裏返しですが。
        親コメント
        • by isi (4853) on 2008年12月02日 17時13分 (#1466048) 日記
          能書が本当なら、今までのインフルエンザ対策の改善になりそうなんですが。
          異なる型のワクチンをまとめてグロスで生産、接種するとかで、
          インフルエンザの毎年の流行自体を阻止したりとか。

          治験はマジ大変だけど、マスクなんて色物で終わって欲しくないな、と思いました。
          親コメント
    • たしか小松 左京の「復活の日」は,インフルエンザをトロイにした生物兵器の流出.
      というシナリオだったので,鶏卵の供給がワクチン供給のボトルネックになりました
      よね.

      あれを読んだ昔「ダチョウやウミガメの卵は使えないのかなぁ.それとも
      どっちみち全人類レベルの供給量だったら焼け石に水か」と思ったりしましたが.
      親コメント
  • さて、問題です。 (スコア:5, おもしろおかしい)

    by nu-u (12312) on 2008年12月02日 15時27分 (#1465975) 日記
    ニュースより問題です
    「ダチョウは半年で100個ほどの卵を産みます。
     ウサギ800羽分の抗体が作れるそうです。」
    では問題です。ウサギは半年で何個の卵を産むでしょう

    「え~と何個かな?」と思った私、負け組......orz
  • by imaic (31975) on 2008年12月02日 14時54分 (#1465944) 日記
    異なる型の病原体には無意味ですけどね。

    特異な抗体が見つかった場合にすぐに増やせるのだろうか。

    #抗体生産のため大きな卵を産む恐竜を南の島のジュラシックパークで
  • by sladoslado (28918) on 2008年12月02日 17時48分 (#1466076)
    インフルエンザワクチンは製造メーカーから二つの中間業者を経て医療機関に売られる仕組みになっているらしい。
    製造原価は接種1回分当たり350円
    製造メーカーは約600円で販売会社に出荷。
    販売会社は約750円で「卸」と呼ばれる業者に売る。
    卸は約1000円で医療機関に売る。
    実際は1瓶2回分を約2000円で販売され端数が出ると廃棄せねばならぬ場合もあるらしい、私が受診した病院ではインフルエンザ予防接種に来た人が多数居たので廃棄ケースはそれほど多くは無いかもしれない。
    安値は2000円/1回程度のところがあるらしい。
    私が受診した病院では3000円だったが申請すれば1500円分は健康保険組合から補助が出た。
  • ウサギの数え方 (スコア:2, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年12月02日 14時51分 (#1465942)
    ウサギは「匹」ではなく「羽」で数えます。

    そんだけです。
    • by yasuchiyo (11756) on 2008年12月02日 16時32分 (#1466028) 日記
      イカと同じように、
      生き物として数える時は「匹」だけど、獲物として数える時は「羽」になるのだと思ってました。
      親コメント
    • by superfox (31908) on 2008年12月02日 21時51分 (#1466179)
      そういった類いの語を助数詞 [wikipedia.org]といいます。
      親コメント
    • Re:ウサギの数え方 (スコア:2, おもしろおかしい)

      by manmos (29892) on 2008年12月03日 13時51分 (#1466548) 日記
      一匹に対し二羽ですね。

      「ウ」と「サギ」だし。
      親コメント
    • by Anonymous Coward on 2008年12月02日 18時18分 (#1466090)
      実験動物として使用されるウサギは、
      「羽」ではなく、「匹」で数えます。
      親コメント
      • by Anonymous Coward
        それは単に医学系の人が国語に疎いって意味じゃないんだろうか。
        これだけじゃさっぱりわからん。

