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296223 journal

cyber205の日記: 3群4枚玉構成のテッサーはデジカメ向きではない?

日記 by cyber205

普通に球面で作った1枚のレンズは、きちんと磨き上げても焦点にきっちり像を結ぶことがなく、
各種の「収差」が存在して像が歪む。レンズを組み合わせて収差を補正したレンズは昔、
「アナスチグマット」と呼ばれ高級品として扱われた。

最初にアナスチグマットを作ったのは英国、3群3枚玉構成のクックトリプレットで、
それに対抗して出てきたのがドイツで開発された3群4枚玉のテッサーなんだとか。
いまどきアナスチグマットでない写真用レンズなんて存在しないので、わざわざ
レンズにアナスチグマットと書くことはなくなったようだが、
昔は高級レンズの証として誇らしげに書いてあったであろうことは想像に難くない。

>テッサーの登場によって多くの人々が「普通によく写る」レンズを手に入れたと言われる。
と、wikipediaに書いてあった。映りがシャープなので「鷹の目」とも言われてたそうだ。

以前から書いてるハーフサイズカメラ、OLYMPUSのPENもレンズはテッサータイプだが、
これも映りにこだわった結果だという。(カメラ原価の半分がレンズ代だったそうだが…)

ソニーのサイバーショットに搭載されている「カール・ツァイス」のレンズも、
 (ツァイスの名前が入ってないのは独自開発の「Gレンズ」らしい)
見てみると「バリオ・テッサー」(もしくはバリオ・ゾナー?)と書いてあって、
テッサー凄い、今でも現役か!とか思ってたのだけど、実はオリジナルのテッサーって
銀塩写真にはいいが、いまどきのデジカメの撮像素子とは相性が悪いのだそうだ。

デジカメ撮像素子の光を受ける部分は、微細なフォトダイオードが並んでいる。
このフォトダイオードに光を集めて感度を上げるため、フォトダイオードの上には
一つ一つ微細に作りこまれたマイクロレンズがかぶせられている。昆虫の複眼みたいなもんかな。
そして、想定している光の方向は普通、直上から来ることを想定している。

だから、カメラ側レンズ構成の都合で斜めに光が入射すると、当然直上からくる光を想定し、
レンズの焦点に置いてあるはずのフォトダイオードに行くはずの光が、斜めに外れてしまい、
撮像素子の感度が周辺に行くほど低下する。
ライカのデジカメなんかだとこのマイクロレンズの向いている方向をだいたいレンズに合わせて
偏向させて、感度の低下を防いでいるのだそうだが。(これって多分特許だな)

そういう凝ったことのできないデジカメでも、レンズを工夫して撮像素子に直角に光が当たるよう
光学系を組むことで感度の低下を抑えているという。これをテレセントリック光学系と言い、
テッサーは設計が古く、光路がテレセントリックではないのでデジカメ用としては相性が良くないとかなんとか。

フィルムなら斜めに光が入射してもしっかり感光するが、デジカメは光を流す方向も大事なんだな。

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コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell

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