        # 個じゃないだけマシなんだろか。
    • Re: (スコア:0, オフトピック)

      by Anonymous Coward
      ウサギを「羽」で数えるのは風流だと思いますが、私は実用的な面からあえて「匹」で数えます。
  • by kokeko (31517) on 2008年12月01日 21時09分 (#1465342) 日記
    すごくいい技術だと思いますけど、マスクが必要ってことは
    冬はこのマスクをつけてインフルエンザ予防。
    春は別のマスクで花粉予防。
    これだけで半年間はマスクをつけてることになるので
    いっそのことマスクをファッションとして適用できる
    ようなものにすれば、年中マスクになるような時代もくるのかも
    しれないですね
    --
    #ACは価値ある発言してください
    • 以前台湾に仕事で行ったことがあるのですが、大陸から黄砂が年中飛んでくるらしく外を歩いている人がよくマスクを着けていました。ベビーカーの子供まで。
      そして雑貨屋にマスクコーナーなるものがあり、日本では全く見ないド派手なマスクがたくさん並んでいました。
      金ぴかのマスクやタータン柄のマスク、着物の切れ端みたいな織物のマスクをお土産に買ってきた様な気がします。
      日本みたいに性能重視の使い捨てマスクは記憶に残っていませんが、日系の百貨店やコンビニにはあったかもしれません。
      まあ使い捨てマスクなんて仕事以外で見たくなかったというのもあるかもしれませんが。

      #「黄金のマスク」と書こうとしてX68000を思いだすのも久しぶり
      親コメント
    • by cyber205 (4374) on 2008年12月01日 21時31分 (#1465356) ホームページ 日記
      それはそれでキャシャーン [fc2web.com]みたいなのとか、もしくは二瓶さんのBLAMEにあるような
      イカれた暴走族っぽい珪素生物みたいなのとか、いっぱい街に出てくるような気がしてヤだなぁ…

      親コメント
    • Re: (スコア:0, オフトピック)

      > キン肉マンの時代?
      いやいや、クローン・トルーパー [starwars.jp]の時代でしょ

      # 既出だったら御免
  • >卵の大きさ (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2008年12月02日 14時40分 (#1465925)
    モアよ、いまこそ君たちが必要なのに、どこへ行っちまったんだい。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%A2 [wikipedia.org]
  • インフルエンザ商法 (スコア:1, すばらしい洞察)

    by Anonymous Coward on 2008年12月02日 14時55分 (#1465945)
    なんか、そんな気がしてきた、今日この頃。
  • by Anonymous Coward on 2008年12月02日 17時20分 (#1466052)
    卵/鶏アレルギーの人には救いですね。卵でもウズラだめ(キジ科がいかんのかな)、それ以外のアヒルガチョウなどは大丈夫なのです。ダチョウも大丈夫でしょう。

    なぜこの手のアレルギーだとインフルエンザや黄熱病の予防接種ができないかって、あるときTVニュース(インフルエンザの話題)で生産の様子を資料映像として流しているのを見て納得してしまいましたが。
    アレルギーの増えてる現代、ダチョウの卵で製造した予防接種の需要はあるとおもいませんか?

    # ダチョウアレルギー?う...すいません聞いたことないです。ダチョウ肉は牛肉っぽかったよ。
    # AC = Allergy Coward
  • いくら卵で培養するといっても、ダチョウが鳥Flu.に罹っていたり、それが卵に移行していたりとかないのでしょうか?
    --
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    • んーと、上の方でも何名か誤解してるような方が見られますけど、まずちょっとした誤解があるようです。

      今回の話は「卵でのウイルス培養」…つまり「ダチョウの卵でインフルエンザウイルスを増やす」とか「ダチョウの卵でインフルエンザワクチンを作る」というのとは無関係です。
      #それはそれで実現したら有用そうなんだけど、有精卵であることが必須になるし、なんせ殻が固すぎて、接種孔開けたりするのに扱いにくいんじゃないかと…。

      今回のはそうではなくて、「ダチョウの成鳥に抗原(になるもの)を接種したら、卵から多量の抗体を回収できる」というだけの話で、通常はウサギやヤギ、ヒツジなど(そして稀にニワトリ)を使って行われる、ポリクローナル抗体の作製をダチョウで行ったということ、そしてその応用例の一つとして「不活化したウイルス(≒インフルエンザワクチン)を打って、抗インフルエンザ抗体を作らせる」というので話題になっている、というだけのことです。

      我々ヒトを含めた哺乳類の場合、抗体として5種類の免疫グロブリン(IgM(5量体), IgG, IgA(単量体、または分泌型である二量体), IgE, IgD)を持っており、このうちIgMとIgGが血中抗体の主役、分泌型IgAとIgGが粘膜抗体の主役として感染防御に関与します。またIgGのみは胎盤通過性を持っており母体から胎児に移行します。乳幼児は免疫機能が完全には発達していないのですが、生後6ヶ月くらいはこの母親由来の抗体が残っていて、ある程度の感染防御の役割を果たし、その後は自分自身が後天的に獲得する免疫で身を守っていく、というかたちになります。ただし、この抗体の種類や役割分担は、生物種によって異なり、ニワトリなどの鳥類ではIgM, IgAとIgYという三種類になっています。鳥類のIgYは哺乳類でいうIgGの役割を担っていると考えられていて、感染防御に重要であると同時に、そのトリが生んだ卵にもIgYが移行します。卵なんて、その中身は「栄養の塊」みたいなものですから、雑菌なんかにとっても格好の培地になります。なので、IgYとか卵白リゾチームとかで、大事な卵を感染から守る仕組みがあるわけですね。

      ウサギやヤギ、ヒツジなどの哺乳類を使って、抗体を作製しようとする場合、その動物から採血した血液から抗体を分離してくる必要があります…言い換えると、大量の抗体を得るためには大量の血液を採取する必要がある、ということです。この場合、動物の生命に関わらない程度の少量採血(部分採血)を行う場合と、殺処分前提で全採血を行う場合がありますが、ウサギのような小型の動物では全採血でも採れる抗体の量は少ないというのがネックになります。一方、大型の動物では全採血なら大量の抗体が採れますが、部分採血は繰り返すのが大変で、量に限りが出てきますし、飼育費用や抗体作製のために必要な抗原の投与量も多く必要になるなどの問題があります。これらに対してニワトリでは卵を何度も生みますから、そこから連続的にIgY抗体を回収することが可能だというのが利点です。しかし、いかんせんニワトリでは体も卵も小さいので、一回に採れる量にはやはり限界がある…じゃあ大きい卵を、ということでダチョウが注目された、というのが背景にある、と。
      #この他、主にマウスを用いたモノクローナル抗体の作製もありますが、それはまた別の話ということで。

      なので、今回の話について言えば、最初の質問の答えは「インフルエンザワクチンを打ったヒトから、インフルエンザを移されますか?」というのと同じように、「不活化したウイルス(≒インフルエンザワクチン)を打ったダチョウなので、インフルエンザの感染源にはなりません」というのが答えになります。

      ただまぁ可能性としては、抗体作製のために飼育してるダチョウがたまたまトリインフルエンザにかかって…というのが残ってはいますが…これはどうなるか判らないなぁ、というところです。実は、そもそもダチョウが、そのトリインフルエンザにかかるかどうかすら、よく判らないというのが正直なところでして。我々は、ニワトリもダチョウもカモもみんな同じ「トリ」と大雑把に考えがちですが、生物学的に見るとこれらの違いは大きい。言ってみれば「ヒトとブタとイヌ」が違うのと同じように、あるいはそれ以上に「ニワトリとダチョウとカモ」の違いも大きかったりするわけです。そもそもトリインフルエンザは、カモなどの水鳥の病気(消化器疾患)であって、ニワトリやシチメンチョウなどの家禽類にはその一部が感染するにすぎません。同様に考えれば、それらの「トリインフルエンザ」がダチョウに罹るかどうかは、実際にそのときになってみないと、ウイルス株が分離されてみないと判らない、ということになります。仮に、ダチョウが感染した場合、他のトリインフルエンザのケースから考えると、ウイルスは消化管に排泄されますので、卵殻の外側に付着する可能性はあります。しかし、卵の内部に感染する可能性はほとんどないんじゃなかろうか、と思われます。

      #もちろん卵殻に付着していても、抗体を精製する過程で取り除けますので、衛生管理さえ十分ならば感染源になるリスクはないと考えてよろしいかと。
      親コメント
  • by lingurin (36017) on 2008年12月03日 12時26分 (#1466460)
    猫とダチョウに囲まれて暮らすのも悪くないと思った。
  • by Anonymous Coward on 2008年12月02日 15時26分 (#1465974)
    薬事法より先に食品衛生法で引っかかりそう。。。
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人生の大半の問題はスルー力で解決する -- スルー力研究専門家

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